神様転生だ、やったね!

1 / 1
神様転生ーそんなに甘くはないー

気がつくと俺は、真っ白な世界にいた。

 

「どこだここ?」

 

辺りを見回すも覚えのない景色が広がるばかり。ならば、記憶を思い出そうして・・・

 

「お主は死んだ」

 

「!?」

 

見たことのない御老体が現れた。

まるで仙人のような髪と髭だ。

 

「あなたは?」

 

「神と言われておる」

 

いきなり何を言ってるのだろうか。完全にイカれている。

 

「そうですか」

 

「信じておらぬようじゃのぉ」

 

一体全体、何処の誰が神と言われて信じるのだろうか?

そんな奴がいたら、是非連れてきて欲しいものだ。

 

「よく聞くのだ。お主は死んだ。」

 

「なっ・・・」

 

何をバカなと思ったが、ふと思い出した。

俺は小さい女の子を助けようとしてトラックに轢かれたのだ。

 

「思い出したか?」

 

「・・・そんな」

 

「だが、嘆く事はない。お主を転生させてやろう」

 

「え?」

 

耳を疑った。この御老体は転生と言ったのか?

 

「お主の望む世界で望む力を与えてやろう」

 

「まじか」

 

まさかの神様転生だった。

噂によく聞く奴だ。

これは俺つえーしまくれると言う事か。

 

「頭に浮かべよ」

 

俺は言われるがまま、望む全てを思い浮かべる。

 

「うむ。さぁ、行くがよい!」

 

妙な浮遊感と共に、意識が沈むのを感じた。

 

ーーーー

 

少年が目を開けると底は再び真っ白な空間であった。

 

「?」

 

ただ、先程とは少し差異がみられた。

目の前に扉が一つ、それも一際大きな物が存在していたのだ。

 

(あれを通れって事か)

 

少年が足を進めようと踏み出したその時である。

 

『星を渡りし者よ』

 

よく響く重低音の声が聞こえた。

 

「誰だ?」

 

返事は無い。

 

「気のせいか・・・」

 

再び歩みを進める。すれば、

 

『星を渡りし者よ』

 

先程よりも大きく、そしてはっきりと聞こえた。

 

「誰だよ!」

 

姿を現さぬ得体の知れぬ存在に、少年は未知の恐怖を覚える。その恐怖がじわじわと毒の様に体の内側で大きくなっていく。

 

「・・・何なんだよ」

 

その恐怖と憤りを吐き捨てる様に言葉を発したその時であった。

 

「っ!」

 

突如として扉の目の前に黒い風が、渦を巻く様にして形を成していった。それはだんだんと集束していきやがて、

 

「・・・」

 

甲冑の上にローブを身に纏い、大剣と大盾を携えた骸の剣士が現れた。

 

(何だよ・・・これ)

 

赤く光る双眼に居ぬかれた少年は、蛇に睨まれたカエルの如く動く事ができない。

 

「星を渡りし者よ。汝、これより踏み出でてはならぬ」

 

先の声の主は間違いなく、目の前の骸の剣士の物であった。

 

「何だよそれ。こっちは神とやらから転生しろって言われてんだよ!そこをどけよ!」

 

恐怖からか、自然と語気が荒くなってしまう。

 

「ならぬ」

 

だが、骸の剣士は短く否定の言葉を述べた。

 

(何だよあいつ。どうすれば・・・?)

 

思案すれば自身の腰に違和感を覚えた。

 

(これは・・・剣?そうか!)

 

少年の腰にあったのはなんの変哲もないただの西洋剣であった。そして気付く。これは俗に言う試練なのだと。

ならば話は簡単である。

 

「どかないなら、力ずくで通るぞ!」

 

「ならぬ」

 

短い返答を聞いた少年は、地を駆けた。

生前よりも体が軽いのは、恐らく神様のお陰だろう。

 

(いける!)

 

骸との距離を詰め、剣を降りかざんとした時、

 

「・・・は?」

 

剣を握っている肌色の腕が宙を舞った。

 

「愚かな」

 

赤が吹き出す、辺り一面を染める様に。

切られたのは少年の腕であった。

 

「あ・・・あ・・・あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」

 

気づいた瞬間とてつもない痛みがやってくる。

何故自分が切られたのか?訳の分からない恐怖と痛みに悶える少年を余所に、骸の剣士は告げた。

 

「此は汝一人の罪に非ず。形を成した信仰、及等の信仰心である」

 

「うっ・・・」

 

もはやその少年には、骸が何を言っているのか分からない。考える余裕もない。ただ、この痛みに対して向き合う事しか出来ないのだ。

 

「案ずるが良い。等の罪もすべからく其が誘おう。汝は在るべき此へ帰むのだ」

 

骸はその剣を掲げると、少年の首へと真っ直ぐに振り下ろした。

 

「た"すけで"ぇ・・・」

 

それが最後の言葉である。

首から上を失った少年の亡骸を、骸はただ何も言わず見つめるのだった。

 

 

 

 

 

 


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。