混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
ついに、井草のNTR関係のお話が語られます……。
………この作品を読み続けるかどうか悩むレベルかもしれませんが、とりあえず。
井草は心からこの罪を悔いて、だからこそ自己嫌悪にさいなまれ続けてきました。其れだけは忘れないでいただきたい。
井草は、パーティ会場の隅でポツンと立っていた。
タンニーンの言葉は、比較的素直に届いてしまった。
ニングの言葉に頷いた時のように。リムの言葉に真実をさらけ出しそうになった時のように。タンニーンの言葉は井草が目を背けていた真実を明かしてしまった。
付き合いが長い相手だと、どうしても素直に受け取れない。
それはそうだろう。井草の罪を知っている者たちが、井草の今の頑張りを見れば、同情心が湧いて出てくると思ってしまう。そういう言い訳を赦してしまう。
逆に井草の罪を知らずに、井草の今を深く知っているのなら、知らないからこそだと思う。知れば見下げ果てるとも思う。見下げ果てなくても、実感がわかないからだと思ってしまう。
だが、井草を深く知らない人が言う言葉は、その言い訳を許さない。
ただ客観的に事実を聞かされただろうタンニーンの言葉は、井草に素直に届いてしまう。
はっきり言おう。今までで一番効いた言葉だ。
……自分でもわかっているのだ。
井草の周りの人たちは、井草に同情することはあっても、それだけではないだろうということは。
井草が罪を犯したことまで否定はしない。彼らは、井草はもう自分を赦してもいいと思ったからこそ井草に優しいのだ。
わかっている。彼らは堕天使ではあるが、邪悪ではない。問題児ではあるが、ろくでなしではない。
許されてもいい存在だと思っているからこそ、彼らは井草を許しているのだ。
だが、それでも―
「伊予、五十鈴―」
ぽつりと、名前がこぼれる。
きっとひどいことになって、そして二度と会えないだろう二人のことを想うと、井草はどうしても自分を赦すことができない。
「伊予、五十鈴……っ」
己の罪を連鎖反応で思い出し、そして歯ぎしり迄したその時だった。
「……そのお二人が、井草さんがそうなった原因なのですか?」
「まあ、深くかかわりまくってやがるんでしょうね」
其の声に、井草は反応して振り返る。
そこには、ドレスを着たニングとリムが立っていた。
どうやら声が大きかったらしい。思いっきり聞こえてしまっていたようだ。
ニングは一歩前に出ると、井草の手をそっと握る。
「あの、良ければ相談に乗るのです」
その言葉に、井草は首を横に振る。
「気にしなくていいよ。これは、俺が勝手に悩んでることで―」
「人に相談すると、気が楽になりやすぜ?」
井草の言葉をさえぎり、リムも井草の手を握る。
そして、リムは其のまま井草を引っ張った。
「あ、ちょっと―」
「―あまり人には言えないことでやがるんでしょう?」
反論をさえぎったリムの言葉に、井草は黙る。
確かにそうだ。
覗きなどという軽い犯罪とは比べ物にならない。少なくとも、井草はそう思っている。
それが、井草が人にその事実を話したがらないストッパーになっているのは事実だろう。
そこまで気を使ってくれる理由はわからないが、しかしそれでもこれだけは言える。
この二人は、本当にいい人たちだ。
「んじゃ、教会のものらしく告解をするとしましょうや」
「なのです。堕天使にするのは初めてなので、ちょっと緊張してるのですよ」
その言葉を聞きながら、井草は人気がなくなったのを確認してから話し始めた。
俺はもともと、親戚をたらいまわしにされていた。
やんちゃしていた両親が生んだ子供らしく、母親の親戚に引き取られたけど、結構扱いに困っていたらしい。
アザゼル先生たちは教えてくれなかったけど、たぶん父親の方が堕天使だったんだろうね。それも、結構悪かったんじゃないかって思ってるよ。ほら、レイナーレみたいな感じだったんじゃないかな?
で、まあ伊予と五十鈴っていうのは、最後に連れていかれた親戚の家の近くに住んでた子供たち。大体物心ついた時だね。
あの時は結構いじめられててさ。情けない話だけど五十鈴に助けられて、伊予が慰めてくれてッて関係だったかな。
ただ、親戚の方は俺のことを迷惑がってたから、いつか施設にでも預けられるもんだと思ってた。
……そんな時、ピス・ダウンフォールが、義姉さんが俺に会いにきたんだ。
金で解決する形だったけど、その結果引き取られた俺は、伊予と五十鈴から離れたくないって我儘を言って、それは受け入れられた。
親戚は金もらって引っ越したけど、俺はその家に残って、義姉さんと一緒に住んでたんだ。
いろいろ教わったよ。俺は堕天使と人間のハーフで、神器も持っているって。
はっきり言って中二病をこじらせたね。いや、実際に能力を持ってるから違うかもしれないけど、それでも似たようなもんだよ。
いつか、伊予や五十鈴を守り返せるぐらいに強くなりたかった。だから結構トレーニングとかしてたんだ。
毎日三十分ぐらい筋トレして、三十分ぐらい速めのランニングして、三十分ぐらい空飛んだりして堕天使の力に慣れたりしてたんだ。まあ、中二病だから乗り気になれない勉強とかはいい加減だったけど。
伊予は毎回学年上位一けた台だったし、五十鈴は勉強してないらしいのに十位から三十位ぐらいを行ったりきたりだったね。俺は平均程度だったかな。
……え? 中二病は努力しないで特別になりたがる手合いだから、それ違う? いやいや、二時間足らずのトレーニングなんて大したことないよ。
え? 学生としては十分? ……二人が言うなら、そうなのかな?
まあ、そんなこんなで高校一年生になるまでこの生活は続いていたね。うん、幸せだった。
中学三年生になるまで、俺2人からバレンタインデーに義理チョコもらってたし。中学から二人とも手作りを作ってくれてたからね。義理なのに本腰入れすぎだよ。
え? それ、十中八九本命?
……………。
ああ、だからか。俺の罪が増えたな、これは。
ああ、ごめんごめん。あとで纏めて説明するよ。あとありがとう、無自覚に罪を犯すのはひどいことだから、自覚させてくれてありがとうね。勘違いだったら笑い話で済ませられるからまあいいよ。
まあ、たぶん見限られたんだろうね。ちょうどそのころだし。
で、ちょっと話は戻るけど、中学三年生のころにちょっとだけ変化があった。
五十鈴は天才肌で何でもこなしてるんだけど、伊予はなんだかんだで勉強とかよくしてたんだ。それで、家庭教師をつけることになったんだよ。
そいつの名前は、無有影雄。……駒王会談を襲撃した禍の団の派閥、ムートロン。その一人として現れた、ナイアルってやつがそうだったのさ。
ここまで聞いて嫌な予感したよね? 大隊あってる。
アイツはイケメンで、外面も良かった。いつの間にか、伊予の話はたいていアイツが中心になった。
それで嫉妬に狩られてさ、義姉さんがらみで顔見知りだった探偵に、誕生日プレセントってことで報酬はローン払いにしてもらって、身辺調査をしてもらったんだ。
で、これは追跡調査も含めてで発覚したことだったけど、無有はとんでもないクソ野郎だった。
……大学生だったんだけど、アイツは売春の斡旋をしていたことが発覚した。さらに神の子を見張るものが本格的な追跡調査をした結果、女性を奴隷として人身売買組織に売っているという事実まで出てきたんだ。
いわゆるあれだよ。調教系のエロマンガやエロ小説。あれをマジでやってたのさ、アイツは。
ここまで言えばわかるだろう。伊予は調教されてたみたいだ。
しかも五十鈴もいつの間にか調教されてたみたいなんだよね。
……何も知らなかった自分が嫌いだけど、そんなことを言う資格は俺にはない。これは後で説明する。
まあ、その事実を知って俺は無有に殴り掛かったんだけど、これが見事に返り討ち。
あの時はショックだったよ。上級堕天使のハーフ名だけあって、俺って本気出すとあの時でもオリンピックで決勝戦にことごとく参加できそうな身体能力があったからさ。ぶちのめすのが当然だと思ってたからさ。
ぼろっくそに言われたよ。「手を出さないとか馬鹿だろう」ってね。
そのあと気絶する前に、軽いボディブローを叩き込まれたけど、きっとその時にエボリューションエキスを入れられたんだろうね。
……気絶してすぐに、俺のようすを見て気になっていた義姉さんに助けられたみたいだよ。無有も流石にあの段階で大立ち回りをするつもりはなかったんだろうね。
で、無有のやばさを直感で感じ取った義姉さんが俺を連れて行ったん神の子を見張るものの施設に隠れてたんだけど、これがよくなかった。
義姉さんはその時からいろいろと仕事してたから、無有が伊予の家庭教師だって知らなかった。顔を知らなかったんだ。
だから、姐さんは俺だけを連れていったん隠れた。伊予と五十鈴は後手に回った。
俺が目を覚ました時には、伊予と五十鈴は無有と一緒に行方不明だ。たぶん、売られたんだろうね。
その後、俺は二人のご両親に事情を説明して、殴り飛ばされたよ。
あ、俺が殴り飛ばされたことが不思議かい? まあ、ここだけ聞くと俺が殴られるのはちょっと理不尽だよね。
ただ、これは俺の自業自得なんだ。アザゼル先生も姐さんも、さすがに何発かは黙ってみてたしね。それぐらいのことを俺はしたんだよ。
で、ここからが本番。俺が何で罪深いかの説明。
あ、その前に、伊予と五十鈴について説明するよ。
なんだかんだで、俺たち結構バラバラなタイプだったんだ。
俺はまあ、さっきも言った通り中二病もどき。かっこつけることが第一で、お調子者だったりしたね。
伊予は大和撫子って形容してもいい優等生。結構おとなしい子だった。
五十鈴は俺たちをまとめるお姉さんって感じだったね。高校になったときにはさっさといろいろデビューしたらしくて、色事の経験もあるって言ってたよ。
で、俺は伊予のことが好きだった。
そのころの俺は、さっきも言った通りかっこつけるのが大事だった。堕天使の血を引いて神の祝福まで持っているもの。ラノベの主人公になりそうな特徴持ってたからね。
だからまあ、ちょっとこう思ったことがあるんだよ。
……好きな子に告白して結ばれるとき、童貞丸出しの恥かしいことはしたくない。
で、俺は経験豊富な五十鈴に相談した。
童貞らしく一瞬で果てるとかいやだから、慣れさせてくれって。
……思えば、五十鈴は俺のこと好きだってのは当たりだよ。
どさくさに紛れてキスの練習とか言い出したからね。……伊予に取っておきたいって断ってたけど。
で、そんなことが続いていた時、五十鈴がある映像を持ってきた。
……無有と伊予が交わっているところだよ。
本当なら、この時点で誰かに相談するべきだったんだ。姐さんも先生もこういうことをする時点で無有がろくでなしの可能性に気づくだろうし、伊予の両親だって動く。
ただ、俺はその時動揺して、そこ迄頭が回らなかった。
そして、その時五十鈴はこういったんだ。
「影雄さんとは話が通ってるんだけど、井草、伊予で童貞捨ててみない?」ってさ。
……あとはまあ、言わなくても分かるだろうけど、一応言うよ。
俺はそれに衝動的に乗っかった。で、情けないことに伊予は俺だと知らずに「ものたりない」とか言ったりするわけでさ、いろいろとショックだったわけだよ。
それでつい俺は自分がそう言うことしてるってばらして、そっからが最悪。
もちろん伊予はパニック起こすわけだけど、そのあと俺が呆然としてると、無有が俺に見せつけるように伊予と交わるわけだよ。
で、調教されてる伊予はそっちに夢中になって、俺はカッとなって帰ろうとしたけど、五十鈴は其のままで。
……俺が馬鹿なことしてる間に、伊予も五十鈴もあいつの虜。そしてその時点で気づいて相談するべきだったのに、俺は数日引きこもって、報告を受けて無有に詰め寄って……さっき言った通りってわけさ。
そこまで言ってから、井草はできる限り苦笑で納めるように努力した。
同情を引くような態度はしない。そんな資格は、井草・ダウンフォールには存在しない。
……嫌われるだろうとは思っている。そうでなければおかしいだろう。
目の前にいるのは女性だ。リムは二十歳だが、ニングは幼い外見だし、2人とも合法ロリなどということはないだろう。おそらくとニングは年相応だ。
だから、生理的に受け入れられないだろう。
それでいい。それだけのことをした自覚はある。
ただ、それでもつらいと思ってしまう。
「聞いてくれてありがとう。罵らずに最後まで言わせてくれて助かったよ。気が楽になったし、俺がクソ野郎だってことも自覚しなおせた」
やはりだめだ。
井草は、きっと一生自分が許せない。
それを再認識して、井草は其のまま歩き去ろうとし―
「……大変だったのですね」
その言葉と共に抱き寄せられ、井草は動きを止めた。
ニングは、井草を後ろから抱きしめてくれていた。
そして、リムも慈愛に満ちた笑みを浮かべながら、背伸びをして井草の頭をなでてくれる。
「ま、いろいろありやがるとは思ってやしたが、まさかリアルでNTR漫画みたいなことになっちまってるたぁさすがに想定外でやした」
リムがそう軽い口調で言うと、しかし額に青筋を浮かべる。
「なんつーか、その無有ってやつや天罰が下るべきっすな、いや、主はもう亡くなられてるんで無理っちゃぁむりなんですが」
その言葉に、井草は何かが耐えきれなくなる。
「……嫌わないのかい?」
「まあ、普通は嫌悪したりしちまうんでしょうがね?」
そうポリポリと頬を書きながら、リムは井草に視線を合わせる。
そして、そっと頬を撫でた。
「心から罪を悔やんでやがるのなら、許してやるのが聖職者ってもんでさぁ」
その言葉は、まっすぐに井草の胸に届いた。
「そうなのです。ずっと罪の意識を宿してきた井草さんは、悪い人ではないのです」
そして、ニングは優しく井草を抱きしめながら、そんな言葉をかけてくれる。
「井草さんは罪を悔いているのですよ。そして、同じような人を生み出さないように赤龍帝を導いたのです。立派に罪を償っているのです」
その言葉に、井草は首を横に振る。
「それは当たり前だよ。あの気のいい子たちを、俺みたいな屑にするわけにはいかないじゃないか」
「それは違うのです」
ニングは、井草の言葉を否定する。
井草からすれば、その行為は当たり前のことだった。
自分がかつてした失態と似たようなことをしようとしている者がいる。彼らはすでに大学生相当の年齢で引かれていた自分にも忌憚なく話しかけてくれていた。
それがいきなりエロビデオの贈呈だったときは面食らったが、変わった子たちだが悪い子ではないと思ったのだ。
だから、彼らが道を踏み外すことを阻止したかった。
それを、ニングは当然のことではないと言い切る。
「どん底に落ちている人は、周りを気にする余裕はないのです。本当の屑は、人が道を踏み外すのを嘲笑うものなのです」
そういいながら、ニングは井草を暖かく抱きしめる。
「井草さんは、すごい優しい人なのです。理由はどうあれ、井草さんは褒められることをしているのです」
だから、ニングは井草に優しくする。
誰かのために心から行動できるものは、賞賛されてしかるべきだ。
かつて罪を犯していたとしても、それを心から悔いる者には慈悲が与えられるべきなのだ。
彼女たちは、井草のことをよく知らない。
彼女たちは、本来なら敵対する関係だった者たちだ。
そんな彼女たちが、井草の罪を知ってもなお、井草に優しくしてくれる。
それは、井草にまっすぐに染み渡った。
「……ある、のかな」
だから、井草は最後に聞く。
「優しくされる権利が、幸せになる権利が、俺に、あるのかな?」
「ありますぜ、井草」
「あるのです、井草さん」
その言葉に、井草は心から救われそうになって―
「なんだ、この霧は!?」
その言葉に、三人は飛び跳ねるように駆け出した。
はい。と、いうわけで井草の過去の罪が明かされました。
自分は昔からエロ作品の鬱展開で鬱になる性分でして、対抗神話的にそれを乗り越える話を書いてみたいという衝動があります。イレギュラーズを呼んでいる方は知っているとは思いますが、リセス関係がそうですね。
で、井草の場合はある意味でリセスよりひどい。リセスはニエに関しては加害者でもありますが、しかし被害者の側面が強かった。
しかし井草の場合、一時の欲望に流されて実際に事に及んでしまったのです。実際に犯罪関係に照らし合わせても、強制わいせつ罪ぐらいにはなるでしょう。其れゆえに自己嫌悪の感情が強い。
そしてそこからの対応すら完全に間違えて、伊予と五十鈴を失ったも同然。これらのコンボによって、井草は自分を見下げ果てているのです。
そこに救いの手を差し伸べたのが、ニングとリム。彼女たちはこの沈んだ状態の井草を引っ張り上げるためのヒロインです。もちろん、2人も抱えているものがあって、それを井草が引っ張り上げることも予定しているのですがね。
よく知らないからこそ客観的に見ることができる。だからこそ、井草にその言葉が届く。事前のタンニーンの説教もあり、井草も少しは自分を赦せるようになりました。これで時間をかければ完治するでしょう。
ですが、井草はさらに完治するためのショック療法が迫りくるのです。それが次の話ですが、できれば今日中に投稿したいところですね。