混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
っていうか、井草に同情的な意見が多くて少しビックリ
そしてところ変わってイッセーの視点に移行します。
一方そのころ、兵藤一誠は覚醒を遂げていた。
塔城小猫こと、白音を強引に自分のもとへと連れ去らんとする、SSランクはぐれ悪魔、黒歌。
禍の団の、それもよりにもよってヴァーリチームの一員となった黒歌。美候と共に暇つぶし目的でこのパーティをのぞき見してきた黒歌は、たまたま小猫と出会ったことをいいことに、連れ去ろうとする。
リアスと共にこの窮地に追い込まれたイッセーは、本当に苦境に追い込まれていたといっていい。
タンニーンがたまたまこちらを気にして参戦してくれたおかげで美候を抑え込んでくれている者の、しかし黒歌は単独でも脅威だった。
空間を遮断して逃亡も増援も防いだうえに、毒霧をもってしてこちらを封殺にかかる。
イッセーこそなぜかよくわからないが無事だったが、リアスと小猫はそれで封殺。しかもよりによって、赤龍帝の籠手が、禁手になりかけたことでバグを起し、まともに運用ができなくなっていた。
いかに地獄の特訓を乗り越えて強くなったイッセーといえど、あいては最上級悪魔クラスの実力者。神器が根幹であるイッセーでは、新規が使えぬ現状で太刀打ちできるものではない。
だが、イッセーは禁手へといたった。
……主であるリアス・グレモリーの乳首をつつくことによって!!
……井草が童貞を卒業させることによる覚醒を画策したことはあったが、その井草も絶句するだろうことは想像に難しくない。
ちなみに、ドライグは天龍の誇りを投げ捨てる勢いで「しまいにゃ泣く」とまで言った。心労がたまっているようである。
とはいえ、神すら滅ぼす神滅具の禁手は伊達ではない。
なんとなくドライグに言われて放った一撃で、空間遮断結界は愚か、その先にあった山が吹き飛ぶほどの大火力を発揮。その上、黒歌の術式攻撃が直撃しても、傷一つないという頑健さまで見せつけた。
もとより、黒歌の本領ともいえる戦術は直接破壊力に劣るのが難点。本質的に相手の撹乱や状態異常などを中心とする黒歌は、攻撃力で言えば最上級悪魔でも低い部類だったのだろう。レーティングゲームのタイプで言うのなら、サポートタイプよりのウィザードタイプといったところか。
シンプルに強い赤龍帝の鎧との相性は最悪だった。黒歌が直接戦闘でイッセーを打倒する可能性は、極めて低い。
「この……クソガキ……っ」
手も足も出ない状況下に追いやられたと察し、黒歌は歯ぎしりをしながらもいったん飛び退る。
とはいえ、黒歌に勝ちの目がないわけではない。
幻術を主体にして時間稼ぎに徹し、禁手の発動限界まで持ちこたえれば、状況は再び有利になる。もとよりなり立てかつ素質の低いイッセーの禁手では、長時間の戦闘は不可能だろう。
とはいえ、普通にいけば増援が来る可能性は絶大だ。イッセーとしてもこの状況は有利だと思ってはいるが―
「こりゃ面白いことになってきたぜぃ! 龍王と天龍が相手ってのは、マジで楽しめる展開じゃねぇかい!!」
テンションを上げる美候に、イッセーはうんざりする。
犯罪行為をして迄求める者はイッセーにもある。だが、女体と戦闘ではポイントがズレすぎていて、どうも共感がわかないのが実情だ。
それに、毒霧も吹き飛んだのでリアスと小猫も回復していっている。この調子なら戦闘はどんどんこちら側が有利になるはずだ。
『まったく、悪ガキというのはしつけが肝心だとはよく言ったものだ。テロリストにまで落ちぶれて、ただで帰れると思わんことだな』
タンニーンもあきれながら、しかし戦意は決して消えない。
もとより、この場で最も最強なのは間違いなくタンニーンだ。その点でも、イッセー達に有利なところは数多い。
そして、激突がなされようとした、その時だ。
「……まったく。いったい何をしているのですか、黒歌も美候も」
そんな呆れ声と共に、黒歌と美候の後ろの空間が、切り裂かれた。
そこから現れるは、まるで英国貴族を持ってきたかのような青年男性。
しかし、その腰に挿している二振りの剣からは、悪魔が本能的に拒絶をしてしまいたくなるオーラがあふれている。
『三人とも下がれ! そいつの持っている剣は厄介だ!!』
タンニーンすら警戒する、その剣。
その名は―
『最強の聖剣、聖王剣コールブランド。……もう片方も聖剣か!』
其の声に、聖剣を担った青年は静香に頷く。
「はい。かつて教会より紛失した、最後にして最強のエクスカリバー。
最強のエクスカリバーに、さらにその上を行く最強の聖剣。
単刀直入に言うべきか。質が悪すぎる。
その事実に気おされるイッセー達をみて、その青年はふと何かに気づいたのか、眼鏡を直す。
「自己紹介が遅れました。私はヴァーリチームのメンバーの一人、アーサー・ペンドラゴンと申します」
そう告げると、アーサーは黒歌と美候に半目を向ける。
「まったく。突然我々小規模組織に緊急通達が来た時は、貴方方を急いで連れ戻さねばと多少焦りましたよ」
「なんだよぉ。シャルバのやつが何か言ってきたのか?」
美候が怪訝な表情を浮かべるが、アーサーは軽くため息をつく。
そして、ホテルの方に視線を向けて、複雑そうな表情を浮かべた。
「なんでも、ムートロン首魁のホテップが三大勢力に降伏勧告を行うとか。場合によっては使い捨てのイーツをまき散らして示威活動をするそうですよ?」
その言葉は、イッセー達に戦慄を走らせるのに十分だった。
このタイミングで堂々と降伏勧告。それほどまでにムートロンは勝てると踏んで禍の団に参加しているということなのか。
反面、アーサー達は誰もが詰まらなさそうな顔をしていた。
「ったく。あいつら正直面倒だぜぃ。俺らにもエボリューションエキスを使え使えうるせえしよぉ」
「ホントにねぇ」
「正直、英雄派の方が個人的にはまだましですね」
其の三人の態度に、イッセーは首をかしげたくなる。
大きな組織が派閥争いでいがみ合うというのはよくある話だが、それにしてもここまで嫌われているとは思わなかった。
もしかしたら、コレ質問したら答えてくれるかもしれない。
「なあ、そもそもムートロンって何なんだよ?」
ダメもとで、聞いてみた。
「ん? ああ、なんでも数千年前に神々に喧嘩売ってボコられて地球から逃げ出した連中の末裔だってよ」
美候があっさりと答えてくれた。
まさか本当に答えてくれるとは思わず、イッセーは愚かタンニーンやリアス迄唖然とする。
「その後、数千年かけてエボリューションエキスを含めた技術を開発して、再び神々を倒してから本格的な宇宙開拓活動を行うために派遣された先遣艦隊。それが、禍の団に所属しているムートロンです」
「後方支援員とか食糧生産をしてる連中も含めた本艦隊の総人口は二億人強で、27艦隊のうち、一個艦隊を先遣隊として派遣したらしいわね」
アーサーと黒歌もぺらぺらとしゃべる。
ナイファーザーもぺらぺらと重要な情報をしゃべっていたとは言うが、これまたぺらぺらとしゃべってくれていた。
しかし、ナイファーザーはあくまでついしゃべっていただけだ。感情に任せてどんどんしゃべっていたが、意図的にばらすつもりはなかったと思われている。
だが美候たちは隠すつもりがない。むしろ教えてやろうといわんばかりだ。
「因みに例のEEレベルっての? 地球人の平均は1,0で、ムートロンの連中は3,0だってよ」
「改造手術とかでもレベルは一つか二つ挙げられるらしいわね。ま、適性検査で引っかかると絶対受けさせてくれないそうだけど」
「大半の派閥はムートロンの傘下に近いですね。ムートロンによる地球制圧の後に、ムートロンの一般市民より上の待遇で地球人の監督官をする契約を禍の団とかわしているとか」
これまた三人そろっていろいろとしゃべってくれていた。
隠す気がないというか、教えてくれた分だけ話してくれる勢いだ。
『正気かお前ら? 一応同じ勢力だろうに』
タンニーンがあきれるのも当然だろう。組織人としてあまりに致命的だ。
だが、三人そろってどこ吹く風だった。
「いえいえ。我々はどうもムートロンとはそりが合わないのですよ」
そうアーサーが言うと、隣の2人の当然といわんばかりに頷いた。
「まったくだぜぃ。自由気ままにいきたいから禍の団に参加したってのに、下働きなんて御免だぜぃ」
「同感。ま、ヴァーリはオーフィスと仲いいからある程度自由にさせてもらってるんだにゃん」
……その光景を見て、イッセーはなんとなく思った。
あ、こいつら自由人の群れだ。ヴァーリもそんな感じだった。
「……組織人失格です、姉様方」
毒から回復し始めている、小猫の辛辣なツッコミが黒歌たちにとんだ。
「やーん。妹から冷たい目線向けられちゃったにゃん。誰か慰めてほしいにゃ」
どこ吹く風である。
「まあ、そういうわけですので我々はそろそろお暇させてもらいます。事実上勝手に作戦に介入したようなものなので、すぐにでも戻らないと他の派閥に何を言われるかわかった者じゃありません」
「うっへぇ。シャルバとかねちねち小言を言ってきそうだぜぃ」
「仕方ないわね。じゃ、帰りましょうか」
そんなのんきなことを言いながら、三人がアーサーの切り裂いた空間に歩き出す。
追いかけたいのはやまやまだが、そんな事態でもなさそうだ。
状況的に余裕もないし、見逃すほかないと判断するしかなかった。
そして三人の入った空間が閉じるその時、アーサーがふとこちらに振り返る。
「そうそう。ヴァーリがあなたと戦いたがっているように、私は聖魔剣の使い手やデュランダルの担い手と戦いたい。黒歌はそちらの妹君が相手になるでしょうし、できればお伝えいただきたいですね」
「え、あ、はい」
なんとなく返答してしまった。
そして、切れた空間が閉じたその時―
『三人とも、俺の陰に隠れろ!!』
其の声と共に、タンニーンがその巨体でイッセーたちを包み込む。
阻止てのその瞬間、莫大な熱が辺り一面を包み込む。
イッセーたちが驚くよりも早く、タンニーンは魔力をもってして結界を張る。
そして結界の外側では、森の木々が一斉に燃え上がった。
「なんて熱量!? この出力、最上級悪魔クラスでもそう簡単には―」
『気を付けろリアス嬢! どうやらムートロンの連中のようだぞ!!』
リアスとタンニーンが警戒する中、さらに新たな参入者が現れる。
真上から、何かが地面に激突してクレーターを作る。
そして、その姿はイッセーたちもよく知っているものだった。
「―井草さん!?」
「イッセー先輩、上から来ます!」
慌てて駆け寄ろうとするイッセーを押しとどめながら、小猫が声を上げる。
そして、2人のイーツが姿を現す。
一人は毛皮の代わりに灼熱を纏ったかのような獣人のようなイーツ。
一人は、黄色の外套を身にまとった、緑色の体をしたイーツ。
その二人のイーツに見下ろされた、井草が変身したレセプターイーツが、身じろぎする。
立ち上がりたいが、すぐには立ち上がれないといったところだろう。それほどまでにダメージを受けているのは明白だった。
「なんで……、なんで……だ…」
それでも、井草は強引に立ち上がり、2人のイーツを見上げる。
其の声は、丸で泣き出しそうで、聞くだけで辛くなる。
そして、井草は近くにいるイッセーたちに気づくことなく、2人のイーツに向かって、あらんかぎりに叫んだ。
「なんでこんなことをしてるんだ、伊予、五十鈴!!」
ヴァーリチームは禍の団も扱いに困っている少数派閥。異論は認めぬ。