「話というのは何だ、リアス」
旧校舎のオカルト研究部の部室。
リアスから『話があるから部室に来てくれ』と呼ばれた隆は部室のソファにドッカリと座り込んでいた。
「ええ、ちょっと大事な話があって……グレイフィア、説明頼めるかしら?」
「畏まりました」
恭しく頭を下げながら、グレイフィアと呼ばれた銀髪のメイドが口を開いた。
「鈴宮様は、お嬢さまとライザー・フェニックス様が婚約関係にあった事はご存知ですか?」
「うむ」
「では、お嬢さまがライザー様を嫌われていることはご存知ですか?」
「一応はな……だが、何故その話がそこで出てくる」
「その件にかこつけて、グレモリー家がお嬢様と鈴宮様の縁談を持ちだしていることもご存知ですか?」
「……なん、だと?」
隆の眉がつり上がる。
「実に単純な話です。
ライザー様は確かに純血の名家で地位的には問題ありませんが、鈴宮様の力に比べるとどう見ても見劣りしますし、お嬢さまもライザー様の事を『男』として嫌っております」
「単純な友人として付き合うのならいいんだけどね、あのハーレムに加わる事になるのは嫌よ」
リアスがため息をつきながら、きっぱりと言い放った。
「それに対し、鈴宮様は全ての悪魔を相手取ろうとも傷一つ負わないほどの力の持ち主、『黒闇の拳撃神』とまで呼ばれた人……グレモリー家としては、フェニックス家との縁談を破棄してでも鈴宮様の力を取り入れたいということです」
「……前から思っていたが、その名前は……ダサくないか?」
「私はそうは思いませんが……そして、お嬢さまも鈴宮様の事は嫌ってはおりませんので……鈴宮様ほどの人物の子ともなれば、相応の力を持った子が産まれるハズです」
「……つまり、その、何だ……俺が、リアスを……抱けというのか?」
隆は珍しく動揺していた、口調もどこかたどたどしいし目線もあちこち行ったり来たりしているし、冷や汗も大量に流れ出ている。
「身も蓋もない言い方をすればそうなります」
「どうしてそういう話になる……っ」
顔を伏せ、眉間を押さえながら苦々しく呟く隆。
「……そうだ、ちょっと待て。
ライザーとの婚約を破棄したといったが、ヤツ自身はどう言ってるんだ?」
「最初こそ激しく反発していましたが、相手が隆様と知った瞬間にあっさりと引き下がりました」
「あのボンクラっ!」
忌々しげに吐き捨てる隆。
「……リ、リアス! お前はどう思ってるんだ!?」
「私は……その、結婚してもいいかなぁって思ってるわ。
確かにあなたは厳しいし、怖いけれど……私をここまで支えてくれたのはあなただもの」
「いや、だが、しかしな……」
視線こそ合わせないが、顔を若干赤くし髪先を弄りながらまんざらでもなさそうにリアスが答えるを見て、完全に逃げ場所を断たれたのを実感した隆。
ここで『キサマと結婚するのは御免だ!!』と言い放てば、そこでリアスとの婚約話もご破算になるのだが、変なところで常識的な隆は『据え膳食わぬは男の恥』という考えも持っていた。
ぐぬぬ、と歯を食いしばり悩んだ末に隆はこう答えた。
「……わ、わかった! だが一年待て、一年たってリアスの気持ちが変わらんというのなら、俺も受け入れる!!
場に流されるのも、流石に高校生同士で結婚するのも……良くないっ!!」
「あら、悪魔からしたら私ぐらいの年での結婚は普通よ?」
「俺は人間だっ!!」
「かしこまりました、グレモリー家には私からそう伝えておきます。
それでは、私はこれにて失礼いたします」
頭を下げてから、グレイフィアはグレモリー家に帰還した。
その場には、重い空気を漂わせながら俯く隆と悪戯っぽい笑みを浮かべるリアスだけが残された。
リアスとライザーの縁談が消えたから、2巻の展開が丸々消えたというわけですね。
没ルートとして、レーティングゲームを公平にするべく、
・互いの駒の数は同等とする。つまり、ライザーが駒数を減らす。
・不死鳥の涙の数も同等とする。使いたい場合は同等の数をリアスに渡す。
・レーティングゲーム中にライザーの蘇生が一度でも確認できた場合は、その場でライザー陣営の負けとする。
という3つのルールを隆が無理やり付け加えてからリアスとライザーが戦うという展開だったんですが、普通にリアスが勝ちますし、なんか面白くないからこっちのルートにしました。