混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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13話

 

 そしてニングは、井草の部屋にまでついてきた。

 

 すさまじく嫌な予感を、井草は覚える。

 

 この展開は、きっとあれである。

 

 死ぬかもしれない戦いで、せめてその前に想いを遂げようとする、あれだ。

 

 さて、この場合選択肢は二つある。

 

 1それを受け入れる

 

 2とにかく諭して止める。

 

 1場合、思い残すことがないとして死にに行く可能性がある。逆に2の場合、思いのこしができてそれが足を引っ張る可能性がある。

 

 そして何より、井草に躊躇があった。

 

 リムに関しては、彼女の体質上男と交わることが必須という言い訳があった。だからこそ、井草も体を許してしまったといえる。

 

 だが、ニングに関してその言い訳はない。それが、心理的ブレーキになっている。

 

 しかし、そのリムはニングとむすばれてほしいと井草に願っている。

 

 そして、ニングはリムと井草が結ばれることを結論付けた。

 

 つまりは、井草の決断ですべてが決まる。

 

 そして、井草はここで「どっちも大事だからハーレムで」などとは言えない。

 

 少なくとも、今の段階でそれを決めても逃げでしまないだろう。優柔不断な結論でしかない。

 

 覚悟を決めて、2人をまとめて愛して見せるという気持ちになってからでなくてはならない。そうでなければ不誠実だ。

 

 そして、伊予と五十鈴のことを投げ捨てて、損な決断ができるとは思わなかった。

 

 五十鈴とあってそれが断言できた。井草にとって、伊予と五十鈴は居間でも大事な幼馴染で、大好きな存在なのだ。

 

 その二人との決着を付けなければ、答えを出せない。

 

 ……そこまで自分を見つめなおして、井草は結論した。

 

 今この流れでニングを抱くことは、不誠実だ。

 

「ニング、俺は―」

 

 そして顔を上げ―

 

「―ん」

 

 ―そこにカウンターが叩き込まれる形で、ニングの唇が押し当てられた。

 

 完璧な不意打ちだった。想定外すぎて対応ができなかった。

 

 感情のボルテージが暴走しかかる。男の劣情が一気に上昇する。

 

 それを、井草は渾身の全力で耐える。

 

 このまま感情に任せれば、井草は同じことを繰り返す。

 

 何もわかっていなかった、過去の自分に戻る気はない。少なくとも、劣情に任せて相手を傷つけるような真似は断じてしない。

 

 ゆえに、怒りすら込めて井草はニングを正面から見据える。

 

「ニング! お願いだから落ち着いて―」

 

「はい。もういいのです」

 

 そのあっさりとした返答に、井草は唖然となる。

 

 ニングは本当に満足したかのような表情で、微笑みながら立ち上がる。

 

「これで思い残すことはないのです。いろいろと迷惑をかけてすまなかったのですよ」

 

 そして、ニングはそのまま謝罪の一例をすると外に出ようとする。

 

 本当に、キスをしただけで満足したのだ。それだけで、心残りがなくなってしまったのだ。

 

 ……それが、耐えられなくて、井草はニングを後ろから抱きしめた。

 

「……ニング」

 

「え……?」

 

 いきなり抱きしめられて、ニングはあっけにとられたのが動きを止める。

 

 その反応で、確信は決定に代わる。

 

 ニング・プルガトリオは本当に満足していたのだ。ただキスしただけで、想いを終わらせようと思ったのだ。

 

 それが、たまらなく悲しい。

 

「……ニング。君はもっと優遇されるべき子だ。リムと同じぐらい、求められてしかるべきなんだ」

 

 井草は心からそう思う。

 

 聖職者にふさわしき自愛の精神を持ち、井草を許してくれた、ニングとリム。

 

 二人が背中を押してくれたからこそ、井草は全てを皆に告白することができた。その結果として、受け入れられたのだ。

 

 井草は、2人のことが好きだ。

 

 優柔不断で最低なことだが、井草は一人を選べない。

 

 それ以上に、伊予と五十鈴のこともある。

 

 本当に最低だ。イッセーのようにハーレムを作るという決意すら持てない。優柔不断なだけなのだ。

 

 だが、しかし、それでも。

 

 ニングが自分の幸せを優先しないのは別問題だ。

 

「……ニング。君は俺よりも幸せになるべきだ。それだけのことをしているじゃないか」

 

 しっかりと抱きしめて、嘘偽りのない言葉を投げかける。

 

「コカビエルの時の言葉を返すよ。……自分のことを卑下したら駄目だ」

 

 あの言葉が、最初のきっかけになったのだ。

 

 そのきっかけをくれたニングが、自分の幸せをないがしろにするなんて、何かがおかしい。

 

 なぜ、そんな風に自分を卑下するのだ。

 

 井草は、罪を犯したからこそ自分を卑下した。それはある意味で当然の反応で、しかしリムはそれを立派だといってくれた。

 

 なら、井草もまたニングを認めたい。

 

 少なくとも、理由を知りたい。なぜそういう考えになってしまったのか、そのわけを知りたい。

 

「……私は、捨ててしまったのですよ」

 

 静かに、ニングは告げる。

 

 寂しげにほほ笑みながら―否。

 

 自虐の笑みを浮かべながら、ニングはうつむいた。

 

「私は、両親との思い出を目的のために文字通り捨ててしまったのです」

 

 その言葉の意味は分からない。

 

 だが、それでもわかることはある。

 

 ニングもまた、何かを背負っているのだ。

 

 何かをして、それに苦しんで、そして自罰的意識を持っている。

 

 だから―

 

「ニング。一つだけ言う」

 

 井草はニングを抱きしめ、一つだけ言い切った。

 

「それを悔やめるのは、きっと褒められることをしていると思う」

 

 それは、ニングが言ってくれたことと似通っていた。

 

 ニングは、井草をほめてくれた。

 

 誰かのため意心から行動できることを。罪を犯して、それを心から悔いることができたことを。井草が当然で、それをしたところで最低なことに変わりはないと思っていたことを、ほめてくれた。

 

 だからこそ、井草は救われたのだ。

 

 だから、井草もまたニングをほめる。

 

 どのような理由があろうとも、それが酷いことだとしても。

 

 それを悔やんでいるニングを、ほめてやりたかった。

 

「………ニング。自分を嫌いにならないでくれ。俺は、そんな君を見たくない」

 

「……ありがとうなのです」

 

 井草の懇願に、ニングは苦笑で返す。

 

 そして振り返ると、其のまま井草を抱きしめ返して、胸元に顔をうずめる。

 

「なら、少しだけこうしてほしいのですよ。五分でいいのです」

 

「ああ、それぐらいなら大丈夫さ」

 

 井草は、小さく柔らかいニングの身体を抱きしめながら、こう思う。

 

 この子が背負っているものを、リムが背負っているものを、少しぐらい一緒に支えてやりたいと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……それと同じぐらい、井草はやはり伊予と五十鈴を救いたいとも思ってしまっていた。

 

 それが、たまらなく優柔不断に思えて、井草は自分を久しぶりに本心から自虐した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、北欧神話と日本神話の和議会談が行われる当日。井草たちは久しぶりに駒王学園に来ていた。

 

 ここ数日間は、ロキとの決戦のためのトレーニングや休養などで学校は休んでいた。そのために態々使い魔を変身させて対応していたほどだ。

 

 しかしまあ、最期になるかもしれないので、気を使われたということなのだろう。

 

 で、オカルト研究部の部活動も行っている。

 

 ただでさえ修学旅行が迫っている現状だ。さらにそれが終わるとすぐ学園祭も待っている。割と忙しい時期でもあるのだ。

 

 なので、今のうちに出し物を決定しておかないと忙しいことになるのだが―

 

「おっぱいメイド喫茶を希望します!!」

 

「イッセー。一回死ぬ?」

 

 本能以外が介在していないド級の発言をぶちかましたイッセーに、井草は珍しく本気の怒気をたたきつけた。

 

 思わぬ展開に、イッセーは冷や汗を思いっきり流す。

 

 リアスたちも流石にあっけにとられる中、井草は堕天使の翼を広げながらレセプターイーツにまでなって威圧を開始した。

 

「ニングとリムのおっぱい迄見ようってのかな? イッセー、君はさすがに節操無しになったね、ん?」

 

「ま、まってください井草さん!! でも、部長と朱乃さんのおっぱいがあれば、この学園祭の天下を取れますよ!?」

 

「取れるのは逮捕状だからね?」

 

 井草は光の槍まで出して牽制を行い、イッセーも赤龍帝の籠手を出しながら食い下がる。

 

 その光景に祐斗がさすがに苦笑した。

 

「イッセー君。もし君の意見が通ったら、他の男子に部長と朱乃さんの胸を見られることになるよ?」

 

「……あ」

 

 完全に失念していたらしい。イッセーは愕然とした表情で崩れ落ちた。

 

 ……本当に本能と煩悩だけで発言していたらしい。さすがの井草も頭を抱えたくなる。

 

 こういう時に深く考えてくれないのがイッセーの欠点だ。色欲が前面に出てくるのさえなければ、覗きをやめた時点で彼女の一人もできただろうに。

 

 そもそもそんな風俗店まがいの出し物を出したら、部の存続すらマズイ。本当に警察が来る可能性だってある。

 

「くそ! これじゃあおっぱいお化け屋敷も駄目か!!」

 

「……そんなくだらないことを考えてたんですか?」

 

 崩れ落ちるイッセーのセカンドプランに、小猫が心底からあきれ果てたのも当然であった。

 

「あのねイッセー? 確かにエッチなのは人を寄せるかもしれないわ。でも、生徒会が許さないでしょう、普通」

 

「では、手堅く去年と一緒にしますか?」

 

 イッセーを諭すリアスに祐斗が意見するが、それにはリアスが首を振った。

 

「去年と同じは芸がないわ。それに、ソーナから「本当のお化けを使うのはルール違反」と怒られてるもの」

 

「そんな事をやらかしてたのですか?」

 

 リアスから語られる衝撃の事実に、ニングがちょっと引いていた。

 

 実際あの時は井草も駆り出された。そして仕事の無い妖怪を雇って、お化け屋敷を開催したのだ。

 

 そしてリアスの言った通り、ソーナに説教されたのである。

 

「むー。じゃあどうしやすかねぇ? いっそのこと、美少女軍団でライブでもしやすか?」

 

 そんなことをリムが言ってくる。

 

 確かにそれは人が集まりそうだ。なにせ、オカルト研究部の女子部員は全員が美少女である。

 

 だがしかし、それでは―

 

「男の出番がないんだけど」

 

 井草の意見の通り、男たちの出番がない。

 

「あらあら。なら男性陣は男性陣でボーカルユニットを組んだらどうかしら?」

 

 朱乃がそう助け舟を出すが、それは危険度が高かった。

 

「……ごめんなさい朱乃さん。それやると、俺と木場のホモ疑惑が加速しそうなんでマジで勘弁してください」

 

 イッセーが絞り出す用意懇願する。

 

 実際問題、イッセーのホモ疑惑はどんどん高まっている。

 

 全面的に、嫉妬した松田と元浜が原因なのだが、祐斗がイッセーのことを大好きすぎるため、それが加速している。

 

 とどめに井草も巻き込まれ始めている。三角関係あつかいはまだいい。今の腐った女子たちのトレンドは、誰を頂点とするハーレムなのかということをつかんでいる。正直井草は法的に訴えたい。

 

 これに関しては松田と元浜の責任ではないが、きっかけを作ったのはあの二人である。さすがに説教案件だと思い始めている井草であった。

 

「あの、そもそもここはオカルト研究部ですから、オカルト的な研究発表はどうでしょうか?」

 

 と、ギャスパーが極めて正論を出してくる。

 

 実際問題、オカルト研究部として活動しているのだから、オカルト関係で出し物をするのが一番な気はする。研究発表なら部活動でそれぞれ特色も出てくるだろう。

 

 だがしかし、これには致命的な問題が存在する。

 

「……んなもんに興味持つ若い連中なんぞ、たぶんレアケースじゃねえですかい?」

 

 リムが言ったとおりである。研究発表では上位に食い込めるとは思えない。どうせならトップを目指すのがリアスのやり方でもある。

 

 だが、それならどうすればいいか……。

 

「どうしましょう? 何かいい案があればいいんですが……」

 

「ふむ、こう言った出し物の場合、私達は経験不足であまり意見が言えないな」

 

 と、アーシアとゼノヴィアも困り顔だ。

 

「なら、一緒にミサをしましょう!! 布教よ!!」

 

「却下」

 

 そして事実上オカルト研究部のイリナが飛んでもアイディアを出して、リアスに却下された。

 

 当然である。

 

 むしろ布教ではなく不況になる。

 

 というより、メンバーの大半が保健室送りになりかねない。和平をぶち壊す暴挙である。

 

 皆が唸る中、イッセーがぽつりとつぶやいた。

 

「……なら、オカルト研究部(うち)の女子限定のミスコンとか?」

 

 なんとなくのつぶやきであった。イッセーも、そこまで深く考えての発言ではないだろう。というより本能重視である。

 

 だが、その一言で皆が顔を見合わせる。

 

 先程も言ったが、このオカルト研究部のメンバーは基本美男美女がそろっている。

 

 女子は多すぎるので男子で言おう。

 

 なんだかんだで顔は整っており、肉食系でワイルド要素ありのダークホース。イッセーこと兵藤一誠。

 

 駒王学園を代表するイケメン。女子生徒たちの王子様。木場祐斗。

 

 男子からの人気も莫大。完全無欠の男の娘。ギャスパー・ヴラディ

 

 二十歳の場違いなんのその。皆が認める好青年ならぬ更生青年。井草・ダウンフォール。

 

 ワル系が好きなら彼に任せろ。我らが顧問の新任教師。アザゼル先生。

 

 割とジャンルがばらけているのも特徴的な、イケメンがそろっている。

 

 そして女子はさらにその上を言っているのだ。

 

 ミスコンテストとミスターコンテストをしてみれば、かなり人が集まることは間違いないだろう。

 

「なるほどねぇ。だったら、オカルト系のコスプレをしてみりゃいいんじゃねえですかい?」

 

 と、名案だと判断したリムがのっかってくる。

 

 確かにオカルト系の恰好でミスコンをすれば、オカルト研究部の特色も出てくるだろう。

 

 井草は自分は何の恰好をするか考えながら、その意見を助長しようとし―

 

「「なら、一位は私ね」」

 

 そのタイミングで、リアスと朱乃が同時に自信満々の発言をしてしまった。

 

 途端に始まる、目と目の視線がぶつかることで産まれる火花の乱舞。

 

 その結果、この日の会議はこれでご破算となった。

 

 そして、部活動終了のチャイムが鳴る。

 

 そのチャイムの音をBGMに、アザゼルが窓からを外を見る。

 

 時間帯は夜間際。故に夕日が差し込んでいる。

 

 ……神々の黄昏を予言された神話の者たちの命運を決める戦いは、黄昏時に始まろうとしていた。

 

「……黄昏、か」

 

 アザゼルの言葉に、全員が真剣な表情を見せて、立ち上がる。

 

 その決意のこもった教え子たちを自慢げに見つめながら、アザゼルもまた、立ち上がった。

 

「神々の黄昏にはまだ早い。……お前ら、気張っていってくれ!」

 

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