続きが出来たら結合します。
駒王町と魔界を繋ぐ列車の中で、特注の学ランを着込んだ隆は腕を組んで目を瞑りながら座っている。
夏休みの期間中にリアスが里帰りすることになり、その際に眷属悪魔と婚約者を紹介するという事なので、オカルト研究部と監視者である隆が同行することになったのだ。
季節は真夏なのに、隆は黒い学ランを着込んでいるのだが汗一つかいていないところをみるに、彼は暑さには耐性があるようだ。
なお、念のため駒王町には分体を残しているとの事である。
「緊張しているの?」
「かも、しれんな」
リアスが隆の顔を覗き込むと、眉間にしわが寄っているのに気づいた。
「恋愛なんてものは、拳でどうにかなるものではもあるまい……大体、こういうのは初めてなんだ」
「あら、意外。 強くなりたくば食らえともいうし、色を知る年齢なのだからもう3桁単位で女を抱いているものかと思ったけど」
「お前は俺を何だと思っているんだ……」
眉間を押さえながら、隆が苦々しくつぶやく。
「お兄様やお父様と会ったり、私の家に来るのは初めてじゃないんだから、もう少し気楽にしたら?」
「初めてじゃないとは言っても、駒王町の支配について会談をした時ぐらいしか行った事はないだろう。 サーゼクス達とも私用であったことはないしな」
「大丈夫よ、お兄様もお父様も私たちの婚約には賛成しているわ……というより、二人が言いだしたのだから当然なのだけど」
「……まだ決まったわけではないぞ?」
「分かってるわよ、でも私の気持ちは変わらないからね」
柔らかい笑みを浮かべるリアスに、隆は軽く溜息をついた。
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「こういった場では初めまして、ということになりますので……改めて挨拶を。
鈴宮隆と申します、此度はリアスお嬢様とご婚約させていただくことになり、ご挨拶に参りました」
「ぷ…っ」
会談用のテーブルを挟み、リアスの両親に向かい隆は恭しく一礼する。
普段とはまったく違う様子の隆がおかしかったのか、リアスは顔を伏せて必死に笑いをこらえていた。
「ふむ、挨拶されたからにはこちらも返さないといけないな。
私はジオティクス・グレモリー、今後ともよろしく頼むよ」
「ヴェネラナ・グレモリーですわ、よろしくね」
隆とリアスの両親は、互いに名前と顔こそ知っているがこうした場で会うのは初めてなので改めて名乗りあった。
「座りたまえ」
「はい」
ジオティクスに促され、隆は椅子に座った。
「早速本題に入ります。 リアスお嬢様から聞かれているかもしれませんが、私は高校生の身で結婚をするというのは性急だと思っています。私が正式にグレモリー家の血族に加わるのは、駒王学園の高等部を卒業してからという事になります。 また、途中でお嬢様の気が変わった場合はお嬢様の意思を尊重しようと思いますが……それでもよろしいですか?」
正式に結婚が決まったわけではない、という事を念押しする隆。
「うむ、私は構わんよ」
「私もですわ、リアスもいいわね?」
「ぷ……くく……は、はい……」
まだリアスは笑いをこらえていた。
「リアス? 隆さんに失礼よ?」
「も、申し訳ありませんお母さま……でも、おかしくて」
流石に怒られるリアス、この二人も過去の全面戦争で隆に殴り飛ばされているので逆鱗に触れてはたまらないと思ったのだろう。
「私は気にしていませんのでお気になさらず……お嬢さまが笑うのも、理解は出来ますので」
「そ、そうか。それは助かるよ……しかし、仮とはいえ結婚するとなったらこちらに住居を作られなばならないな」
「それでしたら、空き部屋を一つ貸していただければと思います」
「ふむ、一番大きい部屋を用意させよう。 今日はそこに泊まるといい……リアスと一緒に寝ても構わんがね」
ハッハッハと笑いながらジオティクスは冗談を飛ばした。
「そういった冗談は好きではありません」
「す、すまないね……」
眉をひそめた隆に、ジオティクスは謝罪した。
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「ハッ! 言ってろよ、クソアマッ! 俺がせっかくそっちの個室で一発―――」
「一発……なんだ?」
イッセー曰く『どうみてもヤンキー』のゼファードルが、下品な言葉を飛ばそうとした瞬間に隆が瞬間的に詰め寄り、彼の顔面を掴んで締めあげた。
いわゆるアイアンクローである。 一応『死なない程度』に手加減しているが、ここから少しでも力を強めればゼファードルの頭蓋骨は粉砕され脳髄を床に撒き散らすことになるだろう。
「がああああああ!?」
「俺はな、下品なジョークというものが嫌いなんだ。 もし、その先がそういった類のジョークなら……このまま指をこめかみに食い込ませるぞ。
もう一度聞く……そっちの個室で一発の先は、何だ?」
「いだだだだだだだ!! なんでもねえから離してくれよおおおおお!?」
「そっちの個室で一発の先は、何だ?」
「すいません俺が悪かったから離してくださいいいい!?」
「そうか、以後は気を付けることだな」
フンと鼻を鳴らしてから、ゴミ箱にティッシュ紙を捨てるかのようにゼファードルを放り投げる隆。
「まったく、プライベートの場ならともかく公式の場で品のない言動をするとは……一度スパルタ方式で教育でもしたほうがいいかもしれんな」
「助かるぞ、隆……スタッフを呼んで来い、広間がメチャクチャすぎてこれでは茶も飲めん」
リアスの従兄弟であるサイラオーグが自らの眷属を呼び出し、荒れ果てた広間の清掃を命じた。
「サイラオーグか、久しぶりだな」
「ああ、駒王町に関しての会議以来になるか」
隆とサイラオーグは固く握手を交わす。
「部長、あの二人って仲がいいんですか?」
「そうね、二人ともバトルスタイルが格闘を重んじているから、プライベートで何度か手合わせしているわ。
もちろん隆が手加減した上で、だけど……とにかく手合わせを通じてか男の友情みたいなのが芽生えているみたいね」
「へぇー」
仲良さげに話している隆とサイラオーグを見て、二人の関係が気になったイッセーがリアスに質問をぶつけた。
「イッセーもあの二人ぐらい強くなってもいいとは思うのだけどね」
「無茶言わないでくださいよ……」
本来なら死闘を通じて覚醒するハズのイッセーだが、この世界軸では隆がその死闘を徹底的に排除してしまっている。
その事には当の本人達ですら気づいていなかった。
書いてて気付いたんですけど、隆のバトルスタイルって超強化サイラオーグですね。
まあいいか。
10/8 ちょっとだけ加筆しました。