混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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井草はイッセーたちの暴走を止めるとき「高校生活で我慢したら、童貞卒業相手を手配する」といいました。

では、その相手とは?


5話

 少し前に、井草は一人暮らしをしていると書いていた。

 

 厳密には少し違う。同居人はいる事はいる。

 

 だが彼女は滅多に家に帰ってはこない。表向きの他の仕事場の方に篭りっきりで、たまに戻ってくるぐらいだ。

 

 その彼女が、珍しく帰ってきた。

 

「た~だ~いまぁ」

 

 ……非常に酒臭い息を出しながら。

 

 またかと思いながら、井草はしかし表情を不機嫌なものにはしない。

 

 演技でも何でもない。彼女に対する感謝の気持ちと、なんだかんだで面倒を見てくれる大事な女性だ。

 

 ……あと、人生のおける最悪の初体験を書き換えてくれた恩人でもある。無碍にできない。

 

 というより、無碍にした場合高確率でそれを突っつかれるのが目に見えているので、ややこしいことになるのを避ける必要もある。

 

「……また戻る場所間違えてないかい、ピス義姉さん」

 

「そんなことないわよぉ。今回はぁ、最初から久しぶりにここに戻る気でしたぁ」

 

 そう間延びした声でしゃべるのは、ピス・ダウンフォール。

 

 井草の義理の姉という形でグリゴリが戸籍をねじ込んだ、井草の護衛役である。

 

 条件次第ではアザゼルたち神の子を見張るもの(グリゴリ)の幹部クラスにも匹敵する戦闘能力を発揮する彼女が牽制になっているからこそ、リアス・グレモリーという超VIPが担当しているこの悪魔の縄張りで好き勝手出来るのだ。

 

 ……ちなみに、ある親バカが相当のショバ代を払っていることも要因の一つである。

 

 人間世界での介入をたやすくするため、意図的に戸籍などを登録しているパターンは決してないわけではない。

 

 ピスの場合はその類で、それらもあって井草の義理の姉ということで活動している。

 

 表向きの仕事は私立探偵。加えて、堕天使側が金銭稼ぎの為に用意している土地の管理者だ。

 

「もうめんどくさいのぉ。仕事嫌いだからさぼりたいのぉ」

 

「はいはい。ピス義姉さんは頑張ってるね」

 

 どうやら最近の仕事の多さに、やけ酒を飲んでぬくもりを求めていたらしい。

 

 そのままピスは、井草に抱き着いた。

 

 すんすんと臭いをかぎ、そしてほっこりとする。

 

「ふぅ。ねえ、今日は一緒に眠ってくれるぅ」

 

「義理の姉弟でそういうことするとか、まさに堕天使だね。まあ、俺なんかでいいならしてもいいさ」

 

 ……面倒くさがりなこの義姉には敵わない。抵抗するだけ時間の無駄だし、何より周りの迷惑になるだろう。

 

 なので素直に体の力を抜き―

 

「―でも、面倒くさいことはしない方がいいわよぉ」

 

 その言葉に、井草は一瞬動きを止める。

 

 どうやら、総督から色々と話を聞いたらしい。中々の嗅覚だ。

 

「別にここは悪魔の縄張りだからぁ、悪魔のご機嫌を取るのは当り前よぉ。その前の友達を大切にするのもいいことねぇ」

 

 でもと言わんばかりに、ピスは指を一本立てる。

 

「―自分をきちんと大切にすること、頑張らなきゃダメよぉ」

 

 それは、まっすぐなまでに井草のことを思っての言葉だった。

 

 痛いほどそれが伝わってくる。そして嫌というほど何度も言われてきた言葉。

 

 それが、本心からのものだという事を分かっているからこそ、井草はつらくて堪らなくなる。

 

 そんな資格は、自分にはないのだから。

 

「―分かってるよ、ピス義姉さん」

 

 だから、井草はあえてこう嘘を言うのだ。

 

 断って彼女を心配させるのが嫌だから。彼女のおかげで今の自分があることを知っているから。彼女が負の感情を表情に出したりすることが嫌だから。

 

 ……自分なんかの為に、人がそんな顔をするのは耐えられないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして早朝、いきなり電話で叩き起こされた。

 

「……なに、リアスちゃん」

 

 色々あって寝不足気味なので、ちょっと不機嫌な声が出る。

 

 基本向こうの意向を汲んで、不干渉にはしているのだ。

 

 監視報告業務もあるし、近辺の堕天使絡みの問題解決の為に色々と動かざるを得ない為、その辺りのフォローをしてくれるのは感謝している。部活勧誘を阻害する為に自分の部活に在籍させてくれるのもありがたい。

 

 だが、極力不干渉をそっちから要求しておきながら、なぜ自分はこっちの都合を考えないのか。

 

「あのさぁ、悪魔としてなら我儘は通せるだろうけど、ここは人間界なんだからもうちょっと節度を―」

 

 なのでちょっと文句を言おうとして―

 

『イッセーがはぐれ悪魔祓いに襲われたわ。堕天使も関わってるし、契約をしてきた人も殺されてる』

 

 ―その言葉に、そんな気分は一瞬で霧散した。

 

「……神の子を見張るもの(ウチ)を離反した連中の可能性は?」

 

『そこも含めて調べるのを手伝ってほしいの。……そっちこそ、夕麻とか言った堕天使の可能性は?』

 

「釘は刺しておいた。今ここでグレモリーと揉めれば切り捨てられるのはよほどの馬鹿じゃなければ分かるはずだ」

 

 だが、そのバカの可能性がある事は否定できない。

 

 かなり平和主義でハト派なのがアザゼルだ。神の子を見張るもの全体でタカ派なのは、コカビエルぐらいだろう。それぐらい堕天使というのは平和主義だ。

 

 また、人間界に干渉する事も極力避けている。殺人狂の多いはぐれ悪魔祓いを集めているのは、あくまで戦力を確保しないと何かあった時に対応しきれないからだ。

 

 それが分からず、悪質な行動をとったレイナーレは、馬鹿の可能性は高かった。

 

「……確認の連絡は―」

 

「それはこっちでやるわぁ」

 

 と、ピスが即座に通話モードを切り替えてそう言い放つ。

 

「監査と合流してその教会に詰め寄るわぁ。なんならついでに監視でもするぅ?」

 

『そうさせてもらうわ。とりあえず、井草はいったん合流して頂戴。一通りの情報共有をしたいの』

 

 素早くかわされる会話に、井草もまた頷いた。

 

 そして、通話が切れ、ピスはため息をついた。

 

「また面倒くさいわぁ。ちょっと面倒じゃないのぉ?」

 

「ごめんピス義姉さん。俺なんかが警告しても理解できなかったみたいだ」

 

 本当に面倒な事になった。

 

 本当にレイナーレがやらかした事だとすれば、彼女は自分達が責任をもって始末する事になるだろう。

 

 そうなれば、住まわせてもらっているグレモリーに相当の迷惑をかける事になる。色々とやりづらくなるのは間違いない。

 

「仕方ないから、今夜中に終わらせるわぁ」

 

 ……そして、この義姉の本気を見るのは色々と心臓に悪い。

 

 虎の尾の何匹分も同時に踏みつけたレイナーレ達に、井草は心底から「勘弁してほしい」と思った。

 




 状況急転。









 さて、自分の作品を見ている方なら知っていると思いますが、自分、作品を書くにあたって一つの法則を作っております。

「味方を強化したら敵も強化する」です。

 ついにイーツも本格参戦する、わりと混戦になる予定です。

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