「イッセー、今夜の活動は無しにしてもらえるかしら」
「えっ、何でですか?」
放課後、イッセーがいつも通り部室に訪れるとリアスから忠告があった。
「フリード・セルセンという、殺人狂なエクソシストが街中に潜伏していると、使い魔達から連絡があったわ。
外見は白い髪に神父服を来た少年、ハッキリ言って今の貴方があっても殺されるだけ。
眷属に危ない橋を渡らせるわけにはいかないわ、だから大人しくしていて頂戴」
「そんなに危ないやつなんですか?」
「そうね……相性の問題もあるけど、私と朱乃じゃ一対一じゃ危ないわね。
祐斗と小猫は接近戦が得意だから大丈夫だとは思うけど、それでも無傷とはいかないでしょうね……不意をつかれたら、殺されてもおかしくはない。
つまり、今のあなたでは天地がひっくり返っても勝てやしないわ……かすり傷一つ浴びせられれば大健闘ってところね」
「わ、わかりました。今日は家で大人しくしておきます」
騎士である木場や戦車である塔城でも無傷とはいかないし、殺されるかもしれないという言葉を聞き顔を青くするイッセーだった。
「ちなみにこのフリードの件は隆が対処するから、首を突っ込んだらダメよ?」
「……そういやアイツ、誰なんです?」
隆の名前を聞いて、嫌そうに眉を吊り上げるイッセー。
リアスに食ってかかったことや、警察行きという言葉を聞かされたことから良いイメージは持っていないのだ。
「彼は
一応、というのを強調するリアス。
「この町、駒王町がグレモリー家の傘下にあるのはイッセーも知ってるわよね?」
「それは……まぁ、はい」
「それで、ここは日本よね? 当然、本来なら伊邪那岐や伊邪那美を筆頭とする日本神話勢の勢力下にあるはずなの。
でも、日本で活動する拠点が必要になって、その拠点にこの駒王町が選ばれたわけ。
その際に、悪魔勢の協力者及び監視者として彼が近くに置かれているのだけど……」
「だけど?」
「……彼、強すぎるのよ」
憂いを帯びた表情で、リアスはため息をついた。
「え、強すぎるって……どれぐらいですか?」
「監視者というからには、一定以上の実力が必要という事で私たち悪魔陣営と手合わせしたことがあるわ。
その際、私たちオカルト部が手合わせしたんだけど……瞬きする間もなく、全員倒されたわ」
「何をされたか、いつ倒れたのかすら分からなかったわ。
このままでは面目が立たないという事で、お兄様を筆頭としたグレモリー家全員で手合わせしたけど……全員倒されるのに1秒もかからなかった。
その話を聞いて、違う家の悪魔達も挑戦状を叩きつけたけど、結果は全て同じ。
そのうち悪魔の面子がどうのということになって、隆一人と悪魔全体の全面戦争になったけど……悪魔全員が倒されるのに10秒も持たなかったわ」
「あ、あいつそんなに強いんですか!?」
「そうよ、だから彼は絶対に怒らせないで……幸い、彼は割と善人だし話も通じるわ。だから、怒らせなければ問題ないけど……犯罪は絶対に許さないから気を付けるのよ。
この前言っていた、覗きをしたらイッセーが警察に行くという話も本気だろうから」
「わっ、わかりました! 肝に銘じておきます!!」
慌てたようにビシッと姿勢を正し、イッセーはそう答えた。
そして、その頃の隆は。
「さて、この辺りにいると連絡があったが」
隆は住宅街の一画に立ちながら、フリードの顔写真を片手に辺りを見回す。
巡回しているリアスの使い魔である蝙蝠から、大体の居場所が知らされたためだ。
「……よし」
気配を探るため、目を閉じ感覚をとがらせる。
エクソシストであるフリードは一般人とは違う気配を持つため、それを捉えればいいのだ。
そして、数秒後。
「そぉこかぁっ!!」
カッと目を見開きぐるんと振りむきながら、手刀を振り下ろす。
尋常でない勢いで振り下ろされた手刀は真空刃を生み出し、一直線に突き進みながら進路上にあるモノを斬り裂いた。
「ぐべぇぁっ!?」
そして、その中にいたフリードも同様に斬り裂かれる。
斬り裂かれた身体は両断こそされていないが、内臓がちろっとはみ出しており血もドクドクと吹き出ていた。
「よし、仕事終わり。
エクソシストという事だし、ミカエルにでも押し付けるか」
隆は倒れ伏したフリードの首根っこを引っ掴むと、天界にいるミカエルの元への扉を物理的にこじ開けた。
「おい!!ミカエル!!!」
「ちょっ、何ですか!?」
「貴様の所のエクソシストが殺人を犯していたそうだぞ!
そっちで裁いておけ!!」
隆はミカエルの返答を待たずに、フリードをミカエルの足元にぶん投げてから扉を閉じた。
ミカエルはとても困ったそうな。
ミカエル「どうしろというんですか…」