DUAL BULLET   作:すももも

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18.隠密

△△△△△△△△△△△△△△△

 

 

 

 

「ふうー久し振りに飲んだね。

 ノブナガと付き合ってた頃は、いつも2人で潰れるまで飲んだりしてたけど――。」

 

 

 シャワーから出ると、女は自身の金髪を拭きながら独り言を言った。

 

 女は髪を拭き終わると、自分の宿に備え付けのTVの電源を付け、椅子に座って物思いにふける。

 

 

 

 女は考えていた――。

 弟子の2人が、類い稀な才能を持っていることは明らかだ。

 

 

 弟子の1人は、難しいことを考えない性格の為に、相手の反撃を喰らうと対処できずに、すぐに逃げることを考え始める。

 しかし、躊躇わず攻撃に移行するので、先手がうまく決まれば相手を圧倒することができる。

 

 もう1人は、分析力はずば抜けているが、攻撃に移行することに躊躇いを持つ。

 しかし、一旦攻撃を開始すれば、高い分析力から導き出した優れた戦術で圧倒的に相手を殲滅する力を持つ。

 

 

 

「まあ、2人とも強くなってはいても、その辺は変わらないんだよね――。」

 

 

 女は一人そう呟き、悩んでいた。

 あの2人に念を教えるべきか否かを――。

 

 ゆっくりと、女はスヤスヤと寝息を立てて眠る少女を見た。

 少女は、今夜行った高級レストランでお腹一杯になるまで食べ、満足そうに寝ている。

 

 

 それを見た女は、小さく笑うと、頷き、決意をした。 

 

 

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★

 

 

 

 

 一緒に食事をした女性2人を送った後、ガルナとシドリアは自分達の専用の部屋がある天空闘技場に向かって歩いていた。

 

 

 ガルナは立ち止まると、目の前の高くそびえ立つその建物を見上げてから、小さく呟いた。

 

 

「これで天空闘技場ともお別れか・・・。」

 

「私達では、200階より上に行くことは、厳しいからな――。」

 

 

 ガルナの呟きに、傍にいたシドリアが小さな声で答えた。

 その様子を見たガルナが言う。

 

 

「なんで、そんなこと分かるの?」

 

「200階クラスの試合をオフの日に見に行ったんだ。

 一般人でも買えるような値段のチケットだからな。

 ファイトマネーで貯めた金があれば、問題なく買える。」

 

 

 ガルナの問いにシドリアは答えた。

 すぐに、ガルナは叫ぶ。

 

 

「また、1人で勝手に!?俺も見たかっ――。」

 

 

 ガルナはそう言いかけてから、首を傾げてシドリアに尋ねる。 

 

 

「でもシドリア、1人で行っても、試合の内容分からなかったんじゃない?」

 

「1人で見に行ったなんて誰も言ってないだろう。」

 

 

 ガルナの問いに、シドリアはぶっきらぼうにそう言った。

 その言葉にガルナは少し考え込むと、呟いた。

 

 

「ああ、姫と一緒に行ったのか。」

 

 

 ガルナがそう言うと、シドリアは無視したまま、逃げるように天空闘技場の入り口にスタスタと歩いていく――。

 ガルナはキョトンとした顔をしてから、シドリアについていった。

 

 

 2人が選手用の部屋の鍵を100階クラスのフロントで受け取ると、係員に天空闘技場の200階クラス参戦の登録を今日中に済ませるように言われた。

 

 それを聞いて、ガルナが口を開く。

 

 

「ああ、俺達200階には登録は――。」

 

「――してもいいよ。」

 

 

 ガルナの言葉を遮るように、そう言ったのは師匠だった。

 

 

 

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 

 

 

 

 200階クラスの受付に行くと、異様な姿や雰囲気の選手達が品定めをするように、シドリア達を見ていた・・・。

 しかし、それを無視してシドリアとガルナは師匠に言われた通り、選手登録だけ済ませた。

 

 そして2人は、師匠と合流してから、200階クラスのシドリアの部屋に向かった。

 歩きながら、シドリアが師匠に尋ねる。

 

 

「何故、200階クラスの登録を?」

 

 

 シドリアの問いに、師匠が答えた。

 

 

「説明聞いたでしょ?200階クラスは、戦闘準備期間が90日あるんだ。

 他にも参戦登録だけして棄権しても、戦闘した扱いになるから、3敗までできるとして最大で360日程度の余裕はある。

 360日でキミ達が、最低限の技を覚えて試合に出られれば、実戦に近い修行ができるからね――。」 

 

「え?ってことは、俺達はしばらく試合に出れないの?」

 

 

 師匠の言葉に、ガルナが困惑して言った。

 

 

「うん。――というか、試合に出られたとしても実力試しに1回か2回かな。

 姫を早く連れ帰らないと、長老がうるさいしね。」

 

 

 師匠が笑いながらそう言うと、2人は頷いた。

 

 ミコトと合流した日に、師匠は里の長老に連絡をした。

 長老は、師匠が一緒ならばと、ミコトの天空闘技場の滞在を渋々許していた。

 

 

 

 

 しばらくの沈黙の後、シドリアがゆっくりと言った。

 

 

「遂に、『あの力』を教えてくれるということか――。」

 

 

 ガルナが怪訝な顔をしていると、師匠が言った。

 

 

「そうだね。ボクも迷ったけど、やっぱり教えることにするよ。3つ目の法を――。」

 

 

 師匠は、ゆっくりとそう言った。

 

 

 

 部屋に着くと、師匠はシドリアとガルナを座らせて説明を始めた。

 

 

「第1の法は、歩法。重心操作技術。

 第2の法は、体法。肉体操作技術。

 第3の法は、念法。生命力操作技術。

 念法は、人間の肉体に流れるオーラと呼ばれる生命エネルギーを精神の力で統一することで自在に操る、誰もが習得可能な技術だよ。」

 

 

 師匠はそう言ってから、続けて言った。

 

 

「忍の中では、念法が転じて忍法とか言われるようになっちゃたんだ。

 使い手の中で一般的な呼び方としては、(ネン)。この呼び方のルーツは心源流拳法だと言われている。

 念は、誰もが覚えられるけど、反面、危険な武器にもなる。

 だから、これを教えるかどうかは、すごく迷った。」

 

 

 師匠の言葉に、ガルナが言った。

 

 

「約束するよ!俺はその力を悪用したりはしないから、教えてよ。」

 

「ああ、むしろ私達にその力が無いせいで、危うくミコトが大変なことになるところだった――。」

 

 

 ガルナに引き続き、シドリアが言うと、師匠は言った。

 

 

「ボクは、この力を悪用するな、なんて綺麗事を言うつもりはないよ。

 むしろ、ボクはその話を聞いた時に、シドリアの方が危険だと思った。」

 

 

 シドリアとガルナが怪訝な顔をして考えていると、師匠が言った。

 

 

「念を使う者との戦いは、必ずと言っていい程、殺し合いになる。

 だから、中途半端に念を覚えると、痛い目に合うどころか死んでしまうような危険なことに巻き込まれやすいんだ。」

 

 

 師匠は、珍しく語気を荒げて言った。

 それを聞いたシドリアは、小さく頷いて言う。

 

 

「なるほど、しかし私やガルナは、念を使えないが、念使いとの戦闘に巻き込まれた。」

 

 

 シドリアの言葉に、ガルナも頷いていた。

 

 2人を見た師匠は、溜息をついてから言う。

 

 

「そうだね、だから教えるよ。念を――。

 何よりもキミ達の命を守る為にね。」

 

 

 翌朝から、シドリアとガルナは、念の修行を開始した。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 俺は、師匠のオーラを感じ取った。

 じわりと、汗が出るのを感じる・・・。

 

 俺は言った。

 

 

「なんか、すごい圧力みたいなのを感じる。」

 

 

「うん、シドリアも凄いけど、キミもなかなか筋がいいね。

 鈍感な奴だと、この気配が分からないことも多いんだけど。」

 

 

 師匠はそう言うと、一旦オーラを収め、姫に目で合図した。

 

 師匠と姫、同時に2人から強烈な圧力を感じる。

 

 

「今、ボクと姫は限りなくオーラ量を一緒にしてるけど、今からランダムに2人がオーラの量を変える。

 キミ達は、どちらが大きいオーラか答えること。」

 

 

 そうして、2人はオーラ量を変え始めた。

 シドリアは感覚が鋭く、正確に当てていたようだが、俺はほとんど勘で当てた。

 

 

「――っとに、キミ達化け物みたいだね。全問正解か。

 最後のは、オーラが見えてても、気付かない程度の差しかなかったのに――。」

 

 

 師匠はそう言うと、人差し指を1本だけ伸ばして、オーラを集中させ始めた。

 

 

「次の課題は、ボクのオーラを見ること。」

 

 

 瞬間、師匠の指先から俺に向かって、球状のモノが飛んできた。

 

 シドリアは既に回避し終わっていたが、俺は反応が若干遅れた。

 反射的に、俺はソレを平手打ちする。

 すぐに、パンッと何かが破裂したような、乾いた音が天井から聞こえた。

 

 

「はあ?」

 

「な、スゴイ・・・です。」

 

 

 師匠と姫に、呆気にとられた顔でそう言われ、俺は混乱していた。

 

 

「え?だって、アレって当たったら痛い奴だよね?」

 

 

 俺はそう答えると、師匠が言った。

 

 

「いや、普通の人間は、アレを弾くとか出来ないし――。」

 

「ガルナは、無意識に(ギョウ)をしていたです!すごいです!」

 

 

 2人にそう言われて、俺はちょっと得意気になったが、すぐに異様な気配に気付いて叫んだ。

 

 

「ちょっと!シドリアから変な蒸気が出てる!」

 

 

 俺は、シドリアの殺気に近いオーラを感じて、師匠の方に逃げた。

 

 それを見ていた師匠は、溜め息をついて言った。

 

 

「キミ達、色々おかしすぎる――。」

 

 

 その後、俺達は師匠に教わり、自身のオーラを感じて精孔を開き、オーラを体外に出す修行をした。

 シドリアは、先程のオーラの放出で感覚を掴んだらしく、簡単そうにオーラを放出した。

 

 

 

 

「――ホントに、キミ達は異常な程の念の才能があるよ。」

 

 

 翌朝、師匠がそう言った。

 

 

 1週間後、俺とシドリアは、自身のオーラを出し、(テン)に近いことが出来るようになっていた。

 

 シドリアの方は、オーラ量は少ないが、集中力があるのか、俺よりもムラの無い纏が出来ていた。

 俺の方は、何故か身体のあちこちでオーラ量に差ができてしまい、完璧とはいかなかったが・・・。

 

 

「ガルナもシドリアも、まだ完全に精孔が開いてる訳じゃないね。

 でもこの調子なら、1ヶ月後には完璧な纏が出来るようになるかな。」

 

 

 師匠は満足そうに、そう言うと、続けて言った。

 

 

「ガルナのムラのあるオーラも、纏の修行を真面目に続ければ改善すると思うよ。

 シドリアはムラは無いけれど、全体的に精孔の開きが狭いね。でも、姫と一緒なら大丈夫かな?」

 

 

 師匠が、最後ニヤリと笑いながらそう言った瞬間、シドリアのオーラは乱れながら突然大きくなり、珍しく声を荒げて師匠に文句を言っていた。

 

 すぐに師匠は、数発のオーラの球を、シドリアに放つ――。

 今のシドリアは、ソレを正確に感知して、余裕で回避した。

 

 それを見た俺がふと、疑問に思って聞く。

 

 

「師匠・・・?

 もしかして、今まで俺達に打ってきたソレって、修行の一環だったりするの?」

 

 

 俺がそう言うと、師匠は目を丸くして答えた。

 

 

「キミがそれを言うとは、意外だな。

 てっきり、気付くとしたら、シドリアかと思ってたんだけど・・・。」

 

 

 師匠は、そう言ってから説明を始めた。

 

 

「オーラを感じる能力が低い人間は、大体は自身の発するオーラも弱いから、瞑想で自身のオーラを感じるのって、非効率的なんだよね。

 だから、まず日常的に危険性の低い念に触れてもらっていた。

 もちろん、ちゃんと念を教えるかどうかは、人を見て選ぶけれど――。」

 

 

 師匠の説明を聞いて、俺とシドリアは、頷いた。

 

 俺達の反応を見てから、師匠は続けて言った。

 

 

「キミ達が強くなりたいのは、友達を助ける為、好きな人を守る為、何より生きる為って感じかな?

 性格は2人とも、戦うのには向いてないけれど、念を教えるには問題無いと思ったんだ。」

 

 

 師匠の言葉に、シドリアが言った。

 

 

「私達が、あの日戦った相手はどれくらいのレベルなんだ?」

 

 

 すると、師匠は頷いて答える。

 

 

「うん、正直言うと、彼らは大した使い手じゃないよ。

 姫からの話から判断するに、念の実力も低いし、典型的な念に頼った戦闘をする奴らだ。

 歩法と体法そして一部の念法を習得した今のキミ達でも倒せるくらいのレベルだよ。

 実は、普段ボクが姫の護衛をしてるんだけど、ちょっとあの頃は、野暮用があって出掛けていてね――。

 キミ達については、子供なのに姫を助ける為、念能力者相手に命を賭けたって聞いて、責任を感じていたんだ。

 今更だけど、ゴメン!」

 

 

 師匠がそう言って、頭を下げた。

 

 

「いや、命賭けたって言っても、あの頃弱かった俺達が悪いんだし・・・。」

 

「そうだ。

 それに、ミコトの力を借りなければ、私達は奴らに太刀打ちできなかったしな。」

 

 

 俺とシドリアは戸惑いながらそう言った。

 

 

 すると、師匠は頭を上げて俺達の方に笑顔を向けた。

 

 俺は、初めて師匠が涙を流すのを見てしまった・・・。

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 師匠の教えを受け、それからも私とガルナは念を学んだ。

 

 私とガルナは、師匠の予想より早く2週間もすると、精孔を完全に開き、滞りの無いゆったりとした大きな流れのオーラを纏うことができるようになった。

 

 

 (ゼツ)については、ガルナは1週間程度でマスターしたが、私は習得に少し苦労した。

 

 そもそもオーラを体内に完全に留め、体外にオーラを一切出さないことで気配を絶つという意味が、言われただけではイメージすることができなかった。

 何より自身のオーラが消えたかどうかが、他人に言われないと分からなかったからだ。

 

 しかし、苦労した分、私は2週間かけて絶を習得した後は、オーラの性質について深く理解し始めた。

 

 

 その後習った(レン)に関しては、私は絶の習得で得た感覚を活かして1ヶ月で形にできた。

 しかし、ガルナは習得に大分苦労していたようだった。

 

 ガルナは、練の初期段階である、細胞一つ一つにオーラを蓄積するイメージが掴めなかったようだ。

 性格的に細かいことを気にしないことが原因だと思う。

 

 更に1ヶ月後、ガルナはコツを掴むと、練を使って私よりも多いオーラを出すようになった。

 

 

 私とガルナは戦闘準備期間が終わる度に、参戦登録だけして試合には行かずに不戦敗をした。

 

 

 

 

「――はは、ホントにキミ達の習得の早さには脱帽するよ。」

 

 

 師匠は、私達の纏、絶、練の修得を確認するとそう言った。

 

 

 私の傍にいるミコトが、ガルナのオーラを褒め称えているのが聞こえ、何故かイライラする。

 

 確かに、ガルナのオーラ量は私よりも多く、ミコトと同等かそれ以上だ。

 しかし、ガルナは、オーラを纏う技術が低いのか、ガルナは練をすると、そのオーラ量は時間経過で増えたり減ったりしてしまい、安定した量のオーラを継続することはできなかった。

 

 

「さて、ガルナには、(ギョウ)を覚えてもらおうかな。」

 

 

 休憩の後、師匠はそう言った。

 ガルナとミコトは驚いている様子だったが、私は納得していた。

 

 

「なんで俺だけ?シドリアは?」

 

 

 ガルナがそう言ったのが聞こえ、師匠が答えるよりも先に私は言った。

 

 

「凝は、相手の隠したオーラを見破る技だ。

 眼が見えない私が覚えられるわけないだろう。」

 

 

 私の言葉に、ガルナやミコトから同情するような声色の、曖昧な相槌が聞こえた。

 

 

「ん?いや、それもそうだけど、それよりもシドリアには覚えてみて欲しいものがあるから。」

 

「覚えて欲しいもの?」

 

 

 予想外の師匠の言葉に、私は聞き返した。

 すると師匠は言った。

 

 

(イン)だよ。

 この間の絶の修行で、ボクにはシドリアが何か掴みかけたように見えたんだけど――?」

 

 

 師匠がそう言うと、私は頷いて言った。

 

 

「まだ明確に言葉にはできないが、確かにオーラの性質に関して、何か気付きそうだ。」

 

「オーラの性質?オーラって生命エネルギーだっけ?他に何かあるの?」

 

 

 私が師匠に対して答えると、ガルナが言った。

 すぐに、師匠がガルナを黙らせるように言う。

 

 

「うん、多分ガルナには一生分からない話だから、キミは凝の修行をしよっか?」

 

 

 ガルナは困惑した様子で、師匠に凝を教わった。

 

 ガルナは初日に、垂れ流し状態のオーラを身体の一部に集める擬似的な凝をするだけあって、凝の習得は驚く程に早かった。

 僅か3日程度で、ガルナは凝を習得してしまった。 

 

 

 私の隠の習得は、1週間程度かかったが、練をした状態でも隠をすることができるようになった。

 すぐに、私の隠を、ガルナの凝で見破る修行が始まる。

 

 

 隠を習得すると、私は今まで感覚で理解しかかっていたことが整理され、オーラに関して、曖昧だったことがはっきりと理解できた。

 

 

 

 私は、絶を習得する際に、疑問に思ったことが幾つかあった。

 

 

 まず、精孔が閉じた一般人はオーラを視ることができない。

 ということは、絶をしていると、オーラを視ることができないのだろうか、という疑問だ。

 

 師匠にそれを聞くと、やはり絶状態の人間は他人のオーラを視えないと言う。

 

 

 それを聞いてすぐに疑問に思ったのが、「オーラを視る」ということだ。

 何故、他人から出されるオーラを視るのに、自分もオーラを出さなければならないのか。

 

 その答えは、凝の概念を習った時に理解した。

 

 「オーラを視る」為には、観測者の目にオーラが必要なのだ。

 すなわち、観測者の目のオーラが、他人のオーラの放射光に反応することで、「オーラを視る」という現象が成り立つ。

 

 

 そして今回、隠を習得した時に理解したのが、隠と絶は全く違う技術だということだ。

 

 

 絶には傷や疲労の回復の効果があると、師匠から教わった。

 

 それは、精孔を完全に閉じることで、体外に出すオーラをただ単に体内に留めるということに他ならない。

 言ってみれば、体内で纏をするということだ。

 絶は気配こそ絶てるが、感覚が鋭ければ気付かれてしまうという原理も、この為だろう。

 

 

 しかし、私は絶の習得の際、目が見えないことから、全く別のことを修行してしまっていた。 

 

 

 即ち、それこそが隠だった。

 

 

 オーラそのものの気配を絶つ。

 他人の目のオーラに、限りなく感応しづらいオーラ。

 

 

 絶を習得した時は、こんな簡単なことを何故できなかったのか、と自問自答していた。

 今日まで、その時の努力は無駄だと勘違いしていたのだ。

 

 私は精孔を閉じても、体内で自身のオーラを感知してしまう。

 だからこそ、より難易度の高い、隠を意識してしまったのかもしれない。

 

 だが、絶の修行で間違えて修行した隠のおかげで、隠の習得は早かった。

 

 

 また、絶の習得の際の苦労と、隠の習得によって理解したこれらは、私に思わぬ副産物を与えた。

 

 それは、新たな念の応用技。

 絶をした状態で、体内のオーラの気配を消す――。

 

 

 そう、絶と隠の複合技だ。

 

 

 私は、それを「(メツ)」と名付けた。

 

 

 師匠ですら、(メツ)を使って物陰に隠れた私の存在に気付かない、隠密行動用の念の応用技だ。

 

 

 後日、ガルナも隠を覚え、私も眼以外の身体の一部にオーラを集め強化する凝を覚えた。

 それから1ヶ月は、覚えた念の技を繰り返し反復練習を続ける。

 

 

 

 1994年7月、私とガルナは硬と堅を覚え、流という攻防力変化の概念を習った。

 

 それから、私とガルナは攻防力変化を交えた組手を毎日行った。

 

 

 1994年10月、予定よりも早く私達は、師匠から試合の許可をもらった。

 

 

 

 

 私とガルナは、あの日以来の念能力者との戦闘に、緊張して試合の日を待った――。

 




【後書き】

 読み返したら才能チート臭くなっていたので、微妙になおしました(^_^;)
 (カレンダー見ながらだったので修正に時間かかりましたが(汗))

 まあ、これでもズシ以上の才能になっちゃうという。。。(>_<)


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