混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
で、彼のいく先は……。
レイナーレは、中級堕天使である。
堕天使の大半は下級堕天使であることを考えれば、彼女はある種のエリートだといってもいい。少なくとも、現地で部隊を率いる程度には権力もある。
だが、それで満足するような類では断じてなかった。
悪魔の縄張りに侵入して神器保有者を暗殺する。そんなリスクが高いわりに実入りの少ない仕事にはうんざりだ。
もっと堕天使として、人を堕落させてそのうえで暴利をむさぼりたい。そしてできることなら、堕天使総督であるアザゼルや、武闘派筆頭のコカビエルなどから重宝されたい。
幸か不幸か、其のためのピースが手に入った。
この力が手に入れば、
まさにオンリーワンといってもいい至高の存在。下手な上級堕天使など歯牙にもかけない価値。そしてそれからくるだろう、総督たち幹部の寵愛。
それをなしとげるために、自分の部隊の堕天使やはぐれ悪魔祓いと共に作戦を組んでいたその時だった。
「レイナーレさま。お客様がきやがりました」
そんな敬語というものを微妙に理解してない口調で、はぐれ悪魔祓いの1人が声を賭けてきた。
はぐれ悪魔祓いなどに礼儀作法など言っても無駄なのでスルーしているが、しかしこのしゃべり方はどうにかならないのだろうか。
などと思いながら、レイナーレは振り返った。
「誰かしら? 特に話は聞いてないけど」
いきなり言われて困ったことではあるが、イラつきはしない。
特に今回は、仕事を終えたので気が楽になっている。
あまりにもからかいがいのある男だった。見るからにスケベで童貞臭いので、純朴な美少女のふりをして演技をしたらあっさりと引っかかった。
その時のことを話したら、ほとんどのメンツが笑って会話が弾んだことを覚えている。
グリゴリの幹部に話しても好感触を取れるかもしれない。それ位には愉快な展開だった。
なので、レイナーレは機嫌がいい。
「なんでも、こっちの悪魔の監視役として派遣された、井草・ダウンフォールとかほざきやがってますね」
「そう言えば、そんなこと言ってたわね」
なぜか彼には知られないようにと言われていた。直接の上司曰く、「ターゲットの友人だから気に病むだろう」とのことだ。
少しだけ不機嫌になる。
あのハーフ如きに、そんな大任が負かされることも腹立たしい。同時に、あんなつまらない男をそんな風に扱うものが格上なのもむかつく。
上機嫌でいるのも隠さないといけない。勘付かれたらことだ。
「まあいいわ。ちょっと待ってなさい」
「あいあいまーむ」
いい加減な対応をするリムとか言ったそのはぐれ悪魔祓いに適当に対応しながら、レイナーレは表情を整える。
万が一にでも彼に状況が露見したらことだ。
あれを自分に移せ……などといわれたら困る。あれは、自分に移植するための力なのだから。
其のために直属の上司にすら黙って行動している。横から獲物を引っさらわれるのはごめんこうむりたかった。
そして、視界に入ったのは金のメッシュがはいった茶髪の青年。
外見年齢は自分より少し上といったところか。もっとも堕天使に外見年齢などあってないようなものだ。自分もかなりの年月生きているからよくわかる。
「初めまして。それで―」
「―単刀直入に言う。あんたには査問会に出てもらう」
その断言にレイナーレは凍り付いた。
今このタイミングでの査問会。それは非常に困る。
万が一にでもそろそろ来る予定の彼女とその神器が知られれば、自分の預かりにできなくなる可能性がある。
そうなれば、これまでの努力が水の泡になる。
「お、お待ちください! いったい何が―」
「止めの確認を怠り、リアス・グレモリーに戦力を提供させた失態が一つ。もう一つは、堕天使の面子を傷つけるような悪辣な暗殺方法の実行。……この二つで、あんた達とあんたを選んだ直属は降格もしくは解散の可能性がある」
心底苛立たし気な表情を浮かべて、その井草とかいうハーフは言い切った。
そして一瞬でレイナーレに詰めよると、にらみを利かせる。
「……友達を殺されて怒る資格は俺なんかにはないが、それでも介錯じゃなく弄んだのにはむかついてる。アザゼル総督もいい顔をしてなかったぞ」
その言葉の後半に、レイナーレは唖然となる。
規範的な天界での暮らしをすて、欲にまみれて人間たちを利用する堕天使。
その長であるアザゼルが、人間を弄んで殺した程度のことで不快になる?
まったく理解できない状況に周りの者たちが唖然とする中、井草ははっきりと告げた。
「グレモリーには俺から「手出し無用」って言っとく。だからさっさと荷物をまとめて待っていろ。殊勝にしとかないと心象が悪くなるぜ?」
そう言い放つと、井草はそのまま廃教会から出ていく。
それから数分間、レイナーレは頭の中が真っ白になっていた。
「で、俺はどうすれば上級悪魔になれるんでしょうか、部長」
イッセーは、主であるリアスにそう尋ねた。
本来なら「リアス様」と敬語をつけて呼ぶべき存在であるリアスだが、リアス自身が望んでいるのでここでは「部長」よびだ。
そう、兵藤一誠は悪魔だ。厳密には元人間の転生悪魔だ。
ほぼ死んでいたところをリアスに拾われ、転生悪魔になったと知らされたのはつい最近だ。
リアス本人としては自分自身の変化をちゃんと理解してから説明する予定だったらしい。それが、堕天使に介入されて強引な説明をすることになったそうだ。
「前にいきなり悪魔にした時、かなり動揺されたのよ」
と、同じ転生悪魔仲間である木場祐斗に視線を向けながら苦笑していた。
木場自身も苦笑しており、どうやら本当にあったことらしい。
で、その悪魔になったというのは素直に受け止められた。
なにせ、自分の体の変化はよくわかっている。
五感は鋭くなり、特に夜目が効くようになった。
身体能力も大幅に上がり、その手のことにははっきり言って勝てないと思っていた松田と同レベル。夜になれば活性化してさらにその上をいくほどだ。
なので納得はした。そしてちょっとはショックだった。
人間だったのがそうじゃないといわれたのだ。ショックの一つも受けるだろう。自分から悪魔になったわけじゃないんだからなおさらだ。
だが、そんなものはとっくの昔に吹っ飛んでいる。
なぜなら、上級悪魔になることをメリットを知ったからだ。
そもそもイッセーが転生悪魔になったのは、リアスが眷属悪魔を作る権利を持っているからだ。大前提としてそれがある。
そして、眷属悪魔はメリットとして出世することで上級悪魔を目指すことができる。
そして上級悪魔になれば、たとえ元が眷属悪魔で多種族だったとしても眷属悪魔を作れるようになる。
とどめに、上級悪魔が愛人を複数持つのは、珍しいことでも何でもないと来た。
必然的にすべてがつながり、兵藤一誠という男は一つの野望を燃え上がらせる。
ハーレム王になる。
もとからもてたいという苔の一念で、偏差値の高い駒王学園の高等部に入学した男だ。その煩悩はシャレにならないレベルである。
それでも、現実にモテることはあってもハーレムを作ることはあり得ないと思っていた。
そもそも日本は重婚できない。当たり前といえば当たり前だ。
だが、冥界の悪魔ならそれができる。合法的にハーレムを作ることができる。
眷属悪魔を女性だけにしているものもいるらしい。そういう趣味的なことができる者がいるということだ。
ゆえに乗り気だ。超乗り気だ。
それを可愛いものを見る目で見ながら、リアスはにこりと笑顔を浮かべる。
「まあ、数年間は我慢しなさい。こういうのは、レーティングゲームで決めるものだから」
「レーティングゲーム?」
聞きなれない単語だ。悪魔の社会の専門用語だろうか?
疑問に思うと、二大お姉さまの一人でありかつリアスの眷属悪魔の一人である姫島朱乃が、ニコニコ笑顔でお茶を入れながら答えてくれた。
「上級悪魔とその眷属が戦う仕合みたいなものですわ。実践訓練やエンターテイメントも兼ねておりますの」
なるほど。そういうものもあるのかと、イッセーは納得する。
ようは一流のスポーツ選手が高い年俸をもらうようなものか。普通に納得できる。
「リアスはまだ参加してませんが、将来的にはタイトルを取ることを夢にしてますのよ」
「わっかりました! 俺は新米ですけど、必ずそのための力になって見せます!!」
心からそう思って、イッセーはそう言い切った。
今はまだ大した役には立てないが、夢をかなえる方法が分かったこともあって、やる気だけはある。
死ぬところを救ってくれた大恩人で、憧れのお姉様でもあるのだ。そんな主の夢をかなえることもできずに、自分の夢をかなえられるわけがない。
だから、必ず力になって見せる。
そんな決意の言葉を聞いて、リアスはより笑みを深くした。
「ええ。貴方を眷属にして正解だったみたいね」
「ですね。下手に外見だけを取り繕うような人よりかは信用できそうです」
「……同感」
木場と、残りのメンバーでもある小猫がそう評価してくれる。
一年生のマスコットである小猫はともかく、正直言えば木場は毛嫌いしていた。
二年生のプリンスでもある木場祐斗は、もてない男からしてみれば嫉妬の根源だ。イッセーもまた、「一度豆腐の角に頭をぶつけろ」とか思ったことがある。
だが、こう評価をされて悪く思わないわけがない。
かつての覗きのせいでいまだに嫌われていることも多い身としては、結構身に染みる展開だ。
彼らの力になるのは当然だ。むしろ全力でやってやろう。
そんな決意を込めて、イッセーは気合を入れた。
……そして、ふと気が付いたことがある。
「そういえば、井草さんも部員なんですよね? あの人も悪魔なんですか?」
そういえばそうだ。
オカルト研究部の部員がことごとく悪魔なのだ。当然、井草も遊泳部員とは言え部員なのだからその可能性はある。
……その瞬間、空気が一変した。
全員に微妙な険の色が混じる。
「……イッセーくん。彼のことはできれば話さないでくれるかしら?」
特に嫌悪の感情を浮かべた朱乃が、そうたしなめる。
「彼みたいな人を好んではいけませんよ。イッセーくんには悪いですが、はっきり言って私達にとっては敵みたいなものです」
「て、敵ぃ?」
なんというか物騒な言い方に、イッセーは思いっきり戸惑う。
井草は確かにかつては浮いていたが、今ではクラスの人気者というか頼れる兄貴分だ。学園内で人気ランキングを作っても、それなりに高いところを狙えるはずだ。
それを敵とは、穏やかじゃない。
というより、自分たちの恩人をそんな風に言われるのはムッと来る。
「あの、朱乃さん。なんでそんなひどい言い方を―」
イッセーとしても少し文句を言いたくなって、そう強めにいおうとしたその時―
「―それについては、俺から説明するよ」
その言葉と共に、井草が入ってきた。
……背中から、4対の堕天使の翼を広げて。
レイナーレって、計画がうまくいっても絶対重宝されませんよね。コカビエルは有効利用すると思いますが、たぶんアザゼルはさっさと神器を摘出したうえで処罰してると思います。
それはともかく、ハーフながらもかなり高位の堕天使だった井草。ようやくイッセーにある程度の事情を説明できます。