混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E   作:グレン×グレン

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大変長らくお待たせいたしました。

パンデモニウム編、投稿します!!


修学旅行はパンデモニウム
1話


 

「個人的に、将来は悪魔からヴァルキリーに就職する者を出せたら面白いのではないかと思っています」

 

「はっはっは。リアスの新たな眷属は、中々将来の事も考えていて期待させてくれるじゃないか」

 

「お褒めにあずかり光栄です」

 

 と、ロスヴァイセとジオティクスが和やかに会話している。

 

 グレモリーの城において、オカルト研究部はお茶会をしていた。

 

「まさか、こんな短期間に二度もグレモリーのお城に来る事になるとはね」

 

「天使の私が悪魔のお城でお茶会だなんて、主と魔王様に感謝です」

 

「まったくなのです。そういえば、最初に挨拶に行った時は井草さんに会えなかったのです……」

 

「まあ、再会してすぐにトラブったんで、羨まし気にしなくていいですぜ、ニング」

 

 とまあ、部員ではあるが眷属ではない井草達四人もお茶を楽しんでいる。

 

 三大勢力の和平が結んだ光景でもあるが、同時にグレモリー現当主であるジオティクスの人柄も分かる光景だった。

 

 これがバアルだったらそうもいかないだろう。サーゼクスを生んだ血を感じさせる、情愛の深いジオティクスだからこその光景だ。

 

「とは言え、これから忙しいので中々会えないかもしれないからね。リアスちゃんはもっと会話に参加した方がいいんじゃないのかい?」

 

「気にしなくていいわよ。二年生と違って、三年生と一年生は比較的余裕があるもの」

 

 井草にそう答えるリアスの言葉に、ヴェネラナが何かに気づいたようにはたと手を打った。

 

「そういえば、駒王学園はそろそろ修学旅行の時期でしたね」

 

 リアスが二年生だった頃もこの時期が修学旅行だったので、知っていたのだろう。

 

 そういえば、グレモリーの城にある温泉は日本風だった。

 

 日本に興味があるのは、決してリアスだけではないのだろう。

 

 となれば、日本の文化筆頭である京都についてはそれ相応に興味があるはずだ。今後の関係を想うのなら、お土産を考えるべきかと井草は考える。

 

「お土産はもちろん買ってきます。よければご要望をお聞きしますよ」

 

「あら、気になさらなくていいのよ?」

 

 井草の提案にヴェネラナはそう言うが、しかしそうもいかないだろう。

 

「お構いなく、三人で一緒に選ぶので、ちょっと高いものも大丈夫なのです」

 

 さらりとのろけたニングに、リムが顔をわずかに赤らめながらもニヤニヤと笑みを向ける。

 

「ルシファーの末裔の気遣い、断ったら逆に面倒ごとですぜ?」

 

「リム? そういう冗談はあれなのですよ?」

 

「うんうん。ニングはルシファーである前にニングなんだから、そういうジョークは禁止!」

 

 と、リムの軽口にしっかりとニングと井草が釘をさす。

 

 その光景を面白そうに見つめながら、ジオティクスもヴェネラナもイッセーとリアスにも視線を向ける。

 

「これはリアスも負けてられないな」

 

「全くです。リアス、少しは進展の話を聞かせて頂戴」

 

「お、お父様にお母様も! そう言うのはイッセーがいないところでしてください!!」

 

 リアスが顔を真っ赤にして、2人に大声を上げる。

 

 それにオカルト研究部一同がくしょうするが、一人だけ例外がいた。

 

 その例外は、何かにショックを受けたかのように崩れ落ちる。そして泣いた。

 

「ぶ、部長に彼氏ができるかもしれない!? 進展!? ああ、祝福したいけどめちゃくちゃ恨めしいぃいいいいいいいい!!!」

 

 ―イッセーである。

 

 とりあえず、お前は何を言っているんだという視線が集中したのは、言うまでもない。

 

 その視線が集中する中、ジオティクスが席を立つと、井草に耳打ちする。

 

「……井草君。君が一番客観的に見れると思うのだが、進展はないのかね?」

 

「……さや当ては起きてますが、肝心のイッセーが気づいてないですね」

 

「……ぜひ君は彼女達と仲睦まじくしてくれたまえ。それに反応すればイッセー君もリアスと進展するかもしれない」

 

 それでいいのかと井草は思う。

 

 とは言え、流石にちょっと鈍感が過ぎる気もしないではない。

 

 聞けば、体育祭の時にはアーシアはイッセーにキスをしたという。

 

 普通に考えれば、恋愛感情を持っていると認識するべきだろう。SE〇だけを目的としてそういうことをする者もいるが、アーシアがそう言うタイプでない事は明白だろう。

 

 しかし、どうもイッセーは恋愛感情に結びつけていないようだ。

 

 なんでも「妹とか恋人とカとは違う、家族って感じ」だとかいう寝言を言っている。

 

 正直張り倒すべきかとも思ったが、しかし何か嫌な予感もする。

 

 ついでに言うと、つい先日リアスに巻き込まれる形で、魔王四人+グレイフィアによる魔王クラス五名で「魔王戦隊サタンレンジャー」などというバカ騒ぎをしながら、魔王たちがイッセーの花婿試験をしたらしい。グレイフィアは怒っていいと思う。

 

 見事合格し、無茶振りで行われたサタンレッド(サーゼクス)との戦いも及第点をもらった。グレモリーの城では成功を記念してパーティをされたらしい。垂れ幕には「おめでとう、婿殿!」とか書かれていたとか。

 

 にも関わらずイッセーはこの調子だ。病気だろう、コレ。

 

 ……何やら真剣に、かつての井草の自己否定精神に近いものを感じてしまう。

 

 ―コレ、ちょっと真剣に考えた方がいいんじゃないだろうか?

 

 そんな予感を、井草はふと覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、そんな予感を吹きとばすほどの打撃が放たれる。

 

 目の前で、赤龍帝の鎧を纏ったイッセーが吹き飛ばされる。

 

 それをなすのは、バアル義勇軍のリーダーにして、バアル次期当主のサイラオーグ・バアル。

 

 ロキとの戦いで見せた獅子の鎧は身に着けていない。正真正銘生身である。

 

 その生身で、イッセーは殴り飛ばされた。

 

 なぜ、こんな事になったのかをまず説明しよう。

 

 お茶会の後、ジオティクスはリアスに、サーゼクスが帰って来ている事を伝えて、リアスが会いに行こうとしたのだ。

 

 そして会いに行ってみれば、サイラオーグがサーゼクス達に挨拶に来ていた。

 

 そして追加で説明すると、駒王学園での文化祭の時期に、連続でレーティングゲームが行われる事になっている。

 

 大魔王派のクーデターなどの数々の禍の団絡みのトラブルによる、民衆の不安を何とかする為のイベントだ。

 

 そしてその中で、ディオドラやビルデの所為で中断されていた若手悪魔のレーティングゲームを執り行う事になった。

 

 サイラオーグ・バアルVSリアス・グレモリーの戦いが特に注目されている。それに比べれば地味だが、シーグヴァイラ・アガレスとソーナ・シトリーの試合も注目されている。パワー対パワーと、タクティクス比べの二種類の試合ということか。

 

 更に今回は派手にいこうと、デビュー前の若手によるレーティングゲームを複数行う事になっている。今後の若手の実力を示す為のイベントという事になるだろう。

 

 それにおいて、サイラオーグは公式レーティングゲームでは制約が付くであろうリアスのチームの特徴をすべて解禁することを頼みに来たらしい。

 

 効果が絶大すぎるイッセーの乳技も、未だ完全制御が難しい事から禁止されているギャスパーの停止の力もだ。

 

 曰く、リアスの眷属の全てを受け止めなくては、バアルの次期当主は名乗れない。

 

 大物の風格を見せすぎである。

 

 実際、若手悪魔の中ではサイラオーグとリアスは別格扱いだ。

 

 徹底的な強化が施された、旧魔王幹部三人を、転生天使などの助勢があれど返り討ちにした、リアス・グレモリー。

 

 バアル義勇軍を率い、数多くの戦場で成果を上げた、サイラオーグ・バアル。

 

 ロキとの戦いにおいても死者ゼロで潜り抜けたその成果も相まって、とにかく注目されている二人の若き(キング)

 

 その二人の激突は、とにかく注目されるだろう。

 

 その二大巨頭の一人として、もう片方に制限を掛けたの戦いは、勝敗に関わらず沽券が関わるというべきなのだろう。

 

 そして、その様子を見たサーゼクスは、イッセーとサイラオーグの模擬戦を提案してきた。

 

 その結果がこの戦いだ。凄まじいと言う他ない。

 

 イッセーは戦車に昇格して何とかしのいでいるが、しかしそれでもサイラオーグが凌いでいる。

 

 事実、ロキとの戦いでもサイラオーグはイッセーと肩を並べて戦っていた。

 

 サイラオーグも獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)の力を使っていたとはいえ、イッセーは赤龍帝の籠手の上にミョルニルのレプリカを使用している。

 

 それらの条件を引いたうえで戦えば、神滅具抜きでもサイラオーグがイッセーを上回るという事なのだろう。

 

「すごいね、あの人」

 

「全くですなぁ。この場で二番目に強いんじゃねえですかい?」

 

 井草が感嘆すると、リムもまたそう呆れの領域になった言葉をだす。

 

 実際、単純な性能ならこの場でサイラオーグを凌ぐのは、魔王サーゼクス・ルシファーぐらいであろう。それほどまでの実力だった。

 

 しかし、サイラオーグは突然攻勢をやめると、首を傾げる。

 

「あれ、なのです?」

 

 まだ優勢なのはサイラオーグなのにも関わらずの急な戦闘停止に、ニングは首を傾げる。

 

 そして、サイラオーグはイッセーに質問した。

 

「どうした? 何やら戸惑っているようだが、俺が相手では不服か?」

 

「い、いえ! むしろ今まで戦ってきた中でもかなり強いです! ただ……」

 

 どうやら、イッセーの方が戸惑っていたらしい。

 

 何故かは分からないが、しかしすぐにイッセーが答えてくれる。

 

「なんていうか、ライザーさんにしろディオドラにしろシャルバ達にしろ、俺と戦った上級以上の悪魔は俺のこと基本馬鹿にしてきたんで、サイラオーグさんが俺のこと評価してくれるのがちょっと不思議な感覚というか……」

 

「「「ああ」」」

 

 そういえばそうだと、井草達三人は納得する。

 

 件のライザーは知らないが、しかしディオドラもシャルバもイッセーを基本見下していた。

 

 戦闘で追い込まれていたとしても、それを屈辱に思う事こそあれ、イッセーを評価するという方向には至らなかったのだ。

 

 そんな上級悪魔とばかり闘っていれば、サイラオーグの態度には不思議なものを感じるのかもしれない。

 

 そんなイッセーの様子を見て、サイラオーグはなにやら嘆き悲しんでいた。

 

「そうか、お前は不当に評価され続けてきたのか。多少は同情するぞ」

 

 そいて、サイラオーグは真っ向からイッセーを見返し、拳を握る。

 

「安心しろ。ロキの戦いでお前の強さは痛いほど知っている。俺はお前を低く見積もるなどしないぞ? そんなふざけた真似、お前にもリアスにもその仲間たちにも失礼だからな」

 

 共闘したがゆえにこそ分かる、価値観なのだろうか。

 

 否、違う。

 

 サイラオーグ・バアルは、イッセーの力を見るのが初めてであったとしても評価しただろう。

 

 それだけの大きな人物だということがわかる。彼は、ディオドラとは根本からして違う男だ。

 

「さあ、来るがいい! おまえの拳に、俺も拳を持って応えよう!!」

 

「……はい!!」

 

 その言葉に、イッセーもまた嬉しげに拳を構える。

 

 そして、お互いに最高の一撃をもってお互いをほめたたえようとして―

 

「イッセーさん! おっぱいですぅ!!」

 

―アーシアの渾身の言葉に、2人の空気が停止した。

 

「……何言ってやがんですか、アーシア」

 

 あきれ果てたリムのツッコミが当然飛ぶが、アーシアは不服そうな表情を浮かべる。

 

「こちらのセリフです! ここは、リアスお姉様のおっぱいです!!」

 

 渾身の意味不明の反論だ。

 

 しかし、残念なことにイッセーが絡むと納得できてしまうワードだった。

 

 事実、ゼノヴィアも天啓がひらめいたかのようにはっとなった。

 

「そうだ! イッセーの覚醒とくれば、リアス部長お乳房だな!」

 

「そうよ! イッセー君は煩悩がパワーの源だわ!!」

 

「そうです! イッセー先輩におっぱいは無敵の組み合わせですぅ!!」

 

 イリナとギャスパーも同意見だった。

 

 確かに間違っていない。間違ってはいない。

 

 乳首をつついて覚醒し、生乳にふれて正気に戻り、異世界から乳を司る神まで加護をあたえにやってきた。

 

 兵藤一誠という男にとって、女性の乳房は最重要キーパーソンだ。そこに否を付けることは不可能だろう。

 

 だがしかし、主の胸をこんなところでさらけ出させるのはいかがなものか。

 

「あの、できれば非常時以外はTPOをわきまえた方がいいのです!」

 

「いやです! イッセーさんが負けるなんて、そんなのだめです!!」

 

 ニングの苦言に、アーシアは涙すら浮かべながら反論する。

 

 愛する男が負けるところを見たくないと思うのはりっぱだと思う。

 

 だが、敬愛する主の乳房を遺制の前でさらけ出させるのはいかがなものか。

 

 サイラオーグも目を丸くしている。

 

「乳の神が異世界から来訪したのはこの目で見たが、つつくだけで本当に覚醒するのか?」

 

「……誠に遺憾ながら、真実です」

 

 小猫がはっきりと言い切った。

 

「ま、毎度こういうノリなのですか?」

 

「え、ええ、まあ……」

 

 ロスヴァイセの質問に、祐斗は正直答えに困っていた。

 

 だが真実ではある。現実は非常である。

 

「それで、リアスはどうするの?」

 

「い、い、イッセーが、望むなら……っ」

 

 朱乃に聞かれて、リアスも覚悟を完了し始めている。

 

「イッセーさん! ここはしっかり断るのです!」

 

「いやいやニング。イッセーがつつくチャンスを断れるわけがねえでしょう」

 

 ニングの言葉にリムがツッコミを入れるが、その通りではある。

 

 実際、イッセーは鼻血を流してガン見していた。

 

「……あの、ごめんね?」

 

 井草は、とりあえずサイラオーグに謝るほかなかった。

 


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