混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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よりにもよってムートロンすらいる状況下で、事実上のムートロンへの背信ともいえる内心を暴露された五十鈴。

そして、その真実を知った井草はどうする……?


18話

 

 そして、その胸の内は全てがさらけ出された。

 

 それを不幸だと、あってはならないことだという乳を司るというわけのわからない神のおせっかいで。

 

「……あ、いく、さ……」

 

 動揺する視線が、井草にむけられる。

 

 井草もまた、明らかに動揺していた。

 

 幼馴染の歪みをしって、嫌悪感を抱きなおしたのだろう。

 

 それは願ってもないことだ。嫌われてさえしまえば、五十鈴を殺すことに躊躇もなくなるだろう。

 

 そして殺すことでけじめを付ければ、井草は今度こそ前を向ける。

 

 頼れる仲間たちに支えられ、未来に生きることができる。寄り添う二人の少女のうち、どちらかを選んで添い遂げるだろう。もしかしたら堕天使らしくハーレムでも作るかもしれない。

 

 だが、五十鈴はどこかで胸が締め付けられるのを感じていた。

 

 訳が分からない。今更だろう。

 

 あれだけのことをした。それからも人を殺し続けてきた。そして、何度も井草の心を抉った。

 

 そこまでしたのは憎悪を向けられたいからだ。そうでもしなければ、井草は躊躇してしまうと思ったからだ。

 

 だから、これでいい、これでいいはずなのに―

 

「あ、その、これは……」

 

 想像以上に動揺している自分に、五十鈴は困惑する。

 

 そして思考を回転させて、すぐに気づいた。

 

 ああ、これはまずいではないかと。

 

 邪悪をしているふりでは、意味がないではないか。それでは恨まれないかもしれない。

 

 そしたら、井草は吹っ切れられないかもしれない。それはまずい。

 

「い、いやねぇ。こんな、わ、訳の分からない、ち、ち、乳神とかいう奴の細工なんか、ホントに、ホントに信じてるの?」

 

 唇が震える。どもってしまう。

 

「私は好きででで邪悪に生きてるのよ。そ、そして、本気の井草と殺し合いがしたくてたみゃらないの」

 

 呂律まで、回らなくなっている。

 

「だから……だから……だからね? あなたは私に同情する必要ないのよ? 思う存分恨んで、憎悪を叩きつければいいわけ、わけ……で……っ」

 

 早く続きを言わなければならない。

 

 そうしなければ、井草が恨んでくれないだろう。

 

 恨まれなければ、罰されなければ、殺されなければ―

 

「あなたは、私を殺しにきなきゃいけないのよ。だってそうでしょ? そうでもしないと―」

 

 ―あんたは、引きずられてしまうから。

 

 そう言おうとした瞬間だった。

 

「この……馬鹿!」

 

 涙すら流した井草に抱きしめられ、五十鈴は言葉を詰まらせる。

 

 抱きしめられた瞬間、五十鈴は全てを悟った。

 

「なんで、なんで……俺に気づいた時に助けを求めてくれなかったんだ………っ!」

 

 震える井草の身体を感じて、五十鈴はようやく自分がまた間違えていたことを悟った。

 

「俺が、頼りなかったからだよな? ゴメン……ゴメン………俺が君を助けられるだけの強さを持ってなくて、本当に……ゴメン!」

 

 ―井草は、枢五十鈴を殺したら一生引きずってしまうぐらい、五十鈴のことを大切に思い続けてきたのだ。

 

 あれだけ邪悪にふるまって、ヘイトを高めようと努力して、徹底的に痛めつけて。そのうえで井草は五十鈴のことも伊予のことも嫌っていなかった。

 

 ずっとずっと、大切な幼馴染が邪悪になっているのを見て苦しんでいただけだったのだ。憎むなんて考えもしていなかったのだ。

 

「馬鹿でゴメン! デリカシーが無くてゴメン! あんなお願いをして、本当にゴメン!!」

 

 泣きながら、全力で後悔を口にしながら、井草は五十鈴を抱きしめる。

 

 井草の中は後悔でいっぱいなのだろう。

 

 五十鈴の気持ちに気づいていればよかったのだ。

 

 五十鈴の努力に気づていればよかったのだ。

 

 五十鈴の努力を認めてやればよかったのだ。

 

 五十鈴にあんなことを頼まなければよかったのだ。

 

 もっとうまく対応して、ピスに最初から助けを求めていればよかったのだ。

 

 可能性が低くても、五十鈴が何人も殺している間に五十鈴たちの行方を捜していればよかったのだ。

 

 そうすれば、五十鈴がここまで苦しむことはなかったのにと、心から後悔していた。

 

「だから、だからさ! 頼むから……」

 

 そして、まっすぐに井草は五十鈴を見つめて、涙を浮かべながら優しく微笑む。

 

「―これ以上、自分から邪悪に染まろうなんて、考えないでよ」

 

 その言葉に、五十鈴は本心から後悔する。

 

「……ごめんね、井草」

 

 馬鹿なことをした。またしても、根本からやり方を誤った。

 

 そして、どちらにしても―

 

「……本当に、ごめんっ!」

 

 ―もう、手遅れなのだ。

 

 その言葉共に五十鈴は井草の鳩尾に拳を叩き込む。

 

 そして生まれたすきを利用し、五十鈴は距離を取ると空に舞う。

 

「い、すず……っ?」

 

 崩れ落ちながらも、五十鈴に手を伸ばす井草に、五十鈴は本心からの微笑を見せる。

 

 もう、十分だ。

 

 欲しかったものはもらった。罪にまみれた自分には、あまりに多すぎる物をもらってしまった。

 

 だから、もう十分だ。

 

「ごめんね、井草。……でも、もう手遅れだからっ」

 

 これ以上は、もらえない。

 

「私、何人も殺しちゃったから。勝手な理由で、意味のない自己保身のために、何百人も殺し続けちゃったからっ」

 

 涙はこぼれる。それがたまらなく申し訳ない。

 

「何人殺したかわからない。数えたかったけど、余裕がなかったから無理だった。顔も……名前も……っ」

 

 命がけの戦いの中で、殺した人数を数え続けられるほど五十鈴は傑物ではなかった。

 

 五十鈴は誇り高い悪になることもできない。せめてもの弔いも、贖罪もすることはできない。

 

 そんな五十鈴を、井草に背負わせるわけにはいかなかった。

 

「だから……ごめんね。そして―」

 

 本心から謝り、しかしそれだけではなかった。

 

 受け止めようとしてくれた。五十鈴が一番悪いのに、心から井草は悔いて謝ってくれた。

 

 今ので確信してしまった。

 

 (からくり)五十鈴(いすず)は、井草・ダウンフォールが好きだ。一人の男として愛している。

 

 昔の、ちょっとしたものではない。本心から、一人の女として、五十鈴は井草に惚れ直している。

 

 それがわかった。それだけで、十分すぎるほどもらってしまった。

 

 だから、最後にこれだけは伝えなければならない。

 

 そう、本心からの―

 

「―ありがとう。私、貴方を好きになって、ホントによかった!」

 

 ―本心からの笑顔で感謝の言葉を告げ、五十鈴は其のまま飛び去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その光景に、イッセー達は何も言うことができなかった。

 

 それどころか、イッセーは後悔すら覚えている。

 

 最初に五十鈴と対峙した時。ディオドラとのレーティングゲームで、お互いに合流した時。もしくは、五十鈴が共闘の使者として派遣されたとき。

 

 もし、五十鈴に乳語翻訳(パイリンガル)を使っていれば、追撃する余裕ぐらいはあったはずだ。

 

 その時に使っていれば、本心を聞き出していれば、井草は五十鈴を捕まえられたかもしれない。自分たちで捕まえることができたかもしれない。

 

 だが、今は不可能なのだ。

 

「隙だらけだぞ、赤龍帝!!」

 

「邪魔すんじゃねえええええ!!!」

 

 ヴォルフイーツを渾身の力で殴り飛ばし、イッセーは吠える。

 

 五十鈴を追撃する余裕はない。この激選では不可能だ。

 

「……抜けたか。しかし追撃をする余裕はないな」

 

 ラウバレルも舌打ちをするが、しかしこちらも戦闘を重要視しているため、五十鈴を追撃できない。

 

 出なければ、事実上の脱走を行った五十鈴を頬ってはおかないだろう。殺しに行く可能性は十分あった。

 

 それぞれが別の理由で五十鈴に気を取られているなかもっとも冷静だったのはロキ一派だった。

 

「よくわからんが、しかしその隙は逃さん! まずは譲渡が面倒な赤龍帝からぶっ潰しだ!!」

 

 ムジョルニアを構えて、ロキはイッセーに迫る。

 

 それを回避しながら、イッセーは乳の精霊に声を張り上げる。

 

「おい! いつになったら加護ってのは来るんだよ!?」

 

―申し訳ありません。加護が莫大すぎて、すぐにはもたらせないようです。

 

 タイミングが最悪だと、イッセーは歯噛みする。

 

 五十鈴の隠された真実に、皆が動揺している。

 

 五十鈴の在り方に怒りや嫌悪を覚えている者たちは多かった。そして、それでも井草は五十鈴を想っていた。

 

 そんなところでこれである。完全に動揺してしまうだろう。

 

 ふざけるなと怒るものもいるだろう。逆に嫌悪感がわく者もいるだろう。

 

 だが、イッセー達は人が良すぎた。

 

 五十鈴に対して憐れみを覚えてしまう程度には、人が良すぎた。

 

 このままではまずい。誰かが殺されてしまう。

 

 そして、その動揺をついてロキだけではなくフェンリルまでもがイッセーを狙う。

 

 このままでは乳神の加護が来る前に、イッセーは追いつかれて―

 

「―俺のライバルに手は出させないさ」

 

 その瞬間、ヴァーリが空間ごと半減を行ってロキとフェンリルを足止めする。

 

 そして、それと同時に莫大な力が放たれる。

 

「動揺しているところ悪いね。俺たちは本来の目的を果たさせてもらおう……!」

 

 その言葉に、イッセーは思い出す。

 

 五十鈴はヴァーリ達の目的をこういっていた。

 

 ヴぁーりたちの目的は、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)を使ってフェンリルを自分たちのものとすることだと。

 

 それに気づいた瞬間、ヴァーリは渾身の力を介抱する。

 

「我、目覚めるは―」

 

〈消し飛ぶよっ!〉〈消し飛ぶねっ!〉

 

「覇の理にすべてを奪われし、二天龍なり――」

 

〈夢が終わる!〉〈幻が始まるっ!〉

 

「無限を妬み、夢幻を想う――」

 

〈全部だっ!〉〈そう、すべてを捧げろっ!〉

 

「我、白き龍の覇道を極め―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「汝を無垢の極限へと誘おう――」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、月明かりに照らされた戦場を、更に間歩行く照らす七色の光が放たれる。

 

 そこに存在するのは、二天龍の本領を介抱した、白龍皇ヴァーリ・ルシファー。

 

 その速度はフェンリルすら捉え、そして莫大な術式で拘束する。

 

「黒歌! おれとフェンリルを予定のポイントに転送しろ!」

 

「了解にゃ、リーダー!」

 

 ヴァーリの指示に即応し、黒歌が転送術を起動。

 

 そして光と魔力の奔流と共に、ヴァーリとフェンリルは闇夜へと消えていった。

 

「あ! こら、ヴァーリ!!!」

 

 思わずイッセーは叫ぶが、しかしすでに時遅し展開だ。

 

 思わぬ展開で動揺した隙をつかれて、ヴァーリに目的を果たされてしまった。

 

 とはいえ、ヴォルフイーツたちを相手に美候たちは大立ち回りを演じている。どうやら共闘はきちんとしてくれるようだ。

 

 そして、その時ミョルニルが一気に軽くなった。

 

―乳龍帝。乳神様の加護が届きました。これで当分はミョルニルを使えます。

 

 精霊の言葉の通りに、ミョルニルは雷撃をはなち、莫大なオーラを纏う。

 

 その出力はムジョルニアと同格。これなら、トールイーツと化したロキとも互角に渡り合えるだろう。

 

―あなたは巫女のおっぱいを救い、イーツのおっぱいを救う一手を打ちました。ゆえに乳神様の加護は大盤振る舞いです。三十分は使えるので、ご自由にお使いください

 

 三十分間ミョルニルのレプリカが使い放題。

 

 まさに大盤振る舞いである。というより、それだけのことができる乳神はどれだけ高レベルの神格なのだろうかと、ふと疑問に思う。

 

 とはいえ、今は戦うことしかできない、余裕もない。

 

 なら、せめて負けない。

 

 ロキを倒し、皆で生き残る。そして、井草を五十鈴に合わせなければならない。

 

 その決意を込め、イッセーはミョルニルをロキに突き付ける。

 

「覚悟はいいか、神様?」

 

「ほぅ? このムジョルニアとトールの力を持つロキに、その程度で勝った気になったのか?」

 

 いまだ余裕を残すロキに、イッセーは静かに戦意を向ける。

 

 そして、宣言する。

 

「あんたは! 俺たちが叩き潰す!!」

 

 そして次の瞬間―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二つのミョルニルがぶつかり合い、周辺を一気に吹き飛ばした。

 

 




乳神の加護、大盤振る舞い。

ロキとの戦いもド派手になってまいります。そりゃもう、ここからが本番です。

そして井草も井草で衝撃を受けることになりましたが、彼の受ける衝撃には第二弾があります。

……そして、それは次回。
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