混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
追記:あ、あと活動報告に重要な情報を書いておりますので、できればご一読ください。
その紋章を見て、サーゼクスたちは苦虫をかみつぶしたかのような表情を浮かべる。
「この紋章は、やはりそういうことか……!」
「レヴィアタンの紋章ですか。なるほど、今回の指揮官は彼女ですか……!」
サーゼクスとミカエルが舌打ちすらする中、井草はイーツと化した自分の体が何か共鳴現象を起こしているのを感じる。
間違いなく、自分は何らかの影響を受けている。其れも、この紋章の向こう側にあるものだ。
「グレイフィア! リアスとイッセーくんをすぐに飛ばすんだ!!」
「承知しました。お嬢様、ご武運を!」
「ちょっとまってグレイフ―」
サーゼクスの指示に従い、グレイフィアが何かを言いかけたリアスたちを無理やり転送する。
そしてそれと同時に、転送用の魔方陣はより強い輝きを浮かべる。
「待ってください魔王様! あの紋章は、セラフォルー様達が使用する魔方陣とは異なる形状です!? それがレヴィアタンとはどういうことですか?」
聖魔剣を構えながら、祐斗が疑問の声を荒げる。
しかし、それに返答するのはサーゼクスでもセラフォルーでも、グレイフィアでもなかった。
「いや、あれは間違いなくレヴィアタンの紋章だ」
デュランダルを構えたゼノヴィアが、目を見開いてその紋章を見据える。
「悪魔祓いの教育機関で教えられた。……あれは、旧レヴィアタンの紋章だ!!」
その言葉に、井草もまた状況を把握し始める。
かつて、三大勢力の争いで四大魔王は全員が戦死した。
その後世襲制でその子供たちが悪魔の指導者になったのだが、魔王血族の大半は戦争継続を求めていた。
しかし、それをおこなえば種族が滅びると考えた派閥がそれに反対。更にそれまでの横暴がたたり、ついに内戦すら起きるほどの争いとなった。
そして結果としてサーゼクスたち現四大魔王を有する現政権側が勝利。旧魔王血族とそれに与する者たちは、辺境へと逃れることになったのである。
そして、その旧魔王の紋章が転送で使われている。しかも関係者以外立ち入り禁止になっている和平現場に。とどめにテロを仕掛けられている真っ最中に。
答えなどすでにで終わっているようなものだ。
そして、その答えを示すかのように男女が姿を現す。
一人は、煽情的な格好をした女性悪魔。
一人は、軍服を身にまとった手のひらまで黒い黒人男性。
その取り合わせにけげんな表情を浮かべながらも、サーゼクスは当たってほしくない予想が当たった者の表情を浮かべていた。
「旧魔王レヴィアタンの末裔、カテレア・レヴィアタン。一応聞くが、これは何のつもりかね?」
「ごきげんよう、偽りのルシファー、サーゼクス。……わかっているでしょうが、我々旧魔王とその派閥は、すべてが禍の団の参加を決意いたしました」
カテレアと呼ばれた女性の言葉に、サーゼクスはさらに表情を苦苦しくする。
「カテレアちゃん! どうしてこんなことを!?」
セラフォルーは心から傷ついたような表情をするが、その言葉にカテレアは心から心外だといわんばかりの怒りの表情を浮かべる。
「セラフォルー……っ! 私からレヴィアタンの座を奪っておきながら、よくもまあぬけぬけと……!」
そのまま攻撃をはなってもおかしくないほどの怒りを見せるカテレアだが、そんな彼女に黒人男性が声をかける。
「落ち着くがいい。君が上位種の始まりを産む世代になったのなら、下等種のままのものに簡単に怒りを見せてはならない。しょせん敗北者になる者たちの戯言だ」
「……見苦しいところを見せましたね、ナイファーザー」
取り繕うカテレアを一瞥してから、ナイファーザーと呼ばれた男は、軽く一礼する。
「お初にお目にかかる、三大勢力の重鎮達。我々は禍の団に所属している組織、ムートロンの実行部隊隊員、ナイファーザーというものだ。短い付き合いだろうが、お見知りおきを」
慇懃無礼という言葉が似あう声色であいさつするナイファーザーに、井草は嫌な予感を覚える。
そう、
そして何より、自分の体が疼いてたまらない。何かが彼らに反応しているのが、いやでもわかる。
「……井草!」
その井草の型にピスが手を置くが、しかし井草は反応している余裕がなかった。
その様子を見ながら、ナイファーザーは踏む踏むと頷いた。
「ふむ、なるほど。貴様が奴の言っていた少年か」
そういいながら、ナイファーザーは首を横に振った。
「少年、それは一分もすれば落ち着くだろう。おそらく私のエボリューションエキスと共鳴しているのだ。そろそろ慣れてくるだろう」
その言葉は確かに正しい。
先程に比べれば、井草の体の疼きは少しずつだが下がってきていた。
だが、問題はそこではない。
誰もがナイファーザーに注目していたし、警戒の色も強かった。
「おい、ナイファーザーさんよぉ?」
「何かね? アザゼル総督」
平然と尋ね返すナイファーザーに、アザゼルは殺意すらにじませながら鋭い視線を向ける。
「察するに、てめえらがイーツがらみの下手人か?」
「そのうちの一人ではある」
平然と、その殺意を受け流しながらそう答えるナイファーザー。
そして彼は、得意げな表情を浮かべながら両手を広げる。
「因みに目的はデモンストレーションとテストだ。すでに一部の小国と提携は完了しているので、そろそろ各地で紛争が起きるのではないかね?」
「そうかい。人間世界もしっかりきっかり巻き込んで、お前さんたちは暴れたいってことか?」
サラリと放たれた危険極まりない情報に、アザエルは頬を引くつかせる。
当然だろう。彼らは人間世界の国家にエボリューションエキスを提供したと告白したのだ。
そして紛争が起きるとすら言い放った。それだけで、人間界に余計な影響をあたえたくない三大勢力としては怒りに燃える事態だ。
そして、それ以上にアザゼルは個人的に聞かなければいけないことがある。
一瞬井草に悪いと思いながらも、しかしこのチャンスを逃すわけにはいかない。
「個人的に一つ質問するぜ?」
「いいだろう。だが、私も上から口止めされていることや守秘義務というものが―」
そうぺらぺらと流れる言葉を無視して、アザエルは即座に問いただす。
もっとも聞くべき個人的なことは、ただ一つ。
「―無有影雄。この名前に聞き覚えはあるか?」
―その言葉に、井草は体の疼きをすべて忘れた。
何もかもが次に放たれるだろうナイファーザーの言葉に集中する。
聞き逃せない。聞き逃したい。聞き逃すわけにはいかない。聞き流さなくてはならない。
矛盾する思いを抑え込みながら、井草は次の言葉に耳を傾け―
「―ああ。奴は我々ムートロンのメンバーだ。その少年にレセプターイーツを植え付けたのは、奴の戯れだよ」
―その瞬間、井草はナイファーザーにつかみかかった。
「どういうことだよ!?」
胸ぐらをつかみながら、井草は声を荒げる。
今のは聞き逃せない。聞き逃すわけにはいかない。
そう、あの男を赦すわけにはいかず、しかし恨むわけにもいかない。
なぜならすべては自分の下衆が原因であり、同時に彼の悪性が原因であるから。
「なんで無有が!? なんで―」
「黙りなさい、混じり物の堕天使風情が」
その瞬間、横合いから魔力のこもった打撃が叩き込まれ、井草は弾き飛ばされる。
それを即座に持ち直しながら、井草はその打撃を叩き込んだカテレアをにらみつける。
「いま取り込み中なんだよ! 後にしてくれ!!」
「この正当なレヴィアタンの末裔にその下賤な口調……! どうやら真っ先に死にたいようですね」
カテレアは機嫌を損なったのか、魔力を再び高めだす。
井草もまた、光力を全開にしながら戦闘準備を取り―
「落ち着け、馬鹿野郎」
その後頭部にアザゼルの打撃を喰らい、あっけなく悶絶した。
そしてそれでも起き上がろうとする井草の両足が、ピスによって極められた。
「あだだだだだだだだ!?」
「ストップよぉ。ちょっと暴走しすぎぃ」
ピスの声に反応する余裕もないが、しかしそれをアザゼルはスルーすることにしたらしい。
「……で、話を戻すぜ? お前ら何を考えてる? 人類社会にまで悪影響をあたえながら、三大勢力をつぶそうってか?」
「愚問ですね、アザゼル」
挑発の意をこめたアザゼルに冷笑を浮かべながら、カテレアはそれを嘲笑へと変える。
「いまさらそんな小さなことで済ませますか。我々はオーフィスとエボリューションエキスの力を使い、この世界を禍の団の手中に収めます」
「……世界征服、ということですか」
ミカエルが歯を食いしばるほどに警戒の色を強める。
各勢力のはぐれ者があつまっている時点で、その影響は三大勢力の垣根すら超えることは想像できていた。
しかし、これは想定外だ。
人間世界にすら影響を与え、そして世界を手中に収める。これはもはや、三大勢力だけで対応するレベルすら超えている。
だが、しかし解せない。
「愚かなことを。君たちは本気で言っているのかね?」
サーゼクスは首を横に振りながら、ナイファーザーに視線を向ける。
その視線は、愚行を働いているものにむけられるもののそれだった。
「確かにイーツの戦闘能力は強大だ。だが、あの程度で核の炎や神々の権能を超えることができると、本気で思っているのか?」
それは、現三大勢力の共通の認識だった。
確かにイーツの戦闘能力は高い。軍事兵器を複数投入しての戦闘でなければ撃破が困難という性能は、規格外といってもいいだろう。
だが、所詮は戦法クラス。それも、人間の科学力でだ。
下級中級では危険だろうが、上級クラスなら十分対抗できる。ましてや神の本気や核兵器相手ではまとめて一掃することも可能だろう。
ゲリラ戦などには絶大な効果を発揮するだろうが、しかし神話勢力が本腰を居れれば、決して勝てない相手ではない。
それどころか人類を本格的に巻き込んだこの行動。下手をすれば各神話が共闘する可能性すら大きい。
それは源泉たる事実であり、それすら把握できていないのならばいくらでも対応できるという事実であるが―
「―ハッ」
ナイファーザーはそれを鼻で笑う。
それは完全な嘲笑だった。
まさしく完全な嘲り。その程度しかまだわかっていないのかという、相手を馬鹿にする感情がこれでもかと込められていた態度だった。
「まさかと思うが、貴様らはEEレベルの存在にすら気づいていないのかね?」
「EEレベル……だぁ?」
アザゼルの反応に、ナイファーザーは心底あきれ果てたのか肩をすくめる。
そして、興が乗ったのか口を開いた。
「EEレベルはエボリューションエキスにどれだけ反応できるのかを示したものだ。……撃破するとそのまま爆発して消滅する個体が多いだろう? あれはEEレベルが1未満のものがイーツになった場合に起きる現象だ。本来ならよほどのことがない限り致命傷にはならん」
その言葉に、彼らの多くが納得する。
実際イーツの多くは倒されると同時に爆散して消滅していた。しかし、バルパーなどの一部に限り爆発しても本人はボロボロだが生存するという事態もある。
アザゼルも何かあるとは思っていたが、変身者の適性の違いだったということなのだろう。それならば納得がいくことも大きい。
「コカビエルに渡したイーツ変身者のEEレベルも大半が平均値は1だ。一番高いのはフリードの2,5か」
そう告げるナイファーザーは、そしてにやりと嗤う。
「そして私のEEレベルは―」
『バイアクヘー!』
その瞬間、翼を持つ異形の姿になったナイファーザーは一瞬でサーゼクスを蹴り飛ばした。
「―6,5だ!!」
ようやく出せたぜ、クトゥルフ神話要素!
バイアクヘーはムートロンの精鋭用イーツですが、エボリューションエキスからして別物ゆえに戦闘能力も別物です。レベルの高さとエキスの質ゆえに、不意打ちならサーゼクスもこの通り。
まあ、基本的に幹部たちは当分イッセー達と直接対決は致しません。というかした場合、一人相手にオカ研が全員投入しても返り討ちになる可能性があります。ナイファーザーは上から数えた方が強い部類ですが、ムートロンがわの戦闘要員は全員最上級悪魔クラスと考えていいですね。
最も、技術力はともかく保有する人員数では禍の団でもひくい部類ですが。しかしこれはある事情がかかわってきます。
ぶっちゃけE×Eはその特性ゆえに、アザゼル杯編に突入しません。そのあたりについては申し訳ありませんと事前に告白させていただきます。