DUAL BULLET   作:すももも

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お待たせしましたm(__)m



34.決別

 数千の人で埋め尽くされた会場内は、静まりかえっていた。

 壇上にある蝋燭が灯り、暗闇の中を僅かに照らす。

 

 厳かな雰囲気の中で、ミンボ国の王が壇上に登った。

 

 漆黒のドレスに身を包んだ女は、その光景を見て思わず唇を噛み締めた。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

 傍にいた男が、女に対して小声でそう声を掛けた。女は微笑みを浮かべて答える。

 

 

「少し緊張してしまったようですわ。」

 

 

 女がそう答えるや否や、ゆったりとしたリズムの壮大な演奏が始まった。

 

 女は再度男の顔を見てから、小さくそれでいて力強く頷き、壇上に向う。

 女が壇上に上がると同時に演奏が止まり、ミンボ国王が祝辞を始めた。

 そして最後にミンボ国王は、会場に響き渡る声でこう宣言した。

 

 

「――この者、ジェシカ=マーキュリーに伯爵の爵位を与える!」

 

 

 ミンボ国王が宣言した途端、場内からは盛大な拍手が沸き起こった。

 ジェシカが優雅な仕草で頭を下げると、王は軽く乗せるような動きで、ジェシカに冠を被せた。

 

 

 ジェシカが壇上を降りると、先程声を掛けた男と目が合った。

 

 ジェシカが男に笑い掛けると、男は微笑みを返し壇上に向かった――。

 

 

「――この者、シドリア=ブライトに公爵の爵位を与える!」

 

 

 ミンボ国王が高らかにそう宣言すると、壇上にいたシドリアは聴衆から盛大な喝采を受けた――。

 

 

 今日、1996年8月1日は合同爵位授与式の日だ。

 

 爵位授与式は、通常1人の授与者に対して行うが、今回は特例的に、悲運にも同じ時期にそれぞれの親を亡くしたジェシカとシドリアに対して、同じ日に爵位授与式を実施することになった。

 

 サミエル=ブライトと、ロドロフ=マーキュリーという2人の有力者を失い、世間は2人の若い後継者に注目している。

 

 

 しかし壇上にいるシドリアは、聴衆や目の前のミンボ国王に対して意識することはなく、昨晩彼が1人で考えていたことを反芻するだけだった。

 

 

 

 

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 

 

 

 

 その夜、シドリアは自室で深く考え込んでいた。

 

 ガイアッグが引き起こした事件は、予想以上にアッサリと解決した。

 

 ガイアッグの部下による証言で、これがガイアッグが計画したものであることが分かり、その後すぐにガイアッグの手記が発見されたからだ。

 

 そこには、父ザック=マルティスを処刑したサミエル=ブライトとその息子であるシドリアの殺害計画が記されていた。

 サミエルを毒殺し、シドリアがロドロフ邸の襲撃を計画したと見せ掛けた上で、ガイアッグがシドリアを殺害するという内容――。

 

 マルティスという悪名の説得力により、全てはガイアッグ=マルティス単独で起こした事件とされ、調査はそこで打ち切られた。

 

 

 

 

「――そんなわけないだろう!」

 

 

 シドリアは自分の屋敷の部屋の中で叫んだ。

 

 ガイアッグとロドロフの死から既に3日が経過していた。

 シドリアは納得できなかった。何故ガイアッグは自分を犠牲にしてまで、こんな事件を引き起こしたのか――?

 

 

 シドリアだからこそ分かる。

 本当にガイアッグが殺害を計画したならば、証言や手記を誰かに分かるように残すようなミスをする筈がない。

 

 シドリアは、ガイアッグがわざと証拠を残したとしか思えなかった。

 

 シドリアを守る為に――。

 

 しかし、現状を考えると事件を掘り返すのも得策ではない・・・。

 

 何故なら、この事件を掘り返せば、過去の忌まわしいクーデターを鎮圧した英雄ロドロフ本人こそが、クーデターの首謀者であることが表沙汰になってしまう。

 

 そうなれば、ノースタリア公国の存亡の危機だ。

 

 ミンボ国がロドロフが設立した公国議会を容認するのも、ノースタリア公国に信頼を置いているからだろう。

 しかし、この事実が明るみになれば国の信用が無くなり、ノースタリア公国はミンボ国に吸収合併されてしまう。

 

 

 さらに言えば、ジェシカのこともあった。

 

 

 ロドロフを実際に殺したのはジェシカだ。

 しかし、ジェシカが使った拳銃は、ガイアッグが所持していたものだった。

 

 

 あの日、ロドロフが死んだ後すぐに、シドリアは泣き叫ぶジェシカを半ば無理矢理風呂に入れ、ジェシカの着ていた衣類を暖炉で全て燃やした。

 

 結果的に、硝煙反応が出たのはガイアッグ唯一人で、ロドロフを殺したのはガイアッグであると結論付けられた。

 

 事件を再調査すれば、もしかしたらジェシカの罪も暴かれてしまう恐れがある。

 

 

 シドリアはそんな長い思考の末に、1つの案を思い付いた。

 

 この案には少し難があったが、事件を再調査するようなことをせずに、事件の裏を確認できる唯一の方法だと、シドリアは思った。

 

 シドリアは懐から手帳を取り出して明日の予定を確認する。

 

 

 シドリアは決心した。

 

 ガイアッグの矛盾した行動の謎を解き明かす為に、全てを捨てることを――。

 

 

「ミコト、俺に力を貸してくれ。」

 

 

 シドリアは暗い部屋の中でそう小さく呟いた――。

 

 

 

 

△△△△△△△△△△△△△△△

 

 

 

 

 ジェシカは、蝋燭が灯る壇上に上がると、演説を始めた。

 

 彼女の父である亡きロドロフへの冥福の言葉から始まり、爵位授与に際しての挨拶をした。

 これからのノースタリアは、武力による侵略を許してはならないことを力説する。

 

 それから彼女は、ロドロフ亡き後の公国議会議長について、議会の中から貴族同士の選挙により選出することを提案し、ジェシカ自身も公国議会の一員として尽力していくことを確約した――。

 

 爵位授与式では、拝冠の儀を終えた後、必ず爵位授与者の演説が行われる。

 演説の内容は、嘘偽り厳禁であり、この演説の出来次第で、貴族としての格を見られる。

 

 シドリアやジェシカのような若くして親を亡くした若者は、大抵は中身のない形だけの挨拶で終わることが多いが、ジェシカはその中でも群を抜いて素晴らしい演説をした。

 

 16歳の少女が、物怖じもせずに凛々しくそのような演説をする姿を見て、列席者の中からは感嘆の声が上がる。

 

 ジェシカは演説を終えると、静かに壇上を降りた。

 

 ジェシカの演説を聞き、その場にいた者は後任の議長として、ロドロフの娘であるジェシカを推すような考えを持つ者も少なくはなかった。

 

 

 壇上から降りたジェシカは、シドリアと目が合うと、顔を綻ばせて言った。

 

 

「シドリア様に書いていただいた台本のおかげで、演説は成功しましたわ。」

 

「いや、君が毎晩寝る間を惜しんで練習を重ねた結果だ。私は大したことはしていない。」

 

 

 シドリアはそう答えると、引き続き壇上に向かった。

 

 

 シドリアはあの晩に考えた案を実行するつもりでいた。

 これは暴挙と言ってもおかしくはない。おそらくこれを実行すれば、シドリアは貴族としての信用を失う。

 さすがのシドリアも緊張により口の中がパサつき、胃液も喉元まで上がってくるように感じた。

 

 だが、シドリアは知りたかった。あのガイアッグがした行動の謎を解き明かしたかったのだ。

 

 

 シドリアという男は、理知的で、どんな時も冷静沈着であるという印象を持つ。

 

 しかし、実はそれは大きく違った。

 

 正確に言えば、シドリアは感情を隠すのが上手いだけで、実際は彼の内面は人並外れて情に厚く、その行動は、感情によって変化してしまう。

 

 蝋燭が灯る壇上に上がり、シドリアは演説を始めた。

 

 

「私はアマチュアハンターをやっているシドリア=ブライトです。この度亡くなった父に代わり、公爵という最高位の爵位を受け継ぎました。

 しかし、私にはやることがあり、公爵の仕事をまともにこなす自信がありません。」

 

 

 シドリアがそこで一旦言葉を止めると、列席者からザワザワという声が聞こえた。

 シドリアは深く息を吸い、一気に言い放つ。

 

 

「故に私は、ジェシカ=マーキュリー伯爵に、私の引き継いだ全領地と爵位を譲ることをここに宣言します!」

 

 

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★

 

 

 

 

 ガルナは、飛行場内を力なく歩いていた。

 

 あの日、ガルナは一ツ星(シングル)ハンターのツェズゲラとの戦いで勝利した。

 

 

 しかし、ガルナは思い知らされた。

 ハンターとは、ただ戦闘能力が高い者ではないということを――。

 

 

 ガルナは3歩程歩くと立ち止まってツェズゲラの言葉を思い出す。

 

 

「――これは『契約』だ。『契約』を守ることは、ハンターにとって、命よりも大切な絶対の信頼!

 仮に君がこれを破れば、それはハンターとしての死を意味する――。」

 

 

 

 

 あの日は疲れていたし、何より強敵との戦いでの勝利に満足したガルナは、深く考えることもなく帰った後すぐ寝てしまった。

 

 翌日になって、よくよく考えると、自分がとんでもないことをしたことを実感し、さすがのガルナも事の重大さに気付いたのだ。

 

 

 

 

 すぐに「それ」は、ガルナの心の中で、大きなしこりと化し、ガルナの心臓は強く打ち始めてしまう。

 

 その状態になる度に、ガルナは思考を放棄し、弱々しくも歩を進めた。

 

 

 ガルナが飛行場内を力なく歩いていると、人だかりが見えた。皆、熱心に何かを食いつくように見ている。

 

 

 ガルナは怪訝に思いながらも、群集の視線を追い掛ける。

 

 TV中継――そこには、ガルナが今最も会いたい人物が映し出されていた――。

 

 

「え、シドリア!?」

 

 

 ガルナが思わず声に出すと、周囲から注目される。

 

 バツが悪くなり、ガルナが顔を伏せると、群集の視線はTVに戻った。

 

 

「――しかし、シドリア=ブライト公爵が全財産を放棄するってのは、どういうことだ?」

 

 群集の1人がTVを見ながら疑問を呟く。

 それを聞いたガルナが聞き耳を立てていると、もう1人が答えた。

 

 

「あれじゃないのか? やっぱり、ジェシカさんと恋人同士だとかそういう――。」

 

 

 その瞬間、ガルナが叫んだ。

 

 

「シドリアが!? ていうか、ジェシカって誰?」

 

 

 ガルナは勢い良くそう叫ぶと、心の中で安堵の気持ちが生まれていた・・・。

 

 

「もしかしたら、何とかなるかもしれない――。」

 

 

 そう呟くガルナの心の中にあるしこりは、徐々に小さくなろうとしていた。

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 聴衆のオーラや体温変化は、それぞれの感情を示していた。

 

 

 不信、困惑、疑問、好奇、関心、打算、遺憾、憤怒――。

 

 

 それぞれの感情は、相応なものであり、偽証不可能なこの演説の場で、適切とも言い難い宣言をした私に対する感情としては、違和感はない。

 

 萎縮、恐怖、緊張など、人が嘘の発覚を怖れる時の特有の反応をする者は誰もいなかった・・・。

 

 私は思惑が外れ、心底ガッカリしていた。

 

 

 私があの日疑問だったのは、何故ガイアッグは死の覚悟をしておいて、ロドロフを殺さなかったのかということだ。

 わざわざ私と戦い、私に殺されるように仕向け、私がロドロフを守った形にしようとしていた。

 

 

 もしかしたら、他に何か画策した者がいるのではないか、そう考えたのだが――。

 

 

 周囲に黒服達が集まる。失言をした私を、壇上から降ろすつもりなのだろう。

 ミコトに借りた目の念能力を発動している為、私に視角はなく、こんな連中ならば一瞬で倒せる。

 

 しかし、私は抵抗する気はなかった。

 

 こんな形でブライト家を終わらせてしまうことは心残りではあったが、何よりもガイアッグの無念を晴らすことができずに、私は酷く落ち込んでいた。

 

 

 しかし、ふと見ると、黒服達に違和感を感じた。

 そのオーラの流れが、作り物のように一定方向に流れている・・・。

 

 その時、ハッと背後から感じる異様な気配に気付く。

 

 そこにはあの男がいた。

 私がこの国に来てから、屋敷で働いていたあの男、執事――。

 

 執事のオーラは、念が使えない者特有の流れ方をしていた。

 精孔の開き方は歪で、オーラの流れもバラバラであり、少量のオーラが自然に漏れ出る――。

 

 

 しかし、私の念能力は、全てを見破る。

 

 今、分かった。あの執事は念能力者だ。

 それも気配を一般人レベルにまで隠蔽することのできる達人――。

 

 

 私は、念で強化しフル回転させた頭で執事の名前を思い出す。

 

 

 

 そう、確か執事の名前は――ギタラクル。

 

 

 

 

 瞬間、私は執事のギタラクルに向かって勢いよく飛び掛かった。

 

 

 

――!?

 

 

 私が殴ったのは、執事ではなく黒服の1人だった。

 肉体の損壊に構わず、オーラで無理矢理強化して、私の速さに追い付いたのだろう。

 

 私の念能力により、黒服の体の構造を無視するような歪な動きに気付いたが、私の身体は既に跳躍していたので、この結果は変えられなかった。

 

 

 ギタラクルは、自身の後頭部から鋲のようなものを引き抜いている。

 

 ネットリとした血がまとわりつく鋲は、壇上に向かって落下した――。

 

 

 黒服の集団が一斉に私に襲い掛かるが、そんなものは私の足止めにすらならない。

 私は冷静に黒服達の動きを先読みしてその四肢を折ると、すぐにギタラクルに攻撃をする。

 

 ギタラクルは十中八九、操作系能力者――。

 

 明らかに私より格上の実力を持つギタラクルが、本来の姿に戻るのを待つ気はなかった。

 

 ギタラクルの片足を折り、胸に指突で致命傷を与える。

 

 

 ゴキゴキという異様な音ともにギタラクルの肉体は老人から青年へとその姿を変えていた。

 

 念能力によってその光景を見ると、酷く吐き気がした。

 

 骨格すら変えしまう強力な操作系能力――激痛を伴うであろう体型の変化にも関わらず、奴の表情やオーラに痛がる素振りはない。

 まさか、念能力で痛みか、もしかしたら感情そのものを消しているのだろうか・・・?

 

 

「足折れてるね、胸の出血も酷い。でも、まあ針使えばなんとかなるか。」

 

 

 ギタラクルは、文字通り変身を遂げると、何の気なしにそう呟いた。

 それを聞いた私は、心の中で沸き立つ感情を押さえながらギタラクルに質問する。

 

 

「まさか、貴様がガイアッグを操作したのか?」

 

「ん、そうだよ。

 ボクが毒殺したサミエル=ブライトを殺したと暗示をかけ、更に音信不通のシドリア=ブライトをこの国に連れてくるようにね。」

 

 

 それを聞いた私は、目の前の光景がチカチカと点滅し、怒りに身を震わせながらも、更に質問した。

 

「何故――?」

 

「サミエルとシドリアの2人を殺せって依頼だったんだ。」

 

 

 

 

 私の問いを遮るように、ギタラクルはそう答えた。

 私は、怒りの感情を隠し切れずに大声で叫んだ。

 

 

「ならば、私と戦え! 私は、父とガイアッグの仇を――!」

 

 

「うん。でも、依頼人死んじゃったし、もう君は殺さなくてもいいんだ。」

 

 

 ギタラクルはそう言うと、ジェシカの方を向いて言った。

 

 

「まさか、依頼人が実の娘に殺されるとはね――。」

 

 

 そう小さく呟いたギタラクルは、禍々しいオーラを込めた針をジェシカに投げた。

 

 予めその動きを読んでいた私は、針より僅かに早くジェシカを抱え跳躍する――。

 

 ギタラクルの投げた針は、ジェシカの立っていた床や他の聴衆に突き刺さる。

 

 自然に私の両眼から放たれる光は消え、私が振り向く時にはギタラクルの姿は消えていた・・・。

 

 

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★

 

 

 

 

 ガルナが会場に着くと、現場は混乱し、会場から大勢の人々が悲鳴を上げながら逃げ出していた。

 ガルナが聞き耳を立てて状況を聞くと、どうやら会場内で武器を持った男が暴れたらしい。

 

 ガルナは強烈なオーラを練ると、会場に向かって駆け出す――。

 

 

 その瞬間、ガルナは突然何かにつまずいたように激しく倒れた。

 地面に叩き付けられた顔面をさすりながら起き上がると、ガルナの足には粘着質なオーラが――。

 

 

「やっぱりいたか♥」

 

「ヒソカ!?」

 

 

 ガルナは、目の前の男に向けて驚いた声を出した。

 

 目の前にいる男は、ブランド物のスーツを着て、赤い髪は整髪料か何かで流し気味に整えている。

 以前見た妙なフェイスペイントと服装はせず、爽やかな育ちの良さそうな好青年という出で立ちだった。

 

 

「よく分かったね◆

 それよりも、状況を説明してあげようか♠」

 

 

 ヒソカはそう言うと、ガルナに事の顛末を説明した。

 

 

 かつてロドロフ=マーキュリーという地方貴族は、自らの出世の為に、ザック=マルティスにクーデターを起こさせ、それを止めた。

 

 ロドロフの思惑通りに事は進んだが、ロドロフは20年後の今、更なる野望を抱く。

 領地を得て、伯爵から公爵に爵位を上げ、名実共にこの国の支配者となる――。

 

 その野望を達成する為に、殺し屋を雇い、サミエルとシドリアの暗殺を依頼した。

 その後、殺し屋による操作で、ガイアッグはロドロフを殺せないルールを課せられ、シドリアの抹殺を強いられる。

 

 だが、ガイアッグは自らの意思の力で、抗えないルールを守りながら、シドリアの身を守ろうとした。

 結果的に、依頼人であるロドロフは自分の娘に殺され、シドリア暗殺は自動的にキャンセルとなった――。

 

 

「何それ酷い。シドリアが聞いたら激怒しそうだ・・・。」

 

 

 ガルナはそう呟くと、ヒソカは笑いながら答えた。

 

 

「シドリアは、自分の力でそれに気付いたみたいだ♣」

 

 

 ヒソカの言葉を聞いて、ガルナは青ざめながらも会場に駆け出す。

 

 しかし、ヒソカの念が足に着いたままだったので、ガルナは再度顔面を地面に打ち付けた。

 

 

「痛っ! ちょっと、これ外してよ、ヒソカ!」

 

 

「随分強くなったようだけど、まだまだだねガルナは◆」

 

 

 そう言ってヒソカは、笑いながら能力を解除した。

 

 

「シドリアも面白い能力を編み出したようだし、キミ達2人は美味しく実っていく♥」

 

 

 ヒソカの言葉に、ガルナは怯えを隠さずに叫ぶ。

 

 

「俺達を殺す気か!?」

 

 

「ククッいつか戦ってみたいね◆ でも、今は戦ってみたい男がいるんだ♥」

 

 

 ヒソカはそう言うと、群衆に紛れて去っていった。

 

 ヒソカの素顔に懐かしいジョニーの面影を見たガルナは、何も言わずにその背中を見ていた・・・。

 

 

 

 

 ガルナは駆け出した。

 親友のシドリアの為に、自らの限界以上の力を振り絞って走った――。

 

 

 会場内は壮絶な様相だった。

 聴衆の何名かは操作され、自身の肉体の破損に構わず無差別に暴力を振るい、逃げ遅れた聴衆は一方的に殴られている。

 

 

 ガルナは凝を使い、シドリアを探す――。

 

 

 シドリアは、漆黒のドレスを着た女性を抱きしめて物陰に隠れていた。

 シドリアのオーラは不思議と小さく、オーラが枯渇しているように見える。

 

 ガルナは素早くシドリアの元に駆け寄ると、小声で言った。

 

 

「シドリア、助けにきたよ。」

 

「な!? ガルナか、何故ここに? いや、それよりもお前――。」

 

 

 シドリアが力無くそう言うと、ガルナはニコッと笑って頷き、シドリアの肩に触れて叫ぶ。

 

 

1番目の弾丸(ファースト・ブリット)!」

 

 

 

 

――!

 

 

 

 

「ここは、どこだ?」

 

 

 シドリアがそう聞くと、ガルナが答える。

 

「飛行場内にある個室の待合室、TVとか観れるよ。」

 

 

「――ど、どういうことですの!?」

 

 

 シドリアが抱えたままの女性が叫んだ。

 叫んだ拍子に、彼女の頭の冠は落ちる――。

 

 

「あれ? お姉さんどこかで会ったことある?」

 

 

 ガルナがそう聞くと、シドリアが答えた。

 

 

「この女性は、ジェシカ=マーキュリー公爵――事実上この国の統治者だ。」

 

 

 シドリアがそう言うと同時に、ジェシカが驚きを隠せない口調で言った。

 

 

「あ、あの時汽車で会った方ですわ!?」

 

 

 ジェシカの言葉に、ガルナはハッと思いだしたように言った。

 

 

「そうか、俺がG・Iを奪われた時に会ったお姉さんだ!」

 

 

 ガルナがそう言った瞬間、シドリアの纏うオーラに冷たい殺意が漏れ出た。

 

 

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★

 

 

 

 

 ガルナは、あの日ツェズゲラを倒した後に提示された2択で、ゲームの情報ではなく、ミコトの入ったゲーム機を選んだ。

 

 

 

「そんな2択に乗るなんて馬鹿正直過ぎる。その前日にツェズゲラの言った『他のGIでプレイ』というのが気にかかるが――。

 まあ今はいい。それでガルナ? そのツェズゲラと、どんな契約を交わしたんだ?」

 

 

 シドリアは念能力により疲弊した身体であったが、怒りを原動力に尋常ではないオーラを出し、事の経緯を聞き出していた。

 

 シドリアの迫力に、ガルナは怯えながらゆっくりと説明を始める――。

 

 

 

 ガルナとツェズゲラが交わした契約内容は大きく分けて4つ。

 

 

(1)屋敷内で暴力は厳禁

 

(2)ガルナは、ミコトの入ったG・I以外、屋敷にある物は触らない

 

(3)ガルナは、ミコトがゲーム外に出た後、G・Iを屋敷に返還する

 

(4)ツェズゲラは、ガルナに対して、ミコトの入ったG・Iに関して知っている情報は全て説明する

 

 

 

 あの日、それを聞いたガルナは特に疑問を抱くことなく、ツェズゲラの条件を呑んだ。

 

 すぐにツェズゲラは古びた羊皮紙を差し出し、説明した。

 

 

「これは、古くから伝わる【狩人の契約書】これに書いた内容は、プロアマ問わずハンターを名乗る者全てが絶対厳守の正式な契約となる。

 これは『契約』だ。『契約』を守ることは、ハンターにとって、命よりも大切な絶対の信頼!

 仮に君がこれを破れば、それはハンターとしての死を意味する――。」

 

 

 

 

 ガルナがツェズゲラに言われたその言葉を一言一句正確に伝えると、シドリアは聞いた。

 

 

「それで? ならば何故お前はG・Iを取り返して来なかったんだ?」

 

「いや、それは――。」

 

 

 

 

 契約を交わした後、ガルナはツェズゲラに案内され、ゲームがある部屋に行った。

 通路は厳重なセキュリティにより、決まったルートを通らないと致命的なトラップが発動する。

 

 ツェズゲラの説明を受けながら、ガルナは慎重に歩いた。

 

 

「この部屋に、君の仲間が入っているゲーム機がある。」

 

 

 そう言ってから、ツェズゲラが扉を開ける。

 

 

 その部屋には、数え切れない程のオーラを纏ったゲーム機が並べてあった。

 

 間違いなく、全てG・Iが起動しているジョイステーション――。

 

 

「凄い一杯あるね。どれが姫の入ったゲームなの?」

 

 

 ガルナがツェズゲラにそう聞くと、ツェズゲラは言った。

 

 

「いいか、『契約』は絶対だぞ?」

 

 

 ツェズゲラはそれだけ言うと、腕を組んでその場に座った。

 

 ガルナはもう一度同じ質問をするが、ツェズゲラは一言も喋らない。

 

 苛々するとともにガルナのオーラは自然に高まり、そこでガルナは気付いた。

 

 

 契約の「(1)屋敷内で暴力禁止」

 

 すなわち、ガルナとツェズゲラは互いに攻撃できない。

 

 さらに言えば、ミコトの入ったゲーム機以外を触っても、「(2)ミコトの入ったゲーム機以外の屋敷内にある物に触れる」ことに抵触してしまう――。

 

 

「これって――?」

 

 

 ガルナが堪らずそう言うが、ツェズゲラは無言のまま座っていた。

 

 

 ガルナは類い稀な直感から、これこそツェズゲラの策であることに気付いた。

 

 ハンターの資質として、身体能力や念の実力は補助的なものだ。

 むしろ駆け引きや先読み、作戦立案の能力の方が重要視される。

 

 ガルナはそこまで理解してはいなかったが、何もできない現状に頭を悩ませていた。

 

 数分の思考の後、ガルナは浮かんだ疑問を口にする。

 

 

「あれ? ていうかこれって、契約の『(4)ツェズゲラは、ガルナに対してミコトの入ったG・Iに関して知っている情報は全て説明する』を守ってないんじゃ?」

 

 

 ガルナがそう呟くが、ツェズゲラは無言のままだった。

 

 それを見たガルナは、怒りの感情と共にオーラを高め、ゆらりとした動きでツェズゲラに近づく。

 

 

 ガルナは躊躇うことなく、オーラを込めた右ストレートをツェズゲラの顔面に放った。

 

 ツェズゲラは、高速の攻防力変化によって、顔面をガードしていた。

 それでもツェズゲラの頬は僅かに腫れ、口元から血が流れた。

 

 しばらくの沈黙の後、ツェズゲラは言った。

 

 

「16分32秒・・・。」

 

「何言ってんだ?」

 

 

 ツェズゲラの言葉に、ガルナは苛つきながら言葉を吐き出す。

 ツェズゲラは深く溜め息をつきながら立ち上がると、叫ぶように荒々しい声で答えた。

 

 

「契約が守られた時間だ! こんな短時間で契約を破るハンターがいるとはな――。

 お前はもちろん、ブリッツとかいうチームは終わりだ!

 ハンターとして一番大切な『信用』を失ったのだから――。」

 

 

 ツェズゲラの荒々しい言葉にガルナは言い返す。

 

 

「そんなこと言ったって、契約を破ったのはツェズゲラが先だろ?

 アンタだって『全ての情報を説明する』っていう契約を守ってないじゃないか!?」

 

 

 ガルナがそう言うと、ツェズゲラは呆れた表情でガルナを見つめていた。

 

 少しの沈黙の後、ツェズゲラは言った。

 

 

「まさか、君がそこまでレベルが低いとはな――。

 契約は『――知っている情報は全て説明する』だろう。つまり、オレには知らない情報を説明する義務はない。」

 

 

 ツェズゲラがそう言った途端、ガルナの顔面は蒼白になり、纏うオーラは小さくなった。

 

 

「そうか、姫の入ったゲームがどれか知らないってこと?

 あ、やべ。ゴメン今のなしに――。」

 

「甘えるな!」

 

 

 ツェズゲラはピシャリと言い放つ。

 同時に、ツェズゲラは携帯を素早く操作し、懐にしまいながら続けて言った。

 

 

「君とオレの契約は、先程ハンター協会に届けてある。

 今、オレの行動と君の行動の記録を協会に送信した。近い内にブリッツに対して正式に活動停止処分が下ることだろう。」

 

 

 それを聞いたガルナは言葉を失い、唖然としたまま念能力を使い、その場を離れた――。

 

 屋敷の前に瞬間移動したガルナは、自分のしたことを深く考えることもせずに宿に向かった――。

 

 

 

 

「――何故、そんな大事な話をすぐに連絡しなかったんだ!?」

 

「いや、だって――。」

 

 

 シドリアの言葉に、ガルナは力無く口ごもる。

 そんなガルナを尻目に、シドリアは自分の携帯を操作していた。

 

 

「くそっ! 本当にどれも規制がかかっている!」

 

 

 ガルナの契約違反は、正式なブリッツの仕事では無かったので、ブリッツ自体が活動停止になることはなかった。

 

 しかし、ブリッツの一員であるガルナがハンターの禁忌である契約違反を犯した影響により、ブリッツの情報収集活動に関する大部分の権限が規制され、制限を受けてしまっていた。

 

 

「これでは情報(インフォメーション)ハンターとして何も活動できない!

 本っ当にお前という奴は・・・。」

 

 

 シドリアが怒りに震えながら言葉を吐き出すと、ガルナが言った。

 

 

「いやでも、シドリアだってあんな状況だったら暴れるだろ!?」

 

 

 ガルナが大声で反論すると、シドリアは強く短く、切り捨てるように言葉を返す。

 

 

「製造番号!」

 

「は?」

 

 

 シドリアの言葉にガルナが首を傾げると、シドリアが口調を荒くして言い返す。

 

 

「貴様は覚えていないだろうが、私はミコトの入ったジョイステーションの製造番号を覚えているんだ!」

 

 

 シドリアの迫力に負けて、小柄な体をさらに小さくしたガルナは呟くように言った。

 

 

「でも、俺は覚えてないし、どうしようも――。」

 

「――だから! 何故お前は、その場で私に連絡をとらなかったんだ!?」

 

「え? 連絡って――?」

 

「契約内容に、外部との連絡は禁止されていないだろう?」 

 

「ああ、そうか!」

 

 

 ガルナが最後にそう言うと、シドリアは狂ったように叫んだ。

 

 

「貴様、しでかした事の重大さを自覚しているのか!?」

 

「いや、してるよ。でも頑張ってお金稼いで、他のG・Iを手に入れれば何とかなるんじゃないかと思ったし――。」

 

 

 ガルナがそう言うと、シドリアは溜め息をつきながら言った。

 

 

「・・・仕方ないが、それに賭けるしかないな。私は手持ちが20億くらいだが、ガルナは?」

 

「んー50億くらい。2人合わせればあとちょっとかな?」

 

「しかし、今の状況では間違いなく以前よりも仕事は減るぞ。」

 

 

 シドリアが淡々とした口調で厳しい言葉を投げかけると、ガルナは顔を曇らせる。

 すると、ガルナは近くで居づらそうにしていたジェシカに気付いて、軽く笑って言った。

 

 

「でも、姫の代わりに綺麗な(ひと)見つけたみたいだし、別に焦らなくてもいいよね?」

 

 

 

 

――!?

 

 

 ガルナは空中に飛んでいた。

 

 僅かに遅れて、ガルナはシドリアに無言で殴られたことを理解した。

 

 生まれ持った直感と、ツェズゲラとの戦いを経て身に付けた超高速の攻防力変化が無ければ、ガルナは確実に死んでいた。

 かろうじてオーラで顔面を防御したが、ガルナの顔面からは血がとめどなく吹き出る。

 

 

 地面に叩き落とされるように倒れたガルナは、心の底から恐怖を感じ、叫んだ。

 

 

「――4番目の弾丸(フォース・ブリット)!」

 

 

「おい、待てガルナ! 話はまだ終わって――。」

 

 

 

 

――4番目の弾丸発動。

 

 

 

 

 ガルナは飛行船の中にいた。

 自然に涙が流れ落ちる。

 

 あの瞬間、シドリアの動きは、ガルナの反応速度を遥かに越えていた。

 

 ガルナもシドリアと会わない間に超高速の攻防力変化を身に付けたが、シドリアはそれを上回る力を得たのだと、ガルナは理解した。

 

 しかし――。

 

 

 それよりも、今ガルナがショックを受けていたのは違うところにあった。

 

 

「あいつ、マジで俺を殺そうと――?」

 

 

 

 そう呟いたガルナは、涙を流しながらシドリアとの決別を強く決めた。

 

 

 

 

△△△△△△△△△△△△△△△

 

 

 

 

 1996年8月1日、ジェシカは呆然としたまま、2人の青年の争いを見ていた。

 

 以前汽車で遭遇した金髪の青年――ガルナ。

 

 先程爵位と領地を放棄した青年――シドリア。

 

 

 ジェシカが2人のやりとりを聞いていると、どうやら「G・I」と呼ばれる物に対する2人の価値観が天と地程に差があるように感じた。

 

 

 最後にガルナが、内容が分からず戸惑っているジェシカの顔を見て、笑いながら言った。

 

 

「でも、姫の代わりに綺麗な(ひと)見つけたみたいだし、別に焦らなくてもいいよね?」

 

 

 ジェシカが気付いた時には、ガルナは吹き飛ばされて床に倒れていた。

 

 以前散弾を素手で弾いた時のように、(シルエット)すら写らぬシドリアの超高速の動きで、ガルナは無抵抗のまま殴り飛ばされてしまったのだろう。

 

 体力を使い果たしたのか、そのままシドリアはその場に倒れた。

 

 

 ガルナの表情には恐怖の色が浮かび、悲鳴を上げるように叫ぶ。

 

 

「フォース・ブリット!」

 

「おい、待てガルナ! 話はまだ終わって――!」

 

 

 疲弊して倒れていたシドリアがそう叫んでいる間に、ガルナは不思議な力でその場から文字通り消え去ってしまった。

 

 直後、シドリアは倒れたまま力任せに床を殴ると、怒りに満ちた声色で叫び声をあげた。

 

 

「あの野郎、逃げやがった!」

 

 

 シドリアの怒声に、その場にいたジェシカは恐怖で身体を震わせたが、シドリアが立ち上がるのを助けながら言った。

 

 

「何があったか詳しく存じませんが、喧嘩は良くありませんわ。」

 

 

 ジェシカの言葉を聞いたシドリアは、乱暴な口調で切り捨てるように言った。

 

 

「君には関係ない! それ以上私に近付かないでくれ!」

 

 

 シドリアの言葉にジェシカは泣き出しそうになるが、泣いたら何かに負けてしまうと思い、涙をこらえて静かに諭すように返答する。

 

 

「それは、ワタクシとの関係を勘ぐられるのをお気になさって?

 でも、貴方が何の説明もなしに、ワタクシに爵位と領地を譲ると言えば、世間でそういう噂が出るのは当然ですわ。」

 

 

 ジェシカはそう言うと、深い翡翠色の瞳でシドリアを見つめる。

 

 

 正直言えば、シドリアの演説を聞いて、ジェシカ自身も幸せな勘違いしていた。

 

 命の危機を一緒に乗り越えた男女が結ばれる――そんな安い映画のようなストーリーをジェシカは妄想し、シドリアに求婚をされた時の対応すら考えていたのだ。

 

 

 だが、実際は違った。

 

 ただ単に、シドリアという男は彼の中の疑念を晴らす為に、ジェシカ個人ではなく、ジェシカ=マーキュリーの名を利用したに過ぎなかった。

 

 

 ジェシカは分からなかった。

 

 何故こんな自分勝手で酷い男を嫌いになれないのかが分からなかった。

 

 何故、自分に興味が無いと分かりきっている男をこんなにも慕ってしまうのかが分からなかった。

 

 

 しばらくの沈黙の後、シドリアは無言のまま、フラフラとした足取りで立ち去る。

 

 シドリアが部屋を出た直後、それまで気丈に振る舞っていたジェシカは、決壊したダムのように涙を流した。

 

 

 そのときジェシカは気付いた。

 自分がシドリアを愛してしまったのだと――。

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 私は、ジェシカの言葉を聞いて、それが正論であることを理解した。

 

 しかし行き場のない怒りの感情に支配された私は、情けないことに謝罪の言葉どころか、何も言わず逃げるようにジェシカの前から去った。

 念能力で垣間見たジェシカの私への想いを知っていながら――。

 

 

 いまだに収まらぬ怒りの矛先を探し、徒然ならぬことを考えて歩く・・・。

 

 私の前から去ったガルナを追う手段はない。

 

 情報屋利用に関しても制限がかかってしまっているし、奴は逃げるのに最適な念能力を持っている。

 困れば逃げ出すガルナの深層心理を表すような忌々しい能力――。

 

 そもそも、あんな奴を探す手間をかけてやるのも腹が立つ。

 

 しかしそうなると、G・I入手も遠い道のりだが、あんなバカをあてにはしたくない。

 

 

 そしてその時、大事なことを思い出した。

 

 そもそもあの一件が無ければ、私はノースタリアに戻ることなく、G・I(ミコト)を守ることができた。

 何よりも、父とガイアッグ、大切な2人の命を失うことも無かった――。

 

 

「あの男、ギタラクル――。」

 

 

 おそらくプロの殺し屋である男。

 あの男が全ての原因――父とガイアッグの仇。

 

「――奴を見付け出し、殺す!」

 

 

 私は、心の底から沸き上がる激しい怒りの感情を込めて、そう呟いた。




【あとがき】

 ガイアッグ編は、一部を除き、ほぼ全てシドリアの視点で進めました。

 自分が殺してしまったガイアッグが実際に何を考えていたかを知りたい、今回のそういうシドリアの行動原理や真相を知った時の感情を、可能な限り読者様に共感してもらう為です。


 さて、次の話で長かった第2章は終わりです(=・ω・)/
 よろしくお願いいたしますm(__)m

 次回【35.現在へ】
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