混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
あとは高評価と感想……!
みんなー! おらに感想と高評価を分けてくれー!!
夏休み明け。それは、学生達が張っちゃけた事を告白する時期。
ギャル化する女子。童貞を卒業して余裕を見せる男子。とにかく、大人の階段を上った少年少女が、テンションを上げる時期である。
「……ただし、それはいわゆる中二病なんだよ」
井草はそう断言する。
「重要なのはそこからどうなるかだ。童貞の卒業なんて風俗に行けば簡単にできる。下手にそこで格好つけようとしている男は、まだまだ未熟なんだよ」
「は、はあ……」
などと、調子ぶっこいていた男子生徒を捕まえて、そう諭すのが井草であった。
「井草さん、本当に人を更生させるのが好きだよな」
「ああ。だがあいつ等にはイラっと来たからちょっと助かるな」
などと松田と元浜は言うが、イッセー達は苦笑いするしかない。
つい先日知った井草の童貞卒業を鑑みれば、まさに自らの肉を食いちぎって我が子に当たえる狼の所業に匹敵する。
こういう事ができるからこそ、自分達は井草の事が嫌いになれなかったのだが、流石にもうちょっと自制しろと言いたい。
「イッセー。井草さんは変な方向にアクセルを踏んでしまったのではないだろうか?」
「言うなゼノヴィア。やばくなったら俺達で止めてやればいいさ」
事情を知るゼノヴィアの心配ももっともだ。
あの日以来、少しは前向きになった井草だが、前向きになっても自虐癖が完治したわけではない。
実際やらかしているのは事実なのだ。そういう意味では「それを償ってきた」事を認めただけ。自分がかつてやらかしてきた事実は変わらないと認識しているし、そこを否定することはイッセー達にもできはしない。
実際、駒王学園の生徒達が事情を知れば、井草から距離を取る者もいるだろう。それぐらいには井草はやらかしている。
勢い余ってそれをこの場でばらしたりはしないだろうか。そんな不安を二人は覚えた。
「いいかい。これは俺の経験論だ。俺の数百段マシな卒業をしてるからって、そこに胡坐をかいてちゃいけないわけだよ」
「え? 井草さんはどんな童貞卒業をしたんですか!?」
「まさか、逆レイプ被害者!?」
ほらこうなった。
「井草さん!! ここには女子もいるんで、もうちょっと抑えめでお願いします!!」
「その通りだ井草さん! 男は過去を語る生き物ではないぞ!!」
即座にフォローに入るイッセーとゼノヴィアだが、しかしこれはこれで一気に注目を集めてしまう。
「そういえば、井草さんの過去ってあまり知られてないわよね? ちょっと気になるわ」
「桐生! そんな事より俺の華麗なる夏休みの記録について語らせてくれないか!?」
桐生が余計な事を言ったのでイッセー話を逸らそうとするが、しかし半目を向けられてしまう。
「いや、あんたのナンパ失敗談なんて誰も聞きたくないから」
「してねえよ!! したくてもできなかったよ!!」
本当にできなかったのでこれは酷い。
イッセーは滝のような涙を流しながら、崩れ落ちる。
「桐生ちゃん!! イッセーは、アザゼル先生の所為で講習も受けていないのにぶっつけ本番で三週間近くサバイバル生活を山の中でしてきたんだ!! もうちょっと優しく対応してあげてよ!!」
「そうだぞ桐生! その所為でイッセーは拗らせて、乳と対話する為だけに悟りを開きかけたんだぞ!!」
「ゼノヴィアちゃんも、余計な事を言わなくてよろしい!!」
詳細を話したらいけない類の話なのは、イッセーの夏休みも同様である。
そういう意味での大ポカをやらかしたゼノヴィアに、井草のツッコミが飛んだ。
しかしこれはまずい。
イッセーの夏休みを語るのは、異形社会のモラル的にまずい。
かといって井草の童貞卒業もまずい。かなり低ランクの童貞卒業。知られればスキャンダルだしPTA辺りがうるさい事になる。
イッセーは崩れ落ちて役に立たない。井草は自分の事には考えが及んでいない。そしてゼノヴィアは天然な節があるのである意味心もとない。
そして、最後の希望であるアーシアに関しては―
「………」
この事態に全く気付いておらずぼんやりとしている。
その事に気づいたのか、桐生は首を傾げた。
「ところでアーシアっちはどうしたのさ? なんか調子が悪いみたいだけど」
その言葉に、全員の意識がそっちに映った。
何故ならアーシアは皆のマスコットである。つまりイッセーは死ね、である。
しかしこちらもまた説明が大変である。
イッセーもゼノヴィアも井草も、どう説明したらいいのかちょっと困ってしまう。
かつて教会にいた時に助けた、リアスの故郷の同レベルの金持ちが求婚してきた。
当たり障りのない言葉にすればこうなるのだろうが、そこから更に踏み込む手合いが出てくる事は確定である。そうなった時のフォローが大変だ。
できる事なら記憶操作などはしたくないのだ。それぐらいには三人ともクラスの者達の事を大切に思っている。
かと言って話を井草の童貞卒業やイッセーの夏休みに戻すわけにもいかない。それはそれで色々と大変である。
さてどうしたものかと三人が考え込んだ時―
「た、たいへんだぁあああああ!!!」
ドタバタドタバタと走りながら、男子生徒の一人が教室に駆け込んできた。
なんだなんだと全員の注目を集めたその少年に、井草達三人は感謝する。因みにアーシアはまだぼんやりしている。
そして彼は息を整えると、クラス全員に聞こえるように報告した。
「こ、このクラスに三人も転入生が来る! それも全員美少女だ!!」
『『『『『『『『『『ええええええええええ!?』』』』』』』』』』
クラス中を震撼させた転校生の話。
そもそも、一つのクラスに転校生が三人も来る事が不自然だ。しかも、アーシアやゼノヴィアという転校生が連続で転校生が編入されたこのクラスになど、おかしい意外に何者でもない。
となれば、答えは一つである。
十中八九、異形関係者である。それも、おそらくグレモリー眷属と深く関わる事になる類だろう。
その時点で、井草には心当たりがあった。
以前リムが言っていた、天界及び教会から派遣される三人の人員。それも、そのうち二人はリムとニング。
リムは二十歳だと言っていたのに、まさかこのクラスに編入するとは思っていなかった。てっきり用務員かとばかり思っていた。
それに天界からのスタッフが学生というのもあれだ。
何故なら、天使達は数百年前の聖書の神の死で増えなくなっている。つまり、天使は低く見積もっても数百歳なのだ。教師か用務員だろう。
おそらくは人間との間に生まれたハーフなのだとは思う。そうでなければ年齢が開きすぎている。
とはいえ、初めて顔を合わせるだろう事を考えると、連携を取るのも大変だろう。
そう思っていたのだが―
「ええー。この時期に珍しいですが、我がクラスに三人の新しいお友達が編入される事になりました。さあ、三人とも」
と、担任教師の言葉によって三人の転校生が入ってくる。
そして、その姿を見て、イッセー達三人も、井草も目を見開いた。
そのうち二人は想定通りリムとニング。これは井草は驚かない。知っていたのだから当然だ。
だが、残りの一人は流石に驚いた。
これも、存在を聞いていなかったイッセー達と、知っていた井草と出は驚きの方向性が異なる。
何故なら、三人目は天使ではなかったはずだからだ。
しかし、現実問題彼女はそこにいる。そしてロザリオを輝かせながら、真っ先に挨拶をした。
「初めまして、紫藤イリナです! そこの兵藤一誠くんとは幼馴染で、駒王町にも少しの間住んでました。よろしくお願いします!」
ちなみに、この爆弾発言でイッセーが男子達に詰め寄られたのは言うまでもない。
そして、放課後、オカルト研究部でイリナ達三人を出迎える事になった。
「紫藤イリナさん。リム・プルガトリオさん。ニング・プルガトリオさん。私達オカルト研究部は貴方達を歓迎するわ」
リアスの挨拶に合わせて、井草達は拍手で答える。
そして、イリナ達もにこやかに反応した。
「よろしくお願いします! 天界からのスタッフで派遣されてきた、紫藤イリナです!」
「そして教会から派遣された、リム・プルガトリオでさぁ。改めてよろしくお願いしますぜ?」
「ニング・プルガトリオなのです。是でも十七歳なのですよ」
と、次々に挨拶を改めてされ、和やかなムードになる。
一応顧問になったアザゼルは、その対応に若干苦笑していた。
「ったく。ミカエルのやつも気にしすぎだぜ。態々自分達から人員を派遣するたぁな」
「まあまあ総督どの。そりゃぁ三大勢力和平の地で、堕天使の総督と魔王の妹がいるんですぜ? こっちもそれなりの人員は派遣しねえと、体面的にまずいでさぁ」
と、リムが言うが、しかしそこには少し気になるところがある。
そのずっと気になっていたところに深く踏む込むべく、井草はあえて尋ねる事にした。
「でもリム。確か天界から一人で、教会からリム達って言ってなかったっけ?」
そう。そこが気になる。
何度も共闘したリムとニングが派遣されるのは良い。今後連携していく事もあるのだから、むしろ考えられた方だろう。
だが、三大勢力のうちに勢力が重鎮を派遣しているこの地に、天界側から誰も派遣されていないというのはどうだろうか?
リムとニングは実力者だが、所詮は暗部の出身である。堕天使総督と魔王の妹というネームバリューに対応しているとは言い難い。
イリナもエクスカリバーの担い手だったが、しかしそれでも無理がある。そもそも天界側から派遣される予定だったはずだ。
そこが気になったのだが、リムもニングも悪戯が成功した子供みたいな表情を浮かべる。
イリナに至っては、めちゃくちゃ得意げであった。
「ふっふっふ。違うのよ井草さん! 私は、それだけのネームバリューを得て帰ってきたのよ!! 駒王町よ、私は帰ってきた!!」
そんな事をのたまいながら、イリナは祈りのポーズをとる。
イッセー達が頭痛に苛まれないかと不安になるが、そんな疑問は一瞬で吹き飛んだ。
イリナに光が差したその瞬間、イリナの頭上に光の輪が生まれ、背中からは一対の白い翼が生える。
それはまるで、天使そのものだった。
井草達が目を見開く中、アザゼルが興味深そうに目を細める。
「なるほど。転生天使ってわけか」
「転生天使、ですか?」
イッセーが聞くと、リムとニングが苦笑しながら頷いた。
「そうなのです。転生悪魔技術を流用して、天界は転生天使技術を開発したのですよ」
「今はセラフだけなんですがね? いずれ上級天使全員が王のポジションになる予定ですぜ」
そして、イリナが手の甲を見せる。
そこには、Aの文字が光り輝いていた。
「そう! 私は天使長であらせられるミカエル様のエースなのです!! 天使長直属ともなれば、ネームバリューでも負けてないのよ、井草さん!!」
確かに、これはいけるだろう。
流石に堕天使総督には負けるが、魔王の妹には負けていない。
少なくとも、名義的には十分だ。
「ふふふ。主の不在を知らされた時は一週間は寝込んだけれど、だけどミカエル様直属の天使になれたこの栄光があれば、頑張れるのよ!!」
感動なのか絶望なのかどちらなのか分からないが、とにかく涙を垂れ流しながらそんな事をイリナは言う。
どうやら、イリナにも聖書の神の不在は伝えられていたらしい。
まあ、この駒王学園はある意味で重要拠点だ。そして、関係者の大半は聖書の神が既に死んでいる事を伝えられている。そこに派遣される人員なのだ。
当然教えられているだろう。というより、肝心の天界からのメンバーがそれを知っていないなどあってはならない。
「大丈夫か、イリナ? むりはするなよ」
「そうです、イリナさん。私達もついています」
ゼノヴィアとアーシアが、イリナに歩み寄りながら元気づける。
二人とも、聖書の神の死を知ってショックを受けた者の一人だ。信仰心が強いイリナのショックを理解しているのだろう。
そして、イリナもそんな二人に慰めなれ、涙ぐむ。
「ゼノヴィア、この前はごめんなさい! アーシアさんも、ひどいことを言ってしまったわ!!」
イリナは別の意味で涙を流しながら、2人に謝罪する。
確かに、エクスカリバーをめぐる争いでは諍いを起した関係ではある。
だが、ゼノヴィアもイリナも静かに気にしていないと首を振った。
「気にするな。あれは相談もしなかった私にも責任がある」
「そうです。イリナさんは悪くありません」
その言葉に、イリナはさらに涙ぐむ。
申し訳なさなのか感動なのか、どちらにしてもイリナは感極まっていた。
そして、勢いよく翼をはためかせながら再び祈りのポーズをとる。
「ああ、主よ!! この心優しい二人にお慈悲を!!」
すでに死んでいるのを瞬間的にだが忘却しているようだ。
しかもテンションに同調して、ゼノヴィアもアーシアも祈りを取る。
ついでにリムとニングもつられて祈りのポーズをとった。
「「「「ああ、主よ!」」」」
ほほえましい光景である。
悪魔と堕天使がこの光景をほほえましいと思える。其れこそが、三大勢力が手を取り合って物事に立ち向かえるようになったという証拠だろう。
その光景に井草はほんわかとしながら、しかしふと気が付いたことがあった。
ゼノヴィアとアーシアは良い。彼女たちは、天使長ミカエルの慈悲によって手に祈りを捧げても罰を与えらえることはない。
人間であるリムや、転生天使であるイリナに関しては問題の余地がない。二人はそもそも祈りを捧げることに問題何度欠片もないのだから。
だが、問題は―
「そういえばニング。君は悪魔だけど大丈夫なのかい?」
そう、ニングは悪魔だ。
伊予との戦いでその姿を見ている井草としては、少し気になってしまう。
「ああ、大丈夫なのですよ」
しかし、ニングは問題ないと言いたげに、しかし困っているかのように苦笑を浮かべる。
「私は悪魔の血を引いているようなのですが、何故か何の問題もないのですよ」
「何故か十字架も聖水も悪影響ないんですぜぃ、ニングは。隔世遺伝で血が濃くなってるはずなんですがねぇ」
リムの補足説明に、アザゼルが興味深そうな表情を浮かべる。
「なるほどな。もしかしたら『超越者』なのかもしれねえな」
その言葉に、一同の視線が一斉に集まった。
「超越者……ですか?」
「ああ。悪魔の中でも、次元違いの特性を持っている連中の事を指す」
イッセーの疑問に、アザゼルはそう答える。
「サーゼクスやアジュカ、そしてヴァ―リの爺さんの三人が該当すんだ。三人とも、強い弱いの次元とは別ベクトルで凄まじい異能を持ってたそうだ」
そして、アザゼルの眼がニングに向けられる。
ぶっちゃけて言おう。ものすごく興味津々だった。
「名前を付けるなら
「さ、サンプルなのです!?」
マッドサイエンティストの目に、ニングが微妙にびくつく。
流石に黙ってみていられず、井草はアザゼルの後頭部にハリセンを叩き込んだ。
「先生、ステイ」
「冗談だっての。やるならミカエルの許可ぐらいとる」
凄まじく不安になるが、とりあえず最低限の一線は引いているようだ。
それはともかく、井草はニングとリムに微笑みかけた。
……彼女達がいなければ、井草は過去を告白する事はなかっただろう。そして、それがイッセー達に受け要られる事もなかった。
全ては彼女達が井草の罪を受け入れてくれたからだ。だからこそ、井草は一歩前に進む事ができた。
その感謝の気持ちをどう表せばいいか分からない。
だから、井草は心からの笑顔で二人を受け入れる。
「これからもよろしくね、ニング、リム」
その笑顔に、ニングとリムは―
「ふふっ。よろしくなのです、井草さん」
「まあ、結構気に入ってやすからね、よろしく頼んますぜ?」
そんな、可憐な笑顔で答えてくれたのだった。
割とチートなニング・プルガトリオの巻でした。
もともとこれも別作品での超越者能力として考えていたんですが、たくさん作ってもそれはそれでエタると思ったので、こうして複合してみた結果ではあります。超越者と称されるレベルの異能力なんてなかなかありませんしね。