混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
一方その頃、ナイアルはものの見事に呼び出されていた。
「……申し開きはあるか、ナイアル?」
「ナイアル殿、これはないぞ」
「流石にこれは、ちょっと問題だね?」
「ナイアル、汗かいてる」
上から順に、ホテップ、ビルデ、曹操、オーフィスである。
はっきり言おう、これは査問会も同然だった。
そんな中、流石のナイアルも軽く冷や汗を流しながら視線を彷徨わせる。
「……隠し通せてると思ってるのが面白くて、放置してたらしっぺ返し喰らっちまった。すまねえな」
素直に本音を言ったら、ホテップから雷撃が放たれる。
流石に生身だと死にかねないので避けるが、今度は殺意が叩き付けられた。
とはいえ、ホテップのEEレベルはナイアルすら超える8,0。アウターイーツまで使った総合戦闘能力なら、禍の団ではオーフィスに次ぐ化け物である。シヴァやインドラと単独で互角以上に渡り合えるだろう。
そんな女の攻撃を受ける覚悟は、ナイアルにはなかった。
「コイツが幼馴染だったばっかりに、私の部下にこいつが来る事になるとは……っ!」
「遊びが過ぎるのだよ、ナイアル殿。単独で行動させたのは完璧に失態だな」
ホテップは頭を抱え、ビルデもため息をつく。
オーフィスは特に気にした風でもなくうつらうつらと舟すらこいでいるが、曹操もまた苦笑していた。
「どうするんだい? どうも彼女、俺達が作戦をする予定の京都に向かいながら、
そう、問題はそこである。
五十鈴は戦線を離脱すると、何時の間にやら情報を集めていたのか、ムートロンの息のかかった企業を潰して回っている。
既に橋頭保の確保が出来ている以上問題度は低いが、しかし野放しにするのもいただけない。
なにより、京都では英雄派が本格的な活動を開始するところなのだ。これは英雄派としては目の上のたん瘤になりかねない。
「責任はとってもらいたいね。誠意ってものを見せてもらいたいんだが」
「分かってるって。俺達、ムートロン先遣艦隊所属特務中隊は英雄派のグレートレッドおびき寄せ実験に協力する」
これは仕方ないといわんばかりの表情で、ナイアルはそう言う。
だがしかし、五十鈴に関してはそこ迄重要視してない風だった。
「それで、枢五十鈴に関しての刺客はどうするんだい?」
「そうだな。彼女を放置するのは些か問題になりかねないが」
曹操とビルデはそう意見するが、しかし、一番ナイアルを問題視していたホテップは首を横に振った。
「……必要ない。半年もたぬ命の為に、戦力を態々送り込むのも面倒だ。本格的に我らに仕掛けてきた時に潰せばいいだろう」
そんな会議があった次の日の朝、イッセー達に新しい仲間ができた。
「それでは皆さん。さっきまでアースガルズのヴァルキリーをしていたロスヴァイセです。今からリアスさんの
と、何やら洗脳されたかのような表情を浮かべてそう挨拶するのは、オーディンのお付きだったロスヴァイセだ。
「冥界の年金や健康保険がアースガルズより魅力的で、将来の安定度が高いので悪魔になりました! よろしくお願いします」
見事にヘッドハンティングされたようなものだ。
とはいえ、実際に福利厚生などでリアスの眷属はオーディンのお付きよりいいようだ。そこに嘘はない。
何よりこれはオーディンのミスでもある。
何とオーディン、会談が終わった後、戦後処理をしていたロスヴァイセを放っておいて帰って行ってしまったのだ。
リストラ扱いされてもおかしくないだろう。なにより、今更戻っても何を言われるか分かったものではない。
そもそも未だにオーディンからの連絡がない。これは、完全に忘れ去られているのだろう。
と、いうわけでそこをついてリアスが勧誘。実際問題グレモリーの眷属悪魔としての待遇は、オーディンのお付きより好条件だったのが効いた。
北欧神話体系、アースガルズ。どうやらグレモリーと比べると職場環境はブラックよりらしい。
「ふふふふふ。これでオーディン様も知ったこっちゃないわ。今度会ったらどうしてくれましょうか……っ」
しかも相当ストレスが溜まっていたらしい。オーディン神の今後が心配である。
しかし実際、主神に手を出したら国際問題である。その時はロスヴァイセを取り押さえねばならないという、責任問題がリアス達について回る事になるのだろう。
そんな光景にイッセー達が苦笑する中、朱乃がタッパーをイッセーに差し出した。
「イッセー君、あまりものだけれど、良かったらこれどうぞ」
イッセーが中身を確認すると、中身は肉じゃがだった。そしてかなり美味しそうである。
それをイッセーは一欠けらほどつまみ、口に入れる。
その瞬間、イッセーの表情がほころんだ。
「美味い! なんつーか、おふくろの味?」
「うふふ。母様直伝の味ですわ」
そういった朱乃は、すぐにふとイッセーの口元に目を向ける。
「あらあら、口にジャガイモの欠片が付いてますわ」
そういった次の瞬間、朱乃は口でそれを取った。
つまり、唇で唇に触れたのだ。
「な、なななな!?」
「うふふ、一応ファーストキス、ですわ」
いい笑顔で告げる朱乃だが、しかし問題はそこではない。
イッセー大好きイッセー派の女子部員達が見ていないわけがない。当然大ピンチである。
その絶対零度の空気に、状況は分からないがイッセーは窮地を感じ―
「はい、あーんでやがります」
「水なのですよ」
「え、あ、うん」
―その甘い空気に、全員の気勢が削がれた。
なんとなく見てみれば、そのソファーで、顔を真っ赤にした井草が、されるがままになっていた。
そして両隣にいるリムとニングが、やれ食べ物を口に運んだり飲み物を注いだりしている。
「……違う、これ、キャバクラ。いや、行った事ないから知らないけど」
顔を真っ赤にさせてどうしたもんかとなっている井草に、2人はにっこりと微笑みながら抱き着いてきた。
それを甘んじて受ける井草に、2人は幸せ以外の何物でもない笑顔を浮かべる。
「殺し文句をもらっちゃったのです。責任はとってもらうのですよ」
「信徒を堕落させちまったんですからねぇ? せめて面倒は見てもらいやせんと」
そう言いながら体を密着させてくる2人に、井草は悶える。
未発達ながらも柔らかい二人の感触に、井草は顔をさらに真っ赤にさせた。最早トマトである。
「……おのれぇ、井草さんめ! 俺よりも早くハーレム王の道を進むだなんて……っ!」
大絶賛ラブコメをしているのに気づいていないイッセーが、嫉妬の視線を珍しく井草に向ける。
―井草のとんでもないプロポーズに、2人はそれを受け入れた。
イッセーの目の前で井草の頬にキスをした。イッセーは嫉妬でもだえ苦しんだ。井草は自分からプロポーズしておいて、照れすぎて倒れた。
そしてこれである。告白した井草が一番照れて、仮にも聖職者であるリムとニングがデレデレである。
「半ば一目ぼれしてから惚れさせ続けてきたのです、あんな言葉を言ったのですから、覚悟するのですよ?」
「まったく女殺しですあぁ。ま、あんなこと言ったんですから、腹をくくりなせぇ」
「は、はい! 頑張ります!!」
井草はそう答えるほかない。
そして、そう言ってから表情を改める。
戸惑うだけから、真剣に、何かを受け止める表情に。
「うん。頑張るしかないね、これは」
幸せそうに微笑みながら、しかし真剣な表情で顔を引き締める。
幸せを受け止め、そしてそれだけではなく守る為。更にはそれ以上を求める為に。
「受け容れてくれてありがとう。それに応えられるぐらいには、なってみせるよ」
その言葉と共に、井草は二人を優しく抱きしめる。
「「えへへっ」」
満面の幸福の表情を、リムもニングも浮かべていた。
「木場、ギャスパー。俺は、井草さんを祝福するべきか呪うべきか分からない……っ」
兵藤一誠は血涙を流してうずくまる。
それに対して「人のことは言えない」とツッコミを入れるべきかどうか、祐斗とギャスパーは心から悩んでしまった。
『アザゼル。何か良い事でもあったのかい?』
「まあな。バラキエルと朱乃の問題が解決した。井草も、ちょっとは光明見えてきたし、それ以上に良い事があったよ」
『そうか。しかし……ニング・プルガトリオがルシファーの末裔だとは思わなかった』
「ヴァーリを検査した時のデータと、ニングから貰った血液を照合したが、間違いねえ。そっちの上役が慌てそうだな」
『ゼクラム・バアルは取り込みを画策しているようだ。既に駒を一セット用意するようにアジュカに通達したようだよ』
「動きの速いこって。ま、ニングもそのつもりらしいから問題ないがな」
『そうなのかね? 信徒としては悩むところもあると思ったのだが』
「……井草がニングとリムに同時に告白した。で、2人はそれを受け入れたよ」
『なるほど、愛は全てを超えるからね。私も気持ちは分かるよ。そうか、それでか』
「ああ。リムはデザイナーズチャイルドだが人間だからな。同じ時を生きる為に、転生悪魔にしたいんだろうな。仲良いにも程があるぜ」
『だが、そのような友がいる事は良い事だ。イッセー君からすると、井草君が羨ましいだろうね』
「だな。あいつらさや当てが激しいからよぉ。ま、井草は連携で責められるわけだから別ベクトルできついわけだが」
『……井草君か。しかし、ロキとの戦いは衝撃が多すぎたようだ。異世界エヴィー・エトゥルデの乳神もそうだが、枢五十鈴の真相は……』
「ああ、完璧に拗らせてやがったな。それに、色々とナイアルの能力で怪しいものもある」
『では、行仁伊予も……?』
「ああ。俺の推測が正しけりゃな。……今更正気に戻しても、それこそ伊予が正気でいられるかどうか、正直分からん」
『……ナイアルには、それ相応の報いを受けさせねばなるまい」
「ああ、それとその五十鈴の件なんだが、吉報が入った」
『何かね?』
「五十鈴がこっちに、ナイアル達からちょろまかしたっぽい高性能型のエボリューションエキスを大量に送ってきやがった。トランクケース一つ分だ」
『なるほど、ロキの研究施設はムートロンが攻撃を行っていたので望み薄だったが、これで―』
「ああ。イーツに対する対抗策、後一月も経たずに形にして見せるぜ」
「帰還しました、ホテップ司令」
「ご苦労、カルネテル。……ロキの研究データはどうした?」
「コピーは八割ほど取れました、そして、そのデータのオリジナルは全て破壊する事に成功しました。修復は困難かと」
「……よくやった。なんとかロキに潜り込ませる事が出来て、僥倖だったぞ」
「しかし、ナイアルの遊びが過ぎた所為で、問題は生まれています」
「まったくだ。あの馬鹿、そろそろ首輪を〆なおす必要があるな」
「とはいえ、ロキの研究に割って入れたのは僥倖でした」
「だな。ヴァルキリーイーツによるアースガルズへの潜入。同性のヴァルキリーそのものをエキスの材料にする事で成功したが、おかげで助かった」
「こちらに関してもナイアルの遊びが原因ですからね。彼には相応のペナルティが必要かと」
「本隊到着までは、これ以上のペットの確保は禁止させるしかないな。これ以上遊ばれると何が起こるか分かったものではない」
「そうですね。それと、京都での英雄派の作戦についてはどうしますか?」
「ナイアルへのペナルティとしては特務中隊そのものを支援班に送る事で決着した。もっとも、その成果が芳しくなければ更にペナルティを増やすが……な」
そういうわけで、ちょっとほっこりしながらも緊張感を残したラグナロク編のラストでした。
そして次からはパンデモニウム編。ただし、ちょっと現在難産なうえに別件があるので、当分は投稿話にする予定です。
五十鈴はこれからどうするのか、伊予はどうなるのか、そして井草と寄り添うリムとニングはこれからどうするのか。それをお楽しみください。