混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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衝撃が連続して勃発することになります。

さあ、覚悟はいいか……?


16話

 

 そしてその頃、井草もまた戦闘を開始していた。

 

 目の前に立つのは、アスクと呼ばれた疑似イーツ化した男。

 

 フェンリスヴォルフという疑似イーツの力は強大であり、そう簡単に倒せるものではなかったが―

 

「チッ! 流石にできる!!」

 

 飛び退るアスクは、そう吐き捨てる。

 

 最初の打ち合いでは見事に敗北した井草だが、しかしそれは一対一だったからだ。

 

 そう、今この場は四対一。圧倒的に有利な状況である。

 

 状況であるのだが―

 

「精々盾になってくだせぇよ、五十鈴さん?」

 

「邪悪が盾になるわけないでしょ。あんたがなりなさい」

 

 横目で睨み合うリムと五十鈴に、井草はどうしたものかと頭を抱えたくなった。

 

 結果的に共闘の体勢となったが、非常に連携が取りづらい状況下だった。

 

「と、とりあえず仲良く……は無理なのですが、最低限の協調姿勢がほしいのですよ」

 

 ニングがそう取り成すが、しかし若干五十鈴から離れている。

 

 さて、これはどうしたものか。

 

 井草は真剣に悩みたいが、しかしそんな余裕もない。

 

「隙あり!!」

 

「させないから!!」

 

 当然その不協和音を狙いながら仕掛けてきたアスクを、井草は手に持った聖剣で迎撃する。

 

 この為に神の子を見張る者の技術で用意してもらった聖剣。それも二刀流である。

 

 片方は頑丈さ重視のカトラス。もう片方は取り回し重視のマンゴーシュ。どちらも、攻撃に対する防御を重視した形である。

 

 とにかく放たれる攻撃を防ぎ、光力による攻撃で撃破する。これが井草がアスク対策で考慮した対策だった。

 

 とは言えカトラス型の聖剣もマンゴーシュ型の聖剣も、量産型である為、頑丈さ重視といっても聖魔剣には確実に劣る。

 

 長期戦になれば、刀身が持たない。

 

 なのでできる限り短期決戦で仕留めたいところだったのだが―

 

「とった!」

 

「もらった!」

 

「「ふぎゃ!?」」

 

 同時に攻撃を放とうとして、五十鈴とリムが激突する。

 

「もらった!」

 

「させないのです!!」

 

 振るわれるアスクの爪を、ニングが魔剣で受け止める。

 

 そして井草が光の槍を展開して距離を取らせるが、しかしこのままでは流石に厄介だ。

 

 とにもかくにも、連携を取らせないと確実に負ける。

 

 だがしかし、リムと五十鈴がいがみ合っている現状ではそれも難しい。ニングですら連携を取りづらそうにしているのだ。これはキツイ。

 

「邪魔なんですがねぇ。余所行ってもらえませんかい?」

 

「此処で井草を殺されると困るだけよ。そっちこそ、雑魚は失せなさい」

 

「「……あ?」」

 

 既に敵意が殺意になりかねないレベルで睨み合いが勃発している。

 

 そういえば、冥界での降伏勧告時に二人は激突していた。其れなりに勝負になっていたとも聞いている。

 

 それもあって、更に敵意が増しているのだろうが―

 

「……はぁ。仕方ないな」

 

 これでは逆に負けかねない。

 

 井草はそう判断すると、2人に向き直った。

 

「邪魔。他の連中の相手をしててくれないかな? ……五十鈴もリムも」

 

「「……ぇえ!? 私も!?」」

 

 シンクロして驚愕する二人だが、井草はいったん変身を解除して睨み付ける。

 

 お互いにお互いが足を引っ張っている現状。フォローの為に井草もニングも余計な労力を背負っていると言っていい。

 

 必然的に井草達からすれば、別の戦力を別々で相手してくれている方がまだ助かるというものだ。

 

「……そうなのです。ぶっちゃけ足を引っ張りすぎなのです」

 

 と、ニングもまたそう告げる。

 

「呉越同舟ができないのなら、下がっているのです、ここは私と井草さんで頑張るのです」

 

 それなりにトサカに来ていたらしい。額に青筋が浮かんでいる。

 

「ちょ、待ちなさいよ! EEレベル6,0の最強戦力を外す気!? わたしという邪悪を倒すまで井草に死んでもらったら困るんだけど!?」

 

「相棒を邪魔扱いたぁひでぇじゃないですかい!? 二つの火が合わさって炎になりゃ、こんな奴いなくてもいいじゃねえですかい!!」

 

 二人して文句を言うが、井草が何か言うよりも先に、ニングが一歩前に出る。

 

「い・い・か・ら! ……さっさと、行くのです」

 

 表情は笑顔だが、しかしそこにあるのは圧倒的な王者のオーラ。

 

 臣民を人睨みで黙らせる、圧倒的格上の畏怖がそこにはあった。

 

「「……ひぃ!?」」

 

 思わず抱き合って震える五十鈴とリム。

 

 そして、ニングの微笑が深くなった。

 

「返事は?」

 

「「イエスマム!!」」

 

 直立不動で返事を行い、そして一目散に周囲のヴォルフイーツへと向かっていく二人。

 

 そしてイーツ達がどんどん叩きのめされていく中、井草とニングはため息をつくと、アスクに向き直る。

 

「……は! なんか呑まれてた!」

 

 アスクが我に返って戦闘態勢を取り、そして井草とニングも構え直す。

 

 そして戦闘が仕切り直しになったその時―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、陽動には十分だったぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロキが嘲笑い、そしてフェンリルが井草達の後ろに立つ。

 

『いかん! 弾き飛ばされたのを利用されたか!』

 

『下がれ、2人とも!!』

 

 レグルスとタンニーンが慌てて駆け付けようとするが、しかし遅い。

 

 井草達も反応しきれない速度で、フェンリルは爪を振り上げ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いや、そうはいかない』

 

 その瞬間、アルケリオスの内、ラウバレル機が体当たりを行う。

 

 そして背部のハッチからラウバレルが飛び出すと、即座にスイッチらしきものを構える。

 

「悪いが、彼女に手出しされるわけにはいかないんでな!!」

 

 そしてスイッチが押し込まれると同時、アルケリオスが大爆発を起こした。

 

 その勢いでフェンリルが弾き飛ばされる中、ラウバレルは素早くニングをカバーする体制になると、何かしらの機器をニングに向ける。

 

 そして数秒後、その機器のモニターを見て、ラウバレルは苦笑した。

 

「―やはりか。シャルバが苛立つわけだ。……コード01!」

 

 そのラウバレルの指示を受け、ラウバレル配下の11機のタイランティオが、ニングをカバーするフォーメーションを組む。

 

 明らかに、ラウバレル達はニングを庇う態勢で行動している。

 

 その事実に、何よりニングが目を見開いて驚いていた。

 

「な、なんなのですか!?」

 

 ニングが戸惑うのも当然だろう。

 

 確かに今は共闘しているが、しかし自分達は敵同士である。

 

 三大勢力の一角である、新魔王派にニングは協力している。ラウバレルは、大魔王派の幹部の一人である。

 

 必要以上に庇う理由がない。それが理解できない。

 

 それを理解したのか、ラウバレルは苦笑を浮かべる。

 

 そして―

 

「―前ルシファーの血を引いているのが分かった以上、改めて勧誘するまでは死なれて困っては困るしな」

 

 ―そう、言い切った。

 

 その発言に、井草もニングも戦闘の手を止めてしまう。

 

 ……その可能性が、絶対にないとは言い切れない。

 

 ニングは悪魔の血が先祖返りした存在だが、どの悪魔の血を継いでいるのかは分からなかった。

 

 そして大昔の悪魔は人間を道具の様に扱ったとも聞いている。性処理の道具として扱う事もあっただろう。

 

 万が一。万が一ではあるが、ニングが旧魔王の血を引いている存在だある可能性は想定できるかもしれない。

 

 だが、それを本当に想定する者などいるわけがない。

 

「……冗談でしょ?」

 

「そんなわけがない。計器を使って調べた結果だ。そも、枢五十鈴も君と彼女を大魔王派(私達)が気にかけているのは伝えているだろう?」

 

 井草に対して大真面目に返すラウバレルに、井草もニングも唖然とする他ない。

 

 その状況下で二人が無事なのは、偏にラウバレルの部下がカバーに入っているからだ。

 

 それほどまでに、ラウバレル達はニングの動向を確認したいらしい。

 

 つまり、これは真実なのだ。

 

 真実、ニング・プルガトリオは、初代ルシファーの血を継いだ者。ある意味でヴァーリと同等の存在である。

 

「こちらとしては大魔王派の威光をより強める為に参加してもらいたい。所属して名義を貸してくれれば、諸問題はビルデ殿が殆どをやってくれる。……待遇も相応のものを保証するが、どうかな?」

 

 そんな誘いすらかけるラウバレル。

 

 間違いなく事実だ。だからこそ、ラウバレルはここでスカウトを掛けている。

 

 そしてニングは動揺しながらも、呼吸一つでそれを整え―

 

「それは―」

 

 答えようとした、その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朱乃!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その叫びと共に、血しぶきが舞い踊った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 血しぶきを吹き上げたのは、バラキエル。

 

 そして、その下手人はフローズヴィトニルとヴァナルガンド。

 

 乱戦状態のさなか、朱乃を狙ったその攻撃を、バラキエルが受け止めたのだ。

 

 そして崩れ落ちるバラキエルを、朱乃がとっさに支える。

 

 慌ててアーシアが回復のオーラを掛ける中、朱乃は震える声を出そうとし―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……だ、誰だお前!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな、めちゃくちゃ狼狽したイッセーの声がそれをかき消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセー!? どうしたの!? 敵の精神攻撃!?」

 

 状況が読めず、井草はとりあえずまずイッセーに声をかける。

 

 付き合いが比較的長いからわかる。イッセーは本気でパニックになっている。

 

 朱乃を相手に誰だといったようだが、どうもその相手は朱乃ではないようだ。

 

 何やら異常な事態が起こっていると考えていい。そうでなければ説明がつかないぐらい、イッセーは戸惑っていた。

 

 そして、イッセーは井草に振り向くと―

 

「あ、朱乃さんのおっぱいにダメもと乳語翻訳(パイリンガル)を掛けたら! 朱乃さんのおっぱいが自分はおっぱいの精霊だって言ってきたんだ!!」

 

 その発言に、誰もが固まったのは言うまでもない。

 

 比較的付き合いが長いゆえに、井草に「お前何とかしろよ」という視線が集まってしまうのも無理はない。

 

 いろいろととんでもない事態が連発している中、とりあえず井草は深呼吸をして―

 

「……あの、そのおっぱいの精霊さんに直接話させるとか、できない?」

 

 ダメもとで聞いてみた。

 

―いいでしょう。乳神さまがこの異世界で見出したものが狂人扱いされるのはたまりません。

 

 本当に声が出てきた。

 

―初めまして。私はこことは異なる世界、「(エヴィー)×(エトゥルデ)」に住まう善神が一柱、乳神さまに使える精霊です

 

 なんかすさまじいバックボーンが出た。

 

「……確かに今までに知らぬオーラを感じる。まさか机上の空論であった異世界の存在がここで実証されるとは」

 

「興味深い。だれか、すぐにデータを取れ!!」

 

 ロキが真剣な表情で感心し、ラウバレルが慌ててデータを取ろうとする。

 

 どうやら、マジっぽい。

 

―乳神様は全てのおっぱいを司りし神。乳龍帝、貴方のかたくななまでのおっぱいへの渇望が、私を呼んだのです。

 

 その言葉に、イッセーが打ちのめされる。もちろん誰もが唖然としている。ロキとラウバレルは興味深げだった。

 

 なによりイッセーが戸惑っている。自分のおっぱい好きは自覚しているが、異世界から神が直接目を付けるレベルなどとは想定外すぎる。想定できる方がどうかしている。

 

 そしてナチュラルに乳龍帝呼ばわりだった。ドライグの精神に地味にダメージを叩き込んでいるが、あまりの事態に誰もがそれには気づかなかった。

 

―乳龍帝。今この場には、本音を隠して悲嘆の道をすすもうとしているものが()()います。その者たちのおっぱいを救うためにも、貴方の乳語翻訳が必要です。乳神さまの力で乳語翻訳を増大化させますので、其の力で本音を聞いて、乳神様の力をここに降臨させるのです。其の力によって、貴方が望む奇跡が起こることでしょう

 

 なんかとんでもない展開になってきた。

 

 タイミングとイッセーの行動的に、朱乃の本音を聞き出すということなのだろうか。

 

 井草がぽかんとしていると、イッセーも訳が分からないなりに納得したらしい。

 

「……朱乃さんのことかな? でもかなりプライベートだからなぁ……。朱乃さんの胸の内、俺と朱乃さんとバラキエルさんだけがわかるようにしてくれないか?」

 

 それなりに気を使えるイッセーであった。

 

 そして乳神の精霊も、それに理解を示したらしい。

 

―いいでしょう。では、この娘()()の胸の内を聞きなさい。

 

 その言葉と共に、対象の胸が輝きだす。

 

 そして、イッセーはパニックのため聞き逃しをしていた。

 

 本音を隠して悲嘆の道をすすもうとしている者。その一人が朱乃であることは言うまでもない。

 

 だが、おっぱいの精霊は()()といったのだ。

 

 ゆえに、乳房を輝かせるものは朱乃のほかにもう一人―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (からくり) 五十鈴(いすず)もまた、その乳房を光り輝かせていた。

 

「ちょ、え、なに……っ!?」

 

 戸惑っている五十鈴だったが、すぐに我に返ると、その顔色を真っ青にさせる。

 

 そいて、鬼気迫る表情になるとイッセーに顔を向けた。

 

 イッセーは朱乃に意識を集中させていて気づかない。気づいていたら、すぐに何らかのフォローを入れていただろう。

 

 そして、それゆえに五十鈴は慌てふためき―

 

「さ、させるかぁ!?」

 

 とっさに大気を相転移させ、ブレードを展開するとイッセーに切りかかろうとする。

 

『―ッ! 何をやっている!!』

 

「ちょ、五十鈴待って!?」

 

 慌ててたまたま近くに居たマグダランと井草が止めに入る。

 

 攻撃をマグダランがアルケリオンを盾にして防ぎ、井草が五十鈴を羽交い絞めにした。

 

 しかし、それでも強引に五十鈴はイッセーに危害を加えようとする。

 

「放して! ダメ、ダメなの!! 知られたら、知られたらダメなの!!」

 

 真っ青を通り越して真っ白になった顔で、五十鈴はイッセーの乳語翻訳の発動を止めようとする。

 

 しかし、もう間に合わない。

 

 それを理解しながら、それでも五十鈴は狂乱状態でイッセーに手をのばし―

 

「私の本音(なか)を、覗かせないでぇええええええええええええええええええええええええええっ!!!!!!!!!!」

 

 ―その心からの絶叫と共に、五十鈴の胸の内だけはその場にいる全員に明かされる事となる

 




自分の作品で恒例の、オリジナル旧魔王末裔ですが、もう一つの恒例があります。

それは、一人味方が出てくること。

ケイオスワールドのグランソード・ベルゼブブ。未完になったハイスクールストラトスのセーラ・レヴィアタン。そして、イレギュラーズのハヤルト・アスモデウス。

順番的にはルシファーなので、ニングがルシファーの末裔ということにしました。パターンとしては真D×Dのイングヴィルドに近いですね。


そして衝撃の事実が出たとおもったら、衝撃の乳神。

ホント頭の痛い展開です。考えた原作者はすごいです。


そして、衝撃の展開。五十鈴に乳語翻訳乳神バージョン。

次の話で五十鈴の過去の流れが語られます。

さて、ヘイトが上がるかそれとも下がるか。鬼が出るか蛇が出るか……。

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