混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
そして、ディオドラに押し返された井草は、衝撃的な事実を前にどう出るのか。
あと、ディオドラは一体何のイーツとなったのか!!
井草は立ち上がりながら、すぐ近くに伊予と五十鈴がいることにも気が付いていた。
「イッセー、デュリオ! 相手を代わってもらっていいかな!?」
無謀なのはわかっている。
伊予と五十鈴は間違いなくこの場で最強格だ。それは間違いない。
EEレベル6,0。上位イーツであるアウターイーツ。そして、元龍王タンニーンの本気の一撃ですら耐えたその能力。
すべてが強敵であることを示している。井草の実力では一人相手でも勝ち目がない。
だが、それでもだ。
井草は、伊予と五十鈴にかかわる問題で、自分が前線に立ちたいと願っていた。
今でも、あの時の思い出は宝物だ。
取り返せないだろう。それでも、せめて少しぐらいその時に近づきたい。
元通りにはならないだろう。それだけのことをされた。それだけのことをしてしまった。でも、少しぐらい修繕できるかもしれない。
その気持ちをばねに、井草は立ち上がり―
「―いや、駄目だね」
まっさきにデュリオがその手をつかんでとめ、
「―井草さん。この人たちはもうだめです」
イッセーも、井草を二人に近づかせないように割って入る。
その行動に、井草は薄ら寒いものを感じる。
デュリオはわからないが、イッセーはこちらの事情を理解してこんなことをしたがる類ではない。デュリオにしても、大切なものを取り戻したいという願いをむげにする類ではないだろう。
その二人が、あえてこんな態度をとる。
その嫌な予感は、2人があえてわからせる。
「あの五十鈴って子は、大切なものがあるからこそ悪事をしてると言って、実際俺の
「伊予って人もそうです。あの人の胸の内を聞いたけど、正直もう聞きたくないです。あの人、何かが終わってる!」
2人とも、嫌悪の感情を隠しきれていない。
それはつまり、井草にとって認めがたいだろうその言葉が、事実であることを示している。
そして、それを肯定するかのように五十鈴も伊予も胸を張る。
「ええ。私は大切な思い出が胸にあるからこそ、こう生きてる。……そこに嘘は全くないわね」
「この生活はすっごく楽しいの。だから、邪魔しないでくれると嬉しいかな?」
その言葉に、事情を把握したリアスたちは絶句する。
そして、デュリオとイッセーは、苦虫をかみつぶした表情を浮かべる。
事情をどれだけ知っているかの度合いはあれど、誰もが井草のことを心配していた。
それほどまでの事実だ。井草の心をへし折ったとしてもおかしくない。
そして、その反応に井草は―
「―それでもだ」
静かに、イッセーとデュリオを振り払って一歩を踏み出す。
その目には決意の色がある。その足には覚悟を感じさせる音がある。その動きには、願いがこもっている。
そもそも、井草はその可能性を考慮していた。
あそこ迄変わり果てた姿を冥界で見せつけられて、希望的観測を抱くことはできない。堕天使としての仕事の間で、後戻りする気もないほど堕ちた者も見てきた。そんな現実は痛いほど理解している。
だけど、
それでも、
そうだとしても。
「俺は、2人を止めたいと願った。できることなら救いたいと思った」
一瞬だけ目を伏せ、そして井草はまっすぐ五十鈴と伊予を見つめる。
その目に、最早絶望はない。
「救えなくても、これ以上間違えさせたりはしない。俺が、命に代えても止める!!」
その言葉に、嘘偽りなど欠片もない。
最悪の事態は覚悟している。もしそうするほかないとしても、井草はできれば自分の手でしたいと思っていた。
大切だから。傷つけたから。そして、譲れない思いがあるから。
想定できていた可能性程度で、それが折れることなどありえない。
「……覚悟はある。俺は、君たちを殺してでも止めて見せる!!」
その言葉に、五十鈴は戦意を一瞬やわらげた。
「……なんていうか、成長したわね、井草」
そこには確かないたわりがあった。
そして、伊予もまた一瞬だけだがその井草に見とれてしまう。
「……うん。前よりかっこよくなった」
そして、井草は二人の反応に苦笑で返す。
「ま、以前の俺は準中二病の馬鹿だったからね。大人になったって言ってくれていいよ?」
その雰囲気に、イッセー達は手出ししづらくなってしまう。
そこには通じ合う者たちだけの何かがあった。時がたっても変わらない何かがあった。立場が変わっても壊れない何かがあった。
確かに、井草たち三人はかけがえのない仲だったと、誰もが一瞬で理解する何かが残されていた。
だが、それはとてつもなく歪んだものでもある。
伊予は喜びを全身で表しながら、しかし全身から灼熱の前兆を生み出して構える。
「じゃあ、そろそろ始めようか?」
その言葉に、井草は構え―
「いや、帰るわよ伊予」
―唐突にそういった五十鈴によって、瞬間的に高まった全員の戦意が霧散する。
ノリのいい面子の中には、本気で脱力してこけるものまでいる始末だ。
なんというか、空気が読めてない。
「お前ら!! 僕の援護じゃなかったのか!?」
ディオドラがそう文句を言うが、しかし五十鈴は取り合わない。
と、言うか無視した。
すでにその視線は伊予にだけ向いており、相手をする気が全くない。
「ほら、私は赤龍帝の変態技の被害に合いたくないし、伊予もあのシャボン玉は喰らわない方がいいからね? ナイアルも魔王と総督の冥界トップコンビで手こずってるみたいだし、そっちの援護に行くわよ」
「え!? ナイアルさん苦戦しているの!? じゃ、じゃあ助けに行かないと!!」
伊予も一瞬でその方向に意識が傾くと、井草の方に向いて頭を軽く下げる。
「な、なんかごめんね? バイバイ!」
五十鈴も、井草に片手を立てながら首を軽く下げた。
「じゃあ、なんか悪いけど撤収するわ。じゃあね」
そして、一気に飛び去って行った。
沈黙が、響いた。
そして、井草たちは視線をディオドラに向ける。
ディオドラが一瞬たじろぐほどに集中していた。
当然の話だが、ディオドラの悪事はすでに知れ渡っている。
井草たち襲撃組はそもそもその事実を発見した側だ。そして、イッセーたちもその井草たちからの情報をアザゼルを経由して知っている。とどめに、襲撃組に至ってはアーシアがショックを受けている姿を目撃している。
「……一応聞くけど、アーシアちゃんの一件、君の計画かい?」
全員を代表して、井草がそう問いただす。
そして、ディオドラはその顔をゆがめた。
「まあね。内通していたシャルバ達が教えてくれたんだよ。アーシアの神器の情報をね」
―その言葉に、全員の殺意が一気に高まる。
「……そして、アーシアを追放させるためにわざと怪我をして治させたの?」
リアスが、美少女がしてはいけない表情を浮かべながら、大声を出すことすら忘れて詰問する。
これまた、ディオドラは苦労したといわんばかりの顔をして胸を張る。
「まあね。傷跡が残ったのは残念だけど、これまでにない獲物だったから、まあ必要経費と判断したよ」
全員の怒りのボルテージが、一段階上昇した。
「だったら、なんでアーシアをそのままにしたんだ! そのせいでアーシアはレイナーレに―」
「その後助けるつもりだったんだよ。そうすればアーシアは僕に夢中になってくれると思ったのさ。君たちが邪魔してくれなければ、こんな面倒なことにはならなかったのに、迷惑してるよ」
むしろ怒るのはこちらの側だといわんばかりのディオドラの態度に、全員が無言で判決を負える。
死刑、もしくは半死半生。無罪判決は無し。
その決定が暗黙の了解でなされた瞬間、イッセーは飛び出した。
そして、井草がそれに気づいて声を上げる。
「あ、イッセー気を付けて!!」
その言葉とほぼ同時に、ディオドラは魔力を集中させる。
「笑わせるなよ、下賤な下級悪魔が!!」
そして、イッセーもまたドラゴンショットをはなつ。
「ドーピングだよりで粋がってんじゃねえ!!」
その二つの砲撃はぶつかり合い、そして、大爆発を起こす。
威力は互角。だが、それでイッセーは間合いを詰める。
すでに怒りは限界だ。殺していいともアザゼルにいわれている以上、勢い余って殺してしまう可能性もある。
レーティングゲームが始まる前に、イッセーはアーシアと話をした。
アーシアは、ディオドラを治したことを後悔していないといった。
それを、ディオドラは自分自身の手で穢したのだ。
アーシアは、イッセー達と離れる気がないといった。
だから、イッセーはアーシアを守ると決めた。
目の前のディオドラを、許す理由は何処にもない。
「俺たちのアーシアに、手を出すんじゃねええええええええ!!!」
そして、間合いに入ったイッセーは即座に拳を振り抜き―
「やだね! あんな最高の獲物は初めてなんだ」
ディオドラが形成した魔力結界に、拳を受け止められる。
そしてその瞬間、いくつもの魔力の矢じりがイッセーの鎧に突き刺さる。
その全てが装甲の厚い部分。意図的に狙ってなければ不可能な攻撃方法だ。
そして、その攻撃は確かに通用していた。
「ぐぁっ!」
思わずうめくイッセーを見下し、ディオドラは吠える。
「オーフィスの蛇とデビルイーツの力があれば、僕は最上級悪魔クラスだ!! お前ごときが相手にできる存在じゃないんだよ!!」
そして顔面にディオドラの手が突き出した時、イッセーは気づく。
ディオドラは、井草と戦っていた。
そして、井草を弾き飛ばしていた。
つまり、ディオドラは相当に強化されている。
そこ迄気づき、イッセーはディオドラが想像以上に強くなっていることを理解し―
「……それがどうしたぁ!!」
放たれた砲撃を無理やり突っ切り、そのまま渾身の頭突きをディオドラに叩き込んだ。
鈍い音が響き、ディオドラが鼻血を出す。
そしてその痛みにディオドラが隙を見せた瞬間に、イッセーはさらに拳を連続で叩き込んだ。
「俺の!」
悪魔を治して追放されても、信仰を捨てなかったアーシアを、
「俺たちの!」
オカルト研究部での生活が大事だといったアーシアを、
「大事なアーシアを傷つけて!!」
その彼女を悲しませた目の前の男がどれだけ強かろうと―
「その程度の強さで逃げれると―」
―天龍の逆鱗を踏み抜くには、程遠い。
「―思ってるんじゃねえだろうなぁ!?」
目まぐるしい連撃を叩き込まれ、ディオドラは全身を血まみれにして地面にたたきつけられる。
「が、がぁああああ!?」
激痛にもだえ苦しむディオドラは、信じられないといった顔でイッセーを見る。
「嘘だ!? あり得ない!? アガレスを倒したんだぞ、僕は!! 無能のサイラオーグにも勝てる性能なんだぞ!? 煩わしいビルデよりも強力なイーツになったんだぞ!?」
全身からを血を垂れ流しながら、ディオドラは両手を構える。
渾身の出力の魔力が結集し、イッセーを吹きとばそうと狙いが付けられる。
「その僕が、情愛の深いグレモリーの愚か者の眷属なんかに負けるわけがない!!」
その言葉を無視して、イッセーもまた魔力を込める。
渾身のドラゴンショットの発射体制が整い、そして向けられる。
「この、人間崩れの下賤な紛い物が―」
「この、見下げ果てたクソッタレ悪魔が―」
お互いに殺意と怒りを込め、そしてさらに魔力が高まり―
「この僕を見下すなぁあああああああああ!!!」
「アーシアに近づくなぁあああああああああ!!!」
全力の叫びと共に、同時に砲撃をはなつ。
その砲撃は拮抗し、しかしディオドラがわずかに競り勝ち始める。
当然だ。兵藤一誠という男は、魔力の扱いが増えてなのだ。その手の勝負では子供の悪魔にも負けるところがある。
腐ってもディオドラは上級悪魔の血を引くもの。それが、エボリューションエキスによって強化されている。
魔力による戦いなら、ディオドラがわずかに有利だった。
「どうだ!? 下賤な下級悪魔が! この僕を、魔力でどうこうできるわけがないだろうが!!」
その事実に勝利を確信し、そしてディオドラは吠える。
しかし、徐々に競り負けているのにもかかわらずイッセーは動揺を一切見せていなかった。
「なあ、ディオドラ。お前大事なことを忘れてるぜ」
と、言うより心底あきれ果てていた。
そして、それにディオドラが首を傾げようとしたその時―
「―あなた、喧嘩を売った数すらわかってないようね」
―リアスの、その凛とした言葉に、ディオドラは凍り付いた。
気づけば、周囲には大量のオーラが集められている。
聖なるオーラ。魔力。光力。雷光。種類は様々だが、しかし一つだけ断言できることがある。
そのどれもが、間違いなく若手の範囲内では規格外というべきレベルだった。
そして、そのオーラを構える誰もが、ディオドラに対して怒りを抱いていた。
その彼ら彼女らの気持ちを代表し、リアスは告げる。
「……殺さない程度に手加減するけど、死んでも恨まないことね。あなたには資格もないのだから……っ」
その瞬間、一斉に放たれた砲撃が、ディオドラを四方八方から滅多打ちにした。
本来なら、伊予と五十鈴はホーリー編が出てからウロボロス偏まで出番なしにするつもりでした。
……が、あまりに想定外レベルでヘイトがたまっているので、現在予定の変更を考慮しています。
こうなれば、事態解決を神だのみする勢いで挑みます。ええ、半分自棄ですが、予定を変更してラグナロク編で五十鈴の方を大幅にテコ入れします。
あと、ナイアルのデフォルトイーツであるクイーンアントイーツの能力はいろいろあります。そのうち一つはある漫画からとっており、それがわかると2人への同情レベルが少しは上がるかも?
それはそれとして本編のあとがき。
ディオドラは強化されてましたが、それ以上に多勢に無勢でした。
流石に章ボスはイレギュラーズでやったので、今回は中ボスです。
ここまでくれば、章ボスが誰かなどということは確定だと思いました?
いえいえ、今回はかなり盛りますです。