混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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状況をややこしくしてしまうマッチメイク、スタート!









しかし幼馴染コンビのヘイトが予想以上に高くなって、実にどうしたものかと思案中。

井草による準強姦行為をプロローグで書いたら、井草のヘイトが高まりすぎて人が集まらなくなると思い、あえてできる限り公表を遅くし、井草が過去のトラウマを引きずりまくって悔やみまくっていることを描写。その後伊予と五十鈴の変わり果てた姿を出して井草のショックを演出。その結果、そんな風にしたと判断できるナイアルへのヘイトと、幼馴染を救いたいとする井草に対する共感でフォローを入れる作戦だったのです。ほんとだよ?

それが蓋を開けてみれば、井草がうじうじしまくっていると理由で別の意味で不満が出てきて、やれ止めになるかと不安になりながら過去を説明したらヘイトは出てこず同情意見が強いという想定外の流れ。とどめに幼馴染コンビのほうがヘイトされるというどうしてこうなった状態。

しかもこの話はヘイトが高まること確実の流れなので、実に困っております。フォロー描写はあえて入れない展開だったんだけどなぁ。


9話

 放たれる灼熱の奔流に、グレモリー眷属は拮抗していた。

 

 放たれる灼熱の奔流の火力は、最上級悪魔クラス。それがある程度の連射速度で放たれたことで、周囲は溶岩のように溶けていた。

 

 しかし、其れに拮抗するはグレモリー眷属。

 

 最大出力をチャージして放つリアスの消滅の魔力。

 

 攻撃力だけならコールブランドすら超えると称される、伝説の聖剣デュランダルを振るうゼノヴィア。

 

 合一化されたエクスカリバーすら打倒した、木場祐斗が振るう聖魔剣。

 

 そして、極めれば神すら止めれるといわれる、停止世界の邪眼を操るギャスパー・ヴラディ。

 

 その連携によって、放たれる攻撃をぎりぎりで相殺もしくはそらすことに成功していた。

 

 塔城小猫と姫島朱乃も上級を超える攻撃で反撃を行い、攻撃の密度を低下させる。

 

 そして、前衛を張るのはグレモリー眷属の要。

 

 赤龍帝の鎧を身にまとった兵藤一誠が、拳を握って殴り掛かる。

 

「邪魔をするんじゃねえ!!」

 

「ごめんごめん。でも、ナイアルさんから頼まれてるから、ちょっと無理かな」

 

 伊予の灼熱を纏った打撃を、龍のオーラを込めた打撃で相殺する。

 

 女王に昇格したうえでの殴り合いで戦いながら、しかしイッセーは苦戦していた。

 

 格闘の技量ならイッセーの方がうえだ。それほどまでに地獄の特訓をしてきたこともあるが、伊予の戦闘技術はそれほどでもない。

 

 だが、性能で大きく差が発生している。

 

 赤龍帝の鎧を身にまとったイッセーは、SSランクはぐれ悪魔の黒歌すら圧倒した。

 

 だが、目の前のクトゥグアイーツを身にまとった伊予は、単純性能でそれを凌いでいる。

 

 このままでは、地力の差で押し切られる。

 

 イッセーはそう確信し、そしてゆえに煩悩をもってして対抗する。

 

 洋服崩壊は使えない。イーツ状態では意味がないし、裸になっても意にも介さない人物なのはもう知っている。

 

 なら、やるべきことはただ一つ。

 

 あの地獄の夏休みの特訓で開眼した、もう一つの奥義。シトリーとのレーティングゲームで相手の作戦を底の底まで知り尽くした、新技。

 

 相手の乳と対話する、イッセーの煩悩奥義。名を、乳語翻訳(パイリンガル)

 

 今が、使う時だった。

 

「広がれ、俺の夢空間!!」

 

 その言葉共に乳語翻訳のフィールドが形成される。

 

 こうなれば、イッセーの質問に伊予が答えないなどということはできない。

 

 前代未聞の乳と会話する能力。そのアプローチゆえに、これまでの読心術対策など欠片も通用しない。理不尽極まりない空前絶後であってほしい変態技。

 

 これをもってして、イッセーは伊予の本音を聞き出したかった。

 

 井草の幼馴染を傷つけるのは本意ではない。できることなら、平和的に解決してほしいとすら思う。

 

 彼が語る伊予や五十鈴との思い出は、とてもきれいなものだった。語っているだけで、井草の表情は大切なものを語っていることがわかる顔になっていた。

 

 そんな人たちが、本当に悪に堕ちているなんて思いたくない。何か理由があるのなら、どうにかできるのなら、何とかしてやりたい。

 

 だからこそ、真っ先に質問することはひとつだ。

 

「アンタ、井草さんやナイアルってやつのことをどう思ってるんだ!?」

 

 ……その質問は、本心から重要だと思ったから聞いた。

 

 いやいやナイアルにしたがっているなら、演技で之を隠すことはできない。井草のことが大切なら、それを偽ることもできない。これはそういう技なのだ。

 

 だから、彼女の本音は余すことなく知れ渡る。

 

『うん。二人とも大好きだよ♪』

 

 ―しかし、それが常人の思考だとは限らない。

 

「……は?」

 

 その言葉に、イッセーは違和感を覚える。

 

 井草のこともナイアルのことも大好き。

 

 それは、矛盾しているのではないだろうか?

 

 なぜなら、井草のことが大好きなら、井草を傷つけるような真似を嬉々とした声でできるわけがない。

 

『井草君は、どこかカッコいいし、何か違うところがあった。私たちのことを大切に思ってくれて、守れる人になろうともしてくれた。彼と一緒なら、まだ見えない景色が見れると思ったの』

 

 そんな、夢見がちな少女の語る口調で、伊予の胸は井草を評価する。

 

「だったら―」

 

 イッセーは問い詰めようとするが、しかし旨の声はまだ続きがあった。

 

『でもナイアルさんと一緒にいるととっても楽しいの。今まで見たことない体験をさせてくれる。だから、私はナイアルさんのことがとっても大好きっ』

 

 ―その言葉に、イッセーは先ほどの言葉の裏の意味を察して寒気を感じる。

 

 行仁伊予は、まだ見ぬ景色を求めている。

 

 こことは違うどこかに行きたい。それは、日常に退屈しているものがよく考えることだ。

 

 中二病が生まれる理由の一つもそこにある。此処とは違う世界を求めながら、ここという世界にしか入れない。その不満が、特別な自分を作りたいという形になる。

 

 そして、伊予は確かにこことは違う世界を見たのだろう。

 

 そう―

 

『毎日可愛がってくれるナイアルさん。ナイアルさんが紹介してくれる男の人。ナイアルさんがくれた力で働いたあの戦場。血の色、悲鳴、スリル! あんな世界、初めて見た!!』

 

 ―ナイアルの悪によってだ。

 

 イッセーは、ヴァーリ達戦闘狂を理解できないといった。

 

 平和な日常と煩悩を愛するイッセーにとって、平和な日常を退屈として、命がけの戦いを楽しむヴァーリ達は理解できない。

 

 だが、其れも伊予に比べればまだましだ。

 

 ヴァーリと伊予のそれは似ているが、しかし根本から何かが違う。

 

 伊予は本心から、ナイアルに殺しやまくら商売の道具にされていることを望んでいる。その快楽や殺戮の快楽に、酔いしれている。

 

 それは平凡な日常とはまったく異なる世界。その意味では、伊予は確かに望み通りの世界に到達している。

 

 同時に、快楽に満ちた世界はイッセーにも理解できる。それはイッセーもまた望んでいる世界の一つだ。

 

 だから、イッセーには理解できない。

 

 自身の願望と似通った願いをかなえながら、自身の願望と正反対の願望を喜ぶその精神が、理解できない。

 

「あんたは……」

 

 イッセーは、それでも、もう一度だけ質問する。

 

 井草が信じた、井草が愛した、井草の大切な思い出が、穢されてないと信じたかった。

 

「アンタは! 今の生活が昔より良かったっていうのかよ!?」

 

 井草との日常が。

 

 両親のいる生活が。

 

 その平和な日常が。

 

 それだけの価値しかなかったのか。

 

 その言葉に―

 

『「うんっ! 私、今の毎日がとっても大好きっ♪」』

 

 彼女は、自身も本心も素直に答える。

 

「『退屈な日常を壊してくれた、ナイアルさんがくれた毎日が、本当に楽しいの!』」

 

 その、まごうことなく嘘偽りのない言葉に、イッセーは愕然となる。

 

 言葉だけならヴァーリも似たようなことを言っていたはずだ。だが、その言葉の質は何かが決定的に異なっている。

 

 悍ましい。恐ろしい。気持ち悪い。気味が悪い。

 

 そして、気づけばイッセーは乳語翻訳が使えなくなっていた。

 

「……な、なんで!?」

 

『落ち着け、相棒!!』

 

 ドライグが、イッセーを叱咤する。

 

『精神が動揺しただけだ! お前があの女の胸の内を聞きたくないと思ったがゆえに、胸の内を聞きたいという願望を形にする乳語翻訳が一時的に使えなくなった。それだけだ!!』

 

 そう。確かに、言葉にすればたったそれだけ。

 

 乳語翻訳は魔力運用法だ。そして、魔力はイメージで操作する。

 

 乳語翻訳はイッセーの煩悩を魔力で形にした者。それは、イッセーの本能がぼんのうを超えれば使えなくなる。

 

 だが、その事実はとても大きい。

 

 それはすなわち、イッセーが彼女を本心から拒絶したということなのだ。

 

 そんなイッセーはもう、彼女を人間とは思えない。

 

 あれを、同じ存在と扱えない。あれは、人間とも悪魔とも違う、化け物だ。

 

「…‥井草さん、俺、無理です……っ」

 

 イッセーは、呆然と本心をつぶやく。

 

 できることなら、伊予と五十鈴を救いたい。井草は確かにそういった。

 

 だが、その伊予の本心はあまりにも悍ましい。五十鈴の本心もこれに近いのかもしれない。

 

 なら、彼女達は―

 

「―本当に、救う価値があるんですか……!?」

 

「え? いらないよ?」

 

 そして、その絶望的な隙は伊予にとっての好機に他ならない。

 

 イッセーの動揺に気づいて、グレモリー眷属も動きがわずかに遅れる。そこを伊予は見逃さない。

 

「わたし、今が本当に幸せだから」

 

 その灼熱の砲撃が、赤龍帝を蹂躙した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デュリオ・ジュズアルドは、最強の転生天使である。

 

 転生天使である、御使い(ブレイヴ・セイント)は、通常トランプのセットになっている。

 

 四代天使がそれぞれトランプの柄の一種類を担当し、そこからAからQまでの十二人を保有。自身がKとして行動する。

 

 そして、それとは異なる独立した存在がジョーカー。

 

 代理としての存在も複数人候補がいるが、代理ではないデュリオはまさに特別な存在だった。

 

 その根幹ともいえる、神滅具、煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)

 

 その能力は、あらゆる属性を支配し、天候を自在に操る。

 

 広域殲滅ならば間違いなく最強。総合的にいても二番目に属する強大な神滅具だ。

 

 だが、そのデュリオはまさに苦戦を強いられている。

 

「そりゃまあ、天候操作は確かに凶悪だけどね?」

 

 五十鈴がそう言うのも当然だ。

 

 五十鈴に対抗するために、デュリオは全力を出そうとした。

 

 だが、属性攻撃だけでは倒しきれない。

 

 すさまじい身体能力と速度を発揮する五十鈴は、そのハストゥールイーツの能力を最大限に発揮して、ヒット&アウェイで打撃を叩き込む。

 

 デュリオの戦闘技術では、それをとらえきれない。

 

 ならば天候操作による広域攻撃で大雑把に殲滅するしかないのだが、それができない。

 

 天候が、操作できない。

 

「天候って、基本的に気流の影響を受けるじゃない? 雲とか気圧とか。そしてハストゥールイーツは気流を操作することができるの。つまり―」

 

 ―五十鈴がハストゥールイーツを使用しているときに、デュリオは天候操作を使用することができない。

 

 総合的に相性が悪い。少なくとも、デュリオが煌天雷獄を使用する場合に限っていえば、相性が絶望的に悪い。

 

 それでも、デュリオは対抗する方法があった。

 

 虹色の希望(スペランツァ・ボッラ・ディ・サポネ)。デュリオが編み出した、煌天雷獄の応用技。

 

 つい先ほど、ディオドラの眷属たちの大半を戦意喪失させるきっかけになったシャボン玉だ。

 

 能力は、シャボン玉に触れた者の忘れている大切なことと大切な物を思い出させる効果。攻撃力は一切ないが、それを補って余りあるほどの精神干渉能力がある。

 

 大切なことや大切なものを忘れて迷走しているものを説得する場合に限っていえば、これは自身の禁手すら超える。それを思い出せば、今までの愚行を反省するほかないのだから。

 

 そしてそれは既に発動し、そして五十鈴はすでにいくつも触れている。

 

 だが、五十鈴は一切意に介さず、戦闘を続行している。

 

「アンタのその能力、効かない相手がいくつかあるわ」

 

 そう告げながら、五十鈴は再び接近する。

 

「一つ。大切なものを失ったことで復讐する相手。その人が復讐を望んでいると思い込んでる相手や、やるべきことを重視する相手には効果はあるだろうけどね?」

 

 反撃の光力の矢を弾き飛ばして、ケリが叩き込まれる。

 

「だけど、「自分の中で区切りをつけるため」とかの「自分のため」に復讐する相手には意味がないの。そして、復讐ってのは本来「自分に絶望をあたえた相手に絶望を与え返す」ためにするものだから、たいていの「真の」とか付けれる復讐者には効果ないわよ、それ」

 

 そして気流が至近距離で叩き込まれ、デュリオは地面にたたきつけられる。

 

「他には、思い出す必要がない相手。殺しの快楽とか最初に相手を絶望に叩き落した瞬間とかを大切にしてる相手は、それを思い出しても悪行をやめたりしないわ。常に大切なものを心に持って、そのうえで行動している相手とかにも効かないわね」

 

 そして起き上がるより前にサッカーボールを叩き込むように蹴りが叩き込まれる。

 

 さらなる追撃を牽制しながら、デュリオはそれを痛感する。

 

 確かにそうだ、そういったろくでなしだって何人もいる。そんなことは知っている。

 

 だが、だがしかしだ。

 

「だったら、アンタは何番目なんだ!?」

 

 最大級の光力をはなちながら、デュリオはそう問いただす。

 

 それに対して、五十鈴は微笑んで答える。

 

「―一番最後よ。私は、大切なものを思い出したからこそ、悪党やってるんだっての!!」

 

 光力を真正面から言葉と共に蹴り壊し、五十鈴は最強の転生天使を圧倒した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この戦いの趨勢の原因は、偏に相性が悪かったことに由来する。

 

 もし、デュリオの相手が五十鈴ではなく伊予だったのなら。

 

 もし、イッセーの相手が伊予ではなく五十鈴だったのなら。

 

 井草・ダウンフォールの決意は、この時点で完遂できていたであろう。

 

 それほどまでに、この戦いは誰にとっても不幸な戦いだったのだ。

 

 井草にとっても。

 

 イッセーにとっても。

 

 デュリオにとっても。

 

 そして―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 伊予と五十鈴にとっても、不幸な戦いであった。

 




そんなわけで、マッチメイクが質の悪い展開。伊予と五十鈴のヘイトはこれで最底辺に行くこと間違いなしですな、トホホ……。









ですが、これは何というか「マッチメイクが悪い」につきます。

ネタバレになるので詳細は明かせませんが、さすがにこのままだといけないと思ったので本文でくわえましたがさらにあとがきでくわえます。

この戦い、マッチメイクが逆だったら井草の問題は一気に解決に向かっていました。逆にこのマッチメイクのせいで事態はさらにややこしくなります。井草はマッチメイクを恨んでいいです。

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