混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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とりあえず特訓前のレクチャー編です。

此処でようやく井草の特異性の説明がされます。


5話

 

 温泉でひと悶着あった次の日、井草達はジャージを着て集合していた。

 

 着ているジャージは駒王学園の物。こんな時でも駒王学園生徒である事を意識する事に、井草は少し苦笑した。

 

「アザゼル。私達全員のトレーニングメニューを考えてたって、本当?」

 

 リアスがそう尋ねると、スーツ姿のアザゼルは不敵に笑いながら頷いた。

 

「ああ、若手の逸材であるお前らをコーチできるとなりゃこっちも腕が鳴るんでな。一応それが仕事だし、ちゃんとやるさ」

 

「気を付けてねリアスちゃん。この人はやるべきことを短時間でパパッと終わらせてから後の時間を趣味に費やすタイプだから。調子に乗らせると苦労するよ」

 

 この中ではいちばん付き合いの長い井草にきちんと警告されるが、アザゼルはどこ吹く風だった。

 

「まあ、今回のトレーニングメニューは将来性を重視したもんだ。このひと月足らずじゃ目に見えた効果が出る奴ばかりじゃないだろうが、続けていりゃぁ必ず強くなれる。堕天使総督の名に懸けて保証してやる」

 

「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」

 

 割と重要なものを掛けて保証されたのなら、効果はあるのだろう。

 

 そう信じ、イッセー達は同時に返事をする。

 

 それに頷いて、アザゼルはまずリアスに向き直った。

 

「まずはリアスだ。ぶっちゃけお前はほっといても将来的に最上級悪魔クラスになる」

 

 だがしかし、それをリアスは素直に受け止めなかった。

 

 将来的に強くなる才能はあっても、それを必要な時に生かすことができないのなら意味はない。

 

 そして何より、リアスは最初のレーティングゲームで敗北した。

 

 ライザーとの戦いは勝つ方がおかしいレベルであり、あと一歩のところまで行けた時点でほめられても問題はない。

 

 だが、それでも悔しかったのだ。

 

 自分の力不足でそんな思いをするのはごめんだ。それがリアスの意思だった。

 

 そしてアザゼルが提示したのは―別段特別なメニューではなかった。

 

「アザゼル?」

 

「いいんだよそれで。ぶっちゃけ、お前は総合的にまとまってるから、基本に沿ったトレーニングで十分だ」

 

 そしてアザゼルは何よりも指揮官としての能力を重視するように告げる。

 

 王は別に眷属よりも強くなる必要はない。眷属より弱い王など、レーティングゲーム業界にいくらでもいる。

 

 故にリアスが知るべきことはレーティングゲームを知ることだとした。

 

「で、次は朱乃」

 

「……はい」

 

 心底不機嫌を現しながら、朱乃は前に出る。

 

 井草は事情を簡単にしか説明されていないが、朱乃は堕天使をとても嫌悪しているらしい。

 

姫島朱乃。神の子を見張るものの大幹部であるバラキエルと、日本の異能業界最大手である五代宗家の一員である姫島朱璃の娘。

 

 そのロミオとジュリエットばりの騒動の末に朱璃はしに、それが原因で朱乃は堕天使が嫌いになったといわれている。

 

 そして、その嫌悪ゆえに堕天使の力を使わなかったことがライザー・フェニックスとのレーティングゲームでの敗因の一つだとアザゼルは容赦なく指摘する。

 

 そして、自分を受け入れられないものは強くなることなどできないと言い切った。

 

「雷の巫女から雷光の巫女になって見せろ。それがお前が本当に強くなる真の方法だ」

 

「……っ」

 

 歯ぎしり迄しながら不満をあらわにするが、しかし朱乃は何も言わずに一歩下がる。

 

 それを少し残念そうにして受け止めながら、アザゼルは続いてゼノヴィアに向き直った。

 

「で、ゼノヴィアは周りに人里がないところでデュランダルの練習だ。あとはもう一つの聖剣に慣れてもらう」

 

「ほぉ。もう一つの聖剣とは何なんだ、先生」

 

 興味深そうにするゼノヴィアに、アザゼルは「それはお楽しみだ」と内緒にする。

 

 井草もそのあたりは全く聞いていない。とはいえ、アザゼルがデュランダル使いのゼノヴィアに態々使わせる以上、破壊の聖剣クラスのものでなければ役者不足だろう。

 

 そして、それは本当に内緒にするつもりなのかアザゼルは今度は木場に向き直る。

 

「お前さんは禁手を発動して、その持続時間をのばせ。禁手は必殺技じゃなくてあくまで上位形態。長時間発動できなきゃ意味ないぜ?」

 

「分かりました」

 

 なんでも、祐斗は剣術の鍛え直しとして自分の師匠を頼るようである。そういう意味ではアザゼルの指導は少ない方がいい。

 

 そして今度はアーシアに向き直る。

 

「アーシア、お前は神器能力の発展だ」

 

 聖母の微笑は希少な神器だが、決してゼロというわけではない。ゆえに、ある程度はデータを収集する事もできている。

 

 その点で言えば、アーシアは使い手として回復速度はともかく、回復範囲は触れただけでしかできないの言うのがネックだ。

 

 直接接触よりは効率は落ちるが、聖母の微笑は海部のオーラを広範囲展開や長距離射出する事ができる。それを使う事ができれば、戦術にも幅が広がり、襲われるリスクを減らす事も可能。レーティングゲームでも実戦でも有効だ。

 

 アーシアの性格では範囲を純粋に広げれば敵も回復してしまうが、射出する方向にもっていけばそのリスクも減る。

 

 グレモリー眷属の最大クラスのアドバンテージであるアーシアの回復力。それを安全かつ効率的に運用できるこれは、ぜひ習得するべきものだろう。

 

「で、ギャスパー」

 

「はいぃいいいいいいいいい!!」

 

「お前はメンタル面だ。その引きこもり癖を治すプランくんだから、それな」

 

 残念だが当然の対応である。

 

 ある意味ポテンシャルではチート一歩手前なのだ。それを妨害しているこのメンタル面の克服が第一歩である。

 

 だが、ここに関してはアザゼルも少し自信な下げだった。

 

「井草を矯正できなかった俺らがやっても心配かもしれねえから、その気があるならカウンセラーぐらい探しといてくれ」

 

「どういう意味ですか!?」

 

 自己を正しく理解し、それ意味あった待遇を求めているだけなのに、理不尽だ。

 

 井草はそう思って反論するが、しかし周りは違ったようだ。

 

「元気出してください、アザゼル先生!」

 

「そうよ。これはきっと神滅具でも治せない病気だわ!」

 

 イッセーとリアスが、心の底から激励する。

 

「全くですわ。これに関しては先生の所為ではありません」

 

 さっきまでアザゼルに不満の表情を浮かべていた朱乃すらフォローに回っている。

 

 そして他のメンツも似たり寄ったり。皆一様にアザゼルに同情の視線を向けていた。

 

 井草の味方は誰もいない。解せぬ。

 

 しかし文句を言っても誰も井草を低く扱ったりしない事も明白。真実を自ら告白する勇気は流石にない。下手すると告白してもこれかもしれない。

 

 と、いうわけで反論は諦める。

 

 今はそれより強くなる事だ。とにかく効果的な特訓をしなくてはいけないだろう。

 

 なにせ大規模な戦争が始まろうとしているのだ。しかもオカルト研究部は白龍皇ヴァーリ・ルシファーに目を付けられている。力を付けないと殺されてもおかしくない。

 

 戦わなければ生き残れない。不条理に巻き込まれたと嘆くべきだが、しかし世の中などそんなものだ。

 

 かつて不条理だった自分が文句を言う資格もない。そんな暇があるなら、イッセー達を庇える様な強さを身に着けるべきだ。

 

「アザゼル先生。それで俺はどうすればいいんですか?」

 

「ああ、お前はとりあえず、神器を活かした強化だ」

 

 と、アザゼルは告げる。

 

「幸いお前は眷属悪魔じゃないからレーティングゲームに参加しない。ある意味でムートロンの連中もついでレベルでなら確保したいだろうし、改造込みで強化する。特訓単体で言うなら、神器の力を引き出す事だ」

 

 その言葉に一同は少し首を傾げる。

 

 そして、代表してイッセーが手を上げた。

 

「先生、井草さんってなんか特別な存在なんですか?」

 

「いや、特別度合いならこの中でも低いんだがな? その特別とエボリューションエキスとの相性が良いと言う結論が研究班で出た」

 

 そう言いながら、アザゼルは指を一本立てる。

 

「井草も実は神器持ちなんだが、この神器はこの場の神器保有者の中ではぶっちぎりで最下位だ。ぶっちゃけ、本来なら日常生活レベルでしかねえ」

 

「確かに、神器の大半は異形との戦いで使えるようなものではないから、それは驚かないね」

 

 ゼノヴィアが納得する通り、神器とは本来人間世界で通用するレベルのものだ。

 

 足が少し早くなる。頭の回転が速くなる。夜目が効く。睡眠時間が少しぐらい短くてもいい。

 

 そんなレベルの代物が、神器の大半である。イッセー達の用意戦術兵器レベル以上の性能を発揮できるのは、神器の中でもごく一部なのだ。

 

 そして、井草の神器は其の中でも最近になって真価を発揮したものだといえる。

 

「俺の神器は受容の器(レセプター・カーゴ)っていうんだ。能力は、無益だったり有益な異物に対する拒絶反応の抑制だよ」

 

 井草自身が神器について説明する。

 

 実際、この神器は戦闘に直接有利に働くものではない。

 

 正直に言えば、医療が発達する現代になってようやく価値が上昇してきた神器だった。

 

 よく分かってないイッセー達に、アザゼルが苦笑して、説明を補足する事にした。

 

「要は、花粉症やアナフィラキシーショックの可能性を大幅に下げる神器なのさ」

 

「……微妙」

 

 小猫がそう言うが、しかしそうでもない。

 

「割と現代じゃすごいぜ? 骨髄移植とか相性の良いヤツじゃないと出来ないものも、こいつがあれば相性の良いヤツが数百倍に増える。臓器移植も拒絶反応を防ぐ為に免疫抑制剤を大量に飲んで、その副作用で病気になり易く悪化し易いリスクがあるが、この神器があればちょっと風邪を引き易い程度の量で済むからな」

 

 とはいえ、そういう病気にならない限り、上記の通り花粉症になりにくい程度の役にしかたたない。

 

 だが、イーツの登場でその価値は莫大に跳ね上がった。

 

「要はイーツてのは人をパワーアップさせる異物だ。ナイファーザーが言ってたEEレベルってのは、エボリューションエキスという異物を受け入れられる適性の高さ何だろう」

 

 その説明に、リアスが何かに気づいたように目を見開く。

 

 そして、勢いよく井草に視線を向けた。

 

「それってつまり、受容の器を宿していればEEレベルは高くなるって事?」

 

 その言葉に、アザゼルは満足げに頷く。

 

「俺達はそう推測している。おそらくムートロンの連中も、この影響は想定外なんだろうな」

 

 その言葉に、井草に視線が集まった。

 

 つまり、井草は強大なイーツになる事もできるという事だ。

 

 しかも、神器は努力で能力を高めることもできる。それはつまり、疑似的にEEレベルを引き上げる事が可能だという事だ。

 

 改造手術や遺伝子調整。更に其れを代々重ねたと豪語するナイファーザーですら6,5という事は、EEレベルの上昇は困難極まるのだろう。

 

 しかし、受容の器を持っているものならば、比較的容易に引き上げる事が可能かもしれない。

 

 通常の形態ですら、井草は短時間とは言え史上最強の白龍皇たるヴァーリを一方的に叩きのめす事もできたのだ。

 

 もし、受容の器が禁手に至る事になれば、井草は一体どこまで強くなるのだろうか。

 

 ある意味で、井草はこの中で誰よりも強くなれるのかもしれなかった。

 

「いや、俺も興味が尽きないし鼻が高いってもんだ」

 

「いや、確かに井草さんは堕天使ですけど、そこまでアザゼル先生が得意げにする事はないんじゃないですか?」

 

 木場が得意げになっているアザゼルに苦笑するが、アザゼルはどこ吹く風だった。

 

 そして、少しするとアザゼルは特訓メニューの指摘に戻る。

 

「で、小猫」

 

「はい」

 

 小猫はこの中でも特にやる気を示していた。

 

 言葉少なく無表情な小猫だが、しかし強い向上心が見て取れる。

 

 そして、アザゼルは真正面から子猫を見て―

 

「お前も朱乃と同じだ。自分を受け入れろ」

 

 ―その言葉で、小猫のやる気を一発でくじいた。

 

「………っ」

 

「俺の指導方針は基本的に、「持っているものを受け容れなけりゃ真の意味で強くはなれない」だ。そしてお前は朱乃と同じように自分の力を封じている。意味は分かるな?」

 

 その言葉に、小猫は一瞬で不機嫌になるとそのままうつむいてしまう。

 

 それを元気づけるようにイッセーは肩を叩くが、小猫は煩わしそうにそれを振り払った。

 

 イッセーは少し残念そうにするが、アザゼルはそんなイッセーの肩に手を置いた。

 

「イッセー。次はお前のコーチを紹介するぜ」

 

「え? アザゼル先生がおしえ……て……」

 

 イッセーの疑問の声が、影が差した事で途切れる。

 

 そして上を見た瞬間、何かが舞い降りて地響きが響いた。

 

 それは、でかかった。

 

 少なく見積もっても十メートル以上。おそらく十五メートル前後といったところか。

 

 その姿は、人型のドラゴンとでも形容するべき存在だった。

 

 否、それは正真正銘人型のドラゴンであった。

 

『アザゼルか。いかに和平を結んだとは言え、堕天使の総督がよくもまあグレモリーの城に堂々とこれたものだ』

 

 そんな呆れ声を出しながら、その赤い人型ドラゴンはアザゼルを見る。

 

 そして、そんなことを言われたアザゼルは図々しくも笑顔で片手を上げる。

 

「んなこと言うなよタンニーン。俺とお前の仲じゃねえか」

 

『そこまで仲良くなった覚えはないぞ? リアス嬢も何とか言ってやってくれ』

 

「言っても聞かないでしょう、彼みたいなタイプは」

 

 リアスもまた、苦笑しながら気安くそう答える。

 

 そして、その巨体に圧倒されていたイッセーは、誰が見ても分かるぐらい「嫌な予感感じてます」オーラを出してそのドラゴンを指差す。

 

「あ、あ、あの……。俺のコーチって、まさか」

 

「ああ。目の前の転生悪魔、『魔星龍(ブレイズ・ミーティア・ドラゴン)』タンニーンがマンツーマンだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええええええええええええええええええ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ノリノリのリアスに見送られてイッセーは山の向こうへと連れ去られていった。

 

「リアスちゃん。流石にちょっと酷いんじゃないかい?」

 

「いいえ、これは名誉な事だわ。あの龍王タンニーンと直々に特訓だなんて、やろうと思って出来る事じゃないもの」

 

 リアスは心から良い事をした感じの表情だった。

 

 一言言おう、善意の鬼教官などある意味で最悪である。




受容の器は本来は本当に大したことがない神器です。基本的に神器の中でも下位で、D×Dの本編では登場しても禁手もなしでは役に立たない神器として設定しています。

ですが、文明の発達がそれを変えた神器でもあります。骨髄移植や臓器移植には効果抜群ですし、サイボーグ技術などが発達すれば、更に垂涎物の神器となるでしょう。


そして、これこそが井草がイーツとして特殊な理由。要はエボリューションエキスという異物を効率的に取り込んだ結果、EEレベルが非常に高くなっているのです。

因みに禁手になることもできるので、エボリューションエキスにてきごうした亜種禁手になればさらにパワーアップ。幹部たちが使う上位種に対しても、素体の性能に頼らず対抗できる規格外のものとなることでしょう。まだ設計していませんが(笑)


とはいえ、この神器は本当に日常生活レベルなのでかなり多数存在。三大勢力だけではカバーしきれないので、今頃数人ほど確保され、データをしらべられている感じになってますね。

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