混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
そして、原作主人公であるイッセーは……
そして、事態は急変した。
「……部長!!」
会議中に飛び込んできたイッセーに、井草は目を見開いた。
なにせ、服はボロボロなのに体には傷一つない。
明らかに何かあったとした思えなかった。
「イッセー! どうしたの!?」
慌てて駆け寄るリアスに、イッセーはすぐに頭を下げた。
「部長! お願いします、アーシアを助けてください!!」
明らかに何かあったのは分かる。だが、何があったのかが分からない。
「イッセー。とりあえず、何があったのか俺でも分かる様に説明してくれないか?」
「井草さんまで!? あ、実は夕麻ちゃんが―」
イッセーが慌てながら説明した事を聞くと、こうまとめれる。
はぐれ悪魔祓いのフリードとかいう男と出くわしたイッセーは、傷ついている事もあって学校を休むように言われた。
しかし気分が晴れなかったので外に出ると、アーシアというシスターと再会したのだという。
なんでも悪魔になってから知り合ったシスターで、実は堕天使と関わっていたらしい。
そして、その原因が―
「―凄い
通常、神の祝福を受けていない存在が、負傷を急激に回復するのは困難だ。
其の為悪魔や堕天使の急速治療手段は、表の人間と同様の手段に限られる。フェニックスの涙なのは例外もあるにはあるが、それらは非常にコストが高いなど、簡単には使用できないものが殆どだ。
それをなすという存在が、どれほど貴重かなど推して知るべきだ。
「あいつら。それだけの存在を秘匿するとか何を考えてるんだ」
井草は舌打ちするが、イッセーは更にとんでもない事を言ってきた。
「その夕……レイナーレの奴、アーシアを使って何か儀式をするとか言ってたんです!」
その言葉に、井草は状況を把握した。
「リアスちゃん。悪いんだけど、俺はすぐに行かせてもらうよ」
「ええ。その方が良さそうね」
「ど、どういう事ですか!?」
二人が納得している理由が分からない。イッセーには分からない。
当然だ。悪魔になってまだ一月も経っていないイッセーでは、その辺りの情報がないのだから。分かるわけがないのだ。
だから、井草はかみ砕いて説明する。
「レイナーレは、そのアーシアちゃんの神器を自分に移植する事で、自分の価値を高めて処刑を免れる気だ」
愚策だ。
神器の移植はデメリットが伴う。其れならさっさと報告して、彼女自身を運用した方が遥かに効率がいい。移植するにしても適性が高い人物を選んだ方が効果的だ。
なにより―
「神器を強制的に摘出されれば、高確率で死に至る」
「……そんな!?」
イッセーは衝撃を受け―
「部長! アーシアを助けに行かせてください!!」
―そして、すぐに行動を開始しようとする。
其の在り方を無鉄砲田の考えなしだの罵倒する者もいるだろう。
だが同時に、好感を抱く者も数多い。
「……イッセー。一つだけ聞くわ」
リアスもそれは分かるが、しかしイッセーを失う可能性がある事も分かっている。
だから、一応の説得もかねてそれを訪ねる。
「そのアーシアって子は、つい最近会ったばかりでしょう? なんで態々命を懸けてまで助けに行くの?」
それは常識的な見地だ。
会ったばかりだ。特に縁もない。
普通は、そういう人を助ける為に命を懸けたりはしない。
ましてやイッセーは悪魔になったばかりの一般人だ。命がけの殺し合いの経験何てない。そして、そういう立場の自覚もない。
にも関わらず、イッセーは決死の覚悟で助けに行こうとしている。
それを尋ねられ―
「俺はアーシアと友達になると誓いました。他に理由がいりますか?」
―あまりにもまっすぐな答えが返ってきた。
それを、井草は眩しいものを見る目で見つめる。
自分のような、醜い存在とは違うその姿を見て、彼を押し上げようとした事は間違ってないと確信する。
だから―
「リアスちゃん。今から君に依頼を行いたい」
その後押しをするのは当然だ。
「何かしら?」
「レイナーレ一派の無力化を依頼したい。報酬に関しては後で交渉するけど、まあ、俺が払える限りは言い値で払うさ」
どうせ処罰するのはほぼ確定なのだ。これぐらいの独断専行はしてもいいだろう。
「井草さん!!」
イッセーが顔を明るくするのも心地いい。
そして、リアスもまた頷いた。
「ええ。私の領地で好き勝手する堕天使を、堂々と排除できる機会を逃す気もないわ」
そして、リアスは微笑を浮かべて眷属を見る。
「私の可愛い下僕達。悪いけど、ちょっと一仕事に付き合ってもらうわ」
その言葉に、三人の眷属はあっさりと頷いた。
「もちろんです。公然と神父を切れる機会を逃すつもりはありません」
木場祐斗は、その優しげな顔に明らかな戦意を滾らせて剣を構える。
「……もちろんです」
塔城小猫は、指を鳴らしながら言葉少なく立ち上がり―
「当然ですわ。堕天使はできるだけ駆除しませんと」
姫島朱乃はサディスティックな笑みを浮かべて、全身から雷撃を放った。
「じゃあ、契約成立ね」
「そうだな」
上級悪魔と上級堕天使は、そう言ってにやりと笑った。
そして一時間も経たずに、レイナーレのいる廃教会に殴り込みをかける姿があった。
「……レイナーレぇええええ!!!」
既に神器を展開して、イッセーは教会の扉を殴り飛ばした。
そして突入すると同時に、そこにいた二人の少女を睨み付ける。
「お前ら、レイナーレの仲間か!」
そこにいたのは二人の少女。
茶色の髪をアップにした少女と、緑のウェーブの髪をした少女。
恰好からして悪魔祓い。其れもたたずまいから、相応の実力を持っていると思われる。
「……来てしまったのです。降参なのです」
「そうするのが一番ですかい。死ぬのはいやでやがりますからね」
と、あっさり両手を上げて降参のポーズをとったが。
「どういうつもりだい?」
同じく突入した祐斗に剣を突き付けられても、二人は動揺していない。
その余裕と、しかしあっさりと投降する態度がよく分からない。
しかし、少女達は不意打ちしようという気配を微塵と見せずに座り込むと、ロープ迄取り出した。
「レイナーレ様が暴走したので、こっちも困ってたのです」
「フリードのクソッタレ野郎の所為でやがります。正直逃げどころを探してたんでさぁ」
さらりと言う少女達に不穏なものを感じながらも、然し仕方がないのでとりあえず拘束した。
「逃げたら潰します」
「逃げないから安心するのです」
「んなクソめんどくさいことしねえですから」
小猫の恫喝も涼しげにする当たり不気味なものを感じるが、然しそれはそれとしてすぐに向かわなければならない。
「アーシアは何処にいるんだ!? レイナーレを裏切る気なら教えてくれ!!」
「そこの隠し扉から地下に入ると見つかる出やがりますよ」
さらりと緑髪があっさりばらした。
罠の予感もするが、然しそんな事を気にしている余裕もない。
どちらにしても、自分達は囮なのだから、これでいいのだ。
「行こうぜ、木場、小猫ちゃん!!」
イッセーは、全力でその階段を降り、二人もそれに続いた。
そして、其れを見送ってから茶髪のイングと緑髪のリムは、ふぅと息をついた。
「勝てるといいのです」
「ま、私らも動く出やがりますがね」
そういうなり、一瞬で拘束に使ったロープがちぎれ飛ぶ。
「しっかし、渡したロープで拘束するとか、まだまだ未熟でやがりますな」
「からめ手には弱いタイプだと思うのです」
二人は苦笑しながら、あっさりと立ち上がる。
このロープ。錬金術師が開発した特別製で、光力を流すと一瞬で劣化する特別製だ。
レイナーレ達も知らない最新技術の塊である。
「では、こちらも動くのです」
「とっとと動かねえと、やべぇですからね」
暗躍する二人のはぐれ悪魔祓い。さて、彼女達の正体は……?
ようやく本格的なバトルが書けそうです。ここに来るまでが大変でした。