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「はい、お茶でも飲んでなよ。
悪いけど、試合したばかりで汗かいてるから、アタイはシャワー浴びてくるわ。」
お姉さんは、部屋に入るとそう言って、シャワーを浴びに行った。
同じ200階クラスだけれど、俺やシドリアの部屋とは違い、インテリアもお金をかけているようで、全く違う部屋に見えた。
高価な家具だが、色彩や家具の種類には統一感があって、決して悪趣味になることはなく、お姉さんのセンスの良さを感じさせる。
俺は部屋の中央にあるソファーに座ると、お姉さんの淹れてくれたハーブティーを飲んだ。
飲んだ途端に、俺の身体が温まる。
いや、むしろ身体の芯から熱くなっていった――。
「――キャアア!」
ふと、浴室の方から、悲鳴のような声が聞こえた。
俺は首を傾げながら、浴室に近付いていく――。
浴室周辺の通路の照明は消されていて、俺は浴室の明かりを頼りに歩いていった。
「どうかしたの?」
俺は、浴室の外から声を掛けるが、返事はない。
むしろ、誰の気配も感じず、俺は首を傾げていた。
すると突然、背後からお姉さんが、もたれかかるように俺に抱きついてきた。
絶で気配を消していたのか、抱きつかれるまで俺は全く気付かなかった。
お姉さんの柔らかい身体の感触を背中で感じる。
何故か、お姉さんは震えているようだった。
俺が混乱しながら動けずにいると、お姉さんが震えた声で言った。
「ゴメンよ。お前さんの友達、シドリア=ブライトは、アタイが殺したんだ。」
「ええ!?」
そうか、どこかで見た人だと思ったら、お姉さんはシドリアとの試合で勝った人だったのか・・・。
あれ?でも、シドリアって、姫の能力でギリギリ助かった筈じゃ――?
しかし、お姉さんは、そんな俺の疑問を知る由もなく、背後から俺の服を脱がしていた。
俺は振り向きながら叫ぶ。
「ちょっと!何して――?」
俺の言葉は途中で詰まった。
お姉さんは服を一切身に付けていなかった。
僅かな明かりで照らされる、女性らしいカラダ、スタイルの良い裸体を見て、俺は目を逸らすことも、何か言うことも出来ずにいた・・・。
「アタイが死んでも、死んだ奴は戻ってこない。
だから、アタイがお前さんに出来ることは、慰めることだけ――。」
お姉さんはそう言って、艶やかな手の動きで俺の残りの服を全て脱がすと、俺の手を引いて、妖しい口調で言った。
「おいで――?」
俺は、お姉さんに言われるまま、誘われるまま動いた――。
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「――そういえば、お前さんの名前を聞いてなかったね。
アタイの名前は、ウナだよ。」
ウナはその軆を、妖艶な仕草でゆっくりと起こすと、同じベッドにいる少年に話し掛けた。
少年は、未知の快感を経て、言葉を発せずにいる。
ウナは少年の様子を見て、優しい笑顔で焦ることもなく、答えを待っていた。
しばらくしてから、少年が答える。
「ガルナだよ。ガルナ=ポートネス。
ウナさんは、格闘家なの?」
少年、ガルナが名乗ってからそう聞くと、ウナは笑って答える。
「アタイは、アマチュアハンターだよ。
大体二人組で活動するんだけど、最近は
「そっか!もしかして、それで仕事できないから、ここの選手になったの?」
ガルナは、ウナの言葉の続きを察して、そう聞いた。
「そうだね・・・。
あ、そうだ!お前さん、アタイの
「えっ!いやあ、でも、俺は修行中だし、それ終わったら人を探しに行きたいから――。」
ウナの提案に対し、ガルナがそう答えた。
それを聞いたウナは、目を輝かせて言った。
「それは、なおさら都合いいね!
アタイは
単純な迷子から、夜逃げした人や、なかには誘拐されたりした人も見つけ出して回収する仕事さ。
今までのノウハウがあるから、お前さんが組んでくれれば、探し人も見つかるかもね?」
ウナは興奮してまくしたてるように、そう言った。
「んー。
でも、俺はシドリアと一緒に行動してたし、ウナとシドリアって多分だけど、合わなそうだしね・・・。」
ガルナがそう言うと、ウナは言葉が詰まり、何も言えずにいた。
それを見たガルナは、慌てて弁解をする。
「いや、ちょっと言うタイミング逃してたんだけど、シドリアは死んでないよ。
瀕死ではあったけど、仲間の念能力で完治したから――。」
ガルナが言い終えると、ウナは突然、泣き出した。
「ほんとかい?
良かった、ホントに良かったよ。
アタイ、初めて人を殺したと思って――。」
そう言っているウナに対し、ガルナは笑顔を向けていた。
すると、ウナがハッと何かに気付いた様子で、ガルナに訊ねた。
「まさか、言い出しそびれたのって――?」
「いや、ウナさんの魅力的なカラダを見たら――違う、いやほら、あれだよ?」
ガルナが、しどろもどろにそう言っていると、ウナは妖しい笑いを向けている。
「つまり、お前さんはエロガキってことだね?」
ウナがそう言うと、ガルナは、うなだれた。
その様子を見たウナは、ガルナに追い込みを掛けるように言った。
「じゃ、先払いってことで、相棒の件よろしくね。」
ウナの一方的なその言葉に、ガルナは何も言えずにいた・・・。
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「ガルナは放出系だね。」
オレンジ色に変わったグラスの水を見て、師匠はそう言った。
その言葉に対して、俺は聞いた。
「放出系って何だっけ?」
師匠は溜め息をつきながら、説明した。
「念の系統の説明は、さっきした筈なんだけど・・・。
放出系は、オーラを身体から離したり、飛ばしたりが得意な系統だよ。」
俺は、その説明を聞いて思わず叫ぶ。
「じゃあ、俺の発は拳銃がいい!」
俺がそう言った瞬間、師匠は怪訝な顔で聞いた。
「拳銃って使い慣れた奴があったりするの?」
「ないよ。でも、念でつくれるんでしょ?なら、それで――。」
瞬間、俺の脳天に師匠のチョップが入った。
俺は、すかさず凝でガードする。
「痛い!なんで?」
涙目になりがながら聞くと、師匠が言った。
「キミ程ボクの説明を聞かない奴を初めて見た。
つーか、シドリアも、いい加減立ち直って欲しいんだけど?」
シドリアは、念の系統が変化系と聞いてから、どんよりと体育座りをしている。
姫が、何か言っているのに聞こえていないようだった・・・。
それを見て、俺は尋ねた。
「そういえば、姫の念の系統は?」
俺の質問に、師匠が答える。
「そりゃ、決まってるでしょ。姫の系統は――。」
「――強化系です!」
師匠が言うより先に姫が、そう答えた。
俺が、強化系が何かを思い出していると、師匠が目を丸くして言った。
「は?そんなわけないでしょ。
誰に言われたの?」
師匠がそう言うと、姫が答える。
「え?長老が、人の傷を治せるから強化系だろうって言ってたです。」
師匠は首を傾げながら、姫に聞いた。
「シドリアやガルナがやった『水見式』はやったの?」
師匠の問いに姫は首を横に振った。
そうして、姫は水見式をやることになった。
「――あれ?何も起こらないです。」
姫は、葉が浮かんだ水いっぱいのグラスに練をしたが、何も起こらず、残念そうな口調でそう言った。
俺は首を傾げていると、師匠は頭を抱えて言った。
「それだけのオーラで何も起こらないわけないんだけどな。」
「――おそらく、こういうことだろう。」
いつの間にかシドリアは復活していて、そう言ってから、姫のグラスの葉を千切って、また浮かべた。
もう1度、姫は練をする。
すると、見事に千切られた葉は1枚に戻った。
「なるほど、もともと傷ついていない葉には何も起こらないわけか――。」
俺は、納得してそう言うと、師匠は言った。
「ほら、思ったとおり、姫は特質系だよ。」
姫は、驚きながら言った。
「ずっと、ワタシは強化系だと思ってたです。」
「いや、むしろそんなんでよく能力開発できたね。」
姫の言葉に、師匠が呆れるようにそう言った。
――ノウリョクカイハツ?
俺が頭の中で、その意味を考えていると、シドリアが思い出したように言った。
「確か、ミコトの能力は、いつの間にか出来るようになっていたらしいが?」
シドリアがそう言うと、師匠は言った。
「なるほどね。それはそうと、これからどうする?これで念についてボクが教えられることは全て教えたけれど――?」
師匠がそう言うと、シドリアが答えた。
「まだ、里に恩返しもしていないしな。
私は里に戻って何か仕事をさせてもらおうと思う。」
俺はキョロキョロしながら、言った。
「いや、俺は――。」
師匠や姫が怪訝な顔で、俺を見る。
すぐにシドリアが言った。
「そうか、お前の兄探しがあったな。」
俺は、ゆっくり頷くと、姫が言った。
「ガルナにお兄さんがいたなんて、初耳です!」
「ボクも初耳だよ。
そっか、わざわざジャポンに来たのも、兄を探しに来たってことか――。」
姫と師匠の言葉に、俺は頷いて言った。
「実は、
「ハンターか。ガルナにしてはいい線いってるな。しかし――。」
シドリアはそう言った後、何かを考え込みながら、ブツブツと独り言を言っていた。
俺はその様子を見て、思いきって宣言する。
「俺、もう相棒も見つけちゃったんだ。だから――。」
俺は、その先を言えずにいた。
しかし、シドリア本人は全く気にしない様子で言った。
「そうか、お前だけの知識で、ハンターになるという結論を出せるわけないな。
あいつを見つけたら、私にも連絡してくれよ。」
シドリアはそう言うと、俺の肩を力強く叩いた。
俺は、何とも言えない気持ちになった・・・。
★★★★★★★★★★★★★★★
ガルナは、その晩もウナの部屋に行った。
あれから1ヶ月、ガルナは毎晩ウナの部屋に泊まっていた。
「おや、お前さんかい。おかえりなさい。」
ガルナが部屋に入ると、ウナはそう言って、いつものハーブティーを淹れる。
「それ、いらないよ。」
ガルナは小さな声でそう言うと、顔を俯いたまま言った。
「ゴメン、俺やっぱりウナの相棒には、なれない。」
ガルナがそう言った途端、ウナは豹変した。
「急にどうしたっていうんだい?
アタイのことが嫌いになったのかい?」
ウナの言葉に、ガルナは首を横に振った。
「違うよ。ただ、ジョニーには、シドリアと一緒に会いたいから――。」
ガルナはそう言うと、顔をウナの方に向けた。
ウナは何も言わなかったが、オーラは禍々しく怒りの様相を示した。
ガルナは、今すぐ逃げ出したい気持ちになったが、最後に言った。
「ホントにゴメン。」
瞬間的に、ウナは自身の念能力を発動した。
ウナの両手から2匹のウナギの形に変化させたオーラが伸びて、ガルナを拘束する。
「そんな勝手が、通用するわけないだろ?」
ウナはそう言うと、ガルナを寝室に連れて行った・・・。
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ミコトは、シドリアの部屋の前で落ち着かない様子でいた。
ミコトは、約1年間、シドリア達の師匠と同じ宿で泊まっていた。
ミコトの実力ならば、天空闘技場の選手にはなれた。
しかし、シドリアと対戦してしまう可能性を考えて、ミコトは選手になることはしなかった。
ある日、ミコトは師匠の読む本を勝手に読んだことがある。
共通語の字で書いてあるその本は、不思議なストーリーで、よく分からないが男2人が裸で絡み合うシーンが頻繁にあった。
その晩も、ミコトが熱心に読んでいると、背後から声がした。
「姫、あんまりそれ読むと、目腐るからやめた方がいいよ?」
ミコトは、師匠にそう言われるまで、夢中で読んでいた。
慌ててミコトは、本を閉じる。
しばらくしてから、師匠が言った。
「――そういえば、シドリアって、意外に鈍感そうだから、姫の気持ちに気付いてないんじゃない?」
「どうすればいいです?」
師匠は、ニヤリと笑ってから、ミコトに耳打ちをする。
ミコトは思わず赤面して、叫んだ。
「そんなこと、できないです!」
師匠は、ミコトの様子を笑ってみていたが、ふとミコトの読んでいた本に目をやる。
「そうだね。でも、早くしないと、その本みたいになっちゃうかもよ?」
師匠の言葉から、ミコトは何かを想像したらしく、唖然とした表情をした。
すぐに、ミコトはシドリアの部屋に走って向かっていった――。
ミコトは、シドリアの部屋の扉を開けた。
オートロックの部屋ではあるが、シドリアの習慣なのか、ドアに何かを挟んで完全に閉まらないようにしていた。
ミコトは部屋に入ると、気配を伺うが、誰もいないように感じた。
(まさか、ガルナの部屋に――?)
ミコトがそう考えていると、背後から声がした。
「ミコトか?」
そう声を掛けたのはシドリアだった。
シドリアはシャワーを浴びた直後だったのか、何も着ていない身体を拭きながら出てきた――。