「めんどいから殺すにゃん♪」
リアス達を孤立させるべく、黒歌は周囲の森一帯を結界で覆い外界から遮断する。
これで何の憂いもなく奴らを排除できる……黒歌はほくそ笑んだ。
そのはずだったが。
「ほう……誰が、誰を殺すと?」
いつの間にやら黒歌の後ろに立っていた隆が、腕を組みながら永久凍結地獄コキュートスもかくやといったほどの底冷えする声で彼女に問う。
「もう一度聞く。 誰が、誰を殺すんだ?」
隆は万力のような強さで黒歌の肩を掴み、顔をゆっくり覗き込む。
「あ、あわわ……」
「こ、こりゃ大問題だぜぇ……」
天地がひっくり返ろうが勝てっこない絶対強者に立ちはだかられ、恐怖に支配された黒歌は呂律が回らなくなり体を動かせずにいる。彼女の側にいた孫悟空の末裔である美猴も顔を青くしていた。
彼女ははぐれ悪魔故に過去の全面戦争には参加していないが、隆についての噂や見聞は魔界のあちらこちらに残されている事もあり、その強さは良く知っていた……しかし、空間を分断されても易々と侵入されるとは思ってはいなかったのだろう。
「や、やばいぜ。 こりゃすぐにでも逃げないとやばいぜ」
「そ、そ、そうね……でも……」
チラリ、と掴まれている肩を一瞥する黒歌、その肩は固定されたかのようにピクリとも動かせない。
「この俺が、質問に答えさせずに逃すと思うか?」
ヒュンっと右手で黒歌の肩を掴んだまま美猴の後ろに回り込み、左手で美猴の後頭部を鷲掴みにして持ち上げる隆。掴んだ指は頭の皮膚を貫き、頭蓋骨を捉えていた。
「ぐああああ!?」
痛覚神経を貫かれ頭蓋骨を直に触れられるという、未知の痛みに思わず声を上げる美猴。
「これが最後だ……誰が、誰を殺すと言ったんだ?」
「ななな何も言ってません!!」
「ならば、良い」
黒歌の肩をつかんでいる右手はそっと放したのに、美猴の後頭部を掴んでいる左手はゴミでも放り投げるかのように振り払われ、その勢いのまま地面に叩きつけられ、そのまま気絶した。
本人にはそのつもりはないのだろうが、扱いの差が歴然と出ていた。
黒歌の肩は大きな痣が残っており、美猴の後頭部からは掴まれた時に空いた5つの穴から血がドクドクと出ていた。
「うう……」
「逃げるというなら、別に追いはせん」
「わ、わかったわよ……」
「あぁ? ため口を聞いていい立場だと思っているのか?」
「お言葉に甘えさせていただきますっ!!」
「よろしい」
こうして黒歌は美猴を置いて逃げていった。
置いていかれた美猴は眼鏡の男が回収していった。
「ありがとう隆、助かったわ」
「怪我はないようで何よりだ、しかしあいつらは何者だ?」
「……私の、姉です」
苦虫を嚙み潰したような顔で小猫が答える。
「なんだ、姉妹喧嘩でもしたのか」
「すいません、今はそれ以上の話は……」
「そうか、ならば詳しくは聞くまい……さあ帰るぞ、パーティの続きだ」
隆に促され、リアス達はパーティ会場へと帰っていった。
イッセー「アレ!? 俺のセリフがない!!?」