混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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覇龍覚醒の前段階になったイッセー。

この異常事態、どうしのぐ!?


15話

 

 ビルデがクーデターを成功させたそのころ、井草たちは皆が目を疑っていた。

 

 光に包まれ、消え去ったアーシアの姿を探してしまう。

 

「……アーシ、ア?」

 

 アーシアに突き飛ばされて光の柱から逃れたリムが、呆然とつぶやく。

 

 彼女は、アーシアを助けに来たのだ。そして、実際に助けたのだ。そのはずだったのだ。

 

 そのアーシアが、リムをかばって光に消えた。

 

 その事実にリムが呆然と立つ中、しかしカバー委はいる者はいる。

 

「リム! しっかりするのです、敵は減っていないのです!!」

 

「しっかりするんだ、リム!!」

 

 ニングと井草は、ぎりぎりでカバーに入ることに成功した。

 

 そして、シャルバたちも追撃してこないのには理由がある。

 

「しっかりするんだ! まだこいつらは退く気はない!」

 

「クッ! この、天使擬きが……っ!」

 

「下がれカテレア! ここは私が!」

 

 デュリオがあらゆる属性の攻撃を乱れ撃ちにすることで、何とかカテレア達を押しとどめているからこそ、何とかアーシア以外はいま無事なのだ。

 

 だが、リアスたちは呆然となって動けない。

 

 無理もない。彼女たちの多くは、味方との死別をろくに経験していないのだろう。

 

 伊予と五十鈴の件で精神が鍛えられている井草は何とか戦意を忘れていないが、ここにきてリアスたちの実戦経験の質が問題になった。

 

 地獄のごとき戦いを潜り抜けたり、はぐれ悪魔の撃破などを行っていたリアスたちだが、しかし味方との死別の経験はろくにない。

 

 ゆえに、致命的な隙をさらしてしまっている。

 

「………アーシア?」

 

 とくに、イッセーの衝撃が大きい。

 

 当然だ。この中でも一二を争うほどにアーシアを溺愛していたのだから。

 

 そして、もっとも精神が一般人に近い。争いの経験が一番少ないのもイッセーだった。

 

 ゆえにこそ、その衝撃は非常に大きいのだ。

 

 そして、そのイッセーに、攻撃から逃れたシャルバが愉悦交じりに見下ろす。

 

「下劣なる転生悪魔と汚物同然のドラゴン。二つを掛け合わせるなど、グレモリーの姫君は趣味が悪い」

 

 そして、呆然としているイッセーに、シャルバの嘲笑が届く。

 

「そこの赤い汚物。あの娘は次元の彼方に飛ばした。すでに次元の狭間の「無」にあてられて消えているだろう。……わかりやすくいってやる、死んだのだ」

 

 その言葉に、イッセーの動きはぴたりと止まる。

 

 そしてその瞬間、ぎょろりと、イッセーは首を曲げてシャルバに視線を向けた。

 

 そしてその時、突然ドライグが言葉を発する。

 

『リアス・グレモリー。すぐに全員を連れてこの場を離れろ。死にたくなければ急いで退去した方がいい』

 

 その言葉に背を押されたかのように、イッセーは立ち上がると体を震わせ始める。

 

 そして、怒りに燃えているかのような、それでいてあきれ果てたかのようなドライグの声が響いた。

 

『そこの悪魔よ。シャルバとかいったか? おまえは―』

 

 あまりに無機質で無味無臭な声が、イッセーの口からこぼれる。

 

『―選択を、間違えた』

 

 その瞬間、圧倒的な力としか形容の余地がないオーラが、イッセーからあふれ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 井草は、その瞬間に何が起こっているのかを悟った。

 

 なぜから、ヴァーリに対抗するために念のために映像資料を見ていたのだ。具体的には、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)の発動映像を。

 

『我、目覚めるは―』

 

〈はじまったよ〉〈始まってしまうね〉

 

 詠唱と共に、老若男女の声が響く。

 

 ここまで似通っているとは思わなかったが、これで確信できた。

 

 間違いない、イッセーは衝動的に覇龍を発動させようとしている。

 

『覇の理を神より奪いし二天龍なり―』

 

〈いつだって、そうでした〉〈そうじゃな、いつだってそうだった〉

 

 このままではイッセーは暴走する。それも、寿命を高速で消費して。

 

 そもそもイッセーはそれをなせるだけの実力を身に着けていない。下手をすれば一万年を超える悪魔の寿命を一瞬で消費してしまうかもしれない。

 

 だが、どうすればいい?

 

『無限を嗤い、夢幻を憂う』

 

〈世界が求めるのは―〉〈世界が否定するのは―〉

 

 何かが必要だ。イッセーを正気に引き戻すだけの何かが。

 

 しかし、あれだけの状態のイッセーを正気に戻せる何かなど―

 

『我、赤き龍の覇王と成りて―』

 

〈いつだって、力でした〉〈いつだって、愛だった〉

 

 いや駄目だこれはいくらなんでもしかし本当にこの状況はまずいだけどやっぱり人としていけないというか本当に成功したらそれはそれでショックを受けるというかでもそれぐらいしか今のイッセーの気をそらせるようなものはないしいやでもしかしだけどそれでも―

 

「「「「「「「「「「―――汝を紅蓮の煉獄に沈めよう―――」」」」」」」」」」」

 

「ああもう時間がないリアスちゃんゴメン!!」

 

「え?」

 

 井草は決断するとリアスの胸元の服を破いてから速攻で駆け出してイッセーの後頭部にたたきつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぉおおおおおおおおっぱいがいっぱいでアーシアがおっぱいでいなくてとりあえずあいつ殺しておっぱい!! ………あれ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分で試しておいてなんだが、成功したことが実に悲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセー。やっといてなんだけどないよ、それ、無い」

 

「い、井草さん!? 俺どうなってるんですか!? っていうかアーシアは大丈夫なんですか!?」

 

 複雑な感情をもろに浮かべる井草に、イッセーはパニックを起こしながらも質問する。

 

 しかし、イッセーはおっぱいの感触をしっかりと理解している。鼻血がだらだらと流れているのがその証拠だ。

 

 同時にアーシアがほぼ確実に死んだことも理解しているのか、涙もボロボロと流している。

 

 単純明快に言おう。この男、本能が変化球すぎる。

 

 よく自分は、このど変態おっぱいマニアを更生できたなぁ。そんな感想を一瞬抱き、井草はすぐに我に返った。

 

 今は、そんなことを気にしている場合ではない。

 

「………? ………なんだ?」

 

 あまりの急展開に、シャルバはぽかんとしている。

 

「カテレア。あれが、本当に今代の赤龍帝なのか?」

 

「ええ。残念なのは知っていましたが、まさかここまでとは……」

 

 クルゼレイの質問に、カテレアは頭痛をこらえるように額に手を当てて目を伏せる。

 

 之には文句をつけることはできないだろう。誰がどう見てもアレすぎる。

 

 だが、そんなことは今はとりあえず置いておこう。

 

 それよりも、なによりも、するべきことが残っている。

 

「……イッセー。アーシアちゃんはたぶん助からない」

 

「………っ」

 

 井草の残酷な言葉に、イッセーは震える。

 

 だが、井草はそれをあえて癒さずに、はっきりと告げる。

 

「このままだと、すぐに俺たちも後を追うことになる」

 

 そう。このままでは、多くの仲間たちが後を追うことになるだろう。

 

 オーフィスの蛇とエボリューションエキスの相乗効果で強化された旧魔王派の三人は、それだけの化け物だ。

 

 こちらにも神滅具使いのデュリオがいる。時間をかければ、ここにきているオーディン神などの増援も期待できる。それが間に合えば、生き残ることもできるだろう。

 

 だが、それまでに全滅する可能性だって十分になる。

 

 そして、それをひっくり返せる要素は、ただ一つ。

 

「イッセー、頼む。俺のためじゃない、リアスちゃんたちの未来のために……戦ってくれ」

 

 井草はそういいながら、一歩を前に踏みだす。

 

 酷いことを言っている自覚はある。

 

 だからこそ、たとえ弾除け程度にしかならなくても、自分は戦おう。

 

 それが、アーシアに対する弔いであり、イッセー達に対するせめてもの誠意であると、井草は思ったから。

 

 そして、イッセーはいつの間にか井草に並び立っていた。

 

「……大丈夫です、井草さん」

 

 イッセーはそう言って、鼻血と涙をぬぐう。

 

 そして井草の肩に手を置くと、静かにシャルバたちをにらみつける。

 

「アーシアを殺した奴はぶちのめす。部長たちも死なせない。どっちもやらなきゃいけないんですよね?」

 

「……ああ。赤龍帝のつらいところだよ」

 

 イッセーは、強かった。

 

 正気に戻って、事実を受け止めて、そして前に進もうとしている。

 

 そんなことができる彼だからこそ、できることなら泣かせてやりたい。

 

 だが、状況はそれを許さない。なら、戦ってもらうしかないのだ。

 

 これ以上、誰一人として、アーシアの後を追わせないために。

 

 アーシアの仇を討つために。

 

 目の前の悪魔たちを、一人残らず叩き潰す。

 

 その決意を込め、イッセーはシャルバをにらみつける。

 

「いくぜ、クソ野郎。アーシアを殺しといてただで済むと思ってんじゃねえ!!」

 

『Transfer!』

 

 譲渡の力を井草に流し込みながら、イッセーは一瞬で距離を詰めると、シャルバを一撃で殴り飛ばす。

 

「ぐぉおおお!?」

 

「「シャルバ!?」」

 

 その一瞬の出来事に隙を見せたクルゼレイとカテレアに、井草はそくざに突撃を開始する。

 

 譲渡の力によって戦闘能力は大幅に増大化している。今の状態ならば、井草でも魔王クラスと戦うことができるだろう。

 

 何より、人生を翻弄され続けてきたアーシアを、ある意味で最悪のタイミングで死なせた者たちには怒りを抱いている。

 

 情報を吐いてもらう必要もあるので、殺すのはできる限り避ける。だがしかし、絶対に殺さずなどという考えもない。そんな余裕は、実力的にも精神的にも存在しない。

 

 ゆえに、全力で叩き潰す。

 

「さあ、覚悟してもらおうか!!」

 

 背中から()()の翼を広げ、井草は戦闘を再開した。

 




……スイッチ姫の面目躍如(まだ名付けられてません)


とりあえず、本能で動く暴走状態では連携が取れないため不利なので、井草がヤケクソで正気に戻しました。たぶん当人も時々思い出して落ち込むと思う。

しかし、正気になったからこそ、やるべきことをしっかりと思い出してイッセーは立ち上がります。ここからが決戦です。









それはそれとして、井草がイッセーの影響で一時的にパワーアップ。この状態の井草はレセプターイーツ込みですが、ヴァーリにも覇龍の使用を考えるレベルです。なぜここまで強くなれるのかは、ライオンハート編までお待ちください。









 そして現在、書き溜めはラグナロク編です。

 本来はニング編なのですが、ヘイト管理の調整が必須と判断したため、五十鈴編にもなってしまいました。ホーリー編がリム編と認識していいので、そういう意味ではニングが割を食ってしまいました(汗


 とは言え皆さま、こう思ったりはしないでしょうか?

「ムートロンの戦力が強大すぎるから、ロキも流石に和平しないとか言い出せないんじゃね?」……と。

 ところがどっこい、ロキはやります。それだけのものを用意させました。

 禍の団もヴァーリチーム以外も本格的に介入する、禍の団にとっても三大勢力にとっても割と趨勢を左右するほどのことをロキはやってのけました。

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