混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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ホーリー編最終話となります。







リム編決着。そして、リムの突然の行動の真意は!?


19話

 とっさに井草は受け身を……取り損ねた。

 

 リムをかばう必要があるので、両手を使うことができなかったからだ。片手では二人分の重量を支え切ることができなかった。

 

 幸いマットの上だったので問題はない。それに堕天使の肉体なら、よほどのことが無ければ重症にはならないだろう。

 

 だが、是はちょっといただけない。

 

 いきなり人の唇を奪ったあげく、こんな危険なことをされては実に困る。

 

 ゆえに井草は悪ふざけを叱ろうとムッとなり―

 

「……ぐすっ」

 

 ―泣き顔のリムを見て、それを思いとどまる。

 

 どうやら、相当に訳ありの理由らしい。それも、ニングではなく井草にとびかかるあたり、ニングにはできないことなのだろう。

 

 怒る前に事情を聞こう。まずはそれから出なければ、どれぐらい起こればいいのかもわかりはしない。

 

 そう考えなおすと、井草は苦笑を浮かべる。

 

「……で? 何を頼みたいんだい?」

 

「抱いてほしいんでさぁ」

 

 ………

 

 三秒ぐらい沈黙してから、井草はぎゅっとリムを抱きしめる。

 

 なんだかんだで柔らかい。なんというか、抱きしめ心地のい身体である。

 

 とは言え、こんなボケでごまかされてくれるリムではない。

 

「わーい井草ぁ~♪ ……これもいいですがねぃ、ちょっくら一発私の股の穴にナニをぶち込んでほしいんでさぁ」

 

「率直すぎるよ」

 

 この少女、しゃべると下品なのが困り者だ。

 

 とは言え、事情はよくわかっている。

 

 リム・プルガトリオは異能によって生み出された、セクサロイドとしてのデザイナーズチャイルドだ。

 

 その体は定期的に性的に交わらないと不調になるように設計されていると、以前自分でしゃべっていた。

 

 どうやら今がその定期的な時間帯……だということなのだろう。

 

「メンテナンス相手はきちんと用意してもらった方がいいよ。そりゃぁ、俺は義姉さんにいろいろと仕込まれてるから下手じゃないと思うけどね?」

 

 実際問題、井草はトラウマのリハビリという名目で、ピスを中心とする女堕天使から寝床での技を徹底的に仕込まれている。

 

 要因の一つは童貞で慣れていないが故。伊予を性的によがらせることができていたのなら、話は変わっていたのではないか。そんな微妙に明後日の方向で、しかし理由の一つにはなってそうな判断である。

 

 井草自身が自己嫌悪の塊の時期だったので、基本的には女性主導。だが女性陣からの意見で「男が奉仕する形じゃないと満足しない女もいる」という指摘があり、攻めるスタイルもそこそこ習得している。むろん、舌も指を習得している。

 

 ちなみにキス関係は一切手を加えていない。井草は心底からその辺がトラウマなので、完璧にキス童貞だ。

 

 だがしかし、リムはしずかに首を振る。

 

「……まだかなりもちやす。本当は、こっちで手ごろな相手を探す予定だったんでさぁ」

 

 だったらなんでだ。

 

 井草は本気でそう思う。

 

 だが、ふと気づいた。

 

 井草の胸元に湿った感触がある。

 

 井草はすでにパジャマを着ている。そして、水をこぼしたりはしていない。

 

 濡らしたのは、リムの涙だった。

 

「……私は、守る側なのに……っ」

 

 リムは震えながら、ぽろぽろと涙をこぼしていた。

 

『マジですいやせんでした!! 守る側に守ってもらうなんて、失敗でさぁ!!』

 

 と、すべてが終わってからリムはアーシアにそう土下座して謝った。

 

 しかし、そんなリムを責める者は誰もない。

 

 アーシアにかばわれ、ショックを受けていたのは誰もが知っている。そんな彼女を責めるというのは酷だ。なにより、イッセー達はそんなことでリムを責めるような者たちではない。

 

『気にしないでください。私たちはお友達ですし、リムさんは私を助けてくれたじゃないですか』

 

 と、アーシアはにっこりと微笑んで、その手を取る。

 

 そこに怒りも恨みもない。本心から、アーシアは赦すも何もリムに責を求めていなかった。

 

『だから、私もそうしたんです。助け合うのはお友達として当然でしょう?』

 

『……さいですな。つっても気になるんで、今度学食でも奢らせてもらいやすぜ』

 

 と、リムがアーシアの言葉にそう答えて、それは終わったはずだ。

 

 だが……。

 

「友だちだって、そういわれちまったんでさぁ」

 

 リムは、顔を真っ赤にしながら涙をこぼしていた。

 

「……仕事のつもりだったんでさぁ。プルガトリオ機関のものとして、あくまで外様だって、そう思ってたんでさぁ」

 

 それは、彼女が暗部だからだろう。

 

 そもそも彼女は、教義的にグレーゾーンだ。そのうえ、男と定期的に交わらなければ生きていけない。

 

 プルガトリオ機関にしか、居場所がなかったのだろう。だから、本当の意味で聖女といってもいいアーシアたちと、距離を置いているつもりだったのだ。

 

「庇ったのは、仕事のつもりでした。でも、アーシアは私を友達だって……っ」

 

 その背中をなでながら、井草は言葉を選ぶ。

 

 どうも罪悪感を感じているようだ。それで、男に抱かれて何かを発散したいと思っているのだろう。

 

 だが、それはダメだ。

 

 衝動的に性交に逃げるのは、何かが違うだろう。というより、その対象として井草を選ぶとかちょっと勘弁してほしい。

 

 まあ、イッセーは大絶賛昏睡状態。祐斗やギャスパーは絶対断ると思ったからの人選だろう。妙なところで人を見ている。

 

 だが、井草だってリムを見ているのだ。

 

「リムはさ、優しいよね」

 

「……へ?」

 

 井草の突拍子のない言葉に、リムは顔を上げる。

 

 井草は自然に微笑が浮かぶのを自覚しながら、言葉を続ける。

 

「イッセーたちも、ニングもそうだったけどさ? 普通、強姦行為した男を許してくれるやつなんて、そうはいないって」

 

 そう、井草は罪を犯した。

 

 彼氏や関係者の了承があった。それは事実だ。

 

 だがしかし、肝心の伊予が何も知らない。そんな状態で、井草は伊予と交わったのだ。それは強姦と何ら変わりない。

 

 そんな事実を知って、果たして相手を許すといった。それはすごいことだ。

 

「いや、でも、許してくれたお人さんたちは何人もいやすし―」

 

「でも、リムとニングは俺のことをよく知らないのに、許してくれた」

 

 それは、すごいことだと思う。

 

 アザゼルたちはいい。井草がそのあと、どれだけ絶望したのかを見て生きているのだから。

 

 イッセー達もまだいい。そのあと、井草がどれだけそうではない人間になっていたかを知っているから。

 

 だが、リムとニングは違う。

 

 二人は井草という存在を詳しく知らない。井草がどれだけ罪の意識を感じてきていたか知らない。井草がそのあと、どういう生き方をしてきたのかも知らない。

 

 にもかかわらず、2人は本心から井草を許し、慰めてくれた。

 

「あれがあったから、俺は前を向けるんだ。あれが無ければ、イッセーの言葉も届かなかっただろう」

 

 罪悪感という鎧と、罪を犯したという前提条件。

 

 その二つで武装した井草には、誰の言葉も秦には届かなかった。

 

 だがしかし、お互いによく知らないものからの、しかし心の底からの許しの言葉は、それをたやすく突破してしまった。

 

 それがあったからこそ、イッセーたちの言葉を受け止める余裕が生まれたのだ。

 

 感謝している。それは当然だ。

 

 だから、井草はこの想いを言葉にする。

 

「リム。君は君が思っているより優しい子だよ。きっと、仕事でなくても君はアーシアを助けたと思う」

 

 そう、井草は心から信じられた。

 

 付き合いは短い。知らないことも多い。知っていることの方が少ない。

 

 だが、少ないながらも知っていることはある。

 

「だってそうだろ? 君は、付き合いの浅い俺のために、本心で伊予と五十鈴に怒ってくれたんだから」

 

 そう。その事実だけで彼女の本質が理解できる。

 

 リム・プルガトリオは本当に心優しい少女だ。

 

 罪を犯した井草を許し、そして彼に襲い掛かった理不尽に対して、心から怒りの感情を浮かべた。龍王と対峙できるようなものに、果敢に挑むぐらいにだ。

 

 それは、誰にでもできることではないだろう。

 

 だから、これだけは断言できる。

 

「君はいい人だよ。俺は、君のことが好きなってしまいそうだ」

 

「………~~~っ」

 

 顔が完璧に真っ赤になって、リムが悶絶した。

 

 そして井草ははたと気づく。

 

 あ、コレ殺し文句だ。俺、間違いなくはたから見たら口説いてるよ、コレ。

 

 そこ迄気づいて、井草もまた顔を真っ赤にさせる。

 

 いかに改心して更生したとはいえ、井草は元性犯罪者である。これはまずい。

 

 否、其れでも相手が受け入れてくれたというのなら、それはそれで認められてもいいのではないか。それが愛というものではないだろうか。

 

 いやいや落ち着け、井草・ダウンフォール。

 

 それは、リム・プルガトリオと付き合ってもいいということだろう。そうではない、そうではないのだ。

 

 そもそも、リムとは付き合いが短すぎる節がある。仕事でかかわったのが二回。夏休みに何度か顔を合わせた。そして、夏休み明けから少しの間しかたっていない。

 

 これで付き合うとか、いくらなんでもお互いのことがよくわかっていないだろう。相手にとっても自分にとっても失礼ではないか。

 

 いや、世の中にはお試し感覚で付き合うというのもある。しかし井草の趣味ではないわけで……。

 

 ではない。そもそもなんで井草はリムと付き合うことを前提に会話しているのか。

 

 そもそもリムの意見をちゃんと配慮しなければ―

 

 そこまで考えて、井草は自分の胸元にいるリムに視線を向ける。

 

 そこには、完全に顔を真っ赤にして目を潤ませたリムがいた。

 

「………井草は、私のこと、恋人にしていいとか思ってやがるんですか?」

 

 ………十秒ぐらい考えた。

 

 時間にしては短い。だが、頭は高速で回転させていた。

 

 そのうえで、静かに答える。

 

「まだ、それを言うには時間が少なすぎるって思っているよ」

 

 その言葉に、リムは―

 

「………あぅぅ……」

 

 これまでにないぐらい可愛い反応を見せた。

 

 誠実に対応したら、我慢の限界を超えそうな態度で返された。うかつだった。

 

 それでも、それでも井草は渾身の精神力でそれを抑え込む。

 

 強姦まがいの行動をして、それを心から悔やんでいるのが井草・ダウンフォールである。その井草が二回目をするなどとあり得ない。それこそ致す前に舌を噛んで死ぬべきかと考え始めている。

 

 このままではまずいから、とりあえず冷たい水をかぶろうか。

 

 などと考えたその時、耳元で声が響いた。

 

「あの、提案があるんですがねぇ?」

 

 蠱惑的な雰囲気を見せたリムが、耳元で艶やかな声をはなつ。

 

「……お試し期間ってことで、先ずは〇フレから始めてくださりやせん? こっちとしても、信頼できる発散相手は欲しいんでさぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リムにとっても都合がいいという逃げ道をあたえられたせいで、井草は断り切れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つーわけで、当分は男あさりはしなくてすみそうですぜぃ」

 

 と、数日後の体育祭で、リムはニングにそう報告した。

 

 暗部由来の特殊な発声法で、リムは二人三脚で並んでいる状況下にもかかわらず、ニングにのみ聞こえる声で話すことができていた。

 

 そして、ニングから静かに、擬音にすると「むー」と形容するべきオーラが流れてくる。

 

「……ひどいのです。手は出さないって言ったのですよ?」

 

 同じ発声法で文句を言うニングだが、リムは不敵な笑みを浮かべると首を振る。

 

「気は使うって言ったんでさぁ。それ以上に井草がかっこよすぎて、ハートを撃ち抜かれちまったんですぜ」

 

 ニングには悪いことをしたと、リム自身そう思う。

 

 だがしかし、これでもとりあえずギリギリのところで踏みとどまったのだ。

 

 お試し期間という言い訳を作った。恋人ではなくセフ〇という関係に落ち着かせた。そして、それはあくまで体の定期メンテナンスのためにも必要だということにしたのだ。

 

 実際に定期的に性交をしないと、リムの身体は不調を訴える。これに関しては嘘偽りなど一切ない。仮にも聖職者なのだから、できる限り虚言は言わない主義である。

 

 そしてその言い訳によって、井草もまた自分をごまかせる。

 

 これはリムの身体のためである。あくまで恋人ではなく、リムの身体のためのセ〇レである。

 

 それに、実際に癒しは必要だろう。

 

 伊予と五十鈴。彼女達はあの戦いで異常性をさらに示してしまった。

 

 井草はそれでもくじけなかった。救えなくてもせめて止めるという決意を持っていた。それをカッコいいと、2人は心から思う。

 

 だが、それでも癒しは必要なのだ。

 

 最初にあの二人の変わり果てた姿を見たときの、井草の姿を思い出す。

 

 後一歩で完全に折れ、一生沈み続けるような人生を送っていたかもしれない。それほどまでに、井草は追い詰められていた。

 

 もし二人で井草の背中を押さなければ、井草は前を向くことなどできなかっただろう。

 

 それがいやだと思うからこそ、リムはたまった精神的動揺を発散することを兼ねて、井草に迫ったのだ。

 

 性的衝動の発散は、ストレス解消には効果的なのだ。それによって誰かの心がいやせるのなら、それに越したことはない。

 

 リムは井草と恋仲になる気は、あまりない。

 

 それはニングも知っているし、感謝もしている。むしろそうしようと思わせてしまったことに後ろめたい思いも感じている。

 

 だがしかし、それとこれとは話が別なのだ。しっかり割り切れるほど、ニングも大人にはなりきれなかった。

 

「ぶーなのです」

 

「へいへい。マジすいやせんって」

 

 そういい合いながら、2人は二人三脚の順番を進める。

 

 見れば、先に始まる男女の部にイッセーが間に合った。

 

 どうやら意識が回復したらしい。これで、とりあえずこの一件はいい終わり方だ。

 

「アーシアさん! イッセーさん! ファイトなのです!!」

 

「いい感じに場をあっためてくだせぇよぉ!!」

 

 その二人の声援にこたえて、イッセーとアーシアは見事一着を取る。

 

 そして、今度は二人三脚女子の部。ニングとリムの番だ。

 

「……ニング」

 

「なんなのです」

 

 ピストルがなり、そして一斉に走り出す。

 

 昔からタッグを組んで行動することが多かったこともあり、ぶっちぎりトップで一位を獲得。声援が鳴り響く。

 

 そして、ゆったりと戻りながら、リムはニングにいたずらっ子の微笑を向けた。

 

「あんまり遅いと、私も我慢できずにもらっちゃいやすんで、その辺お気をつけてくださいな」

 

「む~っ!」

 

 おもわずニングはぽかぽかとリムを叩いてしまう。

 

「リムの意地悪なのです~!!」

 

「はっはっは! 相棒からの叱咤激励ですぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その様子を見る井草は、ふとした予感に捕われた。

 

 そして五秒後、それを振り払った。

 

「うん、ないない」

 




ホーリー編も終了したしました。井草もイッセーも、恋も戦いも大変です。









そんなこんなで、次からはラグナロク編です。

当初はニングをヒューチャーする回でしたが、しかし想定外だった伊予と五十鈴のヘイトをどうにかするために五十鈴編にもなります。


五十鈴がどうしてあんなことになったのか。それを紐解き裏に隠された真実を明かす予定です。

そして同時にニングの血の根源をあかし、彼女が背負った過酷な代償を明かす会にもなります。

ある意味で、井草にとっても試練です。色々合わせた結果、井草の精神に対するダメージはホーリー編やヘルキャット編より上になってしまいました。鬱度のピークはヘルキャット編だといいましたが、そこに関してはマジすいません!
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