DUAL BULLET   作:すももも

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39.決闘

 そこは朽ちた部品工場――かつては工員が大勢働いていたらしいが、廃業に追い込まれた現代となっては放置され荒れ果てたままとなっている・・・。

 

 どういうわけか、俺はこの場所にいた。

 

 ここに来る途中に、工場を買い取った男が、強い殺気を放ちながら、俺に叫ぶ声が辺りに反響する。

 

 

「構えろ、ガルナ!」

 

 

 嫌々ながら、俺は構えをとる。

 俺は、こいつと戦いたくはない。

 

 でも、この状況下で無防備を通せる訳もなかった。

 

 目の前の男、シドリアとの決闘が正に今、始まろうとしていた・・・。

 

 

――ヒュンッ

 

 

 シドリアが間合いを詰めると同時に手刀を繰り出した。

 俺はそれを回避しながらジャブを数発打つ。

 

 シドリアは、俺のジャブをガードすると、鋭い蹴りを放った。

 

 上体を捻って回避しながらサイドステップで回り込むと、俺は捻った身体をオーラで強化し、高速の回転速度で、右ストレートを打つ――。

 

 瞬時に回避したシドリアは後方に跳躍し、間合いをとった。

 

 それを見て、すぐに思い出す。

 

 

――シドリアは、念の影で周囲の視角がほとんどないんだ。

 

 

 すると、シドリアが地面を靴でコツリと軽く鳴らした。

 途端に辺り一面、オーラの影が展開されるのが見える――。

 

 ほんの僅かに反応が遅れ、俺の視界は完全に塞がれてしまった。

 

 

 だが俺は焦ることもなく、オーラを乱さないように、シドリアの気配の変化に集中する。

 

 瞬間、チリッと肌を刺すような殺気を感じ、俺は咄嗟に回避した。

 

 シドリアの刃物のように鋭い貫手が、俺の頬を掠めたのを感じる。

 反射的に右ストレートを打ったが、何の手応えもなく、空振りに終わったのが分かった。

 

 シドリアの気配が遠ざかるのを感じて、俺はオーラを高める――。

 

 以前ならば、最初からオーラを全開にして真っ向勝負が多かったが、今は練をハッタリとしても利用する。

 

 旅団に入って半年――小間使いのような仕事から危険な遊びを毎日のように繰り返したおかげで、実戦には事欠かなかった。

 

 旅団員の強さは、応用力の高さ、機転そのものではないかと思う。

 もちろん純粋な戦闘力も相当高い。

 

 一見無茶をする連中に見えるが、旅団員は強さに頼って無謀なことをするということはない。

 相手の実力や心理状態を正確に計り、素早い状況判断によって戦況が有利になるようにあらゆる手段で場をコントロールする。

 

 俺はまだまだ彼らには遠く及ばないけれど、それでも実戦の経験値に関して、シドリアに負ける気はなかった。

 

 案の定、俺の隙のない全力のオーラを見て、シドリアは微動だにしない。

 

 昔からシドリアは警戒心が高く、少しでも不安があれば考え込む癖がある。

 思考の瞬発力がものをいう念の戦闘において、それは悪癖とも言えるだろう。

 

 

「相変わらず、シドリアはチャンスに弱いんだな。」

 

 

 俺はわざとシドリアの感情を逆撫でするように言った。

 

 以前、ウボォーさんの強さを目の当たりにして、念の戦いの真髄は、相手の心を折る戦いであると俺は理解していた。

 

 簡単に言えば、自分がビビらないように、相手をビビらせる戦い――。

 

 

 人間は、時に普段以上の力を発揮することもあれば、反対に何をしてもうまくいかない日がある。

 武道の世界で心技体という言葉があるように、精神状態というのは、人間の能力を大きく左右させるのだ。

 そしてそれは念なら、なおさら言えると思う。

 

 ほんの僅かでも感情が乱れれば、オーラに隙が生じる。

 オーラの隙は、戦闘力、特に防御力に如実に表れ、それはつまり、心の乱れが致命的な弱点となるということ――。

 

 

 

 自然に塞がれていた視界が徐々に元に戻っていく。

 

 

 シドリアは変化系だ。

 

 ほとんど何のリスクもなく、視野を広げたり、他人の視界を塞ぐことのできる影の念能力は滅茶苦茶便利だと思う。

 だが、放出系が苦手な変化系能力者は、分離したオーラの能力を維持するのが苦手なのは道理――。

 

 予想通り、視界を塞いでいた濃い影のオーラは、ものの数分で薄くなった・・・。

 

 

――!?

 

 

 塞がれていた目が見えるようになって、俺はその光景に驚いて思わず叫んだ。

 

 

「シドリアの目が光ってる!?」

 

 

「ああ、そういえば、お前に見せるのは初めてだったな・・・。」

 

 

 うっすらと淡く光る両目をこちらに向け、シドリアは言った。

 

 

「これが、私の新しい念能力、【雷影絶影(ダークブリッツ)】だ!」

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

「これが私の新しい念能力【雷影絶影(ダークブリッツ)】だ!」

 

 

 そう叫びながら、私の念能力で目の前にいる男の、ガルナという男の纏うオーラを目の当たりにした時、正直畏敬の念を抱いた。

 

 

――まさか、ここまでとは・・・。

 

 

 私は心の中でそう呟く。

 

 ガルナの纏うオーラは、以前よりも遥かに強大でゆったりと流れ、重厚で壮大なクラシック音楽を彷彿とさせた。

 

 私が会わなかった僅か1年程で、ここまでのレベルになるには、相当な苦行が必要だったことだろう。

 

 先程の攻防で、ガルナは驚異的な超高速の攻防力変化を無理なくスムーズに使いこなしていた。

 

 攻防力変化の速度を上げれば上げる程、ネズミ算的にオーラのコントロールが難しくなる。

 また、基本的にオーラは弾けて霧散しようとする性質があり、あれ程高速の流の場合、相当強く念じなければ、纏を維持することすら危うい。

 

 それだけでも、ガルナの実力が伺える。

 だが、信じられないことにアレが全力ではなかったのだ。

 

 今のガルナが纏うオーラは、それだけで並みの使い手ならば心を折ることのできる程の圧倒的なオーラ――!

 

 目の前にいる男は、私の知っているガルナとは、まるで別人だった・・・。

 

 私が何よりも驚いたのが、あのガルナ(・・・・・)が、実力を隠して戦ったということだ。

 

 今までも、虚栄心に満ちた見栄好いた嘘をつくことはあったが、まさかあのガルナが手札を隠すことをするなどとは、夢にも思わなかった。

 

 

 私は今、幻影旅団の団員と対決しているのだと、強く再認識した。

 限界以上の全力を出さなければ、私は間違いなく死ぬだろう・・・。

 

 

 

 

――ビュン!

 

 

 何の合図もなく、ガルナの鋭い右ストレートが放たれた。

 

 足から腰、腰から腕へと連動する歩法を利用した体軸の力と、オーラの攻防力移動が一体となった、芸術的とまで言える技――。

 数千分の一秒のタイミングで、それぞれの箇所を瞬間的に強化しながらオーラを移動する、無駄の無い理想的な動きだった。

 

 

 だが、結果的に、極限のオーラを集中させたガルナの拳は私の頬を掠め、私の手刀はガルナの脇腹に深くめり込んでいた。

 

 私は、右の甲でガルナの前腕を軽く押して捌くと同時に、その瞬間だけ無防備になったガルナの脇腹を突いたのだ。

 

 僅かでもオーラの配分を間違えれば、私の右手か足が吹き飛んでいたことだろう。

 だが、今の私はガルナの初動よりも先に動くことができる。

 

 

「ぐはっ!」

 

 

 私の左の手刀の威力は大したことはないが、ほとんどオーラでガードしていなかった急所をピンポイントで攻撃され、ガルナは苦悶の表情を浮かべその場に崩れ落ちた。

 

 

「随分強くなったな、ガルナ。さすが幻影旅団の団員だ。」

 

 

 私が皮肉めいた口調でそう言うと、ガルナが口を開く。

 

 

「俺が・・・。」

 

 

 私が思わず聞き入ろうとした途端、私の手首をガルナが尋常ではない力で掴んだ。

 

 

一番目の弾丸(ファースト・ブリット)!」

 

 

 

 

――!?

 

 

 景色が突然反転したことでほんの一瞬だけ困惑したが、瞬間移動したことが理解できれば、戸惑うこともない。

 

 とはいえ、現状は余り良くなかった。

 

 

「――俺が、何も考えてないとでも思った?」

 

 

 ガルナは痛みに堪えながら笑みを浮かべて私にそう言いながら、手にオーラを集中させていた。

 

 僅か数秒で2丁拳銃を具現化させ、私に照準を合わせると、こう言った。

 

 

「形勢逆転だな、シドリア?」

 

 

 私は思わず悔しさで唸りそうになる。

 事実、私はこの場で何もできなかったからだ。

 

 

 私とガルナは、強烈な風が吹く高層ビル群の中心にいた。

 

 夜を照らすビルの明かりに照らされながら――落下していたのだ。

 

 私の影の能力は、直接物体に触らなければ展開できない。

 

 ガルナは知らないが、私の光の能力も、有効範囲は狭く、広い空間では効果は薄い。

 

 

 あの時、瞬間移動した直後、ほんの一瞬だけ困惑した私の隙をつき、ガルナは私の手首を掴んだままビルの壁を蹴り、同時に手を離したのだ。

 

 不覚にも、私が状況把握するよりも早く、私の苦手とする状況に誘導されてしまっている。

 

 

 だが、勝負はこれからだ。

 

 ガルナの拳銃は攻撃能力はないはず。

 仮に弾丸をくらったとしても、ただ瞬間移動するだけ――。

 

 

――いや、待て!それはまずい!

 

 

 対象だけ(・・・・)を瞬間移動させる――仮にそれが例えば、溶鉱炉や、有害ガスの発生するような、人の生存不可能な場所だとしたら?

 

 

 

 具現化した弾丸を基点にできる瞬間移動能力は、案外汎用性は高い。

 投げたり何かに運ばせたりと、いくらでも危険地帯にセットできる。

 

 

――瞬間移動はただ便利なだけの能力ではないということか・・・。

 

 

 私は改めて、ガルナの念能力を脅威に感じた。

 

 しかし、まだ終わりではない!

 

 

 私は目を手で塞ぎ、素早く能力を解除すると、「準備」を始めた。

 吹きすさぶ強風の中、私は呟く――。

 

 

「・・・ミコト、借りるぞ(・・・・)。」

 

 

 そう、私の念能力【雷影絶影(ダークブリッツ)】の発動の為に――。

 

 

 ガルナに言ったのは嘘、欺瞞いわゆるブラフだった。

 

 正確には、先程使った能力は、円の効果を持つ念の光の能力【即席閃光(インタント・フラッシュ)】を使用したに過ぎない。

 

 あくまで、私がミコトの眼を使うのは、自分や仲間の生命の危険に陥った時のみと決めている。

 

 

 これは、儀式――愛するミコトの眼を借りることに対する謝罪と感謝の念。

 

 

 ガルナの気配に反応し、私は能力を発動した――。

 

 

 

 

△△△△△△△△△△△△△△△

 

 

 

 

「遅いわね・・・。ガルナ大丈夫かな?

 大分険悪な空気だったけれど・・・。」

 

 

 ミランダがホテルの一室で鏡の前で立ったまま呟いた。

 

 

「ん? あれ、いつの間にか崩れちゃってる?」

 

 

 ミランダは自問しながら、気を取り直して歩法の修行を続けた。

 

 

 それから数時間後、今日の修行のノルマを終えたミランダはシャワーを浴び、すぐにベッドに入った。

 

 

 以前まではミランダが寝るときは必ず衣服を何も身に付けなかった。

 

 しかし、ここ数日でシドリアに何度も説教され、あまり締め付けられないタイプのダボダボのパジャマに身を包み、文字通り泥のように眠りについた。

 

 

 

 

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 

 

 

 

「はあ、はあ・・・。」

 

 

 互いに息を切らせながら、2人の男が相対していた。

 

 

「くそ、シドリアそれ念能力なのか?

 俺の弾丸を避けるとか・・・。」

 

「フ、避けた上にガルナに組みかかったことで、地面に激突するのを免れた。」

 

 

 2人は日中に合流したオープンテラスの前にいた。

 

「別に、俺だけなら普通に着地できたさ!」

 

 

 ガルナはそう言って、シドリアを睨み付ける。

 

 シドリアがガルナに組み付いたせいで、着地体勢がとれず、やむ無くガルナは瞬間移動を発動したのだった。

 

 あの瞬間、勝ったと思ったガルナだったが、今や完全にシドリアに戦況を支配されてしまっていた。

 

 

「もういいだろうガルナ、お前の敗けだ。」

 

 

 シドリアはそう語りかけると、続けて言った。

 

 

「それとも、その銃で私を撃つか?」

 

「な!?」

 

 

 思わず声に出してしまってから、ガルナは自分の愚かさを恨んだ。

 

 それを視たシドリアが口を開く。

 

 

「今の私は、全てを視ることで、全てを把握できる。

 だから、先程と違い、今はその銃で攻撃できることも当然の如く理解できる。

 だが、仮にその銃で私を撃ったとしても、今の私には絶対当たらない。」

 

 

 シドリアはそう言うと、ガルナに叫んだ。

 

 

「私を撃てガルナ!

 その弾丸が私に僅かでもかすりでもすれば、私はお前にこれ以上何も詮索しないと約束しよう!」

 

 

 それは、賭けにすらならない提案――。

 

 オーラを変化させた特殊な光で脳を刺激することで、シドリアの思考速度は通常時の数十倍という速さに高まっている。

 

 シドリアは話術でガルナの行動を、拳銃で撃つという只一択に縛ったのだ。

 

 言外に、これを完璧に回避できたら、「極限まで追及する」というメッセージを含ませていた。

 

 

「ぐ、舐めやがって・・・。」

 

 

 ガルナは小さな声でそう呟きながら、2丁の拳銃の銃口をシドリアに向ける。

 

 

2発の銃声が辺りに響いた――。

 

 

 

 

△△△△△△△△△△△△△△△

 

 

 

 

――バンッ!

 

 

 突然扉が破壊されたような激しい物音に、女はベッドから飛び上がり、スプリングが跳ね上がった。

 

 女が何事かと、物音の方を見ると、見知った男がフラフラとこちらに向かって歩いていた。

 

 

「ちょっと! ガルナなの?」

 

 

 ベッドにいた女はそう言って、室内灯を点ける。

 目の前の男は、聞き取れない呻き声を上げながら、女にもたれかかった。

 

 

「ちょっと! 何事よ?」

 

 

 夜遅くに、叩き起こされて不機嫌そうに女はそう言った直後、すぐに悲鳴をあげた。

 

 

「きゃ! 何これすごい血じゃない?

 ガルナ、しっかりしなさい!どこ怪我したの?」

 

「うう、ミランダ・・・。」

 

 

 大量の血が衣服やベッドについているのを見て、ミランダは発狂したようにガルナに聞くと、ガルナは呻き声を上げながら、力無く指を差した。

 

 

「え? そっちに何が――?」

 

 

 そう言い掛けたミランダは、ハッと飛び上がって、ガルナの差した方向へ駆け寄る。

 

 

 そこには床面になおも血溜まりをつくっている長身の男がいた。

 

 

「シドリア!?」

 

 

 ミランダはそう叫び声を上げて顔面から血の気が失せる音が聞こえた。

 

 

 

 

 その後の、ミランダの対処は的確だった。

 

 泣きながら呻いて役に立たないガルナを放置した後、素早く厚手のタオルにより両手でしっかりと傷口を抑えて止血をしながら、携帯電話を肩でホールドして救急車を呼んだ。

 

 

 傷の状態から、すぐに事件性を疑い警察が来たが、それもミランダが分かる範囲のことを嘘偽りなくハキハキと答えたことが良い方向に転んだ。

 

 傷は銃創であり、挙動不審でしかも直前まで口論をしていたという、限り無く怪しい容疑者ガルナは、銃器を所持しておらず、過去にも購入履歴がなかった。

 

 何よりも、ガルナからは硝煙反応が出なかった為、短時間で証拠隠滅は考えられず、警察はすぐに通り魔か物盗りの犯行と見て付近の捜査に切り替えることになったのだ――。

 

 

 

 

「――つくづく役立たずだな、ガルナは。」

 

 

 3日後、シドリアはミランダから事の経緯を聞くと、そう呟いた。

 それを聞いたガルナが言い返す。

 

 

「だって――。まさか、あんなに言っておいて、直撃するなんて思わないじゃないか!?」

 

「ていうかさ、いい加減仲直りしなよ?

 ガルナがタトゥー入れたのがそんなに気に入らないわけ?」

 

 

 ミランダが2人の様子を見ながら呆れたように言った。

 

 

「いや、そういうわけでは・・・。それよりミランダ、君には大変世話になった。心から感謝する。」

 

 

 そう言ってシドリアは上半身を起こしてミランダに礼を言った。

 

 

「ちょっと、いいって、そんなの――。それより、そんな傷じゃ試験はもうやめた方がいいよね?」

 

 

 ミランダが残念そうにそう言うと、シドリアはすぐに立ち上がり、無言で包帯を外し始めた。

 

 

「え、ちょ、ちょっと無茶は――。」

 

 

 包帯を外したシドリアの腹部の傷は完全に塞がっていた。

 

 

「え、うそ? あんな傷がもう?」

 

「これから私達と行動する上で隠すのも面倒だから言うが、私とガルナは念能力者だ。」

 

 

 驚きのあまり声が出せないミランダに対し、シドリアはそのまま説明を始めた。

 

 

「私とガルナは、人間の誰しもが持つ生命力、オーラと呼ばれるモノを精神の力で増幅させ自在に操る(ネン)というものを使うことができる。

 だからこの程度の傷は、すぐに治るんだ。」

 

 

 シドリアが説明を終えると、ミランダは困惑した表情で呟いていた。

 

 

「ね、ネン?

 もしかして、ガルナがいつの間にかどこか行ったり戻ってきたりするのもネン?」

 

「その通り。私が撃たれたのも、ガルナの念の弾丸だ。」

 

「は!? 信じらんない!

 ガルナ自首しなさいよ?」

 

 

 ミランダの怒りに満ちた激しい口調に、ガルナはバツが悪そうに黙りこむ。

 

 

「悪いな、ミランダ。これは互いに了承していた上での決闘だ。

 私達の中の常識では、武器を使用しての戦いも是とされる。ましてやガルナの銃は念で具現化したものだしな。」

 

 

 シドリアがガルナを庇うようにそう言うと、ミランダはさらに激昂した。

 

 

「は? バッカじゃないの? 何が決闘よ?

 あんた、それで死にそうになってたのに懲りもしないわけ?」

 

 

 ミランダの物言いにシドリアは沈黙を守った。

 言い返す言葉が何もないのだろう。

 

 

「あ、でもさ、俺達アマチュアだけどハンターやってるし、そういうのは仕方ないっていうか――。」

 

 

「・・・どういうこと、ガルナ?」

 

 

 ガルナの言葉にミランダが鋭い眼光を光らせながら問い掛ける。

 

 

「えっと・・・例えば欲しいモノを誰かと奪い合う状況になったとするじゃない?

 問答無用で殴ったり殺したりは駄目だろうけど、欲しいモノを賭けて、互いに約束してバトルで決着つけるとしたら――。」

 

「なるほど、それならアリだな。」

 

 

 ガルナの言葉に、シドリアが笑みを浮かべて賛同した。

 

 ミランダは、一瞬目を見開き柔らかな笑みを浮かべて言った。

 

 

「なるほど・・・ね。それなら――。」

 

 

 ガルナとシドリアはにこやかな笑顔で、ミランダが納得してくれたことを喜んでいた。

 

 

「――って、納得できるか!

 あんたら、決闘罪って言葉を辞書引いて調べなさい! 今すぐ!」

 

 

 ミランダが鬼と化した。

 

 最早、逆らう者はこの場には誰一人としていなかった・・・。

 

 




 原作のGI編でゴンが言ったセリフ「それならアリだ」に対する私のツッコミをミランダに代弁してもらった(*´∇`)

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