DUAL BULLET   作:すももも

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 原作再開おめでとうございますb(・∇・●)

 遅くなりましたが、41話更新(´∀`)
 お待たせして申し訳ありません(ノд<。)゜。


41.挨拶

「間違いない。奴もハンター試験の受験者だ。」

 

 

 シドリアは、確信を持ってそう断言した。

 同時にシドリアは、以前ヒソカに聞かれたことを反芻する。

 

 

「――プロにはならないのかい◆」

 

 

 あの時、ヒソカもハンター試験を受けようと考えているのではないかという疑惑をシドリアは抱いた。

 

 仮にもしシドリアが受けると答えたら、ヒソカも受けると言い出すことを予感し、嘘をついたのだった。

 今考えると、その嘘も見抜かれていたのかもしれないとシドリアは考えた。

 

 

「え、でも、そもそも何でヒソカがハンター試験を――?」

 

 

 

 ガルナが問い掛ける。

 

 

「分からないが、少なくともハンターになりたいわけではないだろう。

 ライセンスの有用性は多岐に渡る。」

 

 

 シドリアが分かる範囲でそう答えた時、周囲が舐め回すような得たいの知れない空気に包まれた。

 

 

――!?

 

 

 思わずシドリアとガルナは臨戦体勢をとる。

 その様子を見たミランダは、首を傾げて焦った様子もなく聞いた。

 

 

「え、突然どうし――?」

 

 

 そう言い掛けている途中で口を閉ざしたミランダは、絶望的な表情で身体を震えさせた。

 

 シドリア達が気付くよりもかなり遅かったが、ねっとりとした明確な殺気を感じとったのだろう。

 

 

「ガルナ! (ギョウ)を怠るなよ!」

 

 

 シドリアが悲鳴をあげるようにそう指示を出す。

 

 ガルナは既に凝をしながら見上げていて、ほとんど間髪入れずに答えた。

 

 

「凝はしてたけど、もう遅かったかも・・・?」

 

 

 隠すらしていない紐のような形状のオーラが、カフェテリアの屋上の端についていた。

 

 

――!?

 

 

 3人が見たソレは、まるで瞬間移動したかのように一瞬で壁に現れ、そして当たり前のように壁に垂直に立ってポーズをとった。

 

 

「ククク、ボクを見て挨拶もなしに逃げ出すなんて、ヒドイじゃないか♠」

 

 

 3人の中でミランダは完全に混乱していた。

 

 

「え、突然現れた? ガルナと同じ能力? 壁に立ってるのも念?」

 

 

「へえ♣

 (ネン)のことを聞いたのか◆」

 

 

 そう言いながらヒソカがニヤリと笑みを浮かべ、ミランダを眺めると、ミランダはビクッと全身を震わせた。

 

 

「ミランダ、アレを!」

 

 

 ガルナがそう言いながら掌にオーラを集中させる。

 

 ミランダが素早く首に掛けていたチェーンを引っ張ると、ミランダの胸に隠されていた弾丸が現れた。

 

 ミランダが両手で力一杯握ると、パキッという軽い音を発し弾丸は砕けた。

 

 

6番目の弾丸(シックス・ブリット)!」

 

 

 ガルナは叫ぶと同時に、手の平大の球状の念弾をヒソカに向けて放つ――。

 

 

 ヒソカは自身の念を解除すると同時に壁から跳躍し、難なく念弾を回避すると、奇妙な体勢で長い四肢を伸ばしたまま、空中でヒュルヒュルと不規則な回転を始めた。

 

 

「ちっ!」

 

 

 既に空中で攻撃体勢に入っていたシドリアだったが、変則的な動きを続けるヒソカに攻撃を躊躇し、悪態をつきながら手を止めた。

 

 すると、突然シドリアは、懐から名刺を取り出して顔の前に構える。

 間一髪、粘着性と伸縮性の性質のヒソカの念【伸縮自在の愛(バンジーガム)】が名刺に張りつき、即座にシドリアは名刺を投げ捨てた。

 

 

 シドリアとヒソカがほとんど同時に着地すると、ヒソカが言った。

 

 

「ボクの能力の対抗策を考えたのか◆

 なかなか良い手だ♥」

 

 

 

 

 ヒソカの言葉通り、ここ数日、シドリアとガルナはヒソカの能力対策について、何度も打ち合わせをしていた。

 もちろん、こんなに早くヒソカと相対するとは考えもしなかったが・・・。

 

 タイマンでは圧倒的な強さのヒソカも、2人でなら戦える。

 ヒソカに触れらないように、ガムをつけられないように注意を払いながら、交互に連続攻撃をする。

 

 初動のガルナの念弾も、シドリアの提案によるものだ。

 放出系を極めたガルナの放つ念弾は、充分な武器となり、しかもバンジーガム対策としては最適だった。

 

 そして、本来の作戦ならば、着地と同時にガルナの得意とする右ストレートが放たれる筈だった――。

 

 

 

 ヒソカの言葉を聞きながら、シドリアは怪訝な顔でガルナの方を見る。

 

 ガルナは、ヒソカから放たれた粘着性のオーラに捕らわれてしまい、地面に伏せていた。

 それを見たシドリアは唸るように呟いた。

 

 

「さっきの一見無意味な空中での回転は、ガルナと私の両方を狙ったからか・・・。」

 

 

――見事だと、思わず言いかけ、シドリアは小さく舌打ちをした。

 

 正に百戦錬磨――回避と同時に変則的な動きにより的を捉えないようにしつつ、念能力を駆使する。

 トリッキーな戦術を使うヒソカにセオリーは通じず、念能力も防御不能の厄介な代物。

 

 改めてシドリアは、ヒソカを脅威に感じた。

 

 

「クク、キミは1つ誤解をしてる♠

 ボクが狙ったのは3人だ◆」

 

 

 ヒソカの言葉を聞いたシドリアは、ハッとしてもう一度ガルナの方を見る。

 

 何本かのオーラが、乱雑に倒れているオープンテラスのイスやテーブルについていた。

 

 

「ガルナは、自分が防御するだけじゃなく、ミランダも守ったのか?」

 

 

 シドリアは驚きながらも、自身の落ち度に気付き、意気消沈した。

 あの場でシドリアは悪手を選択していたのだ。

 

 もし、あの時シドリアがヒソカに攻撃していれば、ガルナが無抵抗に拘束されることもなかった・・・。

 

 

 

「まだだ・・・。」

 

 

 ガルナが低い声で、そう呟いた。

 

 シドリアはハッとガルナを見る。

 覚悟を決めた目――尋常ではないオーラを纏いながら、ガルナはさらにオーラを高めていく・・・。

 

 

 そんなガルナを見たヒソカは全く動じず、むしろ狂喜するように笑みを浮かべた。

 

 

「ククク◆ 惚れ惚れする程のオーラだ♥」

 

 

 ヒソカは満足そうにそう言うと、予想外の言葉を発した。

 

 

「降参するよ♣」

 

 

 片手を振りながらそう言って、ガルナについたガムの能力を解除する。

 

 

「貴様、何を!?」

 

「あがっ!」

 

 

 シドリアは驚きのあまり思わず聞き返した。

 

 先程までオーラで強化して無理矢理立ち上がろうとしていたガルナは、急に能力が解除されたせいで、猛烈な速度でその場でひっくり返り、うめき声をあげた。

 

 

「だから最初に言ったろ♣

 これはただの挨拶代わり♥」

 

 

 ヒソカはそう言うと、得たいの知れない不気味な迫力のある声で続けて言った。

 

 

「キミ達がもう少し強くなったら、戦ろう◆

 命を賭けて♥」

 

 

 

 

△△△△△△△△△△△△△△△

 

 

 

 

 そわそわと、挙動不審な様子でミランダは部屋を歩き回っていた。

 

 6番目の弾丸――ガルナの具現化する弾丸の中で最長距離を移動できる弾丸。

 

 本来これを使うのは、ミランダの身に危険が生じ、ガルナ達では彼女を守り切れないと判断した時だった。

 

 それは万が一の備えであり、だからこそミランダは事態の深刻さを敏感に感じていた。

 

 

「ガルナ達、大丈夫かな・・・。」

 

 

 心配の余り、ミランダが一人そう呟いたちょうどその時、ミランダの携帯が鳴り出した。

 

 心臓が破裂する程驚いたミランダは、画面を見て素早く応答する。

 

 

 

「ガルナ!? 大丈夫なの?」

 

「うん、一応・・・。」

 

 

 ガルナの気のない返事を聞いたミランダは、小さな疑問を抱きつつも、それなりに元気そうなガルナの声を聞き、一安心した。

 すると、ミランダの返事を待たずに、ガルナが喋り出した。

 

 

「さっきのカフェに呼ぶね?」

 

 

 その言葉の意味を、ミランダが考えていると、ガルナの叫び声が聞こえた。

 

 

1番目の弾丸(ファーストブリット)!」

 

 

 

 

――その瞬間、全身が包まれるような、優しく力強い圧力で文字通り押されるように、ミランダは感じた。

 

 それは、先刻のヒソカという男の殺気のように、明確に感じる圧倒的な気配――ただしガルナのそれは、ヒソカのように悪寒を感じる程の全身を舐め回すような、まとわりつく嫌な感じは全くしなかった。

 

 緊急事態の際の瞬間移動とは違い、その不思議な感覚をミランダは楽しく感じながら目の前の景色が変わるのが見えた――。

 

 

 

 

 

 

「やあ♥」

 

 

「ヒッイイエァウァ!?」

 

 

 眼前の僅か数センチの場所に異様な顔が現れ、ミランダは自分でも謎の奇声を発しながら仰け反り、激しく倒れた。

 

 女性なら、「キャア」等という叫び声を上げると一般的に考えられているし、今までもそういう叫び声を上げたこともあったが、突然の真に迫る恐怖に対しては予想外の声が出るのだと、ミランダの内心では意外と冷静に事態を分析していた。

 

 

「・・・おい。」

 

 

 聞き覚えのある声が、背後から聞こえた。

 

 

「危うくキスするとこだった♥

 アレ、どうかしたかい2人とも◆」

 

 

 ミランダが振り向くと、シドリアとガルナの渾身の怒りが表情と気配に表れ、ヒソカと相対していた。

 

 

「ちょ、ちょっと待って!

 何がどうなってるか説明してくれない?」

 

 

 ミランダが状況を掴めずに立ち上がりながらそう言うと、誰よりも早くヒソカが説明を始めた。

 

 

「ボクも同行させてもらうことになったんだ◆

 同じ受験者同士、よろしく♥」

 

 

 その説明を聞いたミランダは、ますます訳が分からなくなった。

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 奴は強い。

 あの男の強さは、鍛え抜かれた身体能力と殺人に特化した体術。

 そして極めつけは、伸縮性と粘着性を持つオーラに変化させた念能力【伸縮自在の愛(バンジーガム)】だと考えていた。

 

 

 オーラは本来、低反発の弾力があるブヨブヨとしたゼリーのような感触だ。

 強い念を込めると、反発力は向上し、どのような攻撃にもびくともしなくなる。

 攻撃に使えば、強烈な爆発的衝撃エネルギーを対象に与える。

 

 そのオーラの性質は、発、すなわち念能力を使用すると、能力によって様変わりする。

 

 例えば、私の影のオーラは、物理的な感触はほとんどなくなり、気配も限りなく小さい。

 故に気付かれづらいというメリットもある。

 

 ガルナの瞬間移動に使うオーラは、物理的感触はほとんどなくなり、オーラの強い気配のみが感じられる。

 触らなければ、通常のオーラと然程変わらないと言える。

 

 

 そしてあの男の【伸縮自在の愛(バンジーガム)】は、物理的感触は存在するが、障壁としての反発力はほとんど無くなる。

 防御力、殺傷能力がほとんど無い故に、通常のオーラよりも気配は比較的小さく、注意しなければ見過ごしてしまうことがある。

 

 伸縮性は伸ばす距離が短ければ大した力はなく、少なくとも互いに肉弾戦をする近距離で戦う場合は、あまり大きな力は発揮できない。

 

 しかし、粘着力が異常な程強力だ。

 術者の意思以外に能力を剥がす術がない。

 

 肉弾戦の最中にガムをつけられたら、僅かでも重心をずらされるおそれがある為、やみくもに近距離で戦うのもリスクが高い。

 

 

 

 対応策として、オーラそのものを斬るというのはどうか?

 

 これに関しては当たり前のことだが不可能だ。

 他人のオーラそのものを消滅させるような特質系の念能力でもない限り、オーラそのものを何とかするのは無理だ。

 

 先日ガルナに対応策を考えさせてみたら、例えば右手につけられたゴムのオーラを左手で持って、音速で服や肌ごと引きちぎるという案を言っていたが、それも問題外。

 

 ゴムは伸びる。引っ張ってもちぎれることもなく、ただ伸びるだけだ。

 そして左手もガムのオーラにくっついてしまい、泥沼にはまっていってしまうことが容易に想像できる。

 

 

 変化系の能力の制約は、時間的、距離的な制約が多い。

 バンジーガムのような能力は、十中八九後者だろう。

 

 仮に距離的制約があるならば、可能な限り遠くに逃げればオーラが千切れるのではないか?

 そう考えてはいたが、今日の「挨拶代わり」で理解した。

 

 伸縮性は問題ない。私やガルナならば、あの程度の力は耐えられる。

 

 だが、粘着性の性能が想像以上に厄介過ぎる。

 強く貼り付き、解除すら、術者の任意のタイミングで、遠隔でできるのだ。

 つまり、伸縮性に耐えることができても、解除されれば耐えようとした力で自滅してしまうということ。

 

 

 結論を言えば、一度でもガムの能力をつけられれば対応策はなくなる。

 そうなると、必然的にバンジーガムとやり合う場合は、距離をとりながらとなり、その距離がまたバンジーガムの強力な伸縮力を生み出す距離となってしまう。

 

 どうしても避けられない時は、手近にある物体で素早く防御し、即座にそれを捨てるという考えしか浮かばない。

 

 

 だが、その凶悪な性能の念能力ですら、奴の武器の1つであり、あの男の強さの根源は、別なところにある。

 

 それは、奴の悪魔的頭脳だ。

 

 奴は、異常に頭の回転が早く、その洞察力は底が見えない。

 戦闘の際には、相手の心理を深く読み、一手どころか数手先まで見ているように感じる。

 

 その上で、奴はさらに相手の予想外の手を好んで使い、隙を突くのだ。

 

 

 

 

 今見た光景も、私の常識を疑う程のものだった。

 

 

 夜のオープンテラスに腰掛け、躊躇いがちに電話をしているガルナをよそに、特段素早く動くこともなく、奴はいつのまにか自然にその場所に立った。

 

 

 まるで、最初からそこに彼女が現れることを知っているかのように――。

 奴のオーラ感知力は、化け物じみており、どこまで感知できるか底が見えない。

 

 

 奴は強い。

 しかし、あの男の身体能力や体術そして念は、優れてはいるが脅威ではない。

 

 何よりも警戒すべきは、奴の洞察力と読みの深さ――。

 

 

 今は、何よりも知るべきだ。あの男の達人としての思考や術を。

 

 その為に、私は奴の一挙手一投足を観察し、分析する。

 

 「情報」は「武器」なのだ――。

 

 

 

 

「――着いたよ!」

 

 

 私がそのようなことを考えていると、いつの間にか目的地に着いたことに気付いた。

 

 (くだん)の映画館に向かう道中、ガルナが他の2人に説明をしていた。

 

 

 そう、信じられないことだが、あの殺人奇術師は、ハンター試験のことを何一つ事前に調べずに来たらしい。

 それなりの使い手が集まる場所を、超人的な感覚で探り当て、映画館周辺を徘徊していたそうだ。

 

 ある意味これは幸運と言えた。

 一緒に行動することにすれば、私は奴の行動を真近で見ることができる。

 

 

 

 ガルナがチケットを買うときの合言葉を伝えると、奇術師は軽い感謝を言って、チケット売場に向かった。

 

 

 数分後、奴は余裕の表情でこちらに歩き、言った。

 

 

「明日の朝8時から入れるそうだ◆」

 

 

 ガルナはともかく、ミランダですら悩むその一言に、全ての答えがあった。

 

 

 ガルナはチケットの買い方しか教えていなかったが、私達が悩んでいることを瞬時に理解し、何らかの方法でその答えを導いたのだろう。

 

 

「・・・何でそんなことが分かったの?」

 

 

 ミランダが僅かに遅れてそのことに気付いて聞いた。

 

 その真意は、どちらの意味かは分からないが。

 

 すると、奴は説明を始めた。

 

 

「1つ目のどうして、について、第一にキミ達はチケットを買ったにも関わらず、試験会場に入らずこの辺りにいた◆

 第二に、周囲の視線からやはり同じような連中がいることが分かる◆

 だから、キミ達は、いつから会場に入れるのか悩んでいるんじゃないかと思ったんだ」

 

 

 そこまで言って、私達の反応を見た後、奴は愉快そうに笑いながら続けて言った。

 

 

「2つ目のどうしての答えは、視線の数◆」

 

 

 それを聞いた瞬間、私はその場に崩れ落ちそうになる程の衝撃を受けた。

 

 

「そうか、何故そんなことに気付かなかったんだ!」

 

 

 私が思わずそう叫ぶと、ミランダが聞いた。

 

 

「え、どういうこと?」

 

 

「少なすぎるんだ!

 例年会場にたどり着くのは数百人はいる筈。それにも関わらず、周囲の気配は数十人にも満たない。」

 

 

 私がそう言うと、ガルナが言った。

 

 

「それは、ちょっと思ったけど、自分達の宿に帰ったとかじゃないの?」

 

「だから! いつ会場に入れるか知らずにそんな行動をとるか?」

 

 

 私がそう叫ぶと、ガルナは悩みながら沈黙した。

 

 まさかとは思うが、もしかしたら奇術師と遭遇しなかったら、今頃ガルナは勝手に帰っていたのかもしれない。

 

 

「いや、それよりも8時から入れるという情報は、どうやって調べたんだ?」

 

 

 私が奴の方に振り向きながらそう聞くと、奴は答えた。

 

 

「そんなの簡単だよ◆」

 

 

 奴はそう言ってから、しばらくの間を置き、こう言った。

 

 

「受付の人に聞いたんだ♥」

 

 

 それを聞いた瞬間、私の体は崩れ落ち、その場で両手を地面についた。

 

 

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★

 

 

 

 

 青年達は沈黙したまま、コーヒーを飲んでいた。

 

 

「それで、どうしてあの人も一緒に行動することになったわけ?」 

 

 

 風呂上りのミランダが、ラフな格好でコーヒーを飲みながら聞いた。

 

 シドリアは沈黙を守り、ガルナはしどろもどろになりながら、苦しい言い訳をする。

 

 

「いや、だってヒソカ困ってたし・・・。」

 

 

 それを聞いたミランダが、すかさず言った。

 

 

「あの人ガルナにとってどういう存在なの?

 師匠の仇じゃないの?」

 

「それはそうなんだけど、でもヒソカは俺の――。」

 

 

 ガルナがそう言い淀んでいると、シドリアが深く溜め息をついて言った。

 

 

「正直言うと、私は奴と行動を共にした方がある意味安全だと考えた。

 同じ受験生という立場は変わりないわけだから、味方にしておいた方が得策だろう。」

 

 

 シドリアが理路整然とそう説明すると、ガルナは一瞬複雑な表情をした後、力強く頷いた。

 その様子を見たミランダは困惑しながら口を開く。

 

 

「まあ、シドリアがそう言うなら、仕方ないけど――。」

 

 

 

 

 

「――お待たせ♣

 シャワーありがと◆」

 

 

 その声に3人が振り向くと、ミランダとシドリアは驚愕し、一斉に喋り始めた。

 

「え、誰?」

 

 

 

「いや・・・まさか。しかし、その声は――?」

 

 

 2人の驚きの声を気にすることなく、男は上半身裸のまま、赤毛の髪を丁寧に拭いていた。

 驚く2人に平然とした顔でガルナが言った。

 

 

「ああ、ヒソカだよ。

 いつも変なフェイスペイントしてるし、髪型も違うから分かりづらいけどね。」

 

 

 

「変な――って、ヒドイじゃないか♥」

 

 

 ヒソカがそう言うと、誰もが心中で静かにツッコミを入れた。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 信じられないことだけれど、奇跡的な偶然が起こったことに俺は気付いていた。

 

 俺は「ハンター」という職業の存在を知った時、即座にシドリアともう1人の3人でハンターをするっていう夢を抱いた。

 

 

 

 それは現実では最早どうしようもない、そう考えていた。

 

 俺の兄であり、親友だったジョニーは死んでしまったから――。

 

 

 

――とは言っても、実際かつてジョニーと呼ばれた、かつての俺の親友は目の前にいる。

 

 

 

 今はヒソカと名乗っているけどね・・・。

 

 

 シドリアがどう考えているかは、おおよその検討はつく。

 全ては、師匠の仇をとるため――。

 

 それでも、俺はこの偶然を内心嬉しく思ってしまうんだ。

 

 決して、ヒソカと相いれないということは、理解しているけど。

 

 

 でも、俺達が一緒に試験を受ける、その希望は叶ったんだから――。

 




 もし、過去編を飛ばしているなら、これを機に読んでみてくださいm(__)m

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