混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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こっから二話ほどフォローをくわえたり。

ですが、すでにナイアルの能力に勘付いた方もいるので、ヘイトは徐々に減少傾向に行ってくれる……といいなぁ


17話

 

 戦場から離れた場所で、五十鈴と伊予はナイアルを出迎えていた。

 

 僅かに負傷の痕を残したナイアルを見つけて、伊予は思わず駆け出して抱き着いた。

 

「ナイアルさんっ!」

 

「よ、ご苦労さん」

 

 ぽんぽんと伊予の髪を撫でた後、ナイアルは伊予に口づけする。

 

 最初は軽く、しかしすぐに舌を入れて唾液を流し込むディープキス。

 

 そして、そのキスを堪能した伊予は、唾液を飲み込むと体を震わせて陶酔する。

 

「はぁぁぁ……っ! ナイアルさん~」

 

 泥酔したような顔でナイアルに倒れこむが、

ナイアルはそれを器用に片手で受け止めると、ボールをパスする感覚で、部下に渡した。

 

「んじゃ、俺は野暮用終わらせてから戻るわ。それまでそいつらに可愛がってもらいな」

 

「はぁい……。よろしくお願いしますぅ……」

 

 うっとりとしながら、伊予は其のまま男にしな垂れかかる。

 

 それを下心が丸見えの下品な目つきで見ながら、ナイアルの部下は伊予を連れていく。

 

「んじゃ! 隊長もすぐ来てくださいね!」

 

「新しい女も集めたんで! 隊長には洗礼をお願いします!!」

 

「隊長の分、ちゃんととっときますから!!」

 

 そう口々に言う部下に片手で応じながら、ナイアルは五十鈴に目を向けると、軽く抱き寄せる。

 

 そして同じようにキスを交わすが、五十鈴は涼しい顔でそれを終えると、ナイアルが抱えている少年に目を向ける。

 

 抱えられていたのは、ディオドラ・アスタロトだ。

 

 ナイアルは作戦失敗に気づいた時点でアザゼルとサーゼクスから逃亡。そして様子を見に来た時にディオドラが生きている事を確認して、戦闘中にこっそり回収してきていたのだ。

 

 五十鈴としては、ディオドラにそれだけの価値を感じない。それならシャルバ達を援護したり、井草達を始末した方が効率的なはずだ。

 

 結果的には好都合だが、だからこそ理由が分からない。

 

「……意図が読めないんだけど?」

 

 心底疑問に思ったので聞いてみるが、その返答は単純だった。

 

「いや、ムートロン(俺ら)が同盟結ぶにあたって、好都合なのはビルデの方だし? ぶっちゃけシャルバ達は無能すぎて困ってたんだよ」

 

 なるほど。自分達に都合のいい同盟相手にトップになって欲しいという事か。

 

 それは分かった。だが、他にも分からない事は多い。

 

 何故、やばくなったら見捨てていいと言っていたディオドラを態々回収したのか。そして、シャルバ達を倒した隙をついて井草達を始末するという真似をしなかったのは何故か。

 

 その疑問に気づいたのか、ナイアルはまずディオドラに視線を向ける。

 

「ま、こいつとは趣味が合うからな。組織としての優先順位は大した事ねえからあの指示出したけどよ? 俺個人としちゃこいつと一緒に女堕とす話で楽しみたかったからよ」

 

「酷い男」

 

 そう言いながら、五十鈴はしかし気にしてない風を装う。

 

 伊予がこれを聞いても、まったく意にも介さないだろう。ナイアルの他の雌達も気にしないだろう。そういう風になってしまっているのだから。

 

 だから五十鈴もそういう風に見せかけ、そして最後の疑問を解消する事にする。

 

「で、井草達を殺さなかったのは? 貴方がクトゥルフイーツで一斉射すれば、大半は潰せたでしょ?」

 

 その質問に、ナイアルはなんて事が無いように、あっさりと答えをくれた。

 

 五十鈴の手が僅かに震えているのを見向いて。しかし、それを隠せていると思っている五十鈴を嘲笑いながら。

 

 心底楽しそうにしながら、実際愉しみだといわんばかりに―

 

「お前か伊予が殺した方が、あいつらは苦しんで死ぬだろうからだよ」

 

 ―そう、はっきり言い切ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 井草達は、力なくへたり込んだ。

 

 戦いは終わった。既に禍の団は撤退もしくは撃破または捕縛されたとの事だ。

 

 残敵警戒は必要だろうが、しかし井草達はそれをする余力がなかった。

 

 特にないのはイッセーだ。既に崩れ落ち、地面に手をついている。

 

「………アーシア………っ!」

 

 歯を食いしばり、涙をこぼしながら、イッセーは震えるしかない。

 

 そしてそれはリアス達も同じだ。特に仲が良かったゼノヴィアは、声を出す事なくボロボロと涙をこぼしている。

 

 敵の目的を挫く事はできた。旧魔王派の幹部であるシャルバ達は撃破し、カテレアとクルゼレイは拘束している。

 

 だがしかし、失ったものはとても大きかった。

 

 何時かは在り得た事だ。このまま戦いが続けば、味方の中に死人が出てくる事も十分に考えられる。誰一人として死なないなど、希望的観測にもほどがある。

 

 だが、それでもこれはショックという他ない。

 

「アーシア……アーシア………」

 

 アーシアの名前を何度もいうイッセーに、井草たちは見ていられず目を背け―

 

 ―目が点になって思考停止した。

 

 そして、それに気づかずイッセーは泣き続ける。

 

 アーシアを失ってしまった。守ると誓った少女を、目の前でなくしてしまった。

 

 仇は討ったが、其れで喜ぶような少女でないことは自分たちがよくわかっている。

 

 だからこそ、イッセーは悲しくてたまらない。

 

「アーシア……っ」

 

「は、はい」

 

 だから、その返答に反応が十秒ほど遅れた。

 

「兵藤一誠、こちらを向け。なんというか彼女がかわいそうだ」

 

 と、さらに宿敵の声まで届いた。

 

 いやいや待て待て、ちょっとおかしい。

 

 なんでその二人の声が届くのだ? 取り合わせがおかしいにもほどがあるだろう。

 

 だがしかし、一縷の希望を込めて振り返ってみれば―

 

「い、イッセーさん! 大丈夫ですか!? ボロボロじゃないですか!!」

 

 そこには、ボロボロになっているイッセーを心配する、アーシアの姿があった。

 

「まったく。覇龍を見に来たと思ったら、既に解除されているとは残念だ」

 

「まあいいでしょう。シャルバ達三人を撃退したのなら、見どころは十分以上にあるのではないですか?」

 

 と、残念そうにしているヴァーリを、アーサーがなだめている。

 

 はっきり言おう、井草達もわけが分かっていない。

 

 だがしかし、井草も分かることが一つだけあった。

 

「……ここで戦うべきなんだろうけど、流石に余力がないね」

 

「その方がいいぜぇ? 俺っち達も弱ってるあんた達を叩きのめすなんてマネはしたくねえしな」

 

 勝ち目が見えないことにいら立つ井草の気持ちを知ってか知らずか、美猴はそうからからと笑う。

 

 しかし、問題はそこではない。

 

「あの、なんであなた達がアーシアと一緒にいるのかしら? いえ、助けてくれたのはありがたいのだけれど」

 

 全く状況が呑み込めていないリアスが、ぽかんとしながら質問する。

 

 それに応えたのは、眼鏡をくいっとあげたアーサーだった。

 

「いえ、次元の狭間を捜索していると、いきなり彼女が転移してきましたので。ヴァーリがそちらの関係者だと言ったので、保護する事にしたのですよ」

 

 ものすごくたまたまだったらしい。

 

 それで捕虜にするでもなく自分達に返しに来る辺り、それはそれでどうなのかとも思う。指摘して手のひらを返されても困るので、井草は何も言わなかったが。

 

 流石に今の段階でヴァーリとの戦闘は不可能だ。アーシアを助けてもらった借りもあるので、ここはぐっと耐える。

 

「うわぁああああああん!! アーシアぁああああああ!!!」

 

「あ、あぁああああアーシアぁあああああ!!!」

 

「キャッ!」

 

 ゼノヴィアとイッセーが勢いよくアーシアに抱き着いて、アーシアは軽く驚いた。

 

 漸く事態を理解したらしい。アーシアが無事だということを飲み込めて、一気に反応したという形だろう。

 

 それを苦笑しながら、ヴァーリは肩をすくめる。

 

 感謝しなくてはいけないが、組織の裏切り者に素直に感謝するのもあれではないだろうか。というより、謝罪を求めるべきではないだろうか。

 

 などと考えている井草の視線に気づいたのだろう。ふっと笑いながら、何かを気にしたそぶりを見せる。

 

「まあ、ただの気まぐれだから感謝の言葉はいらない。もし感謝してくれているのなら、後一分ぐらい待っていてもらえるといいんだが……おっと、来たぞ」

 

 何が来たのか。

 

 一同がそう思いながら上を見上げると、空間が裂けて巨大な龍が現れる。

 

 全長百メートル以上の赤いドラゴン。まず間違いなく、伝説に名を残していてもおかしくないレベルの存在だ。

 

「……おいおい、こんなところにグレートレッドが出てきやがったのかよ」

 

「この地に集った強者達に惹かれた……わけではないな。この程度では彼の興味を引く事はない」

 

「……見つけた、グレートレッド」

 

 と、そこに新たな者達の声が届いて、ふと振り返る。

 

 そこには、割とボロボロの恰好になっていたアザゼルとサーゼクスがいた。

 

 後、ゴスロリを着た黒髪の少女が離れたところに立っている。

 

「アザゼル先生!?」

 

「お兄さま!?」

 

 井草とリアスが驚いて声を上げれば、アザゼルとサーゼクスは苦笑を浮かべながら向き直る。

 

「よ! 無事なようで何よりだな」

 

「無事で良かった。こちらは少々格好がつかないがね」

 

 そう言いながら苦笑する二人に、ヴァーリが興味深げな視線を向ける。

 

 なんというか、何かの感想を聞きたがる子供のような表情だった。

 

「ナイアルが足止めに動いたと聞いてたが、その様子だと凌いだみたいだな、アザゼル」

 

 ヴァーリのその質問に、アザゼルは心底嫌な顔をする。

 

 ヴァーリに対してそんな顔をするようなタマではない。と、いうことはナイアルには逃げられたのだろう。

 

 それを察して、井草も不機嫌な表情になった。

 

「ゴキブリ並みにしつこいね、アイツ」

 

「まったくだ。アイツイーツ化したら主神クラスの化け物になりやがったぞ」

 

 更に酷い情報であった。正直、井草は胃が痛くなった。

 

 井草がナイアルに復讐する資格があるかどうか、井草自身はよく分かっていない。

 

 確かにナイアルが一番悪いとは思うのだが、しかし井草も井草でいくつもの問題行動を起こしている。ことレイプまがいの行動をとっているのはアレすぎる。伊予当人が気にしていないのも救いにはなりはしない。

 

 しかし、だからと言って、ナイアルをどうにもしないなどという事はない。伊予と五十鈴を止め、可能なら救い出すと決めたのだ。その邪魔になる事が確実なのだから倒す他ない。

 

 しかし、最強の魔王であるサーゼクスと、堕天龍の鎧を使ったと思しきアザゼル相手にそこまで言わせたのだ。井草が倒せるとはとても思えない。

 

「あの、先生。そもそもあれ、何ですか? あと彼女は?」

 

 イッセーが状況を飲み込めず、見知らぬ少女と赤いドラゴンを交互に指さす。

 

 そういえば、井草も赤いドラゴンはともかく、少女の方はよく知らなかった。

 

 そして、その質問にはヴァーリが答えた。

 

「少女は禍の団(俺たち)のボスのオーフィスで、あっちの赤いのは唯一同格のドラゴンであるグレートレッドだ」

 

 沈黙が、響いた。

 

『『『『『『『『『『えええええええええ!?』』』』』』』』』』

 

 イッセーは二つの意味で、それ以外もオーフィス関係で驚愕した。

 

 それはそうだろう。

 

 テロリストの首魁が、小猫よりも幼い少女などと想定できるわけがないというものだ。

 

 しかし、アザゼルは静かに首を振ると、イッセーに諦めさせるように言葉を選んだ。

 

「そいつは姿を変えられるんだ。俺が前に会った時はよぼよぼの爺さんだった」

 

「まじですか!? ある意味ギャスパーより酷い!?」

 

 実にイッセーの人となりがよく分かる返答だった。

 

「―我は、いつか必ず静寂を手に入れる」

 

 と、オーフィスはこちらを意にも介さず、グレートレッドに視線を向けると、宣戦布告ともいえる言葉を紡ぐ。

 

 そして、その言葉でアザゼルは何かの気づいたのか、額に手を当てる。

 

「あーあーあーあーそういうことかよ。お前、そんなに次元の狭間にいたいのか?」

 

「そう。我、静寂がほしい」

 

「そういうわけにはいかないな。今の我々にとって、変質した貴方を次元の狭間に置く事を了承する事は危険すぎてできないのだよ」

 

 オーフィスの言葉に、サーゼクスが僅かに戦意を見せながら警告する。

 

 だがしかし、オーフィスはそれを意にも介さない。

 

「……我は静寂を手に入れる。けど、今は帰る」

 

 そういうなり、オーフィスはいつの間にか姿を消した。

 

 眼のも止まらぬ早業とは、まさにこのことなのだろう。

 

「やれやれ。我らが長は自由な事だ」

 

「君が言うな」

 

 ヴァーリの感想に、井草は心から突っ込みを入れる。

 

 自由すぎるという意味では、ヴァーリも対外すぎる。チーム全体が対外すぎる。

 

 イッセー達から話を聞いていたが、どう考えても組織人として向いていない。禍の団からもいずれ排斥されるのではないだろうかとすら思う。社会不適合者の群れではないかと、井草は考え始めていた。

 

 だがまあ、今は何というか戦える状態ではない。

 

 井草達は満身創痍だ。アザゼルとサーゼクスも割と披露しているうえに、戦意を見せていない。

 

 これで突っかかっても、叩きのめされるのは井草の方だ。それぐらいには井草も状況を理解していた。

 

「っていうか、グレートレッドって、何なんだ?」

 

 イッセーに至っては、グレートレッドの方に意識が向いていた。

 

 まあ、あれだけ巨大なドラゴンを見た事があるわけないので、仕方がないといえば仕方がない。

 

「あれは二天龍の上に存在する、最強の存在の一角さ。真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)、グレートレッド。黙示録にしるされし赤い龍、真龍とすら称される偉大な存在だ」

 

 そう説明するヴァーリは、どこか輝かしいものを見る目で、グレートレッドを見る。

 

「今回の俺達やオーフィスの目的は、あれの姿を確認する事だ。シャルバ達の作戦はどうだっていいのさ」

 

「で、ウチのリーダーの夢はアイツを倒したいんだってよ。すっげえ無謀な夢だけど、面白そうだろ?」

 

 などと美候が茶化すように言うが、ヴァーリはむしろ誇らしげだった。

 

「赤と白は並び立つ存在だ。だが、白には神龍という称号を持つものがいない。グレートレッドと同格の白い龍がいないってのは、どうも気になってね。だから俺は、其れになりたいんだ」

 

 凄まじくまっすぐな瞳で、ヴァーリはそう言い切った。

 

 そして、その目はイッセーにむけられる。

 

 その目は、すさまじく興味の色で埋め尽くされていた。

 

「しかし兵藤一誠。君もすごいな」

 

「へ? 俺?」

 

 イッセーがきょとんとすると、ヴァーリは苦笑する。

 

「覇龍を制御したんだろう? 俺たちは遠巻きに途中から見つめていたが、俺でも寿命の消耗を抑えることはできても、完全な制御は難しいんだ。さすがは俺のライバルといいたいところだが、君はまだ未熟すぎるから種があるんだろう?」

 

 確かにそのとおりである。

 

 覇龍のデメリット。それは、寿命の高速消耗と暴走状態の突入である。

 

 ヴァーリは魔王の血に由来する莫大な魔力によって消耗を防いでいるが、暴走に関しては苦労している。

 

 逆にイッセーは、寿命は高速で消耗しただろう。だが、完全に覇龍を制御していた。

 

 それがすごいと思うのは当然なのだが―

 

「それは、井草さんの機転と部長のおっぱいのおかげだな」

 

 ―理由が凄まじくあほらしかった。

 

「………イッセー。言わないで………」

 

「ゴメン。本っ当にゴメン」

 

 リアスと井草がうつむいて言葉を漏らし、それが本当であることを証明した。

 

 ヴァーリも流石に何とも言えない表情になる。是はヴァーリは全く悪くない。

 

「リアス・グレモリーの乳房は、兵藤一誠の制御スイッチなのか?」

 

 帰り際、ヴァーリはそんなことを言ってしまった。

 

「ぶははははは! いいねぇ、スイッチ姫ってか?」

 

 などと美猴が漏らしたが、これが悲劇を生む事になるとは、誰もまだ知らなかった。

 

 

 

 

 




ついに、スイッチ姫のフラグスイッチが立ってしまった……!







あとは二話ほどエピローグ回を入れて、ラグナロク編ですね。

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