松田と元浜は盗撮の現行犯で逮捕された。
隆から警告が出ていたにも拘らず、盗撮と痴漢行為を続けたためだ。
二人の親も逮捕された当初は庇っていたものの、女子生徒から証拠のビデオテープなどをズラッと見せられたら掌をグルンと返し、絶縁したそうだ。
この証拠が元となった上、学園の女子生徒ほぼ全員から被害届と告訴を受けたため、『更生の余地無し』と判断された二名は少年院ではなく、少年刑務所へと送られた。大量の証拠と証言が積み重なった結果、とんでもないスピードで判決が下った。
ちなみに、イッセーは盗撮行為などは止めたために逮捕はされなかったが……いつ逮捕されてもおかしくないので、ビクビクしながら学生生活を送ることになった。
閑話休題、本編に入る。
駒王町に存在する教会の地下、そこに兵頭一誠と木場裕斗と塔城小猫の三人は立っていた。
イッセーの友人であるシスター、アーシア・アルジェントを救うためである。
「おそらく、奥には堕天使とエクソシストの大群が存在すると思う、覚悟はいい?」
木場の言葉にイッセーと小猫ちゃんが頷く。
「よし、行くぞ!」
気合を込め、イッセーが扉を開いて儀式場に躍り出た。
「アーシア! 無事か……って、えっ?」
「だから! 貴様らは!! 人さまの土地で!!! 勝手な騒ぎを起こすなと言っている!!!!!」
確かに、そこに堕天使とエクソシストの大群は存在していた。
…何故か、隆の前で全員正座した上で怒鳴られていたが。
「貴様らがこの教会を拠点とするのは構わん! 布教活動、大いに結構!!
だが、貴様らが犯罪行為を起こそうというのなら、見ているわけにはいかん!!
聞けば、兵藤一誠が悪魔化したのはレイナーレ! 貴様のせいと聞く!!
兵藤の殺害を止められなかったのは俺の責任でもあるが、それとこれとは話が別だ!!」
ガミガミと堕天使たちを怒鳴り続ける隆の隣に、なんて声をかければいいのかわからずにオロオロと狼狽えるアーシアの姿があった。
「大体何だ貴様らは! 堕天使と言えばアザゼルの傘下だろうに、ヤツがこんな事を望んでいるのか!?
このシスターを殺害し、神器を取りだすことをヤツは望んだのか!!? 言ってみろっ!!!」
「い、いえ、この件は私の独断……です」
「ほう…ほう、ほう」
正座しているレイナーレが小声でそう答えると、隆は芝居がかった態度で大げさに頷く。
そして、ただでさえ冷え込んでいた場の空気が氷点下までに下がった。
熱気盛んに飛び込んできたイッセー達の空気も凍りつくほどに下がった。
「まったく、救いようのない馬鹿モノよな……いつから貴様は独断行動出来るほど偉くなったつもりだ?
部下が独断行動を起こした挙句、ヤツの責任問題となったら……貴様はどうするつもりだ?
答えてみろ、そこまで考えての行動なんだろう? なぁ、答えてくれよ……卓越した頭脳を持つ堕天使のレイナーレ様」
所謂ヤンキー座りでレイナーレの顔を覗き込みながら、彼女の頭をゴンゴンと小突く隆。
「……すいません、何も考えていませんでした。
そもそも、神器に対する堕天使としての方針は『殺してでも奪い取る』なので、考える余地はありませんでした……」
「……ハァ」
レイナーレが半泣きでそう答えると、隆は本当に面倒くさそうにため息をついてから立ち上がった。
「よし、分かった……ならば今からアザゼルをぶん殴る」
隆はそういうと、以前やったようにアザゼルの元につながる次元の扉を無理やり繋ぎ、腕力に任せてこじ開け、その身をねじ込んだ。
「歯ぁ食いしばれアザゼルゥッ!!」
「ぶへぇぁっ!?」
いきなり現れた隆にぶん殴られ、訳も分からないまま床に転がるアザゼル。
ちなみに殴られたアザゼルは歯が何本か抜けた上、アゴの骨が砕けた。
「えっ……えぇっ!?」
「貴様、堕天使の方針を『神器を集めるためなら人を殺しても構わない』にしていたそうだな!?
堕天使傘下の人間ならともかく、無関係な人間を撒き込む真似をしてどういうことだ!!
現に、リアス・グレモリーが治める駒王町では一人殺されているんだぞ!!」
「ほ、ほうはひってもほうひないとひんひは……」※そ、そうはいってもそうしないと神器が……
「黙れぃっ!! とにかく、今後は正当防衛を除き人間に対して危害を加える事を禁止とする!
ただし、殺人犯などから市民を護るために殺す事は許可する!!
今すぐに堕天使たち全員に連絡もしろっ!! 発覚次第、首ごと脊髄を引っこ抜いてやるから覚悟しておけっ!!
以上、肝に銘じておけっ!! 」
隆は言うだけ言うと、扉を再び開いてレイナーレ達の元へ戻る。
その場には顎を砕かれたアザゼルと転がった数本の歯だけが残された。
「まったく、本当に貴様らというやつは。
とにかくだ、アザゼルにも言ったが今後は正当防衛を除き人間に対して危害を加える事を禁止とする。
ただし、殺人犯から人を護るため……つまり、『人間を護るための』殺人は許可する。
違反が発覚した場合は、脊髄を首ごと引っこ抜いてやるから覚悟しておけ……わかったな?」
言っていることが滅茶苦茶だとは思いつつも、逆らえるはずもない堕天使とはぐれエクソシスト達は、青い顔をしながら何度も頷いた。
「よし、それでは解散」
そう言うと隆は踵を返し、状況が飲み込めないイッセー達を無視して教会から立ち去った。
イッセー「えーっと、アーシア…大丈夫?」
アーシア「あ……はい」
レイナーレ達(足がしびれて立てない……)