混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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色んな意味で敵の猛攻撃の回となります。









それはそれとして平均評価が4すら下回ったこの窮地!

この作品をお気に入りに登録してくださっている方々! どうか、この窮地を乗り越えるために平均より上の評価を! なにとぞ、なにとぞ!!



14話

 

 

 放たれる大量の魔力弾は、一発一発がリアスたちを殺すのに十分すぎる威力だった。

 

 魔王ベルゼブブの血を受けつぎしシャルバ・ベルゼブブ。彼はオーフィスの蛇を取り込んだことで、初代ベルゼブブと同等レベルにまでその能力を強化していた。

 

 カテレアやクルゼレイも同等の能力であることは間違いない。そして、更にエボリューションエキスによってイーツ化している三人の戦闘能力はさらに上を行くだろう。

 

 その死中に対して、しかし生き残る可能性は残っている。

 

「……間に合ったぁ!!」

 

 ボロボロになっていたデュリオが、滑り込むようにその弾幕の中に入り込む。

 

 そして弾幕がリアスたちに当たるよりも早く、あらゆる力がその弾幕と激突した。

 

 厚さ数メートルはある氷の壁。鉄すら一瞬で溶解させる熱量の炎のカーテン。さらに台風を思わせるほどの半径の竜巻。

 

 それらすべてが弾幕を迎撃し、そしてお互いに相殺する。

 

 その光景にリアスたちが驚くと同時に、シャルバたちも舌打ちを返す。

 

「足止めは突破されたか! 忌まわしい天使擬きの分際で!!」

 

 それに激昂したクルゼレイが、素早く魔力砲撃を叩き込む。

 

 だが、それを見逃すほどリアスたちも愚かではない。

 

「させると思って!!」

 

「やらせるものか!!」

 

 リアスの消滅の魔力とゼノヴィアのデュランダルのオーラ。

 

 若手悪魔の次元ではない、絶大な威力の攻撃が二つ。それが抜き打ちだったことも幸いして、クルゼレイの攻撃とぶつかり、打ち消し合った。

 

 そして、そこからの追撃は井草たちの方が早い。

 

「イッセー! まずはカテレアをつぶすよ!!」

 

「了解!! 広がれ、俺の夢空間―」

 

 井草と共に突撃したイッセーが、素早く乳語翻訳の体勢をとる。

 

 乳語翻訳を発動させれば、カテレアの行動を先読みできる。カテレアも読心術対策ぐらいはしているだろうが、アプローチが全く異なるイッセーの乳語翻訳を防げるとは思えない。そこに井草がサポートをおこなえば、抑えることは不可能ではない。

 

 だがしかし、そんなことは敵も理解しているのだ。

 

「薄汚い転生悪魔の蜥蜴風情が!! 俺のカテレアに何をするか!!」

 

 激昂したクルゼレイが割って入り、目にもとまらぬ速度でイッセーを殴り飛ばす。

 

 そして、カバーに入ろうとした井草を蹴り飛ばし、即座にイッセーに連続攻撃を叩き込んだ。

 

「下賤な! 虫けらが! 俺の! カテレアに! あの! ふざけた! 気持ち悪い! 技を! 使おうと! するな!!」

 

「ぐぉおおおおお!? な、なんかごめんなさい!!」

 

 どうやら、クルゼレイとカテレアはできていたらしい。

 

 イッセーも流石に謝ってしまう。

 

 なにせ、オカルト研究部でNTRはご法度だ。もとより悪趣味なうえに、井草の件もある。

 

 その反応にクルゼレイは一瞬戸惑うが、しかしすぐに両手に魔力を展開した。

 

「ならば死ぬがいい! 貴様らの後にサーゼクスたちも送ってやる!!」

 

「そうはいかない!!」

 

「やらせないわよ、アーメン!!」

 

 聖魔剣を引き抜いた祐斗と光を剣にしたイリナが、イッセーをカバーするために割って入る。

 

 それを翼まで使って迎撃しながら、クルゼレイは即座に声を飛ばした。

 

「カテレア! シャルバのカバーを!!」

 

「わかっています!!」

 

 その言葉と共に、カテレアは魔力を最大限に高める。

 

 そして龍の形をとった魔力が、デュリオを弾き飛ばした。

 

「うぉ!?」

 

「デュリオさん!? 大丈夫なのです―」

 

「遅い!!」

 

 最強戦力であるデュリオが弾き飛ばされたことに気を取られたニングが、シャルバによって弾き飛ばされる。

 

 其のまま数十メートルは吹き飛ぶニングを目で見送りながら、シャルバは一瞬怪訝な反応を示した。

 

「今の魔力防壁の感覚は……まさかな」

 

 すぐに気持ちを切り替えるシャルバだが、しかし一瞬のスキができる。

 

 そして、その隙を逃さず光の刃がその頬を浅く切り裂いた。

 

「くそ! 流石魔王の末裔でやがりますなぁ!!」

 

 剣豪の腕によって強化された光の剣は、最上級悪魔クラスにも傷をつける。急所にあてれば形勢を変えることができるだろう。

 

 リムはそう思ったからこそ、この攻撃にすべてをかけて渾身の一撃を叩き込んだ。そしてそれは命中した。

 

 だが、しかし。いまのシャルバは文字通り魔王クラス。悪魔の中でも上位十指に入るだろう、最強クラスの実力者。その上、イーツによって性能がさらに高まっている。

 

 そんな彼を倒すのに、最上級クラスに届く程度の攻撃はあまりに軽かった。

 

 そして、それはシャルバの怒りを買うのには、あまりにも十分すぎた。

 

「この、下賤な人間ごときがぁ!!」

 

「がっはっ!?」

 

 鳩尾にケリが叩き込まれ、リムが弾き飛ばされる。

 

 そして、額に青筋迄浮かべたシャルバは、苛立ち紛れに何かの道具を展開する。

 

「この偉大なるベルゼブブの末裔に傷をつけおってぇ! 貴様は楽には殺さん、次元の狭間の無にあてられ、消え去るがいい!!」

 

「……リム先輩!」

 

「リム!」

 

 小猫と朱乃がカバーに入ろうとするが、大量に展開された魔力の蠅がそれを妨害する。

 

 そして、シャルバが機械を操作すると、かろうじて立ち上がったリムの周囲を光が包む。

 

「「…リム!?」」

 

 リムは立ち上がれているが、しかし動ける余裕がない。そして、井草もニングも間に合う距離にいない。

 

 そして光は柱になり―

 

「―リムさん!!」

 

 ―リムを突き飛ばしたアーシアと共に、跡形もなく、消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方そのころ、クーデター政権による放送は、各地に届いていた。

 

 そのカメラの群れを真正面から見つめ、クーデターの首謀者であるビルデは、軽く一礼ののちに言葉を紡ぐ

 

「―諸君。悪魔とは、なんだ?」

 

 その質問を吟味させるためか、ビルデは十数秒の間沈黙する。

 

 やがて時間は十分だと判断し、再び口を開いた。

 

「私はこう思う。悪である魔性だ」

 

 そして、自分をまっすぐに見つめる悪魔たちに微笑を向ける。

 

「自身の我欲のために他者を利用する。其れこそが悪魔だ。そういう意味では、人間と極めて近い存在だ」

 

 悪であるということ。其れこそが悪魔の存在意義。

 

 ビルデはそう言い切る。其れこそが悪魔だと。

 

「しかし、その悪魔は今、生ぬるい存在へと変わっていっている。……ほかでもない、悪魔の資格無きサーゼクス・ルシファーによってだ」

 

 堂々と、彼はサーゼクス・ルシファーを否定する。

 

 そして、怒りを示すかのように拳を握り締めて、震わせた。

 

「己が我欲のために悪をなす存在こそが悪魔にもかかわらず、悪魔の王となった彼奴らは、他の勢力のために、悪魔全体の活動を阻害しようとしている。……断言しよう、これが愚行でなくて何だという!!」

 

 檄を飛ばし、彼はサーゼクスを非難する。

 

「彼奴は悪魔という種の存続のためだというが、彼奴がしたことは転生悪魔などという紛い物を作って数を誤魔化しただけだ。より強大な力を持つ駒を作り上げ、それにより本来の悪魔を強化するという手段をとる選択肢を、あの男たちは自ら捨てたのだ!! その証拠は、ここにある!!」

 

 そして、彼は一つの駒を取り出すと、良く見えるように前に出す。

 

「これは(キング)悪魔の駒(イーヴィル・ピース)。一定以上の実力者が使用すると死ぬという欠点こそあるが、使用したものの力を絶大的に強化する、彼奴等が秘匿した悪魔の駒である。つい先日、我々はこれの製造に成功した」

 

 それは、冥界の最大級の秘匿事項。

 

 四大魔王が危険性を考慮して、秘匿を決定した禁忌を、ビルデははっきりと示して見せたのだ。

 

「これがあれば、我らは天使などと同盟する必要はなかった。他種族を紛い物の悪魔にし、彼らに権利を与える必要もなかったのだ!!」

 

 そう言い切り、ビルデはさらに告げる。

 

「転生悪魔を妬んだことはないか? 偽物が権利を得ているのを見て、力なき己を悔やんだことはないか?」

 

 それは、転生悪魔よりも下の地位につけられている悪魔への勧誘だった。

 

「求めたことはないか? 下等種族を力によって迫害し、暴力という美酒をたしなみたいと思ったことはないか?」

 

 それは、自分と異なるものを排斥したいという欲望を持つものへの勧誘だった。

 

「否定するな。認めていいのだ。悪魔、人間、獣人、堕天使。人種にかかわらず、知的生命体とは他者と自己を比較し、他者が自分より劣ることに愉悦を感じる生き物だ。……私は、それを肯定しよう」

 

 そして、ビルデは声を張り上げた。

 

「我々は、悪をなす!! ムートロンと共に虐げられるものを作り、そして君たちを、この王の駒とその技術で作られし悪魔のための悪魔の駒、さらにはエボリューションエキスによって、彼らを虐げるに足る力を君たちに与えることを誓おう!!」

 

 そして、笑みを浮かべると彼は手を差し伸べる。

 

 同時に彼の後ろの幕が開かれる。

 

 そこにあったのは、数百メートルを超える、結晶物の塊。

 

 そして、ビルデは断言した。

 

「これはムートロン先遣艦隊がアステロイドベルトから回収した、悪魔の駒を構成する結晶体と同種の隕石だ。……今いる悪魔たちに駒を提供する分には問題ない」

 

 そして誘うような笑みを浮かべ、ビルデは告げた。

 

「我欲のために悪をなそう。我々大魔王派は、魔王血族の了承のもと、私を長として虐げられる者たちを作るために全力を尽くすことを誓う」

 

 そして、その言葉と共に、三人の少年少女が立ち並ぶ。

 

 彼らは、ビルデの眷属である戦車と僧侶と騎士だった。

 

 そして彼らを誇らしげに見てから、ビルデははっきりと言い切った。

 

「改めて、紹介しよう。彼らは私を悪魔の王になるものと認めた、旧魔王の血族たちだ」

 

 ―その言葉に、映像を見ていた者たちは皆が目を見開いた。

 

 そして同時に、証拠となる遺伝子情報が映し出され、それが事実であることが判明する。

 

「……私、ラウバレル・アスモデウスが用意しよう。王の駒を得ることができぬものにも、弱者を虐げるための力を」

 

「……私、ディナ・レヴィアタンが認めるわ。悪をなし、善を忌避するあなた達こそが悪魔であると」

 

「……俺、オギア・ベルゼブブが許すぜ? 弱者を蹂躙し、好き勝手に奪って暮らす生活を送ることをな」

 

 彼ら魔王末裔を配下にした、ビルデは確かなカリスマ性を得た。

 

 そう、彼はもはや、グラシャラボラスの器に収まる男ではない。

 

 彼こそは、真なる悪魔の王を僭称する、新たなる勢力の長―

 

「私は、ビルデ・グラシャラボラス・サタンはここに宣言する。我ら大魔王派こそが、真なる悪魔の組織であると!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このクーデターにより、悪魔は正真正銘二分された。

 

 同時に、各地域でムートロンの舞台とムー同盟の軍隊が襲来。各地をカバーし、新魔王派の者たちは追いやられる。

 

 多くの悪魔たちが堕天使側に疎開する中、ついに禍の団との戦いはより激しくなっていく。

 

 ビルデ・グラシャラボラス・サタンによる、冥界政府へのクーデターは、旧魔王派を取り込んだことで大成功を収めたのだ。

 

 新魔王派と大魔王派の数的比率は、5対6。旧魔王派の数を取り込んだことで、正真正銘大魔王派は主流派となった。

 

 ここから、冥界は再び争いに包まれた混沌の時代を迎えることとなったのだった。

 




と、いうわけでビルデによる大魔王派結成宣言。

そしてビルデの眷属の内三名の真の名は、私の作品で結構定番ネタであるオリジナルの旧魔王血族でした。

名前の由来はシャルバたち公式の旧魔王末裔と同じ名前の元ネタを、組み合わせを変えただけです。原作者からはガンダムネタをよく使うから、二次創作のオリキャラでガンダムネタはあまり使わないでほしいという話があった気もします……が、この方向性なら出ないと判断しました。

ビルデの配下になった理由はそれぞれ微妙に違いますが、ビルデを自分たちの上にすることに否はない奴らです。しかもそれぞれ方向性は違いますが、ヴァーリが相手でも一対一なら覇龍さえ使われなければ対抗手段がある猛者です。

戦車の片割れと女王も、とんでもない奴なのでお楽しみに。

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