混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
かつて犯した罪を語る井草。
そして、イッセーたちの答えはいかに!?
「……これが、俺が伊予と五十鈴にしてきた事。俺の、罪だ」
全てを話し終えて、井草はまっすぐ前を見る。
まず視線を向けるのは、アザゼルにだった。
「本当に話して、良かったのか?」
気づかわし気な視線を向けられて、井草は苦笑する。
「これ以上、皆にこの事実を隠すのもあれですよ。伊予と五十鈴がナイアルに引きつられて出てきた以上、ナイアル達が小芝居をしながら話すぐらいの覚悟もしないといけませんし」
事実だ。
あのどこかが致命的に歪んだ伊予と五十鈴なら、自分からその辺りの出来事を話すだろう。それも、大衆の面前でするぐらいの事もあり得る。
それで混乱が生まれる事も考えれば、実際にここで話しておくというのは一つの手ではあった。
だが、同時にこれで嫌われる事も考えるべきだろう。
慈悲深い聖職者であるニングとリムは赦してくれた。だが、それが普通の意見ではないと思う。
なにせ、井草がやった事は強姦一歩手前だ。法で訴えられれば確実に負けるし、事情が知られたら引っ越す事も考えなければならないレベルで白い目で見られるだろう。
目の前の彼らは、真っ当な正義感を持っている立派な人物達だ。井草のこの行動を怒るのが当然の反応なのだ。
ゆえに、井草も覚悟を決めている。
駒王学園を辞める事も考慮している。少なくとも、オカルト研究部や退部するべきだろう。
「……そうして欲しいなら、オカルト研究部からも駒王学園からも去るよ。それぐらいの事をしてる自信は―」
最後まで言い切る前に、拳が叩き込まれた。
それは甘んじて受ける。
当然だ。かつて二人の両親に話した時殴られた。
だから、その拳を放ったのがイッセーであっても驚かない。
赤龍帝の籠手を具現化させたうえで殴ってきたのも、そうおかしな事ではないのだから。
「……井草さん。今、俺が何で殴ったのか分かってないだろうから言っておきます」
赤龍帝の籠手を戻しながら、イッセーは怒りに満ちた鋭い視線を井草に向ける。
そして、涙ぐみながら声を張り上げる。
「なんで、俺達がそんな事を望むと思うんですか、この馬鹿野郎!!」
其の声に、井草は目を見開いてきょとんとしてしまう。
見れば、大体の人達が同意見といわんばかりの表情を浮かべていた。
「馬鹿ね。貴方がしてしまった事は確かに罪深いけど、それを心から悔いている貴方を糾弾するほど、私達は悪趣味じゃないわ」
「同感です。前から思っていましたが、井草さんは自罰的過ぎるところがあるようですね」
リアスとソーナが、呆れ半分苦笑半分の表情で、そう言い切る。
思わぬ展開に、井草はかなり面食らう。
正直、もう嫌われているのが基本だとばかり思っていた。
それだけの事をしていたのだ。知れば多くの人達が嫌うだろう。
だが、井草の目の前に井草に敵意や嫌悪感を浮かべている者達は一人としていない。
「まあ、これが公表されれば学園としてはある程度の対応をするかもしれませんが。知られてないのなら問題ないでしょう」
ソーナの女王である椿姫が現実的な観点から告げるが、それはつまり告げ口はしないというようなものだ。
それに対して生徒会全員がうんうんと頷いた。
「ま、あれだよ。……心底後悔して、やり直そうとしたんでしょ? だったら俺達は井草さんを赦しますよ。それ位の事、駒王学園でやってきたじゃないですか」
匙の言葉に、部屋中の人たちが頷いた。
「いや、それは当然じゃないか。俺みたいな低い場所に堕ちるだなんて、見過ごせるわけがない」
井草の反論に、全員が「お前何言ってんの?」みたいな目線を向けてきた。
心底解せぬ。
顔全部を使ってその感情を見せる井草に、アーシアはその手を取ると微笑を浮かべて首を振る。
「井草さんは心優しい方です。それを当然と言える井草さんだからこそ、私達はあなたを赦します」
「……同感です」
「そうですわ。それだけのことを、貴方はしてきたじゃありませんの」
小猫と朱乃が同意し、それに皆が頷く。
「井草さん。貴方は確かに間違えてしまったんだろう。だけど、そこからあなたは這いあがってきた」
「だ、だったら、オカルト研究部の仲間として手を差し伸べたいです!!」
祐斗とギャスパーも続き、そしてイッセーが再び前に出る。
そして、右手を井草の前に出す。
「……井草さん。井草さんは俺達が間違わないように頑張ってくれた。だから、俺達は井草さんが正しい道を進めるように力を貸したいです」
そして、イッセーはあえて自分から井草の腕を掴まない。
それでは駄目とは言わないが、しかしもっとして欲しい事がある。
「力を貸してください、井草さん。俺は、俺達は仲間だから、その分俺達も力を貸して見せます!!」
その言葉に、井草は一瞬戸惑う。
だが、周囲の視線が井草の背中を押す。
「井草、お前やりたい事あるんだろ?」
そして、アザゼルがにやりと笑いながら、井草を促す。
「どうすんだよ。お前のなしてきた事という功績と、お前を想う友情という対価を、どう使う?」
その言葉に、井草は一瞬目を伏せる。
確かに、そうだった。
井草の罪は真実で、井草が積み上げてきた事もまた真実。
それらを見てきたからこそ、彼らは井草を肯定した。その罪を受け入れ、それでも仲間と呼んでくれている。
なら、井草は―
「イッセー、皆」
―その手を掴み、頭を下げる。
「力を貸してほしい」
心からの願いを、井草は告げる。
「あの頃には戻れない。どうすればいいかも分からない。殺すしか手がないかもしれないぐらい、2人は変わってしまっている」
それでも―
「伊予と五十鈴を止めたい。どうか、力を貸してくれ……!」
―この願いは、本心なのだ。
そして、それに応えるように全員が頷いた。
胸から暖かいものがこみ上げて、井草はぽろぽろと涙をこぼす。
こんなに泣いたのは四年ぶりだ。かつて、伊予と五十鈴が行方不明になったと知った、その時以来だ。
だが、今流れる涙は暖かい。
嬉し涙をここまで流す事が、自分にできるとは思っていなかった。
「……井草さん」
「井草さんや」
その背中をなでながら、ニングとリムは笑顔を向ける。
「大丈夫なのです。私達も力を貸すのですよ」
「アンタは赦されるだけの事を積み上げたんですぜ? だから、前向きやしょうや」
その言葉に頷きながら、井草は決意する。
卑下し続けるだけの、自罰し続けるだけの人生はもうやめよう。
ここからは、文字通り立ち直る為に生きる。
善行はする。誰かも助ける。ただし、そのうえで自分を好きになる努力を始めよう。
そのうえで、どんな結果になったとしても。
「ありがとう、皆。俺は、2人を、止めて見せる」
この願いだけは、どうなってでも必ず叶えて見せる。
しかし、そんな井草にも試練は当然訪れる。
そして、それは容赦なくイッセーにも襲い掛かる。
「「宿題やってなかった……っ」」
地獄の猛特訓に夢中になって、学業を見事におろそかにしていたツケがやってきた。
駒王学園高等部の夏季休暇が終わるまであと数日。井草とイッセーは見事に夏休みの宿題の存在を忘れていた。
完膚なきまでに真っ白な夏休みの宿題。これを数日で全部終わらせるのは、まず間違いなく大変だったりするのである。
そして、イッセー達に衝撃が走る出来事があって、宿題を手に付けるのも一苦労だという一大事になるのだが、それはまたのちの話。
そんなこんなで、ヘルキャット編も終了。
そして、いろいろと考えましたが、人寄せ対策に最終手段を切ることにしました。
題名、変えます。具体的には最低限の内容がわかる、最近流行りの長文題名にする予定です!!
そういうわけなので、混乱しないようにご注意ください!!
あと、その件で活動報告でアンケートをするので、できれば手伝ってくれると嬉しいです!!