混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
書き溜めの増大に関しては、他の作品をちょくちょく書くことで抑え込もうかと気を使っております。
そして、アザゼルとバラキエルは準備のために大広間から出ていく。
準備が終わればミドガルズオルムと交渉するので、ヴァーリチームには残ってもらわないと困る。なので、どうしてもここで待機してもらうことになる。
微妙にグレモリー眷属は緊張感が漂う。
しかし、そこで美候が手を上げた。
「赤龍帝!」
「な、なんだよ?」
警戒心をだすイッセーだが、しかし美候はフレンドリーににこやかだった。
「この下にある屋内プールを使っていいかい?」
……こけた人が出てきたのは、何も悪くない。
禍の団にとって、兵藤邸は基本的に敵地である。さらにシトリー眷属までいる状況下で、ある意味厳戒態勢である。とどめに「共闘しろ。しなければ両方と戦う」などという我儘極まりない発言まで言ってきていた。その上、その理由は「神殺しのフェンリルを取り込みたい」であり、しかも隠していた。
五十鈴を派遣したムートロンが理由を素直に話し、先払いで代金迄支払ったこともあって、図々しいとしか言いようがなかった。
当然のことだが怒りを見せる者もいる。
リアスがその筆頭だ。ずいっと迫ると美候をにらみつける。
「ちょっと! ここは私と兵藤一誠の家よ!? 勝手なふるまいはしないで頂戴」
「リアスちゃん、改装費用出したとはいえ、ここは「兵藤」邸だからね?」
サラリと放たれた自分の物宣言に、井草は一応ツッコミを入れた。
が、勿論リアスは聞いてない。
美候も聞いておらずへらへらと笑っていた。
「硬いこと言うなよ、スイッチ姫―」
その瞬間、魔力を全力で込めたリアスの一撃が、美候に頭に直撃する。
相当ダメージが入ったのか、美候は涙目にすらなっていた。
「いってぇええええ!! なにすんでぃ、スイッチ姫!!」
文句ももちろん言ってくるが、リアスはリアスで涙目である。
「あなたね! あなたのせいで、私はもう冥界をまともに歩けないのよ!!」
スイッチ姫と呼ばれる羽目になって、リアスは本気で苦悩していた。冥界を出歩きたくないぐらいにはトラウマである。
そして、スイッチ姫の名は、美候が言い出したことである。アザゼルがスタッフに提案したのが原因だが、事の発端は美候である。
そういう意味ではリアスの怒りはもっともだった。
が、美候はまたしてもどこ吹く風で、どこか誇らしげだった。
「いいことじゃねえか、俺っちもおっぱいドラゴンは見てるけどよ、自分のつけたネーミングが採用されて光栄だぜぃ?」
「……こ、この猿……っ」
一触即発の空気になり、さすがに井草は介入しようかと考えた。
というか、周りのメンバーは何というか和気あいあいとなっている。
イリナはアーサーと聖剣談議に花を咲かせているし、アーシアはヴァーリにお礼を言いに行った。黒歌は小猫と姉妹喧嘩をしている。
此処は井草が行くしかない。
「そこの猿。デリカシーって言葉を学んでから出直してきな」
当然リアスの味方である。
正直、リアスには同情していた。加えて美候は敵である。どっちに味方するなど考えるまでもない。
そして井草は堕天使の翼を広げて牽制しながら、白い目を美候に向ける。
「そもそも、図々しいにもほどがある。敵の拠点の遊興施設を使いたがるとか、馬鹿なの?」
「そこまで言わなくてもいいじゃねえかよ。興味があるだけだって」
美候はそう返すが、井草は頭痛を感じて額に手を当てる。
目の前の男とはそりが合いそうにない。
ヴァーリにもそう思っていたが、この男もだ。気があうどころかチームメンバーになっただけのことはあるようだ。
「いい加減にしないと、君の首を共闘の代金にするよ? 五十鈴も言ってたけど、恥の概念を持ったらどうだい?」
軽蔑の視線すら向ける井草に、美候はさすがにイラだったのか軽くにらみを利かせる。
どうやら、五十鈴の件を持ち出されたのがイラついたようだ。
「おいおい。あんな女にまだ気があるのかよ?」
「少なくとも君たちよりはね」
嫌味に対して即答する。
ヴァーリチームは五十鈴たちを自分たちより下に見ているようだが、井草はそうは思わない。
それに関して嘘偽りはない。そして、それは感情に任せた者でもなかった。
「邪悪であることを自覚して、それでも礼節をわきまえた五十鈴が、下衆野郎の自覚もないチンピラより下だって? 寝言は寝て言ってくれ」
心の底から本心だった。
自由というのは権利と責任を負って、枠の中で行使されるものである。
少なくとも、自分の欲求に従って法のくびきから抜け出たヴァーリチームのそれは、井草の中では勝手というものだった。
邪悪という勝手であるという自覚がある、今の五十鈴の方がまだ許容できる。それが井草の心からの本心だった。
「禍の団に同情するよ。君達みたいなのの首根っこを捕まえられないとか、苦労してるだろうに」
「こ、この野郎……っ。そこまで言うか?」
辛辣極まりない物言いに、美候は怒りを通り越してわずかに引いている。
どうやら自覚が本当になかったらしい。井草は、本心からコレより下に見られた五十鈴に同情した。
「言われたくないなら自粛したら? 言っとくけど、
「コイツまじでむかつく! 本気でぶちのめすぞ!?」
すさまじい勢いでディスられて、美候はついに涙目にすらなった。
「井草、さすがにちょっと言いすぎじゃない?」
リアスにまでドン引きされた。心底解せぬ。
そんなこんなでミドガルズオルムとの通信がつながり、ヴァーリチームは帰っていった。
その日の夜、井草は珍しく酒を飲みに外に出る。
ヴァーリチームとの共闘は、さすがにストレスをため込んでしまう。何かで発散しないとどこかでミスをしでかしそうだった。
とはいえ、金の無駄遣いはしない。安い立ち飲み酒場で一杯ひっかけるだけである。
学生が酒場に行くのはあれかもしれないが、しかし井草は成人しているので問題ない。私服に着替えてもいる。
そんなこんなで立ち飲み酒場に来てみれば、割と混んでいた。
それでも空いている場所を探すと、隅の方に一人分空いているのを見つける。
隣には女性がいるが、まあいいだろう。井草としてはリムとニングの件でもいっぱいいっぱい。とどめに伊予と五十鈴のこともある。気にする余裕はかけらもない。
「あ、そこ使ってもいいですか?」
「あ、どうぞどうぞ」
と女性は顔を見ずにそう返すので、井草もあえて顔を見ずに注文をする。
そして、酒とつまみが来たところで手をのばし―
「「あ」」
その手が、その女性とぶつかった。
「「すいません」」
と、謝りながら顔を向ける。
「……あ」
―五十鈴だった。
「井草? あんた何してんの?」
「ヴァーリチームにイラついたから、ストレスを酒で溶かしに」
その言葉に、五十鈴はしずかにうなづいた。
完全に納得したらしい。
「確かに、真面目になったあんたからすると、自由人のあいつらは反りが合わないわよね」
「五十鈴はもとからあいそうにないよね。ぶっちゃけ、貧乏くじ引いた気分でしょ?」
お互いに同情するが、しかしそんな関係でもなかったはずだ。
井草と五十鈴は敵同士。それも、五十鈴は自らを邪悪と称している。
だが、どちらも戦闘態勢を取ろうとはしない。
今は共闘を約束した立場だ。その事実が、2人を心理的に落ち着かせていた。
「伊予は、元気?」
井草は、気になっていることを聞くことにする。
五十鈴もまた、それを隠したりはしなかった。
「元気ではいるわね」
内容については、深入りしない。
少なくとも人前で話すようなことではないのだろう。態度がそれを証明している。
それでも、伊予は元気で楽しくやっているらしい。
「五十鈴は、今の暮らしは楽しいのかい?」
「少なくても、邪悪でいる分には都合がいいわね」
そっけないが、しかし答えてくれた。
無視することも突き放すこともない。そういうところは変わってないと、これまた安心してしまう。
そして沈黙しながら酒とつまみを消化していると、今度は五十鈴が視線を向けてきた。
「そっちはどうなの? なんか、私をにらんでた女がいるけど」
リムとニングのことだろうか? あの時は気づかなかったが、警戒していたらしい。
まあ、当然といえば当然だろう。
五十鈴はムートロンの準幹部である。必然的に敵であり、警戒しない方がどうかしている。
普通のことだと思ったのだが、五十鈴の感想は違うらしい。
「あの小柄な二人、あんたのことを心配してるみたいね。……堕天使らしくハーレムでもする気?」
からかいの感情がこもってないその質問に、井草はため息をついた。
そうなる可能性は確かにある。だが、いい加減な気持ちでそうするつもりはない。
「五十鈴? ハーレムってのは器量体力財源の三つが必要で、それに重いものだよ?」
「それなら大丈夫でしょうに」
即座にそう断じられる。
なんでそんなことを言えるのかと思うが、五十鈴はあきれ果てたかのように半目を向ける。
おまえは自分のことを理解していないのか。そう口ではなく目でものを言っていた。
「今のアンタなら大丈夫でしょ? わたしと伊予よりいい女じゃない。
酒に酔っているのか、五十鈴はそんな気づかわし気な言葉すら言ってのけた。
それに苦笑して、井草はしかし首を振る。
無論、リムかニングと付き合う可能性はあるだろう。堕天使としての特権をもってして、ハーレムを作ることもあり得る。三大勢力和平のあかしとしてもてはやされそうでもある。
だが、井草が否定したのはそういうことではない。其れとはまったく違うことを否定したのだ。
それは、
「今迄の過去があるからこそ、今の俺があるんだ。それをないがしろにして未来をつかもうなんて、虫が良すぎるよ」
「……」
その意見に、五十鈴は沈黙を返す。
それを理解してなお、井草は言い切った。
「決着はつけるさ。その決意を捨てて2人に逃げるのは、
その言葉に、五十鈴は目を伏せる。
何を考えているのかはわからない。だが、真剣に何かを想っているのだけはわかっていた。
しかし、それを言葉にすることはなかった。
「店長さん、お勘定」
そういうと、五十鈴は手早く井草の伝票までとると、まとめて払う。
そして荷物をまとめて、井草に背を向けた。
「大事なものを間違えるんじゃないわよ。私は邪悪であなたは正義。そのことを忘れないでくれないと、こっちが困るわ」
そう言って、五十鈴は店から立ち去る。
その背中を見送って、井草は静かに思う。
―間違えていないさ。俺は、今でも二人が大切なんだ。
それを聞いたら、イッセーにすら苦言を呈されるだろう。それぐらいには、五十鈴は邪悪となっている。
だが、それでも、だとしても。
あの頃の思い出は輝いている。それを否定してしまっては、何か大切なものを失ってしまう。
だから、井草は一抹の寂しさを感じて酒を勢いよくあおった。
その目の前に、焼き鳥の乗った皿と酎ハイのグラスが置かれる。
「……頼んでないよ?」
「奢りだよ。振られたやけ酒ぐらい許してやるさ」
その店主の気遣いに、井草は苦笑するしかなかった。
Fate的な属性が基本的に秩序:善な井草からしてみると、軒並み混沌のヴァーリチームは反りが合わなすぎる模様。
いや、実際問題ヴァーリチームでどこでも好き勝手やってる上に、冥府に堕とされたり賠償金祓ったりしている英雄派や、しっかりきっかり討たれている旧魔王派やクリフォトとは違って、なんとなくうやむやになってる節がありますよね。
毎回バレてボコられている覗きのイッセーをアンチするより、ヴァーリチームの傍若無人っぷりをアンチするほうがまだ理解できるんだが、なぜイッセーアンチはあそこまで多いのか。
因みにこの作品が「罪を犯した人物の更生物語」である以上、その辺についてはしっかり突っつくよていです。
活動報告で新作のテーマを募集した際に、締め切ったあとで「ヴァーリチームは人権を考慮されなくていいテロリストなんだから処罰されるべき」という意見がありました。
ぶっちゃけ「それ言いすぎじゃね?」と思う意見ではありましたが、確かに処罰がろくにないのは大問題。この作品のテーマ的にも無視はいかんと思うので、しっかりケジメはつけさせる予定ですので、そう言うのが気になる方はご安心を。