混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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しかし感想の平均数が少ないこの作品。ようやく本腰入り始めたので、少しぐらい増えるといいなぁ。

ぶっちゃけ、感想こそがじぶんのモチベーションです。プリーズ燃料と半分ふざけて要望してみたり。


9話

 

「―サーゼクス!?」

 

「―サーゼクスちゃん!?」

 

 一瞬で蹴り飛ばされ、壁をぶちぬいて吹きとばされたサーゼクスに、グレイフィアとセラフォルーの声が飛ぶ。

 

 だが、問題はそこではない。

 

 威力そのものも確かに高いが、魔王であるサーゼクスなら一撃でどうにかなるようなものではない。それは二人も分かっている。

 

 問題は、その相手の速さであった。

 

「不意をつかれたとはいえ、我々が反応しきれなかった……っ!?」

 

 ミカエルの言葉がすべてを物語っている。

 

 ナイファーザーの攻撃は、何よりスピードが桁違いだ。

 

 先程のEEレベルの開きにごくわずかな虚をつかれたのが原因とは言え、果たして隙をつかれなかったとしてもあれを完全に捌けるものがこの場にどれだけいるか。

 

 断言してもいい。あのナイファーザーの戦闘能力は並の最上級悪魔ですら一対一では勝ち目が薄い。

 

 それほどまでの速さを発揮したナイファーザーは、即座に追撃を開始していた。

 

「それでは仕事をしよう。死んでくれたまえ、魔王ルシファー!!」

 

「なるほど、どうやらこの世界を支配するというだけのことはあるようだ……!」

 

 既に戦闘は開始された。

 

 母方から受け継いだ消滅の魔力を凝縮した球体を自由自在に動かし、サーゼクスは即座に迎撃を開始する。

 

 その攻撃は、最上級悪魔といえど下位の部類では瞬時に滅ぼされるだろう。それほどまでの実力を持っているからこそ、彼は魔王ルシファーの座を受け継いだのだ。

 

 そのサーゼクスの猛攻を、ナイファーザーは対応しきっていた。

 

 縦横無尽に迫る攻撃を手に持った散弾銃から放たれる光弾で破壊し、そこから生まれる隙間を縫うようにして潜り抜ける。そして即座に反撃の射撃をはなつ。

 

 それらはサーゼクスの魔力障壁で防がれるが、しかしサーゼクスの攻撃もナイファーザーには届かない。

 

 音速をたやすく超越するその高速移動はサーゼクスですら完全包囲を行うことは難しかった。よしんば包囲できたとしても、それが完全になる前に散弾銃で穴を作られて抜けられる。

 

 其の戦闘は一種の膠着状態に陥っており、まず間違いなく状況は拮抗していた。

 

「サーゼクスは彼に任せれば当面は問題ないでしょう。では、私はセラフォルーを滅ぼすとしましょうか」

 

 その光景を満足げに見ながら、カテレアは一歩前に出る。

 

 そして、そこに立ちふさがる影があった。

 

「ようカテレア。もうちょっといいか?」

 

「なんですか、アザゼル」

 

 カテレアに立ちふさがったアザゼルは、視線を一瞬だけ後ろの激闘に向ける。

 

 そこではナイファーザーがサーゼクス相手に同等といってもいいレベルの激闘を繰り広げていた。

 

「あいつらの技術の出所はこの際どうでもいい。で、お前さんたちはそれに乗っかってどうする気だよ」

 

「決まっています。神も魔王のいないのなら、私達が新たな秩序を構築する。オーフィスにはそのための象徴となってもらう予定です」

 

 そう告げるカテレアに、アザゼルは顔を下に向け―

 

「……笑っていいか?」

 

 そう、言い放った。

 

「笑っている余裕がありますか? イーツの真の脅威は今まさに目にしているはずですが」

 

 カテレアは心底不満げにそう言い放つが、しかしアザゼルの余裕は崩れない。

 

「少なくともお前は無理だっての。つか、テレビで真っ先にくたばる悪の幹部みたいな台詞を吐いてんじゃねえよ」

 

 心底馬鹿にしたその言葉に、カテレアの頬がひきつった。

 

「ま、そういう奴に限ってなんだかんだでそこそこできるから困るんだがな。どうせオーフィスからも何かもらってんだろ」

 

「ええ、彼には力をもらいました。この力で我らは世界をこの手に収めます」

 

「だからそれが定番だって言ってんだよ」

 

 そう切り捨て、アザゼルは背中から翼を広げる。

 

「セラフォルーにミカエル。こいつは俺がもらうぜ、いいな?」

 

 そして利くまでもないと攻撃を叩き込もうとし―

 

「いや、それは困るんだよ、アザゼル」

 

 それより先に、白い鎧をまとったヴァーリが攻撃を叩き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギャスパーを救出したイッセーたちは、旧校舎を出て援護に向かおうとしていた。

 

「部長。あの紋章って何だったんですか?」

 

「おそらく、お兄さまたちが追放した旧魔王のものだわ」

 

「そそそそんなぁ! 和平会談にそんな人が来たんですかぁ!?」

 

 イッセーの質問に答えたリアスに、ギャスパーが震えながら悲鳴を上げる。

 

 当然だろう。かつての内戦で敗北したとはいえ、魔王末裔は七十二柱より格上の血統だ。其の戦闘能力は推して知れる。

 

 そんな存在がテロをしてきたのだ。これは心底厄介だというほかない。

 

「それでもお兄さまたちなら、きっと―」

 

 そんな期待を込めた言葉がこぼれたその時だった。

 

「うおっと!!」

 

 そんな軽い声と共に、勢いよく誰かが墜落した。

 

 その墜落速度はすさまじく、直系十メートルを超えるだろうクレーターが誕生するほどだった。

 

「うわぁああああ!?」

 

「な、なんだぁ!?」

 

 ギャスパーとイッセーが悲鳴を上げるなか、そのクレーターを作ったアザゼルが、ぱんぱんと槌を払い落としながら立ち上がる。

 

 そして、それを追撃するようにカテレアとヴァーリが舞い降りた。

 

「すまないね、アザゼル。こう言うことなんだ」

 

「ええ、彼がそのハーフヴァンパイアを含めた情報を伝えてくださいました。おかげでここまでは想定通りの展開です」

 

「そうかい。コカビエルにしろお前にしろ、バトルジャンキーには困ったもんだな……っと」

 

 ヴァーリとカテレアに軽口をたたきながら、アザゼルはクレーターから這い上がる。

 

 そして、肩をすくめた。

 

「ヴァーリ、白龍皇がオーフィスに下るのか?」

 

「まさか、あくまで協力するだけだよ。魅力的なオファーをもらったんでね」

 

 そう答えるヴァーリは、感極まっているのかわずかに震えながら、拳を握る。

 

「コカビエルの残したコネクション経由でスカウトが来た。「アースガルズと戦ってみないか」……とね」

 

「本気か? 今時神話の垣根を超えた争いなんて、世界を滅ぼすぞ」

 

「だからだよ。俺は強い奴と戦えればそれでいいが、お前は戦争が嫌いだから反対するだろう?」

 

 アザゼルの指摘にもヴァーリはどこ吹く風。

 

 そして、その会話を嘲笑するかのようにカテレアは肩をすくめた。

 

「彼の本質を知っておきながら、放置していた貴方の失態です。正直らしくもない」

 

「悪かったな、オイ」

 

 痛いところを突かれたのか顔をしかめながら、アザゼルもまた肩をすくめる。

 

「ったく。魔王の末裔同士つるんでテロとか、勘弁してほしいな、オイ」

 

 そして吐いたその嫌味に、後ろにいた三人が硬直した。

 

 魔王の末裔、それは良い。カテレア・レヴィアタンは正真正銘魔王の末裔だ。

 

 だが、同士とはどういうことか。

 

 その驚愕に気が付いたのか、アザゼルがあっと声を出した。

 

「そういや、まだ言ってなかったな」

 

「そうだった。なら、説明する―」

 

 それにつられてヴァーリが声をかけたその瞬間だった。

 

 その後ろに、雷撃を右腕にまとったピスが襲い掛かる。

 

「裏切り者は見過ごせないわねぇ!」

 

「チッ!」

 

 とっさにかわして迎撃の拳をはなつヴァーリだが、それをさらりとかわすとピスはさらに大筒を向ける。

 

 龍が絡みついたようなその大筒から放たれる砲撃を、ヴァーリはとっさに障壁を張って防御。

 

 しかし、完全に防ぎ切ることはできず、わずか二だが鎧が損傷する。

 

「やるね。さすがはアザゼル直下の戦士なだけある―」

 

「ヴァーリ!!」

 

 ピスをほめようとしたヴァーリに、再び後方から攻撃が迫る。

 

 それをなすのは井草・ダウンフォール。イーツの姿のまま光の剣で切りかかる井草は、遠慮なく光の剣をふりおろす。

 

 しかし、それをヴァーリは無造作につかみ、勢いよく投げ飛ばした。

 

 とっさに受け身を取る井草だが、体勢を立て直す瞬間にヴァーリはオーラの砲弾をはなつ。

 

 タイミングは的確。そしてそれゆえにかわす余地はない。

 

 だが、その攻撃はピスが雷撃を纏った右腕ではじき返すことで防ぎ切った。

 

「大丈夫ぅ?」

 

「ありがと義姉さん。俺は大丈夫」

 

 ピスにそう答えながら、井草はヴァーリをにらみつける。

 

「ヴァーリ・ルシファー。君は現状を理解しているのか!? イーツを大量に発生させ、世界を混乱に貶めている連中と組むのが誇り高い白龍皇だって!?」

 

「それが何か? 少なくとも、こうでもしなければ神々と戦うことなど今の世界じゃできないだろう?」

 

「チンピラが……っ!」

 

 平然と世界の混乱すら受け入れる其の在り方に、井草は心底怒りを覚えて歯噛みする。

 

 ルシファーの末裔の存在を悪魔側現政権や枢機卿が知れば殺しに来る可能性は大きい。それを理解していたからこそ、グリゴリは彼の保護を決定したのだ。

 

 その果てがこれ。いかに直接の関与をしていないとはいえ、井草としては怒りを覚えるほかない。

 

「俺なんかがこんなことを言う資格はない。だけど、あえて言わせてもらう……」

 

 心の底からの怒りの感情をこめ、井草はヴァーリに鋭い視線を向ける。

 

「君を保護したのはグリゴリの落ち度だ。ここで殺すことでしりぬぐいをさせてもらう……!」

 

 本心からの殺害予告を受け、しかしヴァーリは動じない。

 

「できないさ。少なくとも、君はそこの赤龍帝ではね」

 

 そうはっきりといいながら、ヴァーリは残念そうな視線をイッセーに向ける。

 

 そこにあるのは憐憫か、嘲りか。少なくとも、評価を上げるようなものでは断じてなかった。

 

「ああ、しかし今代の赤龍帝が彼だというのは、実に残念だよ」

 

 あえて正直にそれを言うのは、果たして挑発か、それとも罵倒か。

 

 いや、そのどちらでもないのだろう。

 

 それは純粋な感想。相手を意図的に怒らせるつもりも、相手を不当に馬鹿にするつもりもない。純粋なまでの本心からのため息だった。

 

 もっとも、それで納得できるほどイッセーは我慢強い性格ではない。

 

「おい、なんだよ人のことを残念残念って!! っていうかそっちのお姉さんは誰だ!?」

 

「……本当に残念な子ね。ヴァーリ、殺すの?」

 

 心底からのカテレアの冷めた目が、イッセーに突き刺さる。

 

 そして、ヴァーリはヴァーリで肩をすくめた。

 

「正直に言おう、そんな気もなくすぐらい残念なんだ」

 

 そう言い放つと、ヴァーリはその目を井草に向ける。

 

「どうせなら君が赤龍帝ならよかったよ。イーツと赤龍帝の籠手と堕天使の血の複合なら、俺にも負けない価値を持てただろうに」

 

 それは心からの発言だった。

 

 ヴァーリ・ルシファーは自分の血と特性を誇っている。

 

 偉大なる最強の魔王たるルシファーの血を継ぎ、最高峰の龍種であるアルビオンを封じた神滅具を保有している。

 

 現在過去未来において歴代最強の白龍皇になる。そんな形容すらされた自分は、奇跡という言葉を体現しているとすら言い切れる。

 

 にもかかわらず、その相手となる赤龍帝は、赤龍帝であることを除けばただの一般人だった少年だ。

 

 悪魔でも堕天使でもそのハーフでもない。先祖が魔法使いや術者の家系にかかわっていた痕跡もない。最悪悪魔と何度も契約していたのならまだましだったが、そういうこともない。

 

「俺のような奇跡の塊と相対する赤龍帝が、君みたいな凡人だなんて、残念を通り越して笑いが出てくる」

 

 そう心の底からの無念を語ると、しかしヴァーリは一本の指を立てた。

 

「だが、一つだけ君を平凡じゃなくする方法がある。……君が復讐者になればいいんだ」

 

 その言葉に、その場でリアスたちは沈黙を返す。

 

 それを促しと受け取ったのか、ヴァーリは面白そうだといわんばかりににやりと笑う。

 

「俺が君の両親を殺せば、少しは運命的なものが生まれてくるとは思わないかい? どうせただおいて死ぬただの人間だ。そっちの方がよっぽどましだとすら俺は思うけどね?」

 

 その言葉に、何かが切れた。

 




ヴァーリ、イキリモード。うかつにも逆鱗の上でタップダンスを踊る。

この後、ヴァーリはちょっと痛い目を見ます。









因みにナイファーザーはまだ本気を出していません。なにせ幹部なので他のイーツ変身者とはいろいろ違うのです。はっきり言って単純相性だけで言うなら、ムートロン幹部の中では最もサーゼクスに有利なのがナイファーザーだったり。

そしてようやく戦闘シーンを掛けたピス。彼女は現段階においてオリジナルの味方キャラでもっとも強かったりします。しかも伸びしろはまだあったりします。

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