混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
そして今回はその過程での作戦会議戒といえます。
ロキ襲撃の翌日。オカルト研究部はシトリー眷属を加えて、兵藤邸の地下にある、大広間に集まっていた。
そして、そこには共闘を申し出たヴァーリチームと、ムートロンから派遣された五十鈴もいる。
ヴァーリチームは普段通りの様子だが、五十鈴は戦闘になる事を考慮しては、ハストゥールイーツの状態で参加していた。それが緊張感を生み、井草達は臨戦態勢をとる。
流石に現場の判断で即断できる事でもなく、その日はいったん保留となった。
そして、その答えを聞きにヴァーリチームと五十鈴が兵藤邸に招かれたというわけだ。
「まず一つ聞くぜ? 俺達と共闘する理由は、一体なんだ?」
「純粋に神と戦いたいだけだ。美猴達も付き合うと了承してくれている。是では不服か、アザゼル?」
睨み付けるようにして放たれるアザゼルの詰問に、ヴァーリはそうさらりと答える。
だが、それに対して五十鈴が肩をすくめた。
「嘘つきなさい。
その言葉に、井草達は警戒心を強くする。
神と敵対する禍の団。その禍の団に、神殺しの力を持つ魔獣が渡る。
どう考えても警戒する他ない。
そして、ヴァーリチームの怒気が籠った睨み付けが、五十鈴に集中する。
「……英雄派にしろ
「アンタ馬鹿? こっちが下出に出ないといけない状況で、目的も話さないとか考えられない。しかもアンタ、
苛立ちを露わにするヴァーリに、鼻で笑う五十鈴。
むしろこの場で禍の団による内乱が勃発しそうな雰囲気であった。
「……英雄派やムートロンとお前らが、反りが合うわけないか」
「当然だ。英雄派とは不干渉という事で落ち着いている。ムートロンの連中とも関与したくないのだが、たまたま出くわしてな。いい迷惑だ」
「こっちのセリフよヤンキーども。組織に属してるなら、最低限のルールぐらい守りなさい。
お互いに殺意すら向ける状態に、アザゼルは本気でため息を吐いた。
そして、それに対して想うところがあったのか、五十鈴は持ってきたトランクケースを取り出す。
「アザゼル総督。ムートロンも大魔王派も、この
「……待った。改めさせてもらうよ」
井草はそれに割って入って、トランクケースをひったくる。
そして、ヴァーリチームの近くまで移動してトランクケースを開けようとする。
「……何故、私達の前で?」
「罠だったら困るからだよ」
アーサーの言葉に、井草はこともなげに答えた。
完全に、巻き込んでも問題ないと思っているからこその対応だった。
「裏切り者の舎弟なんかに遠慮する必要ないし。共闘したいならぜひ盾になってくれない?」
「そうね、本当に爆弾でも仕込むべきだったかしらね」
脊髄反射レベルで井草に乗っかる五十鈴に、美猴は心底嫌そうな顔になる。
「お前ら、息ぴったりだなオイ」
「「幼馴染だし」」
完全にハモって返答されては、美猴も苦笑いするしかない。
そして、空けられたトランクケースの中身は、高品質のオリハルコンだった。
あまりの質の良さに、価値を知るアザゼルとリアスが瞠目する。
それを見て、五十鈴はさらりと言い切った。
「精鋭用のムートシリーズはオリハルコンが必須らしいから。既にムートロンは、神の御業すら再現できると思った方がいいわよ?」
「世界全てを敵に回して、勝率九割以上を断言するだけの事はありますね」
ソーナが苦苦し気に漏らすなか、アザゼルは頷いた。
「共闘の代金は確かにもらった。だが、そっちの目的が知りたい」
「……上からは「スパイが掴んだロキの研究が流石に看過困難なので、三つ巴の予定を中止して共闘する」って言われてるわ。それともう一つ」
五十鈴は指を立てながら、ため息をついた。
「井草とそっちのニング・プルガトリオが気になるらしいわよ? そのデータを取って来いって話よ」
「……私なのです?」
思わぬ展開に、名指しされたニングは自分を指さしてぽかんとする。
想定外の展開に、一同は目を見はる。ヴァーリチームも聞かされてなかったのか、興味深そうな視線をニングに向けてきた。
五十鈴もそれは想定内だったようだが、しかし首を横に振る。
「悪いけど、私は小間使いだから理由は知らないわ。あと、データ取りのセンサーは埋め込まれてるから、もう終わってると見ていいわ」
そう言いながら、手のひらを上にして肩をすくめる。
それに対して、井草は苦笑した。
「ペラペラしゃべりすぎだよ。口封じされそうだけど?」
「それも下っ端の邪悪らしくていいわね。でも、あなたと決着つける方が好みだわ」
その口ぶりに、井草は苦笑する。
「で、どうします、先生」
井草に聞かれ、アザゼルは頭を悩ませながらも頷いた。
「……戦力が必須なのは確かで、一応交渉の態度を取ったムートロン側は弾除け程度にはなるだろう。ヴァーリに関しては、サーゼクス達は旧魔王末裔のコイツを無下にする事はできないとよ。断ったら断ったで三つ巴になるだけだろうしな」
「分かってるわね。上はそのつもりよ」
「俺達もだ。まとめて相手をするのも面白そうだ」
さらりとアザゼルの指摘を肯定した五十鈴とヴァーリに、周囲の警戒度は更に上がる。
しかし、アザゼルは肩をすくめると仕方なさげに笑って見せた。
「甘い判断ではあるが、野放しにするよりは協力してもらった方が賢明だろうしな」
「現場としては納得しきれないけどね」
リアスは不満を露わにする。それは、この場にいる三大勢力の関係者の意見そのものと言ってもいい。
だが、トップである魔王が良しとしているのなら、悪魔側は良しとするしかない。少数派のイリナ達天界側も反論の意味はないだろう。
「いざとなれば、俺が後ろから刺すから大丈夫さ」
「そう簡単にやられないさ」
井草の反目の指摘に、ヴァーリはそうこともなげに返した。
そして、本題ともいえるロキとの戦いの会議となった。
「で、だ。ロキ対策にドラゴン関係者は後で別の部屋に集まってもらう」
「え、何でですか?」
イッセーが首を捻るが、それに応えたのは五十鈴だった。
「ロキが生み出したのはフェンリルだけじゃないのよ。そのうちの一角、五大龍王の一臂である『
その説明にイッセーは思わず頭を下げ、しかしすぐに飛び跳ねるように頭を上げると、五十鈴を睨み付ける。
「って、なに仲間みたいな態度をしてるんだよ!」
「一応共闘するんでしょうに。割り込んだ身として説明ぐらい請け負うわよ」
そう返す五十鈴だが、しかしイッセーは睨み付けるのをやめない。
「……あんだけ井草さんを痛めつけたくせに、よくもまあぬけぬけと……っ」
「イッセー、ストップ」
食って掛かるイッセーを止めたのは、井草だった。
それに対して、ヴァーリチームすら含めた全員が程度はともかく驚いて見せた。
何より、五十鈴に至っては変身が解けてしまうほどに驚いていた。
「……井草? あんた、何考えてるのよ……ぉおっと!?」
『ハストゥール』
とっさに再変身するが、しかしそれを妨害するものは何処にもいない。
それぐらいには、井草の対応は想定外だった。
特にイッセーやリアスに小猫。リムとニングは唖然としている。
それほどまでに、五十鈴が井草に対してとった態度は辛辣なものだった。
だが、逆に井草はその対応に戸惑っていた。
「……あれ? どういうことかな?」
「ちょ、井草大丈夫!?」
なんというか、五十鈴が一番心配していた。
額に手を当てると熱を確認。その跡脈拍数を確認。ついでに顔色や瞳孔の様子まで確認し始める。
「ちょっと! あんたは邪悪である私と殺し合うのよ!? 体調管理をミスってその前に死ぬとかやめてよね!? ……アザゼル総督にリアス・グレモリー! あんたら井草の体調ぐらい管理しなさいよ!!」
「んなこと言われても困るわ!! 俺達も想定外だよ!!」
「そうよ! 第一あなたがそれを言わないでくれるかしら!?」
喧嘩腰になり始める三人だが、そこに井草が割って入った。
「はいはい! 落ち着いて三人とも! 共闘するんでしょ?」
「「「誰の所為よ(だ)!!!」」」
三人がかりで井草は怒られた。
井草は「解せぬ」という三文字を顔全体で表現しながら、何を言ってるんだこいつらはという顔をした。
「いや、上から目線な上に要請だけしているヴァーリチームと違って、五十鈴はきちんと対価を持ってきてるし? なんだかんだで律儀で、なんか懐かしくなったし」
そういうと、井草は笑みすら浮かべて見せる。
それに対して、アザゼルと五十鈴は顔を見合わせて沈黙した。
「……調子狂うわ。帰っていいかしら?」
「ああ、とりあえず連絡先だけ用意しろ。合流タイミングがつかめねえ」
「あ、それなら使い捨てのスマホをもらってるから、それでお願い」
「へ? は?? え???」
訳が分からないといった表情をしている井草を置いて、五十鈴は肩をすくめながら大広間から転していった。
そして五十鈴が転移してから、アーサーは静かに眼鏡を直す。
「……相当の因縁があると聞きましたが、平然としてますね」
アーサーの意見は全員の総意だった。
だが、井草はきょとんとして首を捻るだけだ。
頭大丈夫か、こいつ?
そんな疑問が全員の共通認識になる中、井草はぽんと手を打った。
「……ああ、そういうことか」
漸く気付いたと苦笑しながら、井草は懐かしむように額に手をやる。
そこに触れた五十鈴の体温を思い出しているのか、井草は穏やかな笑みを浮かべていた。
「
……その言葉に、皆は何も言う事ができなかった。
共闘のためにちゃんと対価を払うムートロン。仮にも組織なだけあって、足元を見ずに交渉する当たりが違います。