混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
井草は一人悪魔領の研究所で身体検査を受けていた。
本来ならオカルト研究部は色々あるのだが、井草が辞退したのだ。
実際イッセーは礼儀作法の勉強などに時間を取られているので、なら自分が抜けても問題ないだろうという判断から、こうして動いていた。
とは言えすることはかつてグリゴリでうけた検査と変わらない。
少なくとも井草にとっては同じだ。よくわからない検査機器に横になって、体を解析されるだけである。
血液などの採取まで同じようにされるが、これに関しては検査の仕方が異なるからだろう。何十日もたったサンプルではできない検査はいくらでもある。その都度やるのは、当然のことだ。
そして検査もすでに終わり、あとは変えるだけなのだが―
「―やあ、少しいいかな?」
と、そこで声を掛けられた。
振り返れば、見た顔がある。
といっても直接会ったわけではない。冥界の番組などでよく見る顔といったところだ。
「これはこれは。現ベルゼブブ様ではないですか」
「ああ。君がアザゼル直轄の井草・ダウンフォール君だったね。検査に来てくれて礼を言うよ」
そう、井草の目の前にいるのはアジュカ・ベルゼブブ。この研究施設の長にして、ベルゼブブを就任した現魔王の一人だ。
悪魔の駒などの各種技術を開発した、天才の中の天才。サーゼクスと並び称される最強の魔王。文武双方において悪魔でも一二を争うレベルの高レベルを保有する、総合力でならばナンバーワンの悪魔でもある。
その彼に直接声を掛けられるとは、後衛に値するというべきか恐れ多いというべきか。
いや、それより先にいうべきことがあるだろう。
「俺みたいな塵屑に直接声をかけるのはあれですよ。もっと自分の立ち位置を考えた方がよろしいかと」
「……サーゼクスの言った通りだな」
なぜか又しても半目を向けられた。
なぜだ。己の立場をきちんとわきまえて、それによって彼らが迷惑しないように気を使っての発言だというのに。その結果が毎回半目であきれられるのは心底解せない。
仮にも悪魔の長が下賤極まりない塵屑相手に朗らかに話すのは、それはそれでまずいのではないだろうか?
彼ら現四大魔王がフランクでリベラルなのは知っているが、しかしだからといって限度がある。
「俺なんかと話してるとこを見られたら、大王派にシンパが流れますよ? もっと周りの目を気にしないと、あなた達側であるアザゼル総督にも迷惑がかかるんですから」
「いや、さすがにこの程度でそんなことにはならないと思うんだが」
なぜそうなる。
もう少しこの辺について議論するべきだと井草は思うが、しかしアジュカはそれを置いておく方針のようだ。
「まあ、俺もサンプルの検査などで忙しくなるから時間はあまりないが、それでも君の顔を直接見てみたくてね」
「はあ、理由をうかがってもよろしいでしょうか?」
井草がそう聞くと、アジュカは「簡単だ」と前置きをしてから告げる。
「君は、おそらくムートロンにとっても興味深い対象になるからだ」
……その言葉に、井草は目を少し開く。
「アザゼル総督の考察と現段階での検査結果を見るに、君はイーツの中でもイレギュラーな存在だ。詳しい説明は確信が持ててからにするが、禍の団……ムートロンが君の身柄確保のためだけに戦力を差し向ける可能性もないとは言えない。何かしらの備えをした方がいい」
「そ、そうなんですか!?」
思ったより大事な気がしてきた。
「まあ、俺や総督の推測が正しいのなら君を直接狙うより手っ取り早い方法はいくらでもあるからすぐ襲われることはないだろう。だが、別件で君たちと事を構えることになれば、そのついでに君を確保を狙う可能性はある」
その言葉を、井草は頭の中で整理する。
井草にはイーツ関係で何かがある可能性がある。
しかし、それは井草だけとは限らない可能性が大きい。
となれば―
「―俺の神器《セイクリッド・ギア》……ですか?」
「俺も総督もそれが根幹にあると考えている」
なるほど。其れなら納得である。
井草の神器は、イッセーや祐斗質のように戦闘で使えるような優れた代物ではない。
むしろ日常生活でもそこ迄便利というわけでもない。殆どの人間はそれの恩恵を受けることなく一生を終えることになるだろう。
だが―
「エボリューション・エキスは、人工臓器みたいなものだと考えればいいでしょうか?」
「現代の若者にわかりやすいえば、モザイ〇・オーガンとかいうのが近いと俺は踏んでいる」
なるほど、わかるものには一発でわかるないようだ。
確かに結構似通っている。
だが―
「テラフォー〇ーズ、お好きなんですか?」
「人間の娯楽文化は素晴らしいと思うね」
冥界は平和である。そう心底思うしかなかった。
そのあとアジュカと別れ、そして別口で検査をしたりしていたら日をまたいでしまった。
まあそれは仕方がないとして、井草はグレモリー城へと戻ると、そこにはアザゼルまでいた。
「あ、アザゼル先生。もう会議は終わったんですか?」
「まあな。ったく、悪魔の旧家共は長ったらしい話が好きで参っちまうぜ」
アザゼルはそういいながら頭をぼりぼりと書く。
どうやら本当に疲れているらしい。もとより力を抜くときはかなり抜くタイプなので、旗肘あった伝統行事などはお気に召さないのだろう。
何事にも向き不向きはあるというものだ。こと堕天使は天使が欲に負けて堕落したものである以上、そういうものを苦手とするものが多くておかしくない。
「で、そっちの検査はどうだったんだ? 俺はお前の神器がエボリューションエキスに影響していると踏んでるんだが」
「魔王ベルゼブブ様も同意見です。物のついでレベルで狙われるかもしれないから気を付けろと言われました」
井草の返答に、アザゼルは「だろうな」とでも言わんばかりの表情を浮かべる。
「まあ、数世代にわたり遺伝子改良などで適性値をあげるような代物だからな。何か特別な理由があるとは思ってたぜ」
そんなことを言いながら談話室に入ると、そこでは神妙な面持ちをしたイッセーたちがいた。
「あ、井草さんにアザゼル先生!」
「おかえりなさい。ちょうどよかったわ」
「おう、何があった?」
イッセーとリアスに出迎えられ、アザゼルが話を促す。
井草が検査を受けている間、リアスたちは若手悪魔の会合に出席したらしい。
若手の有望な悪魔を呼び出して、顔合わせをしたりおえら方との面通しをする儀式のようなものだそうだ。
そこでいろいろともめ事も起きたそうだが、それは置いておく。
問題は、そこで発案されたイベントだ。
「若手悪魔同士のレーティングゲーム。それも所詮はリアスちゃんたちがソーナちゃんたちとか」
まあ、いずれはそういうこともあるだろうとは思っていた。
共にレーティングゲームに積極的に参加すると決めている以上、ライバルとしてぶつかり合うこともあるのだろう。
とは言え、プロデビューする前に公共放送で試合をすることになるとは思わなかった。冥界は自由である。
「ま、いわゆる高校野球みたいなもんだろ。たまに日本のテレビでもやるだろ?」
「甲子園にしては参加者が少ないですけどね」
アザゼルのたとえに祐斗が苦笑するが、実際そんな感じだろう。
「そういうわけで試合までの時間に特訓しようと思ってたのよ」
「あと二十日ちょっとか。ちょうどいい、俺がトレーニングメニューを考えてやるよ」
リアスにそう答えるアザゼルに、イッセーが目を見開く。
「いいんですか? 堕天使の総督が一悪魔に肩入れしても?」
確かにそういう意見も出てくるだろう。
和平を結んだとは言え、そしてそれに貢献した悪魔とは言えだ。リアスは次期当主とはいえど若手悪魔の一人であり、ソーナもまた貢献している悪魔でもある。そしてアザゼルは堕天使総督だ。
一総督が度を超えた肩入れをするのはまずいかもしれない。片方に肩入れしすぎるのは公平性を書くといわれても文句は言えないだろう。
だが、そんな心配をアザゼルは一笑した。
「そんな心配はねえよ。俺以外にも技術指導をしたがってる奴なんて堕天使にも天使にもいるだろうし、その逆だってある。ソーナのところにもアドバイザーの提案をしてるやつはいるだろうし、案外そっちの方が役立つかもな」
「あり得る。アザゼル先生はいい加減なところがありますし」
井草が割と辛辣なことを言うが、アザゼルはどこ吹く風だった。
そんな事でいちいち目くじらを立てたり反省するのなら、この男はとっくの昔に更生している。
なんだかんだでこんななのに成果を上げるのだ、この男は。それは短い付き合いながら、井草もしっかりと把握している。
「ま、そういうわけだからあんまり気にすんな。おまえらはお前らの夢のためにがんばりゃいいんだよ」
「……その通りです、お嬢様」
と、そこにどこからともなくグレイフィアが現れて同意する。
「既にソーナ様は各方面に指導のお願いなどをしているようです。総合的に有利とは言え、油断すれば敗北するのはお嬢様だと忠告いたします」
「そうね。やるからには絶対勝ちたいし、油断しては勝てる者も勝てないわね」
リアスもそれに頷き、全員の気合が張りなおされる。
「あ、そういえば。グレイフィアさんはなんでここに?」
と、イッセーがそう聞くと、グレイフィアは軽く一礼した。
「温泉の準備が整いました。皆様、会合などをお疲れを癒しなさいませ」
……まさか、温泉まであるとは思わなかった。
井草は、72柱の悪魔のすごさを改めて思い知った。
かけ流しの天然温泉。それをプライベートな風呂として利用しているのがグレモリーのすごさと認識した。
あくまでここの家のものが使用しているだけなのに、小さめの銭湯ぐらいの広さはあるのではなかろうか。
そんなことを想いながら、井草は湯船につかって検査の疲れを溶かす。
ほぅっと息をつくと、隣にアザゼルが使った。
「井草、どうよ、一杯」
「あ、じゃあいただきます」
何か酒を進められたが、井草はとりあえずそれを受け取る。
井草は確かに高校二年生だが、既に二十歳である。プライベートで飲酒する分には何の問題もない。ついでにいえばここは冥界なので、日本の法律は適用外だ。
それに全く飲酒をしないわけではない。
自己嫌悪と卑下の塊で、自分のことが大嫌いな井草ではあるが、だからといってストレスを甘んじて受け続けられるほどの精神性を持っているわけではない。
息抜きぐらいはちゃんとする。たまったストレスをアルコールで流すぐらいのことはする。ピスの晩酌に付き合うこともある。なのでこれぐらいは大丈夫だ。
「……ふぅ。いいお酒ですね」
「ああ、しかもいい湯だ。さすがはグレモリーの城ってところだな」
井草に同意したアザゼルはそういいながら酒をあおる。
そうして飲み会とも言い難い酒を楽しんでいたが、其の間にアザゼルは井草の方をむく。
「なあ、井草」
「何ですか?」
改まって何なのかと思うが、アザゼルの視線は井草をいたわるかのような優しげなものだ。
「お前、まだ自分を赦せないか?」
その言葉に、井草は何も答えない。
というよりは言うまでもないことではある。
それをアザゼルも分かっているのだろう。冥界の空を見上げながら、もう一度酒を一口飲む。
そして、酒臭い息とともに言葉を吐き出す。
「確かに、お前がかつてやったことは褒められたもんじゃねえ。知ればお前を知る連中の何割かはお前を見放すだろうし、それ以外の連中もお前の評価を程度はともかく下げるだろう」
そう、アザゼルはそれをわかっている。
井草の事情を知っているアザゼルは、それが罪だということだけはちゃんとわかっている。
だが、アザゼルは付け加える。
「だが、それでもお前を見放さない奴は何人もいる。お前の過去を許す奴も何人もいる」
だろうでも、はずだ、でもない。
アザゼルは断言したのだ。井草の過去の罪を知っても、井草を大事に思ってくれるものはいる。
そう告げ、そしてアザゼルは井草の目を見る。
「お前は悔やんで反省して、やり直そうとして頑張ってきた。もうちょっとぐらい、自分を赦してやれないのか?」
その言葉は心から井草を想ってのものだ。
これ以上井草が苦しむことを望んでいない。もう十分すぎるぐらい、井草は苦しんできた。償ってきた分の報いはあってしかるべきだ。
その想いが伝わらない程、井草も馬鹿ではない。
罪を償ったものはやり直す機会が与えられるべき。それは井草にもわかる通りだ。
過剰報復を罪とし、公正に裁きを受けてそれで終わらせる。それが、人間にしろ堕天使にしろ、政府という形で人の集まりを形成してきたものの在り方だ。
少なくとも、堕天使の法律で換算しても井草の罪は死に値するものではない。
だが……。
「……無有は、ムートロンだったんですよ?」
井草はそれを受け止め切れない。
「アイツが何をしてきたか、総督だって知ってるでしょう? っていうか、調べた結果は知ってるでしょう?」
震えながら、酒器を握り締めながら、井草は絞り出すようにそう告げる。
無有影雄。あの男について調べようと思ったのは、ただの八つ当たりだったと今ならわかる。
自分があくどいのはわかっていた、でもそれを認めきれなくて、悪あがきのように無有のあらを探したかった。
そして、粗どころか猛毒を見つけてしまった。
「女をたぶらかしての売春斡旋。それに気が付いた時点で、俺はさっさと義姉さんに相談していればよかった」
だが、感情的になって無有に直接食って掛かった。
その資格もないのに、自分が裁きを与えようと思った。
そうすれば元に戻れるなどと、おこがましいことを考えたから。
その結果、事態は最悪の方向に進んだ。
井草は無有に返り討ちにあい、ピスが助けに来てくれたから自分は助かったものの、事情を説明していなかったために対応が遅れ、無有は行方をくらました。
ただ逃げられたのならまだい。だが、それと同時に彼女たちまで消え去った。
普通に考えて、無有がかかわっていることは明白だ。しかも追跡調査で、奴が売春斡旋のその先として、快楽に溺れた少女たちを裏社会に売買していたことが発覚した。
結末など決まりきっている。最早言うまでもない結論だ。
「俺は、伊予と五十鈴を助けられなかったどころか突き落としたようなものなんですよ……っ」
感情的になって短絡的な行動をしたあげく、事態を最悪の方向へと進めてしまった。
そもそも、井草にそんなことをする資格はない。
短絡的に欲望に従って、伊予を傷つけたのは自分だ。
無有も五十鈴も同罪だろう。少なくとも、2人がさかしらに、すべてが井草の責任だということをアザゼルもピスも許しはしない。
だが、井草もほぼ同罪であることを井草自身が知っている。ピスもアザゼルもそれを否定したりはしないだろう。
「俺は……、俺が許せない」
絞り出すように、井草は本音を漏らす。
許したくない。それが井草の本音だった。
苦しみ続けたい。其れこそが井草の本音なのだ。
「……ま、たった数年じゃ納得できねえだろうな」
アザゼルはそれ以上の追求をあきらめる。
数年。たったそれだけでは、人は自分が罪を犯したという苦しみから逃れられないのかもしれない。
幸い、井草は堕天使だ。その寿命は永い。
いつか時間が傷をいやしてくれる。それを期待するしかない。
井草は確かに罪を犯した。その償いはするべきだし、その分蔑まれることも仕方がないことだろう。
だが、アザゼルもピスも、もう許されてもいいぐらい井草が悔やんできたことを知っている。
せめて、井草がそう思う者たちの優しさを受け入れられるようになることだけは、祈りたかった。
「おい、イッセー。一流のスケベなら混浴だ馬鹿野郎!!」
「うわぁあああああ!!」
「何やってんですかこの馬鹿総督ぅうううううう!!!」
それはそれとして悪ふざけをしすぎて、アザゼルはレセプターイーツとなった井草に物理的に振り回されることになったが。
知れば井草の周りから何人かは離れる。アザゼルですらそう断言するぐらいには、井草はやらかしてます。
その辺や、井草のイーツ関係における特別製などもヘルキャット編で書きます。っていうかそこまでは書き溜めています。この調子なら四月上旬には書き溜めでヘルキャット編は終わるでしょう。最近執筆速度が尋常じゃないぜ!!
そして、その特別製に関しては自壊でネタ晴らし!! もうちょっとですのでお待ちくださいな!!