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1997年12月1日の朝8時、カキン帝国のアジトに7人のメンバーが集まった。
「決行は、本日15時だ。『奪取班』と『陽動班』の2チームで行う。」
幻影旅団の団長クロロが、その場のメンバーに対し、重々しい言葉を投げかけた。
次いでシャルナークが、詳細を説明をする。
「『陽動班』は、ウボォー、ノブナガ、マチ、ガルナの4名。『奪取班』は、団長とパクノダと俺、シャルナークの3名。」
それを聞いて、ウボォーギンが、獣のような興奮した吐息を吐きながら、叫ぶ。
「『陽動』ってことは、いいんだな?思いっきり暴れても!?」
「ああ。暴れて、破壊して、殺せ。俺が許す。」
クロロが僅かな笑みを浮かべて、静かにそう言った。
それに頷き、シャルナークが説明を続ける。
「昨日の情報収集によれば、『高速飛行船』のテスト飛行は、夕暮れ時の16時。
まずは、15時キッカリに『陽動班』に暴れてもらう。『陽動班』はできるだけ騒ぎを起こして、『獲物』の警備を薄くしてくれ。
その後、『奪取班』はパクノダが、あっちの操縦士の『記憶』を盗み、パクノダが操縦をして全員逃げる。俺と団長は主にパクノダの潜入のサポートをする・・・。
まあ、大まかに説明するとこんな感じだね。」
団員達は、それぞれ思い思いの表情を浮かべて、頷いていた・・・。
1人、ガルナだけが、疑問と困惑を混ぜた顔で固まる。
(記憶を盗む??)
ガルナは心中、1つの疑問が浮かんだが、嫌な予感から聞くのをためらっていた。
だが、それに気付いたパクノダが、ガルナに説明する。
「ガルナは知らなかったかしら?私は、触れた相手の記憶を盗み見る能力があるのよ。」
(それって―――。)
ガルナは昨日のことを思い出していた・・・。
いつの間にか、パクノダはガルナのすぐ傍に近づき、他の誰にも聞こえないように囁いた。
「ええ、だから昨日謝ったでしょう。貴方とマチのベッドシーンまで見てしまって、取り乱したから―――。」
(えええええええええ。)
ガルナは余りの恥ずかしさから、両手で顔を覆い、願った。
(誰か、今すぐ俺を殺してくれ。)
ガルナのその姿を気にすることなく、シャルナークは話を続けた。
だがマチだけは、ガルナに強烈な殺気を向けていた・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アタシは、ガルナのその姿を見て、勘づいてしまった。
―――アイツ、パクに記憶を見られたな・・・。
強烈な殺意と、羞恥心が高まっていた・・・。
ていうか、せめてガルナには、ポーカーフェイスを貫いて欲しいものだけど・・・。
―――それは・・・まあ無理みたいね。
アタシはガルナの様子を見て諦めの溜め息をついた。
でもマジで、アタシ的にも少なくとも他の男達にはバレたくないし―――。
シャルが場所などの詳細を説明し終わると解散し、時間まで自由行動になった。
一旦解散になると、アタシは、真っ先にガルナの方に行こうとしたが、既に逃げ去っている・・・。
逃げ足だけは相変わらず早いわね。
でも、バカね。アイツは同じ班だし、次会ったら、ボコボコにしてやる・・・。
ふと、パクと目が合った。
アタシは反射的に目を逸らす・・・。
「マチって、相変わらず、男の趣味が悪いのね。」
パクがアタシの傍を通るときに、小さな声で囁いていった・・・。
―――!!!!!!
余りの恥ずかしさで下を俯きながら、アタシは顔面の熱が冷めるのを待った。
ああ、でも。アタシが触られなくて良かったかも。
もし、そうなったらアタシの感情すら、記憶と一緒に読みとられてしまうから―――。
いや、別にガルナのことが、どうとかじゃないんだけどね。
なんとか、気持ちが落ち着いたので、アタシは時間まで買い物にでも出掛けようと外に出た。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
―――ふう。
なんとか、マチの殺気に逸早く気付いて、俺は逃げ延びた。
とは言っても、次会ったら殴られるだろうな・・・。
今は午前9時。「陽動班」の集合が14時50分に、王宮前のツィード広場か・・・。
ウボォーさんは時間にうるさいし、俺に目をつけているから遅刻は即、死。
昨日のが冗談で済んだのも、今回みたいに厳密に時間が決まってなかったからだ。
とりあえず、それまでにマチの機嫌が直りそうな何かを盗むか・・・。
そういえば、俺も、いつの間にか、盗むのが当たり前になっているな・・・。
ちょっと前までは、ゲームを買うために、嫌な仕事でも引き受けて金稼いでいたのに・・・。
そんなことを考えながら、公園を歩き、ふと前を見ると人だかりができていた・・・。
―――なんだろう。
なんか面白そうだから見てみるか・・・。
――――!!!
あ、あれは―――。
俺は、ヤバい奴を見て、後悔した。
だが、逃げるには既に遅い。
その人だかりは、子供がほとんどで、さすがの俺の身長でも奴と目を合わせてしまったのだ。
奴は、公園内で子供達に奇術を披露していた。
明らかに子供達を見る奴の目が異常だけど・・・。
長身で、奇抜な服装に隠された鍛え抜かれた肉体、不思議なフェイスペイントは、残忍なその本性を誤魔化すことなく、逆に変態性をさらに増してしまっている―――。
「やあ♥」
その男、ヒソカは俺に向かって、声をかけた。
「ふぐっ。ヒソカ・・・。」
俺はつい、昔の条件反射で泣きそうになりながら、応える。
「泣くなよ♣みっともない◆」
ヒソカは小さく笑いながらそう言って、付け加える。
「・・・キミ、随分強くなったね♠」
直後、ゾッとするような気味の悪いオーラを感じた。
慌てて、俺は臨戦態勢に入る。
目の前の子供達は、泣きながら散っていった。
「オヤオヤ勿体無い◆美味しいそうな子達だったのにな♠」
俺は全身から嫌悪感を出して言った。
「お前、子供相手にナニするつもりだあ!?」
「誤解だよ♣公園で暇潰しにトランプ遊びしてたら、子供達が勝手に集まっただけだ◆」
「暇潰し―――!?ていうか、前に強そうな男がいるって言ってたのはどうなったんだ?」
「彼には結局逃げられてしまってね◇仕方ないから他で遊んでいたら、この国に来ていると聞いて来たんだよ◆」
ヒソカは俺の全ての質問に対し、包み隠さず答えた。
「だったら尚更、なんでこんな―――。」
「何、知り合いなわけ?」
ハッと振り向くと、異常な殺意のオーラを纏った女がいた。
「マチか♥ キミも随分と―――。」
ヒソカが、俺の背後からマチに話し掛ける・・・。
「え!?ちょっと待って!ていうか、お前らこそ、知り合いなの?」
俺が余りの衝撃で2人を交互に見ながら口を挟んだ。
ヒソカはそれに対し、変哲のない口調で答える。
「ああ、何せマチの『初めて』はボクが無理やり貰ったからね♥」
―――瞬間。
俺は自分でも信じられない程、スムーズに身体とオーラを操作し、理想的に動いた。
事実、ヒソカのその異常な反応速度も、それには追い付かなかったようだ。
俺の全オーラを込めた右ストレートがヒソカの顔面にクリーンヒットしていた―――。
既にヒソカの身体は吹き飛んでいる。
反射的にヒソカは空中で、トランプを俺に投げていたが、流石に無理な体勢で投げたそれは簡単に、回避できた。
―――違う、ヤバ!!?
「ファースト・ブリット」
俺は咄嗟に、「宣言」し、両手の中で弾丸を全力の速度で具現化した。
直後、俺の身体はヒソカに引き寄せられる―――。
俺の足が地を離れる瞬間、俺は素早く右手のスナップを使い、銀の弾丸を足元に投げた。
俺に殴られたヒソカは、瞬時にトランプを死角にして、「隠」で隠したオーラを飛ばしてきたのだろう。
「凝」で見た俺の左肩にはオーラが1本張り付いていたのだ。
オーラにゴムとガム、即ち伸縮性と粘着性の性質を持たせる能力。
【
ヒソカは、空中を吹き飛ぶ最中、その能力を発動していた。
ありえない発動速度―――。
既に着地していたヒソカは万全の体勢で、引き寄せられる俺に、刃物のように研ぎ澄まされたオーラを纏うトランプで切りかかってきた。
俺はトランプを最小限のオーラを纏った左腕でガードする―――。
鮮血が舞う中、俺は4指にオーラを集中させた貫き手を放っていた。
しかし、俺の攻撃はヒソカにギリギリで回避された。
―――カウンター狙いだったのに、マジ化け物。
ヒソカが回避してから体勢を整えた瞬間、俺は左肩のオーラが再度、縮み始めたのを感じた。
―――でも、1秒遅いね。
―――「ファースト・ブリット」発動。
―――俺は、先程ヒソカを殴った元の位置にいた。
ヒソカは、俺に対し気持ち悪い表情をしながら、禍々しいオーラを纏って歩いてくる・・・。
先程、俺を引き寄せたヒソカのオーラの先端には、俺の衣服の一部が千切れて、プランプランとぶら下がっていた・・・。
ヤバいヤバいヤバいヤバい―――。
俺は自分の中の危険信号が、最大にまで高まっているのを感じた・・・。
ヒソカが会ったときより遥かに強いオーラを纏い、ゆっくりと近づいてくる。
よく見ると、結構ヒソカの顔面しっかり腫れてるな・・・。
やっぱり・・・怒るよね・・・。
―――あのオーラ、ヤバすぎだろ。
普段なら、逃げの一手の筈が、何故かその選択肢は浮かばなかった・・・。
俺は恐怖でテンパって、拳銃の具現化も、ままならない。
肉弾戦?いや、無理だ。
そもそも俺の全力の右ストレートの不意討ちでも致命傷になってないし・・・。
―――反応速度、身体能力、基本的な体術レベルが桁違いだ。
―――俺、マジで死んじゃうかも。
既に体が、恐怖で動けなくなっていた。
おもむろに、ヒソカが口を開く。
「さっきの右ストレート、カナリ良かったよ♥」
ヒソカの言葉に、俺はビビっていた・・・。
するとヒソカは、続けて言う。
「以前よりも能力を使いこなしてるみたいだし、次会うときはもっと良くなりそうだ◆」
俺は泣くのを堪えながら、聞いていた・・・。
―――あれ?次って?
「先約があるんでね♣バイバイ◆」
ヒソカはそう言いながら、ヒラヒラと手を振って立ち去ろうとする・・・。
「ああ、そういえば、さっきのは嘘だよ♥」
こちらを向きもせず、そう付け加えたヒソカは、そのまま去っていった・・・。
―――なんだったんだ。
俺は、生き延びた安堵感からその場にへたりこんでしまった・・・。
ベトついた嫌な汗を背中に感じる・・・。
「アンタ何考えてるの?途中でビビるくらいなら、喧嘩売るのやめな。」
今まで傍観していたマチが、呆れたように言った。
「いや・・・。つい、ムカついてしまって気付いたら殴ってた。」
俺がそう答えると、マチはクルリと俺に背を向けて、言った。
「荷物持ち。」
―――?
「今朝のと今の罰。あたしの買い物に付き合ってもらうから。」
そう言い捨て、スタスタ歩いていくマチを俺は慌てて追いかけた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「お待たせ。さ、早くホテルに戻るよ。」
マチがガルナに荷物を渡してそう言った。
「・・・ていうか、買いすぎじゃない?」
「うるさいな!大体なんでアンタ左手使わないのよ。」
ガルナの言葉にマチが言い返した。
ガルナは、マチの買ったものを大量に担いでいる。
しかし、ガルナは確かに左手を全く使っていなかった。
「なんでかな。よく分からないけど動かないんだよね。」
ガルナがあっさりとそう言った。
マチがふと見ると、自分でやったのか、ガルナの左腕の傷口には布切れを不恰好に巻き付けて、止血してあった・・・。
(さっきの攻防で―――?)
マチは心の中で考えながら言う。
「ま、いいや。制限時間ギリギリでしょ?さっさと部屋に戻るよ。」
マチがそう言ってガルナに触れると、ガルナは頷いて宣言する。
「サード・ブリット!」
――――――。
「ふう」
ガルナは瞬間移動が終わった瞬間、荷物を置いてベッドに座り込んだ。
「止血してる布外して、傷見せな。」
マチがそう言った。
ガルナは怪訝な顔をして、言われた通り左腕をマチに見せる。
マチは目を集中させ、ガルナの傷の状況を見た。
「・・・間違いなく、左腕の筋が切られてるね。鋭い切り口だから、大したことなさそうだけど。」
マチは、そう言うと、念糸を紡ぎ始めた・・・。
「左腕のオーラ消して。」
ガルナが言われたままオーラを消す。
―――瞬間、マチは念の糸で傷口を完璧に素早く縫合した。
「はい、終わり。」
「すご!!はやっ!?うわ、もう腕動かせる!?」
マチの言葉に、ガルナは左腕を動かし、驚きの声を出した。
「念糸縫合―――。糸の強度にも限界あるから、あんまり動かしちゃダメよ。とりあえず、この傷なら1200万かな。」
マチは淡々と説明した。
「えええ!?高い!!ていうか、お金とるの?」
「当たり前でしょ。金ないなら盗みな。」
ガルナの疑問に、マチは冷たく答えた。
ガルナは頭をポリポリ掻いて、呟く。
「いや、まあ・・・そのくらいなら払えるけど。」
「へえ。じゃ、これに振り込んで。」
マチに言われるまま、ガルナは振り込み手続きをした。
「あ、そういえば・・・。それ、なんとかした方がいいわよ。」
マチがガルナの左肩を指差して言った・・・。
△△△△△△△△△△△△△△△
「お待たせ◆」
廃屋に入るとすぐに、ヒソカが目を細めて言う。
ヒソカの視線の先には、一切の隙を見せず、佇む黒いスーツを着た男がいた。
男はサングラスを片手でかけ直し、静かに言う・・・。
「例の情報、いくらで買う?」
「ククク、挨拶もなしとは実にキミらしい◆」
ヒソカはニヤニヤしながら、続けて言った。
「10億でいいかい♣」
サングラスの男は、軽く頷くと、懐から紙を出してヒソカに渡して言う。
「前回と同じ口座によろしく頼む。」
「OK♠」
男の言葉にヒソカは頷き、携帯を操作した。
「完了したよ◆」
「確認した。では、また何かあれば―――。」
「ああ、そういえば・・・さっき、ガルナに会ったよ◆」
男の言葉を遮って、ヒソカが言った。
男は、一瞬戸惑ったような様子だったが、すぐに冷静な口調で言う。
「そうか。」
「見違える程強くなってた♣」
「私には関係ないな。」
ヒソカの言葉に男はぶっきらぼうにそう言うと、歩き出す・・・。
男はすぐに、廃屋の闇の中に消えていった・・・。
ヒソカは笑いながら、男を見送り、手元の布切れを見た。
それは、ガルナの破れた衣服の一部―――。
(ガルナの左肩にあった入れ墨・・・ボクが殺した「4番」は彼が貰ったのか♥)
「ガルナを殺しちゃったら、本気の彼ともヤり合えるかもね◆」
ヒソカは廃屋の奥へ消えていった男の方を見て、小さく呟いた・・・。
そしてヒソカは面白くて仕方がないというように、小さく声を出して不気味に笑い続けた・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アタシが普通の糸でガルナの服を縫うのを、ガルナは上半身裸のまま待っていた。
何故か沈んだ顔をしている・・・。
「何その顔?」
イラっとしてアタシが聞くと、ガルナは溜め息をつきながら答えた。
「絶対、ヒソカにバレたよね。俺が蜘蛛ってこと・・・。」
「そりゃね。むしろアンタ、どこでアイツと知り合ったの?」
アタシは呆れた口調でガルナに聞いた。
「・・・マチは?」
ガルナは躊躇いがちにそう聞いてきた。
質問に質問で返すバカだ。
けれども―――。
「ま、いいわ。今は聞かないでおいてあげる。」
アタシは溜め息をついて、そう答えた。
おそらく、アタシと同じくらい、ガルナはヒソカとの関係を言いたくないんだろう―――。
「ほら、終わったよ。50万ね。」
ガルナは、覇気のないような様子でペコリとお辞儀をして服を受け取ると、端末を操作して金を振り込んでいる・・・。
「あっ!!そういえば、マチに・・・謝らなきゃならないんだけど・・・。」
ガルナが突然思い出したように言った。
アタシは手を振って、それに答える。
「パクのことなら、もういいわ。パクなら誰かに不用意に話したりしないだろうし・・・。」
アタシの買い物も、こいつの能力で楽にできたしね。
恥ずかしいのはお互い様だし―――。
「あ、いや・・・。実はもう1人いるんだよね。」
ガルナの言葉にアタシは一瞬、固まる。
ガルナはアタシの様子を見て、ビクビクしながら言った。
「ウボォーさん・・・なんだけど。匂いでバレたっぽい・・・。」
ガルナが言い終わるや否や、アタシの顔面が熱くなる・・・。
同時にアタシはガルナに飛びかかって、制裁を開始した―――。
実はこの原作改変物語は現在、1997年でした(・ω・)
進行遅くて申し訳ないです(ノд<。)゜。
もっと精進しなければ(´Д`)
あと、ヒソカの語尾は難しいですねー( ̄~ ̄;)
作者の携帯(ガラケー)でも読めるように、かつPCでも読めるようにしたかったので、変な感じの表記かもしれませんがご了承くださいm(__)m
(不具合やアドバイスあったらメッセージ送ってください!適宜修正します(´ω`))
次回【09.大爆発】よろしくです!!(・∀・)ノ