混血堕天使が幼馴染を邪悪な外道にNTRされたので、更生したおっぱいドラゴンとゆかいな仲間たちと共に、変身ヒーローになって怪人たちと戦いながら罪を乗り越えていくお話 旧題・ハイスクールE×E 作:グレン×グレン
「京都、京都ー♪」
「京都なのです♪」
「楽しそうだね、2人とも」
歌いながら頭をリズムで振る、リムとニング。
それを見ながら、井草は微笑ましい気持ちになる。
信徒ゆえに娯楽とは遠い生活を送ってきたリムとニング。
それが、日本を代表する観光名所である京都に行けるという事で、テンションが上がっているらしい。
三大勢力が一角である、天使・教会勢力、かつ暗部であるプルガトリオ機関の一員である二人は、この手の場所に観光に行く事が困難だ。
だが、悪魔側を経由する事でパスを発行してもらっているので、今回は問題なく行ける。更には京都の妖怪と三大勢力で和平が結ばれる可能視絵が示唆されており、それがなされればパスすら必要なくなるだろう。その気になれば行き放題である。
そうなれば、リムとニングももっとも笑顔になるかもしれない。
そう思うと、井草はそれが叶って欲しいと切に願う。
「いやー。駒王町の担当になるまでは、観光旅行に行ける立場になるなんて思わなかったですぜ!」
と、リムはかなりテンションが高い。
既に京都の観光雑誌を手に持っている。財布もお土産購入用のお札が詰まっており、いつもより厚かった。
「他のプルガトリオ機関の連中も、そこそこ観光ができるようになっちまってますからね! 和平さまさまですぜ!」
本当にハイテンションだった。
「ふふ。リムは楽しみにしていたのです」
「そういうニングも楽しそうだけどね」
と、ニングに井草はそう茶化す。
実際、リムだけでなくニングも楽しそうなのは、誰が見ても明らかだ。
だから、井草はなんとなく願う。
何かトラブルが起きるのは仕方ない。だが、どうか楽しむ時間ぐらいできればいいと。
そんなこんなでリムやニングといったん別れ、井草は席に戻りに行く。
リムとニングは残念ながら別の班だ。というより、2人とも交友範囲を広くしており、別々の班で活動するようだ。
実際問題、ニングとリムまで含めると班わけが流石にきついのが現状でもある。
井草はこういう時、イッセー達三人と組むのが定番だ。そこにイッセー狙いのアーシア、ゼノヴィアが入り、三人組と化しているイリナも参加。アーシアが絡むという事で桐生も参加している。
この時点で班の人員は八名、大体他の班も似たり寄ったりだ。
あまり多すぎるとフットワークが重くなり、観光が楽しめなくなる。それはいけない。
それに、井草としても二人に友達が増えるのは良い事だと思っている。
「うん。友達は多ければ多いほどとは言わないけど、少ないのもあれだしね」
友人関係が伊予と五十鈴ぐらいだった自分の過去は、正直寂しいと言われてもおかしくない。
両手が必要なぐらいはいてもいいだろう。それも、イッセー達とは異なる関係であればなおいいはずだ。
井草としては、愛するリムとニングには幸せな人生を送ってほしい。
せめて、これまで体験する事のなかった学生生活ぐらいは幸せでいてほしかった。
なので、ちょっと寂しいが、別行動だ。
そんなこんなで席に戻り―
「い、井草さん! 俺の可能性知りませんか!?」
―意味不明なイッセーの言葉に、目が点になった。
「井草さん! おれ、おっぱい欠乏症になったみたいなんです!?」
―追加で、松田の悲嘆に満ちた意味不明な言葉に、頭痛すら感じた。
「うん、とりあえず松田君から説明」
精神力をフルに使って、とりあえず話を聞く。
松田は、なぜか無性におっぱいをもみたくなり、元浜にすり寄った。異常、もとい以上。
とりあえず、何かドラッグでも盛られたのかと思った井草は悪くない。それぐらいには意味不明な事態だった。
「……今度、義姉さんにぱふぱふだけでも先行でしてくれないかどうか話してみるよ」
ピスに「覗き防止の為に童貞を食べてくれ」とは言っているが、どうやら先行でおまけをする必要があるらしい。
真剣に返ったら頼むべきかと考える。それどころか、今から頼んでおかねば時間が取れないかもしれないとも考え始める。
それぐらいには、松田の異常行動に責任の一端を感じている井草だった。
覗きはしないのが当然だ。だが、イッセー達の色欲は常軌を逸している為、我慢するのも苦痛ではある事ぐらいは理解している。
その人の個性にあったご褒美を用意するべきではある。その辺の配慮が足りてなかったと、井草は反省した。
「マジ頼んます! 俺、なんかホントに壊れかけてるみたいで……っ」
「しっかりしろ松田! 修学旅行が終わったら、エロビデオ見よう!」
あまりの松田のショックぶりに、久しぶりに元浜がエロ発言を場所をわきまえずに言っているが、流石にお目こぼしをするほかない。
むしろ修学旅行でエロビデオを持ち込んでない事に、成長を感じるべきである。
「……それで、イッセーの可能性って何の話?」
後松田と元浜の注意が逸れたので、井草はイッセーの方に話を戻す。
「あ、はい。実はサタンレンジャーの時にアジュカ様に……」
話を簡潔にまとめると、こういうことになる。
イッセーの花婿試験(当人の自覚無し)の時に、魔王ベルゼブブがイッセーの悪魔の駒を調てみたらしい。
そこで何かを想ったのか、アジュカはイッセーの悪魔の駒のリミッターを解除したり、調整を行なったりした。
それほどまでに興味が惹かれたのか、それともイセーを個人的に気に入っているのかは分からない。
だが、それによって赤龍帝の籠手に変化が訪れた。
赤龍帝の籠手の中には残留思念が存在する。その多くは憎悪の念に凝り固まって、今代の所有者を暴走させようとしている。それをどうにかできれば、新たな成長ができるとして、あえて接触を試みているのが今のイッセーの取っている方法だ。
そして、数少ない例外が接触を図ってきた。
女性赤龍帝最強の存在、エルシャ。男性赤龍帝最強の存在であるベルザードと話し合いをした結果、協力を申し出てきたのだ。
そして彼女の協力の元、アジュカの施した調整と赤龍帝の可能性がカギと鍵穴の形で発動したのだが―
「―それが、どこかに飛んでいったと」
「……はい」
これはイッセーを責めるべきではないだろう。
可能性が飛んでいくなど、普通誰も考えない。というより、正直訳が分からない。
ドライグの話では必ず戻ってくると言っているし、まあ深く問題にする事でもないだろうと、井草は考える。
「とりあえず、今出せる能力を出す分には問題ないんでしょ? なら、修学旅行中ぐらいは気にしなくていいと思うよ?」
「そ、そうですか? なら、いいんですけど……」
井草はそう言ってなだめるが、イッセーは困り顔だ。
だがしかし、現実問題何処に行ったのかも分からない状態ではどうしようもない。
それに激戦続きの毎日で、修学旅行をそんな意味不明な理由で退場させるのも可哀想だ。流石にそれは忍びない。
なので、後でアザゼルに頼んで捜索部隊を擁してもらおう。少なくとも、修学旅行を楽しんでから探しても問題ないだろう。
そう井草は判断すると、イッセーの肩に手を置く。
「大丈夫だよ。流石に妖怪が集まっているうえに、神様だってゴロゴロいる京都に襲撃しかけるなんて恐れ知らずな真似。禍の団だってムートロンの本隊が来るまではしないでしょ」
敵地の中でも重要拠点。それが京都である。
そんなところにいきなり襲撃を仕掛けるような恐れ知らずな真似、そう簡単にするわけがないだろう。
そう判断し、井草はイッセーをなだめた。
この考えが、あまりにも甘かった事を反省するまで、後一日もなかったりする。
対応が緩い結果、京都が痴漢の町になるのは、原作読んでる方なら知っての通りです(苦笑い