隆「この生意気なクソトカゲめ、参ったと言え!!」(巨大化してグレートレッドの尻尾を掴みジャイアントスイングでぶん回す)
ヴァーリ「……俺は『真なる白龍神皇』になりたいんだ」(見なかったことにする)
イッセー「いや、アレを無視しちゃダメだろ!」
突然の話ではあるが、
何しろ、全悪魔を相手取っても無傷で大勝利するような男である。
しかも、自らと同等の力を持つ、実体を持った分身をいくらでも作り出せる。
一人ですらかすり傷一つつけられないのに、最悪の場合それを何千万と相手どらないといけない。どう考えても勝てるわけがない。
という訳で、旧魔王派は流れ解散になり事実上壊滅した。
そんなこんなで部室でのお茶会である。
「そういえば二年生は修学旅行の時期だったわね」
「部長と朱乃さんと隆さんは去年どこにいったんですか?」
「私たちも京都ですわよ、部長と一緒に金閣寺、銀閣寺と各所を回ったものですわ」
「俺は、修学旅行の時は一人で八坂の所に顔を出していたな」
「その八坂ってのは誰ですか?」
初めて聞く名前に、イッセーが首をかしげる。
「京都筆頭の九尾の女だ、日本においては有数の実力者だろう。
八坂は日本においては神に近い強大な力を持っている、京都はヤツに任せておけば安心だろうよ」
薄緑の分厚く大きい湯飲みに入れられた番茶を飲みながら、隆が答えた。
ちなみに湯飲みは丸の中に漢字一文字で「隆」と書かれている、彼なりのちょっとしたオシャレだった。
「でも、不安と言えば不安にならないかしら?」
「部長のいう通りですわね、いざという時の為に備えた方がいいかも……」
リアスの朱乃の疑問に、隆はお茶を飲む手を止める。
二人の言う通り、確かに最近はきな臭い。
神を超え、悪魔をも滅ぼす力を持つ隆ではあるが彼は読心能力を持っていない。つまり、隆の与り知らない裏方で画策されたら、実際に動きがあるまで対処するのは難しい。
「……確かに二人のいう通りだ、近々俺の分身体を八坂の下に送り込むとしよう」
この時、英雄派は知らないうちに大ピンチになっていた。
----------------------------------------------
「いやなに、我らが主神殿が、我らが神話体系を抜け出て、我ら以外の神話体系に接触していくのが耐えがたい苦痛でね。
我慢できずに邪魔をしにき」
「オラァッッッッ!」
「だごず!?」
まるで演説のような、大げさな悪意しかない宣言をしていたロキ。
その頭頂に、光の如く突如現れた隆の強烈な空中かかと落としが炸裂し、哀れにもロキはハエのように地面に叩きつけられた。
「我慢できずに邪魔をしてしまった、すまんな……それで? 何をしに来た? 率直に答えろ」
隆は無様に地面に横たわるロキの背中に跨り、その顎に両手を添えながら問いただす。いわゆるキャメルクラッチの体勢だった。
「いや、何。 このままでは我らが迎えるべき……」
「率直に答えろと言ったはずだが」
「ぐああああ!?」
ロキの身体を海老反り状に引き上げ、背骨と首に多大なダメージを与える隆。
「さ、さっきも言ったように和平の邪魔をしに……ぎゃあああ!!」
「邪魔」という単語を聞いた途端、隆は引き上げる強さを強める。
ロキの背骨はメキメキと音を立てており、既に限界なのは明白だった。
「わ、我が愛しき息子よ……ッッッ」
このままでは折られると踏んだロキは、息も絶え絶えになりながらも何かを呼んだ。
その声に応じたようにロキと隆の背後の空間が歪み、彼の切り札とも言える巨大な灰色の狼が現れる。
「フェンリルだと!? 最強最悪の魔物の一匹……」
搾り出すかのように、巨狼の名を呟くアザゼル。
つまりそれは、アザゼルが警戒せざるを得ない程の相手である事を示していたが……
「ふせ」
文字通り、本当の「最強最悪」の強さを持つ隆にはそんな事は関係なかった。
隆が首だけを動かし、強烈な殺気を込めてフェンリルに命令する。
自らより、遥かに格上の力を持つ隆に命令されたフェンリルはこれまでにない程震え上がり、彼のいう通り大人しくその場に伏せた。
「おい、ロキ」
「な、何だ……!?」
「俺の知る限りでは、貴様はまだ初犯だ。 黙ってあの犬っころと共に引き上がるなら今回は見逃してやるが。オーディンもそれで構わんか?」
「う、うむ……会談の邪魔をされなければそれで良いが」
「だ、そうだが?」
「わ、わかった! 今回は引きさがろう!」
「よし」
オーディンとロキの言葉を聞くと、隆は手を緩め背中から離れた。
背骨こそ折れていないものの、甚大な痛手を負ったロキはふらふらと立ち上がる。
「わかってはいると思うが、二度目はない。邪魔をするなら相応の罰を与えると思え」
「分かっている……!」
ロキがマントを翻すと、空間の歪みがロキとフェンリルを包み込み、彼らの姿は消えていった。
「まったく、無駄に年だけ食った悪ガキが……」
隆の言葉に誰もツッコむ勇気はなかった。