混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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と、いうわけでホーリー編でございます。

イッセー達。そして、ニングとリムによって前を向く気になった井草の戦いが、ここに始まる。


井草・ダウンフォールの物語の第二章はここから始まります!!



体育館裏のホーリー
1話


 夢を見ていた。

 

 今より少しだけ若い自分が、駒王学園とは違う制服を着て、今より少しだけ若い伊予と五十鈴と一緒に、かつて通っていた高校から家に帰るところだ。

 

「漸くテストも返ってきたぜ。今回も平均点前後はしっかりキープっと」

 

「得意げに言うな得意げに。うちの高校は名門でも何でもないんだから、赤点回避なんてできなきゃ駄目だってのに」

 

 得意げにアホな事を言う自分に、五十鈴が呆れ顔でツッコミを入れる。

 

 我ながら実に勉強ができていない状況だった。調子が良ければ学年上位どころか上から一桁台を取る事もある今の井草からは想像できないだろう。駒王学園生が見たら、目を疑うかもしれない。

 

 だが実際、この時の井草は学業は適当なレベルもあった。

 

 スポーツに関しても部活に所属していたわけではない。とはいえ、体育だけは五段階評価で五を取れるのだが。これは堕天使なので当然ともいえる。

 

 堕天使とのハーフという事実に得意げになり、それ相応の努力はしているが、それこそ自分より努力している者などいくらでもいると言っていい程度の努力。

 

 半端に特別な何かを持っているがゆえに、半端に傲慢な中二病。それが当時の井草だった。

 

 とはいえ人気があったかどうかで言うと、そうでもないともいえる。

 

 特に問題行動を起したりはしなかった。しかし、両親と死別している事をあえて隠していない為、そこから気後れされているところがあったかもしれない。

 

 自然、幼少期から付き合いがあって抵抗の少ない伊予や五十鈴とつるむ事が多かった。それ以外では堕天使絡みでの関係もあったので、気にはしていなかったが。

 

「まったく、あんたは塾にでも通いなさい。私みたいな天才じゃないんだから、天才じゃ」

 

「そういうのは学年一位とってから言えよ、伊予にも負けてるクセに」

 

 ちなみに、ニコニコしながら見ている伊予は学年三位。五十鈴は上位十番台である。

 

 そして痛いところを突かれた五十鈴から、プッツンという音が聞こえてきた。

 

 そして、その瞬間に襟を掴まれたガクガクと揺さぶられる。常人では首が心配になる勢いでだ。

 

「あんですってぇ! 人が気にしてる事を!! いいのよ私は天然で之なんだから!! 伊予は家庭教師が優秀だから別枠!!」

 

「俺は気にしてねえし!! 義姉さん経由でコネ就職決まってるから問題ねえし!!」

 

 実際、井草は堕天使なので大学卒業後は神の子を見張る者に就職が決まっている。

 

 もっとも、この素質はあっても無自覚に自堕落だった自分では下っ端がいいところだろう。当時の自分はエリート扱いされると無自覚に思っているから始末が悪い。

 

 まあ、良くある話になっていたのだろう。根拠ない自信をへし折られ、適度に構成しながらそこそこの生活を送る。もしくは猛省して努力をし直し、それ相応の地位につく。

 

 どちらにしても、今の井草のような立場には、なっていないのだけは分かっている。

 

 そして、この生活がどれほど基調だったのかも、個の井草はよく分かっていなかった。

 

 なんとなく、堕天使側が用意したダミー企業に就職。其のまま正体を隠しながら二人と仲良くなり続ける。そんな程度の事しか思っていなかった。

 

「もぉ。二人とも喧嘩はダメだよ?」

 

 そして苦笑しながら、伊予が仲裁に入りお互いに矛を収める。

 

 ……もうこの時、伊予は無有を家庭教師にしていたのだ。なら、既にこの時には半ば手遅れだったのだろう。

 

 そう、だから―

 

「伊予、五十鈴」

 

 目の前の過去の井草の口で、今の井草は決意を表明する。

 

「……必ず、止めて見せる。できる事なら、救って見せる」

 

 だから―

 

「その時、もし俺の事を赦してくれるなら―」

 

 その時は―

 

「また、一緒に笑い合って―」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁあああああああああしあああああああああああ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっひゃぁ!?」

 

 肝心なところで、莫大な音量によって飛び起きてしまった。

 

 慌てて部屋から飛び出して周りを確認するが、特に敵意も殺意も感じなければ、火事が起きている様子もない。

 

 これは一体どういうことか。寝ぼけ半分の戦では理解できなかったが―

 

「……おはようございます。井草先輩」

 

 と、こちらも安眠を妨害されて不機嫌になっているらしい小猫が挨拶をしてきてくれた。

 

 この可愛らしい美少女と同棲しているというのは、中々役得なのかもしれない。

 

 だがしかし。既に彼女はイッセーに夢中になっている。そういう意味では全く手の出されようのない状況ではあった。

 

「あ、おはよう。で、どんなことになってるの、コレ?」

 

 どうもイッセーの叫び声だったっぽいが、状況がちょっとよく分かってない感じだったりする。

 

 その井草に対して、小猫は静かにため息をついた。

 

「ディオドラ・アスタロトのせいです」

 

「……あぁ~」

 

 井草は、その光景を思い出いした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宿題、あと三割……っ!」

 

「今夜は、徹夜ですね……っ」

 

 宿題を高速で処理する事で疲労を溜めながらも、井草もイッセーも何とか新学期までにどうにかできる余地ができていた。

 

 地獄を潜り抜けてきた井草とイッセーが、この程度の事でくじけるわけにはいかない。

 

 夏休みに宿題程度できなくてどうするのか。自分がこれから挑むのは、地球征服を過程として宇宙進出を狙う、強大な戦力なのだから。

 

「大丈夫ですか、イッセー先輩」

 

「うん。大丈夫だよ小猫ちゃん」

 

 気づかわし気に見つめてくる小猫に、イッセーは双から元気で返す。

 

 しかし小猫はそれを半ば無視して、そっとイッセーに触れた。

 

 単刀直入に言って、井草はふと思った。

 

 何が起きた、と。

 

 当然イッセーも思いもよらなかったようで、きょとんとする。

 

「えっと、小猫ちゃん?」

 

「体内の気の巡りをよくしています。これで、少しは気分が楽になるはずです」

 

 仙術とは、意外と日常生活においても便利な代物であったらしい。

 

 とはいえ、つい先日まで仙術を使うことを忌み嫌っていたにしては急成長だ。

 

 朱乃も堕天使の血に向き合うようになったらしい。そして井草自身も、少しだけ自分を赦せるようになった。

 

 すべてはイッセーのおかげである。そういう意味では、小猫の態度もすぐに察することができた。

 

 だが、肝心のイッセーがよく分かっていなかった。

 

「あ、じゃあ井草さんにも頼むよ。井草さんの方があの戦いで大変だったしさ」

 

「………いや、確かにあとでするべきですけど」

 

「イッセー。それはない、ないよ」

 

 小猫が複雑極まりない感情を浮かべ、井草も流石にツッコミを入れるほかない。

 

 目の前の男は、デリカシーにかけている。

 

 井草もそんなに詳しいわけではないが、しかしこれは空気が読めていない。

 

 さて、イッセーにはどういえば納得するのかと考えた、その時だった。

 

「きゃぁ!」

 

 アーシアの悲鳴に、2人はすぐに振り返る。

 

 観れば、アーシアに優男が近づいていた。

 

 井草はその光景に怪訝な表情を浮かべる。

 

 ……ここはグレモリーの施設である。それ相応の術式的な警備も仕掛けられているはずだ。

 

 それをかいくぐっての潜入にも関わらず、不意打ちでもなんでもなく、戦意すら感じない。

 

 しかし、それを気にしている余裕もなかった。

 

「てめえ!! アーシアに何してやがる!!」

 

 とっさにイッセーが割って入る。

 

 が、その優男は一切気にせずアーシアに視線を送る。

 

「やっぱりアーシアだ。あの会合ではまさかと思ってたけど、悪魔になっていたとは思わなかったよ」

 

「ど、どちら様でしょうか……?」

 

 アーシアに対して感動の再開を思わせる感慨深い声を出す少年に対して、アーシアは戸惑っている。

 

 イッセーはイッセーでアーシアを守らんと立ち塞がりながら、しかし状況が分からず戸惑っている。

 

 そして、井草は何故か彼に嫌悪を覚えていた。

 

 初対面の相手、それも敵意を見せていない。立ち振る舞いからも敵対している者の様子を見せていない。

 

 にも関わらず、嫌悪感が先に立つ。

 

 何故かは分からない。だが、井草は彼にナイアルに近いものを感じていた。

 

「……ディオドラ? あなた、ディオドラね?」

 

 そして、リアスがふと我に返って声を上げる。

 

 そして、それにつられる形でグレモリー眷属の者達が次々にはっとなった。

 

「えっと……?」

 

「……どちらさんだ?」

 

 井草とアザゼル。グレモリー眷属ではない二人はよく分かっていないので首を傾げるしかない。

 

 それに気づいて、祐斗が戸惑いながらも振り向いてくれた。

 

「ディオドラ・アスタロト。アスタロト家の次期当主です。先日の会合で顔を合わせました」

 

 なるほどと、井草もアザゼルも納得する。

 

 確か、大王家及び大公家を含めた現魔王を輩出した家系が、次期当主の会合に参加していたはずだ。

 

 そして(くだん)のビルデ・グラシャラボラスが大騒ぎを引き起こしたのも聞いている。

 

 確かに、その会話の中でディオドラという名前は出てきていたはずだ。アガレスとグラシャラボラスの睨み合いを平然と見ていたとかいう剛の者だった。ちらりとしか出てきていないから、すぐには思い出せなかったのだ。

 

 しかし、そのアスタロト家の者が何でアーシアに関わっているのか。

 

 それが気になって首を捻っていると、ディオドラは悲しげな表情を浮かべる。

 

「覚えていないのかい? ……仕方がないね、あの時は顔を覚えてもらう余裕もなかった」

 

 ……以前どこかで会った事があるのだろうか?

 

 だが、アーシアは教会の聖女とまで呼ばれた少女である。悪魔と接触する機会など用意されているはずがない。

 

 その後も堕天使側に引き込まれて、レイナーレが秘匿していたはずだ。そしてリアスの眷属となるが、悪魔と接触する機会など、あの会合までならソーナたちシトリー眷属ぐらいだ。アスタロトとかかわる機会がない。

 

 なのにどうしてと思っていたら、おもむろにディオドラが服をはだけさせた。

 

 そして、それにツッコミを入れようとする皆が、彼のあらわになった胸板をみて目を見開く。

 

 ……底には、深い傷跡が残っていた。

 

「あの時はありがとう。傷は残ってしまったけれど、君のおかげで僕は命を救われた」

 

 その言葉に、井草はふと思い出した。

 

 そもそもアーシアがレイナーレに囲われたのは、アーシアが教会を追放されたからだ。

 

 それは悪魔を治癒する事ができる聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)が原因だ。しかし、それが発覚したのは、アーシアが悪魔を治療してしまった事が原因である。

 

 そう、アーシアは確か、重傷を負った悪魔を治療した事があるのだ。

 

「貴方は、あの時の……!」

 

「そう。僕はディオドラ・アスタロト。君に癒された悪魔だよ。君にお礼を言いたかったんだ」

 

 息をのむアーシアに、ディオドラは思い出してくれた事への喜びが籠った声を出す。

 

 だが何故だろう。

 

 井草はそれが信じられない。どこか薄っぺらいものに聞こえる。演技の類としか思う事ができない。

 

 その井草の懸念に気づく事なく、ディオドラは―

 

「君と出会えたのは運命だ。どうか、僕の妻になってほしい」

 

 爆弾発言を叩き込んだのだった。

 

 




ディオドラというなの、D×Dでも屈指の糞野郎、登場

まだこの段階では優男なのですが、継ぎの出番から一気に下衆野郎度合いを高めていきます。ストレス発散の準備をよろしく!!









そしてすさまじい閲覧数を記録しました。記録しましたのですが………っ









―感想、あまり来ないなぁ(;´・ω・)

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