混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
そして、この戦いも終焉を迎えます。
切り落とされた腕をアザゼルが掴む事は出来なかった。
そんな事をして隙を作るつもりもなかったし、何よりナイファーザーがそれの確保を優先したからだ。
そのおかげで安全圏までの対比が完璧にできたのは僥倖だが、しかし警戒するべき内容でもある。
アザゼルは確信している。絶対にロクな事を考えていない。
「……何のつもりだよ、こんなオッサンの腕なんて切り取るとか」
「最上級の堕天使の血肉など、研究データの塊だろう? コカビエルで採るわけにはいかないしな」
あっさりと言い切るナイファーザーに、アザゼルは舌打ちをするが、しかし同時に占めたとも思う。
どうやらこの男、脇が甘いらしい。
「コカビエルはやっぱり禍の団か。教えてくれて助かったぜ」
その言葉に、怪物と化しているナイファーザーの表情は読み切れない。
だが雰囲気で分かる。舌打ちでもしたい気分というところだろう。
それが分かっているからこそ、アザゼルは心底小馬鹿にした笑みを浮かべてしまう。
「俺達を下に見るのは勝手だがよ? 馬鹿にしたいならもうちょっと考えて発言しな」
「未だテラフォーミングもロクにできない、劣等文明が……っ」
凄まじい勢いで怒気が叩きつけられるが、しかしアザゼルは動じない。
確かに魔王クラスとまともに戦える戦闘能力は恐れ入る。エボリューションエキスの底も知れず、敵の戦力がどれぐらいあるかも分からない。
だが、カテレアにしろナイファーザーにしろ、この程度の器ならたかが知れている。
やりようはいくらでもあるだろう。少なくとも、目の前の男ぐらいならば。
なら脅威とみなすべきはこの男の上にいる者。
ムートロンと名乗る組織の実行部隊。ナイファーザーは、自らをそう言った。
実行部隊があるという事は、当然それを統率する者がいて、それ以外の部隊や部署があるという事だ。
そこ迄分かれば、警戒するべきレベルがだいぶ見えてくる。
そして
そう、ならばするべき対処は簡単だ。
「ありがとよ。お前らのおかげで和平は
その言葉に、ナイファーザーがピクリと肩を震わす。
つくづく解り易い。アザゼルはほくそ笑んだ。
ああ、どうやら図星らしい。ここまで解り易いと罠を疑う事すら難しい。
「んじゃ、聞きたい事は聞けたし倒されな、神々への復讐者さん?」
「貴様、気づいて―」
それ以上の言葉を放つ隙は無かった。
その瞬間、ナイファーザーは全身を滅多打ちされて地面に叩き付けられる。
その間―
「……ジャスト五秒ぉ」
そしてそれを告げたピスが、軽く息をついてへたり込む。
そしてそんなピスを肩に担いで、アザゼルは素早く飛びすさる。
そして、そしてそして―
「すまないが、動けない体になってもらう」
―大量の消滅の魔力の弾丸が、ナイファーザーの全身をことごとくかき消した。
「……すまないアザゼル。カテレア達の事だけでなく、私がナイファーザーを抑えきれなかったばかりに腕まで失わせる事になるとは、失態だ」
そうすまなそうにするサーゼクスに、アザゼルは肩をすくめる。
「んなもんヴァーリが暴れてるってだけでチャラだっての。第一、お前言うほど権力ねえだろ? 気にすんな」
なんだかんだで諜報の一つや二つぐらいはやっている。ゆえに情報も少しは掴んでいる。
現四大魔王は名目上悪魔の長だが、実験の多くは旧家に握られている事ぐらいは当然掴んでいる。そして彼らの圧倒的年季を考慮すれば、そう簡単に動けない事も確実だ。
ましてや一太刀で自分の腕を切り落とせるナイファーザーの武装や戦闘能力を考慮すれば、結界の外側の被害を考慮しながらでは限界もあるだろう。
それに、これはこれで旨味もある。
「一度多機能偽腕ってのを付けてみたかったんだ。いやぁ、楽しみだぜ」
「……本気で言ってますよねぇ、総督ぅ?」
半目でピスに呆れられるが、そんなものは知った事ではない。
ロマンというのは何時だって、ロマンを持つ者にしか理解されないものなのだ。
まあ、それは今はどうでもいい。
今はそれより、貴重な敵の捕虜を確保するべきで―
「―原始生命体如きに全力を出す事になるとはな……!」
その言葉と共に、炎が吹き上がる。
火を噴き上げるのはナイファーザー。そして、その炎はその肉体を焼く事なく。むしろ欠損部位を再生させていっている。
その光景に、アザゼルは舌打ちをする。
「おいおい、そんなレベルの再生技術まで持ってるってのかよ。神滅具でも持ってんのか、てめえら」
「そうではない。これは私のデフォルトイーツ、フェニックスイーツの能力だ」
そう返しながら、ナイファーザーは殆ど完全に修復された体を見せつける。
怪物の姿では表情は分からない。しかし、得意げなのは雰囲気でよく分かった。
「私の再生力はフェニックス家の悪魔でも上位陣でなければできないレベルだ。この程度の欠損など秒で修復できるとも」
そう言い放つナイファーザーだが、しかしそれに気圧されたのはピスだけだった。
アザゼルとサーゼクスに至っては、半分呆れている表情を浮かべている。
「総督ぅ? 今、結構驚異的な情報が出てきませんでしたぁ?」
ついそう聞いてしまうピスに、サーゼクスは静かに頷いた。
「確かに驚いている。……イーツにも色々あるという事か。おそらく肉体を変化させずにイーツ化できる上位種なのだろうね」
ただし、驚きの意味は違う。
そう。ナイファーザーはまたしても余計な事を言ったのである。
デフォルトイーツという言葉を使った事で、通常のイーツとは違うイーツがあるという事を証明してしまったのだ。
「……ぐぅっ」
気づいて歯噛みするが、もう遅い。
アザゼルは肩を震わせながら、ナイファーザーに半目を向ける。
皮肉気に笑いたいところだが、しかしそれも難しいぐらい呆れていた。
「お前の上司もお前以外を送り込めば良かったって後悔してるんじゃねえか?」
真面目な話、本当にナイファーザーの上司には同情しているアザゼルだった。
この男、上から目線で愉悦しているがゆえに隙がありまくるタイプである。
機密事項とか守秘義務とか言っていたのは何だったのか。どうあがいても重要な情報を多く知るような立場には就けないタイプである。
その視線の意味を痛感したのか、ナイファーザーはプルプルと肩を震わせている。
「ほざくな! 長年にわたる改造と受精卵の段階からの遺伝子調整を組み合わせて、それでも一割程度の人員しか発現できないデフォルトイーツを、貴様らがどうにかできるわけがない!!」
激昂してそう吠えるナイファーザーに、アザゼルはうんと頷いた。
確かに、それだけの事をしているのならそう簡単にベースイーツを実用化する事はできないだろう。
実際エボリューションエキスとやらを製造するどころか、どういうものなのかすらよく分かっていないのだから尚更である。
「なるほど。どうやら少なく見積もっても君達は数十年前から準備をしてきたらしいね」
「ま、俺の予想通りなら数千年は準備してるだろうしな。復興も含めて」
それを態々教えてくれるとは皮肉を返したくなるレベルである。
なんだかんだで国家レベルの組織の指導者として合格点のアザゼルとサーゼクスは、すぐに情報を理解した。
そして、ナイファーザーは動きをピタリと止めてしまった。
そして、肩はプルプルを通り越してブルブルと震えだした。
「こ、ここここの……! 一光年の距離も一瞬で移動する方法すら持ち合わせていない下等文明如きが……っ!」
「あなたぁ、もうしゃべらない方がいいわよぉ」
更に情報を漏らし、ピスにすら呆れられ始める。
どうもこの組織、少なく見積もっても数光年以上離れたところからやってきたらしい。エボリューションエキスといいイーツといい、恐るべし科学力である。
だが、知識がある事と頭が良い事は別問題だという事をご丁寧に教えてくれている現状では、戦慄したくても中々できない。
「いいだろう、そこまで言うのならここで貴様らを滅ぼしてくれる!! この精鋭用ムートソードなら魔王クラスすら一太刀で切り殺しうるという情報を提供してくれた礼だ!! 動かないなら即死させてやろう!!」
「なるほど、その武器は精鋭に提供できる程度には量産できると」
「裏を返せば末端の武装にできるほどの生産性はないってか。ちょっとは安心できたぜ」
「語るに落ちましたねぇ」
脅し文句のつもりなのだろうが、どんどん情報を手強してくれている事実にもはや感謝の念を本気で浮かべてしまう。ピスですらだ。
この調子なら組織の全貌を知るのもそう難しい事ではないのかとすら思ったのだが―
「……おーい、ナイファーザー」
流石にまずいと思ったのか、新たな乱入者が現れた。
その言葉に、ナイファーザーの口元から歯ぎしりと思しき音が漏れる。
「何の用だ、ナイアル!!」
口があるなら唾をまき散らしているだろう勢いで怒鳴りながら、ナイファーザーは振り返り―
「警戒心ゼロで振り向いてんじゃねえよ」
―それを意に会する事なく、蟻を模したイーツがナイファーザーを庇う様にアザゼル達との間に割って入った。
その動きは流れるように自然なもので、一瞬誰もが反応を僅かに遅れさせるほど。
もはや一種の芸術と言ってもいい動きでナイファーザーのフォローする位置取りについた蟻型イーツは、そのまま視線をピスに向けると片手を上げる。
「ちわー、お姉さん。廃教会ではどもっ」
「……あぁー!? あの時のイーツぅ!?」
そのピスの反応に、アザゼルもサーゼクスもすぐに気づく。
三大勢力が図らずも共闘したレイナーレ一派との戦闘。
三大勢力がイーツと直接激突したあの戦いで、レイナーレとフリード・セルゼンを逃がした謎のイーツ。
蟻を模したイーツだと報告書に書かれていたが、まさかここに出てくるとは思わなかった。
そして、その状況下にアザゼルは―
「よお、初めましてだな、無有影雄」
―盛大に、鎌をかけた。
「カマかけかい? 俺を後ろの間抜けと一緒にすんじゃねえよ」
「誰が間抜けだ!?」
アントイーツにナイファーザーが怒声を掛けるが、アントイーツは一切気にしていない。
その反応だけでアザゼル達は警戒度を引き上げる。
間違いない。目の前のアントイーツは、ナイファーザーとは格が違う。
戦闘能力はともかく、油断できるタイプではないだろう。
そして戦闘能力も警戒するべきだ。少なくともこの状況下で出てくる以上、ナイファーザーと肩を並べるだけの戦闘能力は持っているだろうし、それ以上という可能性もありうる。
三人が静かに戦意を高める中、アントイーツはそれを面白そうに眺め―
「まあ正解なんだがな。確信してんだろ、オッサン」
そういいながら、その姿をイーツから人のそれに変える。
一見すると十人中八人ぐらいが振り返りそうなイケメンの優男。
しかし、その姿を見たピスは目を見開いて怒りの表情を見せる。
「……お久しぶりねぇ。その姿を見るのは三年ぶりかしらぁ?」
「大体そんなぁ感じだな?」
ピスに殺意を叩きつけられながらも、しかし無有は余裕の表情を崩さない。
そしてそのままちらりと視線を向けると、ワザとらしく怯えて肩をすくめる動きを見せる。
「おっと。上司の方もお冠だ。怖い怖い」
その言葉に、サーゼクスは警戒心を解かずにチラリと視線をアザゼルに向ける。
アザセルは、一見すると表情を特に変えていない。警戒態勢はとっているが、それは戦闘中なのだから当然だろう。
だが、三大勢力の一人としては若輩の部類のサーゼクスも歴戦の猛者である。すぐに分かった。
アザゼルは、かなり怒っている。
「初めましてだな、無有影雄。死にたくねえなら投降するか失せるかしな。そろそろ時間停止の結界も解けるんじゃねえか?」
その言葉も、普段通りのようでいて殺意が籠っている。
初めて会う相手に何故それだけの感情を込めているのか、サーゼクスには分からない。
だが、予想はできる。
無有影雄。その名前を、アザゼルはついさっき口にしていた。
そう、ナイファーザーがカテレアと共に自分達の目の前に出てきた時、アザゼル自身がそう告げていたのだ。
そして、その時の出来事もすぐに思い出せる。
今昏倒している井草・ダウンフォール。彼がナイファーザーが無有の関係者だと認めた時に、激昂して掴みかかったのだ。
そしてアザエルよりも分かり易く怒りの表情を浮かべているピスは、井草の義姉。
井草・ダウンフォールは事情があって二十歳でありながら高校二年生。そしてその年数差は三年。
そして、ピスは無有に姿を見るのは三年ぶりと言っていた。
情報が足りないので、全てが繋がったとは言えない。
だが、目の前の男が井草・ダウンフォールに深く関わっている事だけは理解できる。
「まあいい。三大勢力の最強格相手にどれぐらい戦えるかのデータは採れたんでな、撤収するぜ」
その中心に近い位置にいるだろう無有は、振り返らずにナイファーザーに告げる。
ナイファーザーも不満げだったが、その言葉に反論せずに頷いた。
そして、その反応を待つ事なく、禍々しい色の霧が二人を包み込む。
「……絶霧か。神滅具保有者が禍の団にいるのは分かってたが、面倒なのがいるって事か」
「まあな。神殺しの一つや二つ無けりゃ、世界を敵に回す事なんてできるわけねえだろう?」
アザゼルにそう答えながら、無有は嗤いながら霧の中に消える。
そして霧そのものが消えるその前に―
「まあ、俺達を倒したいならさっさと他の神話の足でも舐めてお願いするんだな。それぐらいしねえと張り合いもないからよ?」
そんな、挑発的な言葉を残していった。
ついに登場、主人公の因縁の敵ポジションである無有影雄。
コイツ糞野郎です。リゼヴィムとは別の意味でクソ野郎です。そして結構同レベルでクソ野郎です!
井草がああなった原因の三分の一ぐらいはこの野郎が担っているといってもいいです。それぐらい因縁があります。