混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
そして数日後、井草はリアスが保有する列車で、冥界に移動していた。
しかし冷静に考えるとすごいことでもある。
魔王を輩出した名門悪魔の保有する専用列車に乗って、ハーフ堕天使が冥界に行く。
和平が結ばれてからひと月もたっていないのに、こんなことまでできる。すさまじい速度の交流の速さだ。これが人間の国家ならそうはいかないだろう。
同時にそれだけのことができる善良な者たちの組織同士が、千年以上の長きにわたっていがみ合っていたことが残念でならない。もっと早く協調できていれば、起きることがなかった悲劇はたくさんあったはずなのだ。
だからこそ、井草は和平に貢献したものの一員として積極的に行動しようと思う。
技術交流による神器によって発生する悲劇の抑制。危険な神器の暴走による悲劇を抑えるだけでなく、そもそもその阻止の方法として暗殺という手段を取らなくても済むようにする技術革新。いがみ合いによって発生する小競り合いによる死者の削減。
それらを成し遂げるために、井草もまた神の子を見張るものの一員としてまじめに仕事をしていこう。
屑の極みである自分がこんなことをするのはおこがましいが、世界が混とんに包まれるよりかはましだと思う。
だからこそ、全力を出さなければならないのだろう。
それが屑にできるせめてもの貢献だ。それをなすためならば、この命を捧げ尽くしても構わない。
そう決意を込めたその時だった。
「やあ、井草。真剣な表情をしてどうしたんだい?」
と、ゼノヴィアが隣に来てそう聞いてきた。
どうやら相当思いつめた表情をしていたらしい。これはいけない。
自分なんかのために人を心配させてはいけない。ましてや、主の実家に行くという、割と緊張するようなことをしているゼノヴィア達を心配させるのはいただけなかった。
「いや、いろいろ世界も大変だし、せめて頑張って強くならないとなぁって思ってさ」
「確かにそうだが、息抜きや休息を忘れるのも駄目だろう。常時張りつめていてはできることもできなくなるほど疲労がたまってしまう」
確かに、ゼノヴィアの言うとおりである。
ちゃんと自分をメンテナンスしなければ、必要な時に動くことができなくなる。それではかえって逆効果だ。
自分が大嫌いで心底見下げ果てている井草ではあるが、監視役としての責務を投げ捨てるほど愚かではない。実際読書やテレビを見る程度の息抜きはその時もしていたし、おいしい食事に舌鼓を討つ程度のリフレッシュもしている。
最も、井草としては自分が苦労することで多くの人たちをより良い方向に押し上げることができている方がはるかに充実感を感じてしまうのだが。
「だけどゼノヴィアちゃんはもうちょっと気を付けてね。強そうな男見つけたら、「私と子供を作らないか」とか言ってきそうで怖いんだけど?」
冗談半分だが半分本気で、井草はそう釘をさす。
実際問題、ゼノヴィアはどうも天然なところがある。そういうことを本気で言うんじゃないかと不安になる時が心底あった。
しかし、ゼノヴィアは心外だといわんばかりにムッとして―
「ああ、そういえば言っていなかったね」
―とはたと何かに気づいた表情になった。
そして、井草に頭を下げる。
「公開授業の時の話は忘れてくれ。私は、イッセーの子供を生みたくてたまらなくなった。彼の子供をはらみたい」
「うん、ちょっと落ち着こうか」
幸い誰も聞いていなかったが、場合によっては大騒ぎになりそうだった。
一応アザゼルは眠っているのだ。安眠妨害の類をすることは本意ではない。
とは言え、急に一体どうしたというのか。
「とりあえず、どうしてそうなったのかを説明してくれないかな? ……小声で」
「ふむ、実は和平会談の時に決めたんだよ。私はイッセーの子供を生むと」
その理由を知りたい。
「井草は知らなかったのかもしれないが、禍の団の襲撃を退けた後、イッセーはミカエル様に直談判してくれたんだ」
そういえば、ミカエルを探していて心当たりを教えた記憶がある。
何かするのではないかとちょっと不安ではあったのだが、一体何を直談判したのだろうか?
「それで、なにを?」
「ああ。私とアーシアだけでも主に祈りを捧げて問題ないようにできないか、とね」
なるほど、豪胆であると同時に自由な発想力だ。
悪魔が神に祈りをささげるとダメージが入る。これはもう当たり前で、どうにかしてもらおうという発想はあまり出ない。
それに、そんなことをしてくれと嘆願するのは、なかなか度胸がいることだ。
兵藤一誠という男が、なかなか得難い少年であることがよくわかる一件だろう。
「その時決めたんだよ。私はイッセーの子供を産みたいとね」
そう顔を少し赤くしながらも言い切るゼノヴィアに、井草は苦笑して首を振る。
「違うよゼノヴィアちゃん。それはね、イッセーのことが好きになったっていうんだ」
そして、それは決して悪いことではない。
兵藤一誠は好漢だ。かつては覗きを繰り返していたが、井草の努力でそれを抑制することもできた。
最大……という言葉すら生ぬるいほどの大きさの欠点。それを抑制することができるようになった今のイッセーは、間違いなく素晴らしい人物である。少なくとも、そこら辺にいる格好だけ取り繕う者たちに比べれば、数段ましだ。
そして、だからこそ伝えなければならないこともある。
「ゼノヴィアちゃん。俺なんかの言葉を聞くのは憤慨ものだけど、これはきちんと聞いてくれ」
「いや、貴方の言葉なら一考の価値はあると思うのだが」
心底解せぬ。
だが、もう慣れたのでいちいち思考を中断するのもあれだ。真剣に話を進めよう。
「ゼノヴィアちゃん。これだけは覚えておいてくれ」
―一瞬だけだが、躊躇する。
それが、自分という存在がどこまでも屑なのだと痛感させる。じぶんという存在をどこまでも嫌いになったときのことを鮮明に思い出させる。
だけど、それでも。
「一時の性欲に飲まれて、イッセーの心を傷つけることだけはダメだからね」
―これは、きっと伝えなければならないことだから。
そして列車が目的に到達してからが大変だった。
いきなり極めて大規模の歓迎を受けながら、会議に出席するために別の場所に向かうアザゼルと別れる。
大量の人間に歓迎されておびえるギャスパーをなだめながら、井草たちは馬車に乗ってグレモリーの城へと向かった。
ちなみにいうとすさまじく大きな城だった。しかも、実家の
悪魔の財力はすさまじいと思う。石油王もはだしで逃げ出す資金力だろう、これは。
そんなことで驚きながらも城の敷地内で馬車から降りると、子供が一人駆け出してきた。
「おかえりなさい、リアス姉様!」
「ミリキャス! 久しぶりね」
そう言って抱きしめ合うリアスとミリキャスと呼ばれた少年。
特徴的な赤毛同士だし、おそらく親族なのだろう。
「あの子もグレモリーの血筋かな?」
「ああ。サーゼクス様の実子のミリキャス・グレモリー様だよ」
と、祐斗が井草の疑問に答えてくれる。
その時、井草はふと思った。
あれ? 兄の妹なら普通は「叔母様」ではないだろうか?
しかしそれを口には出さない。いえばおそらく殺される気がした。
そして城内に入ると、今度は美少女が出迎えてくれた。
「あら、皆さん。お早いお付きなのね」
リアスに負けず劣らずの美少女である。というより、リアスとうり二つの外見をしている。しかし、髪の色は亜麻色だった。
グレモリーの家のものは紅の髪になると聞く。となれば、彼女はグレモリーのものではないのだろう。
しかしそれだと解せない。普通に考えれば使用人だが、彼女が来ているのは非常に気品のあるドレスだ。
「リアスちゃん、こちらの方は?」
「私のお母様よ」
……五秒ほど固まったが、言われてみれば納得である。
「お、お、お母様ぁああああああ!?」
イッセーが度肝を抜かれるが、これもしょうがない。
「イッセー。ほら、悪魔って外見を割と好きにできるから。それに寿命も一万年以上あるし」
「そ、そ、そうだけど! てっきり部長のお姉さんかと思ったよ!!」
イッセーがそう言うのも当然ではある。
彼が出会った悪魔は、その大半が若輩者だ。必然、姿を変えるなどという行動をとっているものは数少ない。
故に外見と年齢をイコールで考える者がほとんどだろう。
だが、確かに彼女はリアスの母なのだろう。
なんというか、身のこなしが落ち着いている。年齢を経た者だけが持つ雰囲気があった。
しかし、ミリキャスという孫がいるのなら彼女はもう祖母だ。そういう意味でも動きに落ち着きがあるのは当然であ―
「今何を考えました?」
「何も考えておりません、マム」
殺意すら感じ、井草は秒で思考を切り替えた。
そんなこんなで以上に広い部屋に通されて、井草は正直困りながらも荷物を置いた。
之からひと月はここで暮らすことになるのだろう。正直豪勢なクラスになれていない身としては落ち着かないのが本音だ。
だが、それはそれとして夕食をいただくことになった。
貴族の家系名だけあって、実に豪華な食事が出てきてしまった。
「……すいません。こう言うのに不慣れなのでお見苦しいところを見せるかもしれないです」
井草・ダウンフォールの人生史上最高級の食事である。
高級料理店でのマナーなどという物には無縁の男なのだ。しかも、つい先日まで敵対していた勢力の食事でのマナーなどさすがに習得してない。井草は監視院でありスパイではないのだから、知る必要もなかったりするわけである。
しかし、グレモリー家現当主、ジオティクス・グレモリーは朗らかだった。
「はっはっは。あまり気にしなくていいよ。しょせんこれは身内の食事なのだからね」
「俺なんかにそんな優しくしてくださるなんて……!」
思わず感涙するが、逆にジオティクスが少し戸惑いの表情を浮かべたのはなぜだろう。
塵屑にすら優しくできるのはある種の美徳である。素直にそう思っただけなのだが、おかしなことをしたのだろうか。
などと疑問に思っていたのだが、その前にリアスの母であるヴェネラナ・グレモリーが苦笑を浮かべた。
「とはいえ、リアスと行動を共にする以上会食の機会もあるでしょう。よろしければ、悪魔の礼儀作法を指導させましょうか?」
「ありがとうございます。俺の名誉なんてゴミにすら劣りますが、ごみのせいでリアスちゃんの名誉を損なわせるのは部員の名折れですから」
本心からの言葉だったのだが、ヴェネラナ迄戸惑いの表情を浮かべた。
食事の場でゴミという言葉を使ったのがいけなかったのだろうか? うかつだった。
と、素直に反省して謝ろうとしたのだが、とりあえず気を取り直したのかジオティクスは視線をイッセーに向ける。
「そうだ、イッセーくん。君もそんなかしこまらなくていいよ。我が家と思ってくれ」
……どうやら、イッセーはいつの間にかリアスの両親に気に入られてしまっているらしい。
「というか、お義父さんと呼んでくれたまえ」
……それどころではなかった。
「い、いやいや! 主の父親にそんなことはできませんよ!?」
当然イッセーは戸惑っている。
というより、だ。
そもそもこの男、ジオティクスの意図に気づいていないだろう。
リアスがじぶんに向ける恋心すら気づいていないのだから当たり前だ。交際する前にあいてのご両親を攻略しているなど創造の埒外だろう。というかふつうしない。
確か、イッセーはリアスの婚約を台無しにしたのではないだろうか?
井草は食事をしながら小首をかしげていると、ヴェネラナが苦笑していた。
「あなた、物事には順序がありますわ。さすがに性急すぎでしょう?」
「しかし、赤と紅でピッタリではないか」
「浮かれすぎです」
反論するジオティクスも、さらにピシャリといわれては下がるしかないようだ。
グレモリー家はかかあ天下らしい。まあ、伝承ではグレモリーは女性の姿で召喚されるという話だから、女性が強いのは当然かもしれない。
「兵藤一誠さん。一誠さんとお呼びしていいかしら?」
「あ、はい!」
そしてヴェネラナに対してかしこまってイッセーが答える。
「あなたにはこの夏休みの間、冥界のマナーなどを学んでいただきます」
その言葉に、イッセーはすぐにうなづいた。
まあ、リアスの眷属悪魔である以上、必然的にリアスが出ることになる政治的な催しにもかかわることになるだろう。
となれば、マナーをぶっ飛ばした行動をとるわけにはいかない。そんなことになれば、リアスの名誉に傷がつくのは確定だ。下手をすればイッセーの首が物理的に飛ぶだろう。
そういう意味では何の問題もないのだが―
「あと、ダンスなどの強要も身に着けてもらわねばなりませんね。いずれはリアスと共に我がグレモリー家主催の社交界には主役としてでてもらわねばらないのですから」
……それ以上のレベルは確定だった。
婚約破棄になった直後にこれは、いささか性急ではないだろうか?
「お母様にお父様!! いい加減にしてください!!」
当然リアスが怒り、テーブルを勢いよく叩く。
「さきほどからお二人とも勝手すぎます!! 先程から、私を置いてどんどん話を進めすぎですわ!!」
「お黙りなさい、リアス」
しかし、ヴェネラナも負けてはいない。
鋭い視線でその怒りの視線を真っ向から受け止めた。
「ライザーとの婚約解消を赦しただけでも破格の待遇だと理解しなさい。私達もサーゼクスも、他の上級悪魔にどれだけ頭を下げることになったか。……あなたは「グレモリーのリアス」である宿命を背負っていることを理解しなさい」
辛辣な言葉を叩きつけた後、ヴェネラナはため息を共にさらに続けた。
「一部の貴族には、「我儘娘がドラゴンの力で無理やり婚約を解消した」とまで言われているのです。者には限度がありますよ」
その言葉にリアスは言葉に詰まり―
「―愚者の戯言ですけど、一言よろしいでしょうか?」
―井草は助け舟を出すことにする。
「井草さん? 申し訳ありませんが、これはグレモリーの問題ですので―」
「いえ、婚約解消はむしろ喜ばしことかと思います」
相手の言葉を切り伏せながら、井草はそう告げる。
ある程度の事情はすでにイッセー達から世間話の形で聞いている。
ライザー・フェニックス。フェニックス家の三男坊で、接待試合以外でレーティングゲームに負けたことがない若きエリート。
リアスは「自分を「グレモリーのリアス」ではなく「リアスという女」として愛してくれる男」と結婚したいと思っていたのだが、あいにくそれには該当しなかった男。リアス・グレモリーをグレモリーのリアスとしてい愛している男。
そんな彼は、婚約式の当日にイッセーとリアスをかけた戦いに負けて婚約解消された。
まあ、その程度のことは知っているが―
「……自分をただのリアスとして愛してくれる人と結婚したい。それがお嬢さんが結婚相手に向ける前提条件です」
「……なんで知って!? あ、イッセー!?」
「うわぁごめんなさい!! つい世間話で!!」
リアスにイッセーが詰め寄られているが、それは今はスルーする。
とりあえず、だ。
「その絶対条件から外れている相手と結婚しても、お嬢さんはずっと不満をため込んでしまうでしょう。ましてやそんな相手の子をはらむなんて苦痛以外の何物でもないし、そんな子供を愛することができると思いますか? ……生まれてくる子供がかわいそうです」
まあ、貴族ともなれば愛より血統の維持などを重視するのだろうから、聞いてもらえないかもしれない。
と、思ったのだが―
「……そこをつかれると、確かに急ぎすぎを反省するしかありませんわね」
―思った以上に話を聞いてくれた。
「……正直、一発でそこまで納得してくれるとは思いませんでした」
いった井草がたじろぐレベルだった。
その様子に、ジオティクスは苦笑した。
「いや、産まれてきた子供を愛さない親には不満をいだいているからね、しかもそれが親族にいるとなれば、なおさらだ」
どうやら、この情愛にあふれるグレモリー家もそれだけではいられないらしい。
「とは言え、あまりそういうことを言うのは気を付けた方がいいよ? 私たちは気にしないが、バアルの現当主などにいえば、かなり嫌がらせを受けることになるだろう。アザゼル総督にもご迷惑がかかるかもしれないからね」
と、指摘をしてくれるのはありがたい。
だが、それはいらぬ心配だ。
「いえいえ。その時は俺が責任を取って処刑されればいいだけですから」
何の問題もないとはっきり言い切るが―
『『『『『『『『『『………』』』』』』』』』』
何故か周囲の使用人も含めて、半目であきれられた。
「リアス。彼はこういうブラックジョークが好みなのですか?」
「いいえ、お母様。……百パーセント本気で言ってるのです、彼は」
喧嘩が一発で終焉したのはいいことだが、この反応だけは心底解せぬ。
この辺のフォローを行うキャラが出てくるのも、内の作品の特徴だな~。
さて、次の話はかなりシリアスです。そして少し長めです。
本来ないろいろ構想していた別の新連載に出す予定のキャラクターを出すことにしました。これに関してはテコ入れも兼ねております。
なんというか、E×Eは基本的には魔改造で済ませていましたが、やはりオリジナルの敵もある程度いた方がいいと判断しました。
次の話に出てくるキャラは、ある意味でナイアルよりもキャラを練っております。次回、お楽しみに!!