混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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そういうわけで、プロローグも終わって本編突入。








もっとも、戦闘がいきなり始まるわけではないのですが。


旧校舎のディアボロス
1話


 

「だーかーらー! 本当にいたんだって!!」

 

 駒王学園二年生、そこで悪い意味で有名()()()、兵藤一誠はそう友人達に反論していた。

 

「本当なんだよ! 本当に彼女ができてたんだってば!!」

 

 兵藤一誠。通称イッセー。

 

 性欲の強さなら誰にも負けないと言い切る、色んな意味で残念な少年である。

 

 ちなみに一年生の頃から半年ほど覗きの常習犯でもある。当然モテない。

 

 そんな彼が、つい最近彼女ができていたと言い張っている。当然誰も信じない。

 

「だから、そんなこと聞いた事もないって言ってるだろうに」

 

 同じく覗きの常習犯()()()、元浜が眼鏡をキランと輝かせながら反論した。

 

 そんなことは記憶にないと。

 

 そもそも彼らがそんなことを知れば、嫉妬に燃えて一発ぐらい殴っている。そもそも最近そんなことが起これば人生最大級の悲劇として記憶に残る。トラウマものだ。

 

 だからそんなことは起きなかったといっている。

 

「そうそう。その天野夕麻ちゃんだっけ? そんなの俺ら見たことも聞いたこともねえぞ?」

 

 同じく覗き仲間()()()松田も、否定する。

 

 そして、その視線を周囲に向けた。

 

「だろ? 聞いた事ある奴いたっけ?」

 

 普通に考えれば、覗きの常習犯だった男に同意を求められても「関わり合いになりたくない」とか思うだろう。

 

 だが、生徒達は普通に応対した。

 

「いや、聞いてねえぞ?」

 

「そんな騒ぎ起きたかしら?」

 

「ねえよ。まったく」

 

「誰か知ってる?」

 

「いいやー?」

 

 普通に対応するクラスメイト達だが、それ以上に問題なのは誰一人としてその記憶がないという事だ。

 

 イッセーは心底不安になった。

 

 まさか、本当に彼女はいないのか?

 

 それに、冷静になって考えればおかしな話だ。

 

 自分は昨日、天野夕麻という少女にデートに誘われた。

 

 覗きをある理由によって克服したとはいえ、それまでの積み重ねがあった事もあって女子生徒からの評判は下の部類な自分が、告白されたという事実に舞い上がった。

 

 そして、その夕麻とデートをした帰りの事だった。

 

「死んで、くれないかな?」

 

 いきなりそんなことを言った夕麻は、背中から黒い翼を生やすと、いきなり光でできた槍を自分の腹に突き刺した。

 

 ……冷静に考えて色々とおかしい。普通に考えたらよくて緊急入院で普通は死んでる。

 

 と、言う事は……。

 

「お前、彼女ができないからってそんな妄想に取りつかれるとか……」

 

 松田に同情の視線を向けられても反論ができない。

 

 実際、一緒に撮ったはずの写真も消えているのだ。スマホを何度も確認したから間違いない。

 

 と言う事は、本当に自分は妄想を数日間続けて気が変になったという事に―

 

「―久しぶり、三人とも」

 

 そこに、新たな人物が現れた。

 

 金のメッシュが入った、茶色の髪を持つ青年。

 

 彼は、一年生の自己紹介の時こう名乗った事を覚えている。

 

井草(いくさ)・ダウンフォールです。一度高校を中退したので既に19歳ですけど、何かあったら相談に乗るので良ければ悪く扱わないでくれると嬉しいです』

 

 その特殊な来歴から距離を置かれやすかった井草だったが、しかしとても良い人だった。

 

 クラスメイトが暗い顔をしていたらすぐに勘付き、そしていつの間にか問題を解決する。

 

 例えば誰かに虐められていたら、いつの間にか弱みを握って二度とそういう事をさせないようにする。

 

 親が違法金利の借金を背負っていたら、いつの間にか法定金利内に収まっている。

 

 不良に恐喝されていたら、其の不良がいるグループ全員がボコボコになって謝りに来た。

 

 そんな事を自発的にやる性分から、井草はなんだかんだでこの学園で確固たる立場を作っていた。

 

 そして、いつの間にやらこの三人衆の問題行動を解決に尽力する事となるのは、もはや当たり前の帰結だった。

 

 三回ほど説教して物理的にお仕置きしたりして、それでもダメだった時、井草はこんな爆弾発言を繰り出した。

 

『分かった。高校卒業まで覗きを我慢できたら、その時は童貞卒業をさせてくれるお姉さんを紹介するから。お願いだから落ち着いてくれないかな?』

 

 ……この瞬間、三人は覗きをピタリと辞めた。

 

『『『うぉおおおお! 収まれ俺達の煩悩! 童貞卒業する為にぃいいいい!!!』』』

 

 などと言って、三人揃ってお互いの額に額をぶつけ合う事もあるなどアホとしか言いようがない。

 

 だが、これ以来半年ほど、イッセー達は覗きをピタリと辞めていたのも事実。其の為、井草は女子生徒の中では英雄扱いすらされている。

 

 そんな井草はしかし、数日程風邪を引いたとかで欠席していた。

 

「ああ、井草さん。それがね、兵藤が彼女ができたとかいう妄言を吐いてるのよ」

 

「………え゛!?」

 

 クラスの匠と称される桐生藍佳に説明され、井草はものすごいあれな表情を浮かべる。

 

 ……その表情で、井草がどういう認識をイッセーに対して持っているかがよく分かるだろう。

 

「ひっでぇな井草さん! なんで俺に彼女ができる事がそんなレベルなんだよ!?」

 

「いや、だってイッセーくんは深く付き合うほど味が出るタイプでしょ? でも覗き魔だったから、この学園の生徒じゃどうしても距離取られるでしょ?」

 

 残酷な言葉だが、最初の褒めているだけマシな部類ではある。

 

 そしてとりあえずイッセーは、その妄言についての内容をしっかりと説明する。

 

「……やっぱ妄想だろ」

 

「やば。流石に可愛そうになってきた」

 

「結構悩み事とか相談すると、具体策はともかく親身になってくれるしな」

 

「だったら誰か付き合ってやれよ」

 

「いや、私覗きの被害にあったからちょっと……」

 

 などと外野が同情の視線を向けてくる。

 

 なんというか、イッセー自身妄想な気がしてきた。

 

 井草も流石にこれは妄想と切って捨てると思ったが……。

 

「……イッセー。ちょっと外に出て空気を吸ってこないか? 一緒についていこう」

 

 ……どこか真剣な表情を浮かべて、井草はイッセーを外に連れ出した。

 

 そして数分かけて屋上に出ると、誰もいない事を確認して、振り返った。

 

「イッセー。その時の話を詳しく話してくれ」

 

 かなり真剣な表情だった。

 

 それも、何やら緊急事態に巻き込まれたような感じの表情だ。

 

 昔、祖父が死んだという連絡を聞いた時の両親の顔を思い出す。其れとはどこか違っているようで、しかしどこか似ている顔だった。

 

 それに引っ張られるように、イッセーは詳しい事を話して聞かせる。

 

 ある日突然、天野夕麻と名乗る少女に告白されたこと。

 

 それを松田や元浜に、彼女の姿を見せながら自慢したこと。

 

 そして初デートをしたこと。

 

 その帰りに、夕麻に「死んでくれないか」と言われて、光でできた槍で刺されたこと。

 

 その時「かみが作ったせいくりっどなんとか」とか言っていたこと。

 

 そして血の色から学園のアイドルであるリアス・グレモリーを連想して、その胸を揉みたかったと思ったこと。

 

 そして意識を失う直前、そのリアスの姿を幻視したこと。

 

 全てできる限り正確に伝えて、井草は―

 

「―うん。それは病気だな」

 

 はっきりと言い切った。

 

「俺なんかが言うのもあれだけど、そんな状態で胸のことばかり考えるのはどうかと思う。もっとこう、親を悲しませるとかなんでこんな事になったんだとかあるんじゃないか?」

 

「スケベでごめんなさい!!」

 

 勢いよく頭を下げて謝る他ない。

 

 覗きの常習犯である自分達に、覗きを辞める切っ掛けをくれた恩人。そんな彼にこんなアホなツッコミを入れさせてしまった事が申し訳ない。

 

 そして井草は困ったような笑みを浮かべると、肩に手を置いた。

 

「分かった。じゃあ、まずはその天野夕麻ってことが本当に要るかどうかから調べてみるよ。其れからイッセーのことを知ってるか聞くところから始めようか」

 

「え!? 信じてくれるんですか!?」

 

 イッセーとしては、この返答は意外だった。

 

 悪友である松田や元浜ですらまったく取り合ってくれなかったのだ。それ位荒唐無稽な話なのは分かっている。

 

 だからそうだとばかり思ったのだが、井草はぽんと肩に手を置いた。

 

「そんなに真剣に悩んでるなら、少しぐらいは動かないとな。世界にはまだ見ぬものがいっぱいあるんだし、悪夢を見せて楽しむ外道がいる可能性もあるからな」

 

「ああ、そういえばオカルト研究部の幽霊部員でしたっけ」

 

 暫定的にオカルト研究部に所属しているという話を聞いた事がある。

 

 とはいえ、部活に誘われる事を避ける為の体の言い訳で、部員達との折り合いは基本的に悪いとも言われたが。

 

 そんな彼なら、そういうオカルトを信じていてもおかしくない。むしろ信じているからこそ名義だけでも貸したのかもしれない。

 

 そんな事を思いながら、井草の対応にイッセーは素直に感謝する。

 

「マジでありがとうございます! 俺、本当に不安で不安で……」

 

「気にしなくていいよ。俺にも責任の一端はあるしな」

 

 覗きを我慢させている事だろうか。

 

 しかし、覗きは基本犯罪だ。それを抑制させている井草が褒められる事はあっても、イッセー達に詫びる事はないような気もする。

 

 本当に、井草は良い人だ。

 

 この人は留年生のようなものだけど、それでも信頼に値する好漢だと言い切れる。

 

 こんな人を慕える事に、イッセーは心から感謝し―

 

「……本当に、こちらの責任かもしれないからな」

 

 ……その言葉を、すっかり聞き逃してしまっていた。

 




おかしい。井草こそがこのE×Eの主人公だというのに、この書き方だとイッセーが主人公のようだ。

いや、兵藤一誠は原作であるハイスクールD×Dの主人公だから別にいいんだけどね?

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