混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
ただし、書き溜めそのものは180kb以上あるので、当面更新は問題ありません。そこはご安心ください。
と、いうわけでラグナロク編です。
ニング編にするつもりでしたが、ヘイト管理のミスにより五十鈴編にもなった今回。五十鈴が何であんなふうなありかたをしているのかとか、ニングの悲壮な秘密などが明かされる章になっている、てんこ盛り会です。この話も含めて現段階で200kbほど書いていて、まだ乳神の加護が出てきた段階です。
とはいえ、こんかいの話は完全に日常会ですので、覚悟はまだ必要ないのでご安心を。
1話
兵藤邸のリビングで、オカルト研究部が集まっていた。
ビルデのクーデターで一気に窮地に陥った冥界。その沈んだ雰囲気を打破する事もあって放送される事になった子供向け特撮番組。それを皆で大画面で見る事になったのだ。
なったのだが―
『……はぁ』
「はぁ~」
ドライグとリアスが、沈んでいる。
なんというか、一時期の井草並みに沈んでいる。
光を通さぬ暗き闇の中に沈んでいる。
その理由は単純である。
いざ、目の前でピンチに陥ったヒーローが、ヒロインの力で反撃する場面に到達した。
これぞ一種の定番シーン。この番組のヒーローは、ピンチになった時はほぼこれで確実に状況を打破するのだ。処刑用BGMをかけるのだ。
そして、そのヒーローとヒロインの名前は―
『さあ、おっぱいドラゴン! おっぱいよ!』
『おお、スイッチ姫! これで勝てる!!』
……これである。
ちなみに、おっぱいドラゴンのモデルはイッセーで、スイッチ姫のモデルはリアスである。ネーミングもアイディアもアザゼルだったりする。
「先生。土下座した方がよくありません?」
「いいじゃねえか。分かり易いネーミングで、子供達からの人気は抜群らしいぜ?」
井草の苦言もどこ吹く風で、アザゼルは満足そうだったりする。
乳龍帝おっぱいドラゴン。ドラゴンと契約した若手悪魔、イッセー・グレモリーが悪の軍団と戦うストーリーである。
イッセー・グレモリーはこの手の番組のお役遅くで毎回ピンチになるが、その都度スイッチ姫のおっぱいを揉む事でパワーアップして処刑用BGMである。一応おっぱいは画像修正されている。因みに発案者はアザゼルである。
グレモリー辺りからクレームが来ても驚かない。悪魔と堕天使の関係が悪化するかもしれないと思った事もある。初めて聞いた時は何の嫌がらせかと井草は思った。
だがしかし、サーゼクス達はむしろノリノリだった。
おっぱいドラゴンの主題歌であるおっぱいドラゴンの歌は、作曲がサーゼクスらしい。ダンス振り付けはセラフォルーだそうだ。とどめにアザゼルが作詞を担当している。
本来は悪魔側だけでの放送の予定だったが、和平そのものは順調に進んでいるうえに、ビルデのクーデターによる悪魔側のイメージ悪化に対抗する為により大々的に報道される事となった。和平された勢力圏内ではケーブルテレビの感覚で放送されるらしい。
「もう、冥界を歩けないわ……」
「俺も、ちょっと外に出たら「おっぱいドラゴンおっぱいドラゴン」とか言われるのかなぁ」
リアスとイッセーが仲良く黄昏れる。
しかし、それを遥かにしのぐレベルで落ち込んでいる者がいた。
その者は、凄まじくどんよりとしたトーンで、先から落ち込んでいる。
『フフフ、いいじゃないか。どうせ俺とお前はおっぱいドラゴンだ』
ドライグである。二天龍の片割れと称された、赤龍帝ドライグである。
まさか神や魔王すら超えると称された準最強の龍である自分が、おっぱいドラゴンなどという頭の悪い名前のヒーローのモデルになるとは思ってなかったようである。思う方がどうかしているが。
そんな実力と伝説ゆえに、プライドも割と高い方だったようだ。相当沈んでいる。
「まぁまぁ、ドライグの旦那。大昔に三大勢力に散々迷惑かけたんですぜ? これぐらいは大目に見ましょうや」
リムがそうフォローを入れるが、しかしドライグは沈んでぶつぶつ言っているだけだ。
冗談抜きで酷いダメージらしい。これは酷い。
確かにリムの言う通りではある。そもそもドライグが神滅具のコアになった理由は、三大勢力の戦争に割って入って二天龍同士で喧嘩をしたからだ。それで結果的に袋叩きに合って、封印されたという自業自得といえば自業自得な内容である。
しかし、もう少しなんというか他に何かなかったのだろうかと井草も思ってしまう。
始末に負えないのが、別にこれは三大勢力によるドライグへの復讐でも何でもないという事だ。
ディオドラとのレーティングゲームの前から、ノリノリで企画されていたそうだ。シトリーとのレーティングゲームでの禁手化や、おっぱいネタが子供達に大受けしたのがきっかけらしい。
そもそも戦術的な駆け引きもあるレーティングゲームは、冥界の娯楽でありながら子供の受けがあまり良くなかったらしい。子供達はタンニーンのような怪獣じみた異形の戦いを怪獣映画のノリで楽しんでいる程度だそうだ。
そこにイッセーの良くも悪くも個性的なあり方だ。相当子供受けがいいらしい。
それはともかく。
とりあえず苦笑をしながらその番組を見ていた井草達だが、ここからがいつもと違った。
『ふっ! いつも通りの代わり映えのしない戦術で、我々を何度も出し抜けると思ったら大間違いだ!!』
其の声と共に、どこからともなくネットが飛んでスイッチ姫が捕縛される。
そして、新たに祐斗をモデルにした敵キャラクター、ダークネスナイト・ファングが、これまでおっぱいドラゴンに出てきた怪人を連れて現れたのだ。
『スイッチ姫!? ダークネスナイト・ファング、貴様ぁ!!』
『敵の力の供給を妨害するのは戦術の内だ。悪く思わないでもらおうか!』
スイッチ姫という覚醒スイッチを先に抑え込まれた事で、おっぱいドラゴンは大苦戦に追いやられる。
とは言え、リアスの騎士である祐斗をリアス達の敵にするのは正直どうだろうか?
井草はいぶかしむが、悠斗は面白そうに見ているのでとりあえずスルーする。
そして画面に視線を戻した瞬間―
『そうはいかない!!』
その言葉と共に現れた、青い変身ヒーローのような怪人が、スイッチ姫を拘束していた怪人達を殴り飛ばした。
そして、アザゼルと井草を除く全員があっと驚く。
井草は色々と頭痛を堪える形で、目を伏せて頭を抱える。
とどめにアザゼルがしてやったりといった表情になる。
『あ、貴方はいったい……』
『新手だと!? おのれ、何者だ!?』
驚愕するおっぱいドラゴンとダークネスナイト・ファング。
その二人の言葉に、再びスイッチ姫を奪おうとする怪人達を薙ぎ払いながら、そのヒーローは告げる。
『俺は、仮面ファイターレセプター。……ただの罪人さ』
そして、おっぱいドラゴンと仮面ファイターレセプターのタッグが怪人達と戦闘を開始し、CMに入る。
そこでは仮面ファイターレセプターが、イーツをモデルにしたらしい怪人達と戦っている映像が映し出される。
そして、井草と似通った姿の堕天使が、苦悶の表情を浮かべながらどこかでうずくまる映像も流れた。
『―かつて罪を犯した青年イクサは、そのきっかけとなり、彼の幼馴染達を怪人イーツへと変えたナイアによって、自身もまた怪人イーツへと変えられる』
そして、涙を流し泥にまみれながらも、決意を決めた表情で立ち上がるイクサは、ポーズをとる。
『俺にその資格はなくても、それでもその罪、俺が裁く!!』
『―イーツの力に堕天使の心を宿したイクサ。彼は仮面ファイターレセプターと名乗り、己の犯した罪を償う為、そして自分と同じ被害者を生まない為、ナイア達によってイーツに変貌された悪人達と戦うのだ!!』
そして「仮面ファイターレセプター」の文字が、大きく映る。
『Dシネマ、仮面ファイターレセプター!! 大人の為のヒーロー番組、ここに登場!!』
そして、CMが終わるとおっぱいドラゴンと仮面ファイターレセプターの共闘が再開する。
だがしかし、一同の視線は井草に集中していた。
『……井草、お前何やっているんだ?』
ドライグの言いたいとは分かる。
あの主人公。あくまでそれとなく似ている人物を起用しているだけで、井草の顔をはめ込んでいるわけではない。
だがしかし、仮面ファイターの恰好は完璧にレセプターイーツをモデルにしている。
どう考えても井草のキャラではない。井草は悪役を受ける事はあっても、自分がモデルになってヒーローをするようなキャラではない。
そして、井草も顔を赤くしながら苦虫を噛み潰したかのような表情になる。
「俺も流石に反論したよ。どこの世の中に強姦まがいな真似をした男をモデルにヒーロー番組を作る奴がいるんだって。でも―」
「大人向けの娯楽番組も必須だと思ってな。牙〇とかを参考に、大人が楽しめる特撮番組を考えてみた」
と、アザゼルがドヤ顔でサムズアップする。
しかしすぐ真顔になると、井草に視線を向ける。
「それにこいつはイーツの力を使って戦うからな。その外見をたくさんの連中に教えておかないと、イーツとやり合ってる時にもろとも攻撃されかねねえ。そういう意味でも都合が良かったのさ」
「なるほどなのです。それに、旧魔王派の幹部を捕縛した井草さんならピッタリの大活躍なのです」
ニングがそれに納得して、ぽんと手を打つ。
実際問題。井草が今後戦うに当たって、敵に間違われるデメリットはどうにかするべきだった。
なにせイーツは同技術で開発されているので、どうしても意匠に近しいものがある。見る人が見れば勘違いしてもおかしくないだろう。
だからこその仮面ファイターレセプター。
広く多くの人々に周知させれば、間違われる可能性は低くなる。そうすれば、乱戦状態でも井草はレセプターイーツになる事ができるはずだ。
「まあ、俺は荒稼ぎする気はないし実際にやった事がやった事だからね。あくまでモデルってだけだよ」
そう井草は謙遜する。
如何に少しは前向きになったとはいえ、この方向性はあれだ。流石に井草も躊躇する。
「因みに、モデルってことで井草には相応の報酬が提供される予定だ。金に困ったら井草に相談しな。コイツなら無利子で貸してくれるさ」
「貴方が払ってください国家元首クラス。っていうかリアスちゃんいるでしょ」
井草の堕天使としての給料は、少なくともアザゼルより下である。
そんな井草をサラ金代わりに進めるアザゼルに、井草は容赦なくハリセンを叩き込んだ。
「幼馴染とその兄貴分が特撮ヒーローになるなんて、人生って分かんないものね。昔が懐かしいわ!!」
そして、そんなことを言いながらイリナはポーズをとる。
どうもこの天使、子供の頃は男勝りだったらしい。
そしてイッセーも過去を思い出したのか、ふとイリナを見ながらうんうんと頷いた。
「ああ、まさか男の子みたいだったイリナが、こんな可愛い天使にになるんだからな。人生ってホントに分からないよなぁ」
そんな事をしみじみと呟けば、今度はイリナが顔を赤くする。
そして天使の翼が白黒に明滅した。
どうやらときめいて堕天しかけているらしい。
栄誉極まりない転生天使の第一陣が堕天使化。それも、天使長ミカエルの一番槍であるAがこの短期間に堕天使になる。もしなったら醜聞以外の何物でもない。
それが哀れになり、井草は取り合えずジュースを取り出すとそれをイリナに渡した。
「はい。これ飲んで落ち着いて」
「あ、ありがとうございます!! んぐ…んぐ…ぐぼぁ!?」
そしてイリナはむせた。
明らかに女の子が上げていい声ではない。なんというか残念な反応である。
それを憐れんで見なかった事にしながら、井草は話を変える事にした。
仮面ファイターレセプターの話はこっぱずかしい。乳龍帝おっぱいドラゴンは蒸し返されてイリナが堕天使化しそうだ。このノリで今の情勢について語るのも空気が読めない。
と、いうことで。
「じゃ、そろそろイッセー君に行う罰ゲームの発表会をしようか」
「今やるんですか!?」
イッセーが抗議の声を上げるが、イッセーが何気ない言葉でイリナの堕天使化を進めたのが原因なので井草はスルーする。
それにどちらにしてもする予定だった事だ。おっぱいドラゴンも終わってキリがいいし、ちょうどいいだろう。
……残り百年あるかないか。それが、イッセーの覇龍の代償である。
リアスもアーシアもショックを受けた。井草ですら、正直思うところがある。
人間であったイッセーからすれば、十分な時間だろう。そもそも人間の平均寿命は百年もない。
だが、イッセーは悪魔だ。一万年以上生きる事ができる悪魔では百年は短い。人間の年齢に換算すれば、赤子の時に死ぬようなものだ。
あの場でイッセーが覇龍にならなければ、この場の者達の大半が死んでいたとしてもおかしくない。そういう意味では、攻める事はできないかもしれない。
だがしかし、ケジメはいる。
と、いうことで罰ゲームという形でイッセーを叱責して、もうちょっと自愛の感情を持たせようという試みだった。
ちなみに、井草は人の事を言えないので今回は参加しない。自分がつい最近まで自愛という言葉からかけ離れている生き方をしてきた自覚ぐらいはある。どの口が言うのかというツッコミを受けるつもりはない。
まあ、とりあえず皆もこれをレクリエーションのノリでやっているから、そこまで酷い事にはならないだろう。
ちなみにリムが「公開手〇キ」などとネタで言いながら書いたので、とりあえずハリセンを叩き込んだ。
まあ、あれはネタなのは間違いない。その後あっさりもう一枚取り出して「お気に入りのエロ本の朗読」というマシな方向になったので、こちらは許容する。
別の意味で地獄だという意見はスルーされる。これはイッセーに対する罰なので、イッセーに対しては苦痛でなければならない。そういうものだ。
「じゃあ、公平が期待できる井草が適当に中の紙を抜き取ってね」
とのリアスの意見に満場一致。井草が箱の中に入った紙を抜き取る事になった。
あまり時間をかけるのもあれなので、つまらないと言われそうだが一瞬で選んで抜き取る。
そして折りたたまれた罰ゲームの書いた紙を開いて―
「……姫島朱乃とデート? 朱乃ちゃんとのデートなんて罰ゲームでもなんでもなくない?」
―心底意味不明だった。
姫島朱乃。リアス・グレモリーの女王にして、学園二大お姉様の1人。
転生悪魔としては少々Sっ気の強いところがあるのだが、それを除けば非常に優良物件である。
その朱乃とデートする事は、イッセーにとっても願ったり叶ったりなのだが―
「……朱乃ちゃん?」
「あらあら。外れると思ってネタで書いたのが当たってしまいましたわ」
井草が軽く睨むと、朱乃はわざとらしく微笑んだ。
イッセー以外の皆が理解した。というか、分からないイッセーに問題がある。
―この女、罰ゲームにかこつけて自分の願望を叶えに行きやがった!
「……え、え、え?」
そしてイッセーは、どういうことはあまり理解していなかった。
リアスやアーシアの嫉妬の視線も、おそらく意味が分かってないのだろう。
井草としては指摘した方がいいのではないかとすら思う。
なにせ、五十鈴と伊予が井草の事を好いていた事に気づいていなかったのだ。それが要因の一つとなって、ナイアルの悪意の翻弄されたともいえる。厳密には想像でしかないが、ニングとリムの意見出した分あっているだろう。
イッセーの鈍感は井草以上だ。最悪の事態になる前に指摘した方がいいような気もするが―
(……今指摘したら、逆にこっちが死ぬ!)
この爆発寸前の火薬の群れの中にいるイッセーに、火炎放射器をぶっ放すのは自殺行為だ。
井草も自分を守ろうという意識を持ち始めている。持ち始めた時にこんなギャグ展開で死ぬのはごめんこうむりたかった。
「イッセー」
「は、はい」
なので、言う事は一つだ。
「聡くなろうね?」
「は、はぁ」
とりあえず、今度チャンスがあったら恋愛相談に乗ろう。
資格も能力もないとは思うが、しかしそれより下の能力値にぐらいは、比較的マシになる意見を言えるはずなのだから。
なんか特撮デビュー擬きな真似をした井草。とはいえ、これに関しては本文で書いた通り「認知度を高めないと敵のイーツと勘違いされる」という切実な事象があります。
そしてうっかり忘れてた朱乃のデート関係をここでフォローしました。