魔源の赤龍帝   作:shellvurn 次郎

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はい、皆さんこんにちは。IF編のdemonルートです。
今回で復活した人物がわかると思います。もちろん、オリキャラではなく、原作キャラですぞ。この話が終われば、このIF編のお話のタイトルを変更します。


No,III ―――――Fate

 

「ウフフフフフ・・・・・・・面白そうな状況に遭遇してしまったわね」

 

「あん・・・・?」

 

 男が勇者の心臓を貫き、勇者の最後の一言を言わさずして勇者の体を消し飛ばした。男は自ら殺した勇者に眼もくれずここから立ち去ろうとした。しかし、この男の前に再び立ちはだかるものがいた。男はその者にまためんどくさそうな視線を向けた。が、その目に映ったものは、それまでとは一線を画いていた。

 

「ッ・・・・・?」

 

 男はその者のあまりの異常さに気が付いていた。

 そのものはそれはそれは見た目麗しい美女、いや美少女であった。漆黒のドレスに身を包み、黒い日傘を差している。容姿端麗という言葉でも足りないほどの顔立ち。ロールのかかったロングの黒髪。赤い目。それはそれは言葉では形容しがたいほどの美しさ、可愛さであった。人間とは思えない代物。さらにおいては妖艶な雰囲気も醸し出している。美と言えば、ギリシア神話で最も美しい女神であるアプロディーテ、同様にローマ神話の女神ウェヌス、北欧神話のフレイ、ケルト神話のアリアンロッド、天界の熾天使ガブリエル、日本神話の伊邪那美命。この神々は最も美しいと謳われている存在である。そんな存在にこの少女は並ぼうとしている、下手すればそれさえも凌駕してしまうかもしれない。完全な存在であるとされている神であるが、この少女を前にしたとき、嫉妬という感情が沸いてしまうかもしれない。それほどの存在であった。

 

「(・・・・なんなんだ?この女・・・・ありえねぇ。こんな人間がこの世界にいるのか?いや、いていいのか?)」

 

 男は内心そんなことを思ってしまう。男は復活してからというもの、世界を回って様々人種をその目で見てきた。男はその道中、その見た目からあまたの女性に声を掛けられてきた。当然男は有象無象の存在に興味などなく、すべてぶった斬ってきたが、この少女は男の眼に完全に止まっていた。

 

「なあ、ちびっ子ちゃんよぉ。ここはお前のような子供が来ていい場所ではないぞ?さっさと立ち去れ。」

 

 男は現れた少女に挑発するような口調で言った。

 

「失礼ね。私は子供じゃないわ。ちゃんと成人を迎えた立派な大人よ?」

 

 少女は少しムッとしながらも言い返した。しかし、男が子供と言ったとしても仕方がなかった。少女は明らかに幼い体つきだったからだ。見たところ、人間で言う中学生か多く見積もっても高校生くらいの体つきだったからであった。しかし、それでいても妖艶さと可愛さはだんとつであるが。むしろ、この体つきだからこその美しさかもしれない。

 

「そうかよ。んで?お前は何しにここへ来たんだ?」

 

「ただ、近くを通ったら戦いがあったから来てみたの。そしたら、まさかあなたのような存在に出会おうとはね。あなた、人間じゃないわよね?そんな姿してるけど。」

 

「へぇ、分かるのか」

 

「ええ」

 

 両者ともニヤッと笑みがこぼれた。男の方は自身の正体を看破していることに対しての称賛を込めての。少女はその男の笑みに対しての笑みだった。

 

「それにね。あなたのような底知れない力を持った強者にせっかく会ったのよ?だったら・・・・・・少しくらいは相手、してくれるよね?ね?ドラゴンさん?」

 

 少女はニコニコしながら言った。さらに少女はドラゴンだと男に向けて言った。龍種。それはこの世界で最も優れた種族と言われている。その強さは神を超越する存在も多々あるほどである。この男も、その表情を見れば其のひとりのようだ。しかし男は心底呆れた顔をした。

 

「ああ?お前は何言ってんだ?確かに、俺はお前の言う通りドラゴンだ。だがな、俺はお前みたいなか弱い存在と戦うつもりはねぇ。弱いやつは、さっきの勇者擬きで十分だ。まあ、確かに弱者をいたぶって殺すのは一興だがな。」

 

 男は先ほどの勇者をさんざんコケにして、戦うことを受け入れない。確かに、男の言っていることはもっともだ。少女は、どうみてもか弱そうなものだ。華奢すぎる肩、細い腕や足。軽く握っただけでも壊れてしまいそうなほどだった。これはとても強者とは思えない。

 

「あら?ずいぶんいいシュミしてるじゃない?フフフ、邪龍みたいね、あなた。」

 

「みたいじゃねぇよ。愉快なことに俺は邪龍と呼ばれた存在だからな。一方的に殺すことなんざ、普通にやってきたさ。今となっちゃ、昔みてぇに虐殺はやってねえだけさ。今は、強者に飢えているからな」

 

「へぇ、いいじゃない。わたし、嫌いじゃないわ。」

 

 何かしら似ている部分があったのだろうか?会話で盛り上がる二人。

 

「じゃあ、そのあなたの素敵なシュミである一方的に殺して見せてよ、このわたしを」

 

 少女はさらに相手を挑発するような発言をする。おそらく、邪龍相手にこんなことを言う人間など、この広い世界と言えどこの少女だけであろう。その言葉を聞いて男は苦笑する。

 

「おいおいおい。お前、ホンキで言ってんのか?俺相手にそんなことを言うやつなんざ、お前が初めてだがな。さっさと行けよ。俺の気が変わらないうちにな。言いたかねぇが、突出して容姿も優れていやがる。お前みたいな人間を、壊したくねぇ」

 

「あら?ずいぶんとうれしいこと言ってくれるじゃない。この姿は私のお母さんからもらったの。お母さんには感謝してるわ」

 

「へっ、おめーの親ってことはそいつも体外フツーじゃねえな。俺の勘がそう言ってる。相当イカレてやがりそうだ」

 

 なぜか打ち解けあっている相手にするような軽口をたたきあっている二人。二人とも楽しんでいるようだ。

 

「でもね、私はそう簡単にやれないわよ?今までの人間と一緒と思わないほうが身のためよ?」

 

「いいんだな?後悔しても知らねぇぞ?テメーが泣き叫びながら命乞いしてもどうなるかわからねぇからな」

 

 ここにきて初めて男の表情が変わる。度重なる少女の挑発がとうとう男の、ドラゴンのラインを超えたようだった。そもそも、ドラゴンに向かってこの言葉は宣戦布告ととらえてもなんら不思議ではない。

 

「てめぇが売った喧嘩だ。買ってやるよ。女ぁ!」

 

「そうこなくちゃねっ!」

 

 グゥワン!!!! 

 少女は突然、全くのノーモーションで魔法を放った。それは、いつ発動したのかもわからないほどのスピードと結界の展開速度。少女を中心にして一瞬の速さで周囲を結界が覆った。もちろん、男もその結界内にすっぽりと収まっている。二人を囲むこの巨大な結界はとてつもなく広大である。

 

「結界を張らせてもらったわ。これで、あなたはこの結界から絶対に出られないわ。周囲に被害を及ぼすこともね」

 

「なんて女だっ!このレベルの結界をあの一瞬で構築しただと!?」

 

 男は少女の結界に驚く。この結界から出られないということよりもその結界の規模、強度、展開スピードにだ。男にはこれがどれだけのことかわかっているようだ。先ほどまでとは表情が変わっている。対する少女はさも当然のような顔をしている。

 

「へっ、なるほどな。少しはやるじゃねぇかよ。今までの敵とは少し、違うようだ、なっ!!!」

 

 男は先ほどの少女と変わらない速度で魔法を展開する。展開された魔法陣は三桁ほど。そのすべての魔法陣からは紫色の槍が超速で飛び出す。その槍は全部で三桁という数。ふつうであれば、これでチェックメイトである。これをすべて落とすのは並みの相手ではそうはいかない。だが・・・・

 

「フフフ・・・」

 

 ドドドドドドォォォォン!!!!!

 少女のもとで大爆発が起きた。その爆発で大量の煙が発生する。その少女はというと、ピンピンしていた。少女の防御魔法壁が完全にその槍を防いでいた。

 

「だろうな、そんなんじゃあ、無理か。なら、これは?」

 

 男は少女に自分の魔法を試すように次々と放つ。そして、濃い紫色の魔方陣から放たれたのは紫色と黒い色をした濃い霧だった。その濃い霧は少女のもとへと流れ、少女を飲み込んでいった。

 

「これは・・・・・・」

 

 その飲み込まれた少女はそのなかでまるで夢を見ているかのような状態になっていた。霧の中で映像が次々に流れる。それは、その少女にとって幸せなもの。望むものであった。映像には家族の映像が流れている。

 

『どうだ・・・?これが俺の幻術だ。いいものだろう?この中にいれば、永遠にこの幸福を感じられるぞ・・・・・・?』

 

 霧の中で聞こえてくる声。まるで誘惑するようなものであった。この声にひかれておくに行ってしまえば、帰ってこれなくなる、そういってるようであった。

 

「幻術ね・・・・。確かに、凄いわ。まるで、それが現実と認識してしまう、いえ。それが現実であってほしいと思いかねない代物ね。でもね、残念だけど、こんな程度の幻術なんて私には・・・・・・・効かないわよ?邪龍さん?」

 

 カッ!!!!!!

 少女は先ほどと変わらないまっすぐな瞳でいた。全く幻術に少女は魅せられていなかった。少女が放ったすさまじい光の魔法に幻術の霧はすぐに消え去っていった。晴れた霧からは少女が何事もなかったかのようにいた。

 それを見た邪龍は先ほどとは打って変わっていた。それは、目の前にいるものが自身の敵と断定しているような真剣そのものだった。

 

「やるな。お前。俺の全力の幻術をいとも簡単に破るとはな。喰らったものは幻術の世界で永遠にその夢を見ているだろうよ。今までこの俺の全力の幻術を破ったやつはいなかった。お前が初めてだぜ。」

 

「それはありがとう」

 

「いいぜ、認めてやるよ。女。お前は俺の敵だ。おら、さっさと始めようぜ。」

 

「ええ。望むところよ」

 

 こうして、一人の不思議で可憐な美少女と一体の邪龍との魔法戦争が幕を開けたのだった。

 

 

 

 ――――〇●〇―――― 

 

 

 

 

 ドドドドドドドン!!!!!!!!

 

「へっ、マジで強ぇな。女でここまでのやつはそう居ねぇぞ!」

 

「それはありがと♪」

 

 結界の中ではすさまじい爆発音が鳴り響き、凄まじい数の魔法が飛び交っている。二人は互いに魔法主体の攻撃を相手に放っていた。威力がまずけた違いに高いものばかりだった。それこそ、この結界に入れば万単位の軍勢が灰燼と化すような攻撃を互いに平気で放っていた。一撃一撃がドラゴンの攻撃と同等クラスの威力の魔法が炸裂している。しかし、その互いの放った攻撃はいまだ命中していない。少女と邪龍は防御魔法で完璧に防いでいた。まさに、魔法戦争と形容しても遜色ない。しかし、立った二人で戦争級の戦いをやっているのだ。

 

「らちが明かないな。もう一段階、いや・・・・・・もう二段階ギアを上げるか」

 

 男がさらに力を上た。今まではまだまだ本気のほの字も出していなかったらしい。魔法陣の数が先ほどとはけた違いに増殖した。少女の周囲、四方八方を囲むように展開させている。数にして六桁は軽く超えていた。魔法陣からは紫色の魔槍が現れる。危険かつ異様な槍が少女に向けて放たれる。

 ドドドドドドォォォォォォォォン!!!!!!!

 凄まじい爆発音と煙が少女を包み込んだ。

 しかし、少女はこの攻撃を受けてもなお、生きているどころか無傷であった。この攻撃を受ければ、大抵のやつは消し飛ぶ。下手すれば、神でさえただでは済まないものだった。

 

「凄いわぁ。いい魔法ね、それ」

 

「んだよそれ・・・・・お前の防御魔法固すぎんだろ・・・・・・。かなり本気で撃った魔法なんだぜぇ?しかも、クソ女神を葬るためのものだってのによぉ」

 

 男は少女に呆れたように吐き捨てた。邪龍の攻撃をいとも簡単に無効化するこの力は長く、そしてあらゆる強者と戦ってきた邪龍と言えども、これには驚きを隠せないようだ。

 

「その魔法、いいわね。もらうわ」

 

 少女はその言葉通り、先ほど自分が受けた攻撃をそのままコピーして男に向けて放った。

 

「こいつ、俺の技を」

 

 男は自身の魔法を向けらる。しかし、男は自分の魔法でもあってそれを相殺していっている。

 

「難しいわね、この魔法。流石ね」

 

「見ただけで模倣できるお前に言われたかねーよ」

 

 魔法を放ちながらそう言う二人。しかし、その時だった。

 パリィン!!!!

 

「なに!?」

 

 男の防御魔法がとうとう破られたのだった。魔槍が防御魔法を突き破り、男の腕に掠ったのだった。

 

「フフフ。もっと、威力を上げるわね♪」

 

「ちっ!」

 

 少女は涼しい顔をしながらますます魔法の威力を上げていった。邪龍は魔法で防ぐのではなく、物理的に躱していく。

 

「うおっ!?」

 

 ドドドドドドォン!!!!

 男の死角から無数の魔法が放たれ、男に命中した。男はその証拠に服が破れ、傷が所々についていた。

 

「あれだけの攻撃を受けて、その程度の傷しかつけられないのね・・・・・固いわね」

 

 普通であれば即死級の魔法をかなりの数喰らっても邪龍は笑っている。痛みなどあってないようなものであった。 

 

「なら、最大まで威力を上げるだけよ」

 

 少女はさらに魔法の威力、そして数を増大させた。今度は逆に男の逃げ場をなくすかのように魔法陣を展開。その魔法陣の数はさらに多かった。七桁に到達するほどであった。さらに、その魔法陣からは炎、氷、光、闇、雷のほかに、ルーン魔術、神聖文字(ヒエログリフ)など、ありとあらゆる魔法、魔術が放たれる。これだけの量の魔法を同時に発動できるその演算容量は計り知れない。

 

「おいおいおい、なんだこりゃ――――――――」

 

 ドドォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!

 魔法が命中し、大爆発を起こす。この量に邪龍も言葉にし終える暇もなく攻撃を喰らった。

 

「ゴハッ!!!」

 

 邪龍は血の塊を吐いた。少女の攻撃は邪龍に致命傷を負わせていた。邪龍の両腕と右足が無くなっていた。おまけに腹には小さな風穴があいていたのだ。しかし、この状態でさえもまだ意識があるのだ。

 

「手応えあったかしら?」

 

 少女はやってやったというような顔をしている。しかし、邪龍は笑っているままだった。

 

「いいねぇ・・・・・これだよこれ。戦いはこうでなくちゃなぁ!!!!」

 

 邪龍はこの状態でも戦意はいまだ健在だった。すぐに魔法を発動させる。するととんでもない現象が起きたのだ。

 

「それは・・・・・・・・」

 

 少女も邪龍の魔法に眼を剥いていた。邪龍の傷が、みるみるうちに修復していった。さらに、欠損していた両腕と右足が復活し、腹に空いていた穴もふさがっていたのだ。治癒魔法とは比較にならないレベルの修復だった。

 

「治癒魔法・・・・・いえ、それにしては普通じゃないわね。禁術の類かしら?」

 

「ああ、そうさ。邪龍なんだ。禁術くらいフツーに使うさっ!!」

 

 男は完全に傷を治した状態で魔法を発動させる。しかし、これは今までとは違った。魔法陣の様相が次々に変貌していく。魔法陣から現れたのは、異様な雰囲気と邪悪なるオーラを放っている魔杭であった。

  

「ッ・・・・・・・・!」

 

 少女は邪龍が出した魔杭に息をのんだ。これが、どういう代物か察しがついたようだ。

 

「これは、人体に当たればぜってぇに抜けない。おまけに、死ぬまで血を吸い、それと同時に苦痛を与え続けるろくでもねぇ呪具だ。まえ、戦った人間から奪ったもんだ。ま、何本か喰らえや」

 

「させないわっ!!」

 

 邪龍はとんでもないものを平気で少女に放った。少女はそれを全力で魔法を用いて撃ち落としていく。

 それを見た邪龍はさらに魔法陣を展開させる。

 

「おらおら、まだまだ行くぜ?」

 

 魔法陣から現れたのは先ほどの魔杭だけではなかった。ドクロのような形をした呪炎、紫色の炎、呪詛のにまみれた暴風、それはペストを思わせるような嵐。まだまだ続く。暗黒色の雷、血の涙を流し、聞いているだけで狂いそうになる呪文を永遠と唱えてくる呪われた聖女、見つめられているだけで命が奪われる一つ目の巨人、古代魔術文字、禁止言語などなど・・・・・・・・。この世の不吉を体現する魔法が少女に襲い掛かる。

 

「くっ・・・・・・・」

 

 少女の表情が一気に変わりゆく。今まで涼しい顔をしていたが、この禁術を前にしてはそうはいかなかったらしい。少女は冷や汗を流し、禁術による攻撃を避けることに必死だった。この禁止級の魔術、魔法を七桁という数で少女にぶつける邪龍。これは少女の意識を集中させるには十分だった。

 

「おっと、隙だらけだぜ?」

 

「しまっ――――――」

 

 邪龍は禁術に気をとられている少女の背後に回っていた。邪龍はあのレベルの禁術をも囮にして接近戦を仕掛けてきた。しかし、少女は少し遅れてしまった。流石に、あの禁術には意識を向けすぎていた。いや、向けざるを得なかったのだ。

 ザンッ!!!!

 

「うぐあっあああッ!・・・・・・・」

 

 少女の左腕が肩から完全にちぎれ、宙に舞う。少女の腕は地に落ちると、すぐに壊死し始め、ものの数秒で灰になった。邪龍の禁術を喰らってしまったのだ。少女はすぐに邪龍と距離をとった。これ以上近接攻撃を喰らわないようにするためだ。これは英断だった。

 

「うぐぅっ・・くっ・・・・・・・あぁう・・・・・・・・・」

 

 少女はあまりの痛みに肩を抑える。痛みに耐える声を上げ、目には涙が溜まっていた。肩からはとめどなく血が流れ出ている。美しい黒いドレスも血で染まっていた。しかし、そんな素顔、姿も皮肉にも可憐で美しかった。そんな様子を何か面白そうに見る邪龍。

 

「へっ、勝負あったか?にしても、そんな姿になっても麗しいとは、つくづくスゲェもんだ。これが美人の特権ってか?」

 

 苦しむ少女を見て笑っている邪龍。

 

「くっ・・・・・・やって、くれるじゃない・・・・・・」

 

 少女はいまだ戦意を失っていない目をしていた。目には涙を浮かべているが、折れてはいなかった。

 

「へぇ、まだやれるって目をしているな」

 

「当然よっ!・・・・・」

 

 少女は魔法を発動させる。しかし、攻撃する魔法ではなかった。自分の千切れて先が無くなっている自身の肩にだ。魔法陣が現れると、傷が再生していった。さらに、失った腕まで魔方陣が生み出していき、少女の美しかった腕が元通りになっていた。さらには黒いドレスも元通りだ。その様子を見ていた邪龍は驚く。

 

「おいおい、まさかお前もそんなことできるのかよ」

 

「ええ。治癒魔法は私の大得意な魔法なんですもの」

 

「ただの治癒魔法でそんなことまでできるとか、ほんと人間かよ」

 

 少女の魔法の技術に驚くばかりであった。邪龍は禁術でしかそれが成しえることはないからだ。少女は傷を再生させ、さらにその目は闘志でみなぎっていた。

 

「こんなに可愛い私のような美女の腕をためらいなく千切るなんて酷いわ・・・・・私、あなたのこと全力で倒すから」

 

「悪いなぁ、こちとら邪龍なんだ。だが、望むところだぜ」

 

 そしてさらに二人の戦いは激化していった。ますます戦況は拮抗していったのだ。しかしだ。意外なことにだんだんと戦況は少女の方に傾いていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 ――――〇●〇―――― 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・・・・・クソッ!!」

 

 邪龍が舌打ちをする。さらに、肩で息をしていたのだ。

 

「あら?どうしたの?魔法のキレが、無くなってきてるわよ?もしかして、もう疲れちゃった?」

 

「うるせぇ!!!!」

 

 ドドドドドン!!!!!

 邪龍は少女の挑発に対して攻撃で返した。しかし、その攻撃が少女に届くことは無かった。逆に、少女の攻撃が邪龍にどんどん届くようになっていた。

 

「グッ!!!クソガァ!!」

 

 邪龍は魔法を繰り出そうとする。しかし、威力、数ともにどんどん減少していった。そして、最後には・・・・・・・

 

「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・・・・・」

 

「魔力が、尽きたようね・・・・・」

 

 邪龍はとうとう、魔法が発動できなくなっていた。魔力が底をつき、魔法力も残っていなかった。ジリ貧であったのだ。少女はもちろん邪龍の状況を見抜いていた。

 

「クソッ・・・・・・ありえねぇ。何者だ?俺と同等の魔法を打ち合っていて、いまだ魔力が付きねぇとか、一体どんな魔力してんだよ・・・・・・ほんとに人間か?」

 

 邪龍は心底呆れた顔を少女に向けた。魔力はもちろん無限ではない。さらには、人である以上、一度に使える魔力の量もだ。人間は体が弱い。それこそ、先ほどのような魔法を連発するなどありえない。体が耐え切れないからだ。

 

「ええ、人間よ。それで?降参?まさか、邪龍がこの程度で終わりなの?」

 

「・・・・・・・・・・降参だと?この俺が・・・・・・・?」

 

 邪龍はわなわなと震えながら言った。そうとうな屈辱なのだろう。よもや人間をあいてにして降参というのは。

 

「そんな真似するわけねぇだろ!!魔力がなくても、体があんだよ!!!!」

 

 邪龍はそう高らかに叫んで自身の体に魔法陣を展開させた。そして、邪龍はみるみるうちに人間の姿からどんどん巨大化し、ドラゴンの姿へと姿を変えた。

 

「それが、あなたの真の姿ね」

 

 少女は真の姿となった邪龍を見てそう言った。

 

『貴様は、必ず倒す!!もう女だろうと関係ねぇ!!!邪龍として!!ドラゴンとして!!!このアジ・ダハーカという名に懸けて!!!!貴様を滅ぼす!!!!!!』

 

 邪龍、否。このドラゴンの名はアジ・ダハーカであった。邪龍の筆頭格と言われている強者。三つ首に三対六枚の翼を持ち、真っ黒な体に紫色の模様がところどころにある。魔 源 の 禁 龍(ディアボリズム・サウザンド・ドラゴン)の二つ名を持つ強者だ。そして、そんな強者を前にしてここまで追い詰める謎の少女。そしてその最終決戦が今、始まる。

 

「来なさい。私も、あなたを全力倒すから」

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおお!!!!!!!!』

 

 アジ・ダハーカはその巨体とは裏腹に超スピードで突貫する。魔法が得意であるがゆえに、肉弾戦はあまり得意ではないが、人間に比べたら肉体の強度は遥か上である。

 アジ・ダハーカは少女に全力のパンチを放つ。

 ガキィン!!!!!

 しかし、その拳は少女に届かない。少女の防御魔法に阻まれる。逆にカウンターを少女はアジ・ダハーカにくらわせる。

 

『ぐぅおぉお!?』

 

 さすがに巨体であるがゆえに、攻撃は当てやすく、魔法をもろに喰らった。防御魔法によるガードが出来ないアジ・ダハーカはその攻撃を軽減することができない。

 が、さすがのドラゴンの肉体である。ちょっとやそっとの攻撃では通らない。

 

『はぁっ!!!!!』

 

 アジ・ダハーカは構わず少女に向けて突進していった。しかし、全く攻撃が少女に通らない。逆に、少女の攻撃が次々とアジ・ダハーカに突き刺さっていった。いかにドラゴンの肉体と言えども、攻撃を何度でも受け続けて平気なわけではない。だんだんとウロコが瓦解していき、血が噴き出していった。しかし、そんな血が噴き出している状態でも嬉々として何度も何度も少女に向かっていくアジ・ダハーカ。そんな姿に少女はなにか言いたげな顔をしていた。

 

『ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・・』

 

 何も考えない突貫をし続けたアジ・ダハーカの肉体は限界を迎えようとしていた。美しい翼はボロボロ。三つ首のうち左右二つは消し飛んでおり、左足と右腕は千切れ、胴体にはいくつもの穴が入っていた。

 

「これで、おしまいね」

 

 少女は止めとばかりに一つの巨大な魔法陣を自身の前に展開してアジ・ダハーカに向けていた。そんな魔法陣を見たアジ・ダハーカは察したような雰囲気を出していた。

 

『ちくしょぉ・・・・・・ここまでかよ・・・・・・俺の、負けだ。消すなりなんなり好きにしろ。まあ、お前みたいな強く、美しい女に消されるのも悪かねぇな』

 

「私のとっておきの魔法で消してあげるわ。超時空殲滅魔法(エーテリアス・ディザスター)でね。さようなら、アジ・ダハーカ」

 

 カッ!!!!!

 巨大な魔方陣からとてつもない光が現れ、周囲を照らした。その光は、ボロボロの満身創痍なアジ・ダハーカを飲み込んでいった――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――◆◇◆◇◆◇◆◇◆――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん・・・・・・なんだ・・・・・・?」

 

 戦いの後、男、いや、アジ・ダハーカは目を覚ました。今は人間の姿となっている。しかし、男は何がどうなっているかわからないといった表情をしながらベッドから身を起こしている。

 

「おかしい・・・・・俺は、あの女と戦いに負けたはず・・・・・」

 

「あ、起きたのね」

 

 すると、アジ・ダハーカと戦い、見事邪龍に勝利した少女が扉を開け、部屋に入ってきたのだ。

 

「おい、どういうことだ?」

 

「へ?どういうことって、ここが私の家だからに決まってるじゃない」

 

「違う。何故、俺を消さなかったんだ?」

 

 アジ・ダハーカは戦いに敗北した。そして、消されるはずだったのだ。しかし、今、こうして傷も治り、ベッドで寝かされていたのだ。

 

「あなた。あの時に行ったわよね?『消すなりなんなりしろ』って。だから、あなたは、今日から私の旦那様ね?」

 

「なんだとっ!?」

 

 アジ・ダハーカは思ってもみない唐突な発言に思わず声を荒げた。邪龍にとって番などは永遠に縁のない言葉だからだ。

 

「ああ、もう決めちゃったから。あなたは、敗者。敗者は勝者に従う。違う?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「それとも?あの時の言葉は嘘だったの?」

 

 少女は可愛らしく首をかしげている。そんな姿を見たアジ・ダハーカは口を開いた。

 

「・・・・・・・・・・俺は、邪龍だぞ」

 

「関係ないわ。私は、あなたがいいの」

 

 少女がそう言う。男ならば、こんなことを言われたら堕ちるであろう。

 しばらく、沈黙が流れる。

 

「・・・・・・・どうせ、何を言っても聞かないだろう?」

 

「ええ、わかってるじゃない。聞かないし、逃がさない。あなたがどこへ逃げようと追いかけるから」

 

「・・・・・・・・・・わかった。俺は敗者だ。おとなしく従う」

 

 アジ・ダハーカはついに観念し、少女の番になることを受け入れた。

 

「ウフフ、じゃあ、これからよろしくね?アー君!!」

 

「なんだよ、その呼び方。」

 

「え?アジ・ダハーカだから、アー君。いいでしょ?」

 

 少女は呼び名をアジ・ダハーカから改める。邪龍をこのように呼ぶのはこの少女一人だけだろう。

 

「まあ、いいさ」

 

 アジ・ダハーカはそう受け流す。番になると決めた時点でもうあきらめたのだろう。

 

「あ、私の名前は、那月。兵藤那月。那月ってよんで!よろしくね、アー君♡」

 

 少女、兵藤那月はアジ・ダハーカに抱き着きながらそう言った。アジ・ダハーカは困ったような顔をしているが、まんざらでもなさそうであった。

 こうして、邪龍、アジ・ダハーカに番が出来た。そして、これは、のちにとんでもない物語になるのであった。

 

 

 

 




はい、IF編、Daemonルートでした。これから、投稿後、ほどなくしてタイトルが変わります。さて、魔源の禁龍アジダハーカがまさかの物語最初から登場するという・・・・・・・
ええやろ!?原作じゃあ敵ですぐに死んじゃったからこうしたんだ!
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