混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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修行編です!


6話

特訓は必要不可欠。そんな事は井草も分かっている。

 

 無有影雄。あの男との因縁が、こんなところで起きるなど思ってもみなかった。

 

 正直言えば、井草が無有をどうにかする権利があるなど、井草自身が思っていない。

 

 無有は確かに外道で悪だ。だが、井草が恨みに思っている件に限っていえば、井草も人の事は決して言えない。お互い様と言ってもいいだろう。

 

 だがそれでも、井草は無有と戦う事になるのだろう。

 

 そんな事を言う権利などない。あの時の事を嘆くしかしたってないはずだ。自分がバカバカしい八つ当たりをしようとしている事も、痛いほど分かっている。

 

 だけど、それでも、どうしても。

 

 井草・ダウンフォールは無有影雄を赦す事など出来なかった。

 

 ゆえに、その調整を受けて成功したのは当然なのだろう。

 

 神器は想いの力で駆動する物。魂と密接に繋がっている物。

 

 ならば、井草の願いに神器が答えようとするのは、当然の機能のはずなのだから。

 

「どうであるか、井草」

 

 調整を行ったサハリエルに井草は無言で拳を握り締めて答える。

 

 文句なしに成功だ。検査結果も後遺症や暴走、拒絶反応の心配はない。

 

 後は、この因子の量に合うだけのものを用意する事ができればいい。

 

 そして、その前に訓練も必要だ。

 

「ぐりぃいいいいいごりぃいいいいい!!!」

 

 その掛け声と共に、特撮の悪の幹部のような出で立ちの男が現れる。

 

 これまた神の子を見張る者の幹部。アルマロスだ。

 

「サハリエルさん、アルマロスさん。色々とありがとうございます」

 

「かまわぬのである。バルパー・ガリレイは人格は最低だが、能力は優れているから興味があったのである」

 

「悪の幹部としてはありそうな輩よ!! なら、我らグリゴリがそれを活かすのは当然のこと!!」

 

 そう答える二人の幹部に感謝を抱きながら、井草は練習用の剣を構え、レセプターイーツへと変身する。

 

 ここからは因子の精度を高める為の実践訓練だ。

 

 2人揃って神の子を見張る者でも変人率が高いが、しかし実力はそれに比例して優秀だ。はっきり言って井草如きのサポートをするのは彼らにとって不名誉だろう。

 

 だが、それでも―

 

「一発アイツを叩きのめさないと気が済まない。……魔王クラスにならなきゃ、無有には届かないなら、なってやるしかないんだから!!」

 

 そして何より―

 

「イッセー達を俺のような奴がいるどん底に堕とすわけにはいかない。俺は、なんとしても彼らを押し上げる!!」

 

 その決意表明に、サハリエルとアルマロスは微妙な表情を浮かべる。

 

 だが、それも一瞬。井草が気づくより早く取り繕うと、そのまま特訓を開始する為に動き出す。

 

「では、因子の馴染み具合を確認する為の模擬戦を行うのである」

 

「グリィイイイイイゴリィイイイイイイ!!!」

 

 そして、グリゴリ幹部二人を相手にした、ある意味で地獄の特訓が開始された。

 

 ……否、冥界は地獄なので当然ではあるのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最上級堕天使のそのまた上級。その上変人度においても最上級のグリゴリ二大巨頭。

 

 そんな二人に揉まれている井草も、しかしある意味で恵まれている。

 

 確かに肉体的にも精神的にもきついが、それでも生活環境は十分いい。

 

 ちゃんと料理された食事を食べ。汗をシャワーで流す事ができ、屋根のある部屋でベッドの中でシーツにくるまって眠ることができる。そして訓練時間はきちんと決まっている。

 

 それに引き換え、イッセーの特訓は割と真の意味で地獄だった。

 

 最上級悪魔タンニーンは、攻撃力だけなら魔王クラスである。ある意味神の子を見張る者の幹部であるアルマロスより強いところもあるだろう。

 

 そんなものと、人里離れた山中でマンツーマン。隙を見せれば睡眠中でも攻撃を受けるスパルタ特訓。

 

 生活環境はサバイバル。幸いその手の知識が豊富なタンニーンが食べれる物を教えてくれるので何とかなるが、夏休みの部活動の一環で、火おこしなどのサバイバル技術を習得するなど以上の一言。因みに寝袋なんて立派な寝具など与えられていない。

 

 イッセーは割と本気で地獄を味わっている。否、ここは冥界なので正真正銘地獄なのだが。

 

「あはははは! 部長、おっぱいをもっと寄せて! アーシアは腕にこすりつけて……自分でもあれだぁあああああ!!」

 

『本当にな! そういうことばかり上手くなってないか、兵藤一誠?』

 

 自分でもタンニーンにも呆れられる事だが、唯一の楽しみである妄想に至っては、過酷な特訓の間でもできるようになっていた。

 

 本気で自分でも異常だと思う。せっかく覗きをやめることもできるようになったのに、別の意味で変態の極みになろうとしているのは正直どうかと思う。

 

 だが、そんな時でも特訓の手は抜かないタンニーンの一撃が、イッセーを勢い良く吹き飛ばした。

 

「うわぁあああああああ!?」

 

 そして勢い良く吹き飛ばされ、イッセーは其のまま岩に激突しそうになり―

 

「おっと、流石に危ないな」

 

 その言葉と共に、目の前の岩が砕かれ、そしてイッセーも誰かに受け止められる。

 

「……無事か、兵藤一誠」

 

 その男は、サイラオーグ・バアルだった。

 

「あ、サイラオーグさん? どうしてここに……?」

 

「ああ、俺はお前のことを買っていてな、興味があったので少し様子を見に来た時、ちょうど出くわしてな」

 

 そう言いながらサイラオーグが視線でイッセーを促す。

 

 そして視線の先には―

 

「……思った以上に苦戦してるみたいだな、イッセー」

 

 アザゼルが、美味しそうな匂いのする籠を抱えながらぬけぬけとほざいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うみゃいよおおおおおおおおお!!」

 

 イッセーは感涙しながらお弁当をほうばっていた。

 

 数週間ぶりのまともな文明人の食事である。それも、リアスや朱乃、アーシアの手作りだ。

 

 これで感涙しないようではイッセーではない。それはもはやイッセーという存在の終焉を意味する。言い過ぎかもしれないが間違ってはいない。

 

「しかし龍王タンニーン殿とマンツーマンで数週間とトレーニングができるとはな。正直変わってほしいものだ」

 

「ぶっちゃけ変わってほしいです!! 毎日部長をアーシアに囲まれて眠る生活から、いきなりドラゴンに襲われる恐れを抱きながら葉っぱにくるまれて眠る生活とかマジでキツイ!!」

 

 冗談半分のサイラオーグの言葉に、本気でそう言ってしまうぐらいにはイッセーは苦しめられている。

 

 しかし元凶であるアザゼルは、まったく意にも介さずお茶を飲んでいた。

 

「いや、ぶっちゃけそれぐらいしないとお前絶対死ぬし」

 

 残酷だが事実である。

 

 なにせ宿命のライバルであるヴァーリ・ルシファーは、素体の性能・神器の才能・戦闘の経験・訓練の時間のすべてで上回っているのだ。

 

 地獄の密度の特訓を一月。この程度しのぎ切れないようでは、どちらにしても死ぬ。

 

 それほどまでの存在がヴァーリなのだ。ここで下手に仏心を見せれば、それは逆にイッセーの為にならない。

 

「しかし魔王ルシファーの末裔が神滅具を持ち、テロ組織に与するとはな。史上最強となる白龍皇ともなれば、俺でもこのままでは勝てないだろう」

 

 サイラオーグがそう独り言ちると、アザゼルはそれに静かに頷く。

 

「確かにな。生身の戦いならお前の方が有利だろうが、ヴァーリが鎧を付ければ不利にはなるだろう。ましてや、ヴァーリの奴は覇龍を制御の少しはできるからよ」

 

『なんだと? それでは今代の二天龍対決は決まったようなものではないか』

 

 アザゼルに対するタンニーンの反応が不吉すぎ、イッセーは思わずおにぎりを喉に詰まらせかけた。

 

 既に決まったようなものなどと言われては、自分の今までの頑張りが無駄になったようなものではないか。

 

 流石に酷い事を言ってくると思ったが、どうも冗談で言っているわけでもなさそうである。

 

「あの、覇……って何ですか? 禁手の更に上みたいな?」

 

「いや、神器の究極は禁手だ。そこより上は、少なくとも神の子を見張る者でも確認してない」

 

 と、イッセーにアザゼルはそう断言する。

 

「だが、封印系神器にはもう一つ禁じ手があるんだよ。それを総称して、覇と呼んでる」

 

 もう一つの禁じ手。そんなものがあったとは思わなかった。

 

 なんでも、封印系神器はその封印された者の力を最大限に引き出す能力があるらしい。

 

 魔獣を封印しているものなら覇獣(ブレイクダウン・ビースト)。龍種を封印しているものなら覇龍(ジャガーノート・ドライブ)と称されるそうだ。

 

 それらは寿命を高速で消耗するというデメリットがあるものの、ヴァーリは魔王由来の莫大な魔力で、短時間なら抑えられるとの事だ。

 

 ……もっとも、理性の消失というもう一つのデメリットに関してはヴァーリも苦労しているとのことだが。

 

「まあ、ヴァーリに関しちゃ後でいい。おまえには仲間がいるんだから、きっちり頼りながら頑張ってけ」

 

 そうまとめると、アザゼルはまっすぐイッセーを見る。

 

「……朱乃や井草のこと、お前に頼んでもいいか?」

 

「へ?」

 

 いきなりそんなことを言われるとは思わなかったので、イッセーは思わず詰まる。

 

 というより、そんなことを言われるような立場でもない。井草も朱乃もイッセーよりよほどできた大人だ。むしろお世話になっていると言った方が近い。

 

 だが、アザゼルは不安げな表情を浮かべがら空を見上げる。

 

「朱乃も井草も、見た目ほど大人びちゃいねえ。あいつらはあいつ等で色々あるからな」

 

 そういうと、アザゼルはイッセーに顔を向け直す。

 

「……朱乃は既にある程度上手く行ってそうだからいい。問題は井草の方だ」

 

「井草・ダウンフォールですか。確か、ムートロンと名乗る禍の団の派閥に絡まれていると聞きましたが」

 

 どうやら、サイラオーグ達の耳にも話は届いているらしい。

 

 それに対してアザゼルが頷きながら、少し顔をしかめる。

 

「あれに関しちゃ色々あってな。井草からは話していいと言われてんだが、俺がペラペラしゃべるのもあれだし……」

 

「井草さんに限って、そんな黒歴史を作るわけがないと思うんですけど」

 

 心底そう思う。

 

 自分達のような変態にも心から気を使って行動し、クラス中から一目置かれている人物だ。

 

 レイナーレの行動にも心から謝り、しかし堕天使側の意見もきっちりと伝える。そのうえで、個人的に悔やんでくれる。

 

 既に成人しているだけあって、大人な人物としか思えない。

 

 だが、アザゼルは静かに首を振る。

 

「いや、逆だ」

 

「逆、とは?」

 

 サイラオーグが聞き返し、アザゼルは一瞬だけ目を伏せる。

 

「アイツはな? イッセー(おまえ)に自分みたいなクソ野郎になってほしくないって思っているからこそ、あんだけ一生懸命フォローしてたんだよ」

 

 その言葉に反応したのは、イッセーではなくタンニーンだった。

 

 何かに納得いったかのように、一つ頷いたのだ。

 

『なるほどな。よくある話だ』

 

「どういうことだよ、オッサン?」

 

 よく分かっていないイッセーだが、これは仕方がない。

 

 是ばっかりはイッセーは経験が薄いだろう。

 

 悪い事をしたと思ったらしっかり謝り、周りの人達もそれを受け入れる。そういうある意味で優れた人間性と、立派な人達に囲まれている環境では解りづらい。

 

 だが、サイラオーグは何かに気づいたかのように目を伏せた。

 

「なるほど。贖罪ですか」

 

「そういうこった」

 

 アザゼルは、井草を思い返しているのか遠い目になりながら、サイラオーグの言葉に頷く。

 

「かつての自分が嫌で嫌でたまらなくて、その結果アイツは更生した。だが、更生して過去が変わるわけじゃないから、アイツは自分を自己嫌悪してんだよ」

 

 そして、アザゼルはため息をつく。

 

「確かに最低な事したのは事実だが、それを心から反省した以上、俺らはもうちょっと自分を赦してやって欲しいと思っちゃいるんだが、どうしても治らなくてなぁ。毎回毎回自発的に死んでもおかしくない任務ばっか引き受けたがっから、一見危険だが実際は安全牌なリアスの領地のお目付け役をさせたってわけだ」

 

「そ、そういうことだったんですか……」

 

 イッセーは感心した。

 

 実際ヴァーリもそんな事を言っていた。

 

 当人は「切り捨てられる駒だからこんな任務を与えられたと思っている」と言っていたが、そんな事情があったとは。

 

 

「俺ら大人が何を言っても、アイツは「俺に気を使っている」と思ってばかりで進まねえ。それどころか「気を使わせているなんて」と更に勝手に罪悪感を募らせる。……だけどよ?」

 

 そう言うと、アザゼルはイッセーを見る。

 

「それでも、駒王学園に通って少しはマシになった。屑ならせめて役に立って死ねばいいと思ってる井草だが、それでも、お前が覗きを止めた時は結構素直に喜んでたんだよ」

 

 それは、変わったといえるのかどうかは分からない。

 

 だが、少なくとも、死ぬことだけが贖罪じゃないとは思ったのだろう。

 

「それに、今のあいつは敵対勢力重要人物の監視っていう「死んでもおかしくない任務」を解かれてるのに、新しくそういう任務を受け取りたがらない。……それだけ、今の立場に執着心があるってことだ」

 

 アザエルはそういうと、ため息をつきなおす。

 

「人を助けるってのは、悪い言い方をすりゃ自分より低いところにいる奴を自分と同じぐらいのところにまで引き上げる行為だ。だが井草は、自分より上のやつが自分と同じところにまで落ちていかないように押し上げるっていう珍しい助け方をしてる」

 

 そして、イッセーに向かって頭を下げた。

 

「だから頼む。押上げられるついでに、アイツを引っ張り上げちゃくれねえか? 俺達じゃ、引き上げようにもあいつは伸ばした手に触れてくれねえんだ」

 

 その言葉に、イッセーは―

 

「よく分からない事もいっぱいあります。だけど―」

 

 答えなど、決まりきっている。

 

「井草さんは俺達の仲間で、俺達の恩人です! だから、俺は井草さんの力になります!!」

 

 それだけは、断言できる。

 




ひとえに罪悪感が強いからこそ、こういう性格になった井草。

はたから見れば立派な人物で、客観的にも更生した罪人なのです。ただし、井草自身は「もっと蔑まれるべき屑」という認識なのです。









追記

なんか評価に10が付いてた。

流石に想定外。これは、どういうことだ!?
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