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―――
ウボォーギンが打ち下ろした強烈な右ストレートが地面を抉る―――。
王宮前のツィード広場の中央部には、大きなクレーター状の穴ができた。
ガルナは、それを驚愕の目で見る。
「ハハッ!あいつのビッグバンインパクトは相変わらず凄い威力だな。さすが強化系バカだ!」
ノブナガが笑いながら言うと、マチも頷いて言った。
「ガルナも、ああいう能力にすれば強くなったろうにね。」
「いや、無理だし!?系統も違うし!」
ガルナが慌てて、否定する。
「大体、俺の能力を一番悪用してるの、マチだからね!?」
ガルナがそう言った瞬間、マチは素早くローキックをガルナに放った。
ガルナは咄嗟にガードして文句を言う。
「痛いし!何それ?いじめ?念でガードしなかったら、折れてたよ?」
「アンタだったら、別にガードするのなんて、簡単でしょ?」
ガルナの泣き言に、マチが冷たくいい放つ。
すると、粉塵舞う中から、微かに声が聞こえた。
「・・めえら・・・・けえ・・・。」
一呼吸置き、怒りの声が辺りに響き渡る。
「てめえら!!!俺の話を聞けえ!!!!」
ウボォーギンが尋常ではない声量で叫んだのだ。
3人は既に耳を塞いでいる。
あまりの声量で、爆発から逃げている途中だった、辺りの通行人が全員倒れていた。
「てめえら3人揃って15時ピッタリに到着しやがって・・・。約束から10分も遅刻だぞ。」
ウボォーギンはそう言って、獰猛な獣のように、喉を震わす。
「カッカッカッ!まあ、いいじゃねえか!な!?」
ノブナガが、笑いながら、ガルナの背中を叩いた。
ガルナは、ビクビクしながら、マチの方を見る。
マチは、ツンとして遠くの方を見ていた―――。
「15時ピッタリに暴れるって指令は守られたわけだしな―――。」
ノブナガがそう言いながら王宮の方向に視線を投げるのと同時に、全員が臨戦体勢に入る。
―――武装した兵士達が駆けつけていた。
「フン、あとで覚えてろよ。まずは、何人殺せるか競争だな。」
ウボォーギンがそう言うと、4名は素早く散って、戦闘を開始した。
△△△△△△△△△△△△△△△
「―――始まったようだな。」
クロロが静かにそう言うと、他の2人も頷いた。
「じゃあ、俺が先攻するね。」
シャルナークはそう言って、物陰から飛び出し、目の前の兵士に気付かれないように接近した。
兵士の背後から、シャルナークは自作のアンテナを素早く兵士の首元に刺す。
「よし。完了。」
シャルナークは造作もなくそう呟くと、手元の携帯を操作する。
兵士はシャルナークに操られるがままに、屋内に入っていった。
「ちょっと聞いてみるね。」
シャルナークは2人の元に戻り、携帯を操作していた。
携帯画面には、簡単にデフォルメされた兵士が、別な兵士に何かを聞いているような光景が写し出されている。
―――【
自作のアンテナを刺している対象を、自作の携帯電話で操作する能力。
相手の念能力等は操作できないが、肉体とオーラを支配できる優れた操作系能力である。
またこの能力は、相手に任意のことを喋らせ、状況も遠隔で確認することもできる。
「よし、『操縦士』は既に格納庫内だ。格納庫の区画は、昨日情報収集した通りだね。」
シャルナークがそう言うと、クロロとパクノダは頷き、3人揃って屋内に入っていく。
―――タタタタタン
屋内では、シャルナークに操られる兵士が既に戦闘を開始していた。
相手は同じ兵士で実力もほぼ同じではあるが、シャルナークの反応速度と効率の良い肉体操作、さらに不意討ちという状況が、圧倒的に場を制圧していった。
「このまま制圧できそうだね。2人は先に行ってて。後から追い付くから。」
シャルナークはそう言って、2人を先に促す。
クロロ達は頷き、さらに奥へと進んでいった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
―――タタタタタンッ
目の前の兵士達が自動小銃を撃ってきていた。
かなり統制のとれた動きで、戦い慣れもしている。
アタシは銃撃を回避しながら、素早く障害物に身を隠し、気配を消して待ち構えた。
手鏡で相手を確認すると、小隊長らしき人物が射撃を止め、ハンドサインか何かで偵察兵を3人程、こちらに向かわせている・・・。
―――ちょっと少ないかな。ま、いいか。
偵察兵がアタシの隠れている横転したバスに近づく―――。
瞬間、アタシは手元の念糸を手繰り寄せた。
偵察兵の1人が他の2人を呼んだ、そのタイミングで3人の偵察兵の身体は、宙に浮かぶ―――。
当然、残りの兵士達は驚いて、銃を構えるが、何も見えていない。
兵士達は、全員で陣形を組み、辺りを警戒しながら近づいてくる・・・。
―――今だ。
アタシは素早く飛び出して、兵士達の前に躍り出た。
全員がこちらに気付く。
「な!!撃・・・。」
―――タタタタタンタタタンッ!!!
小隊長の号令よりも先に、アタシの念糸によって操り人形と化した3人の偵察兵が一斉射撃をした。
上方背後からの一方的な射撃。辺りには、身を隠す場所もない。
辺りはあっという間に血の海が広がる―――。
無駄に人数だけ多かった兵士達は全滅した。
―――うん、やっぱり、ちょっと少ないね。
「50人くらいしか殺せなかったわね・・・。」
アタシは思わず不満を口に出しながら、次の獲物を探した・・・。
△△△△△△△△△△△△△△△
格納庫内は、凄惨な状況が広がっていた。
【
クロロは具現化した本を片手に、念能力を発動させる―――。
「非常に耳と鼻が良く、物音に反応する獰猛な肉食の念虫だが、強い光の中では具現化できない。薄暗い所でしか生きられないという特性を持つ―――。」
クロロは、静かにそう説明すると、辺りを見回す。
濃厚な血の匂いがする、静かな暗闇が広がっていた・・・。
クロロは軽く頷いてから、外にいるパクノダに声を掛ける。
「入ってきていいぞ。」
パクノダが、格納庫のシャッターを開くと、光が差し、何百といた小さな芋虫型の念虫が泡のように次々に消えていく・・・。
格納庫内では、臓器を体内から食い破られて、内臓が飛び散り、原型を留めない無残な死体が床一面に散らばっていた・・・。
クロロが手に持った本を閉じ、口を開く。
「この格納庫もハズレだったな。情報よりも格納庫エリアは広いようだ。」
今後どうするか、クロロが少し考えていた。
パクノダは、まるでモデルのように足を交差して、クロロに尋ねる。
「シャルの合流を待ちます?」
パクノダの問いにクロロは首を横に振り、口を開く・・・。
「この騒ぎで、逃げ出す可能性もある。迅速に行動するぞ。」
クロロはそう言うと、具現化した本のページをめくっていく―――。
【
他人の念能力を盗み、盗んだ能力を自由に使える特質系能力―――。
クロロは、目当てのページを開くと、能力を発動した―――。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「痛え!」
俺は左手を擦りながら物陰に隠れた。
ヒソカとの小競り合いで受けた傷が痛む・・・。
マチに言われるまで、気付かなかった俺もアホだけど、マチもよく見てるよな・・・。
―――念糸縫合、とマチは呼ぶ。
マチの念の糸は任意に太さを変えられるらしく、血管や筋肉、そして神経まで繋げられるらしい。
つくづくマチの超人ぶりを認識させられる・・・。
まあ、何はともあれ、マチの治療のおかげで、左腕は動くようにはなった。
でも、予想以上に大勢の兵士から逃げてる途中で左腕の傷が少し開いたかも・・・。
―――銃でなんとかするしかないか・・・。
そんなことを考えながら銀の拳銃を具現化していると、目の前に20人くらいの兵士達がこちらを狙っていた。
―――ヤバ!
咄嗟に、左手の中に黒い弾丸を具現化するのと同時に、銀の拳銃で弾丸を2発、左右に撃ち、叫ぶ―――。
「ファースト・ブリット!」
俺は左側の着弾位置に飛んだ。
素早く、2番目の黒い弾丸を具現化して、適当にお腹辺りで「模様」に変える―――。
オーラを集中させて、黒い拳銃も具現化した。
―――2番目の銀の弾丸は、微妙な位置に当たっちゃったな・・・。
俺は準備を整え終わり、兵士達の背後から飛び出して走りだした。
2丁の拳銃を構えて叫ぶ。
「セカンド・ブリット!!」
―――【
兵士達が背後の俺を見るよりも早く、銀の拳銃で、1発の念弾を撃つ―――。
ちなみに、瞬間移動時に握っていなかった黒い拳銃には念弾は装填されていないので撃つ振りだけ・・・。
1人に命中して、他の連中は僅かに遅れて自動小銃を構えた。
―――「セカンド・ブリット」発動。
俺はセカンドの位置に移動して、2丁の拳銃を握りしめる―――。
兵士達が先のファーストの位置に射撃を開始したのを確認し、兵士達の視角飛び出しながら左右1発ずつの念弾を撃ちながら宣言する―――。
「ファースト・ブリット」
1発は命中したが、もう1発が思い切り外れた。
兵士達はまたもや背後をとられたことに驚きながら、小銃を俺に向ける。
―――「ファースト・ブリット」発動。
―――究極のビビり芸。
まだ3人くらいしか殺せていないけれど・・・。
あ、1発外したから2人か。
たまに、うまく集中できるのは何なんだろうな?
朝のヒソカに当てた右ストレートとか、自分的にもうまく動けたのに・・・。
俺はそれから、2箇所を瞬間移動でランダムに移動しながら、1時間程ヒットアンドアウエイを繰り返した・・・。
「なんとか全員殺せたな・・・。20人とか凄くないか?」
息も絶え絶えに、満足感から、そんなことを1人で呟いていた・・・。
「―――アンタ・・・バカでしょ。能力の無駄使い。」
―――!?
振り向くと、マチがいた。腰に手を当てて、呆れた顔をしている・・・。
「いや、向こうが一杯来たし・・・。」
「アンタって、その辺素人よね。あんな雑魚、絶だけでも簡単に居場所を撒けるでしょ?ていうか、前から思ってたんだけど射撃下手すぎない?何発か外してたし、狙うの遅いし―――。普通に接近して殴る方が、アンタに向いてるんじゃないの?」
「うう・・・。」
マチの言葉に俺は何も言えなくなった・・・。
マチは何度か仕事で俺の念弾を見ている。
マチならバレてもいいかと思って、普通に使ってるからだ。
―――仕事終わったらマジで射撃の練習しよう・・・。
俺が心の中でそう呟いていると、マチが言った。
「ま、いいわ。・・・それより、パクが呼んでるんだけど?」
俺はマチの言葉に頷いて言った。
「パクノダさんには、4番目の銀の弾丸を渡してあるんだ。」
「ああ、じゃあ全員集めた方がいいね。」
俺の言葉をマチは理解して、携帯で連絡を始めた・・・。
数分後、ウボォーさん達と合流して、能力を使う―――。
「フォース・ブリット!」
4人がオーラに包まれた―――。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「すごい!かっこいい!!」
ガルナが少年のように目を輝かせて、そう言った。
「これが『高速飛行船』か!?」
ウボォーギンが感嘆の声を上げた。
すると、ノブナガが胡散臭げな顔で言う。
「しかし、これ金属製だし、変な形してないか?ホントに飛ぶのかよ?」
「鳥みたいね。」
最後に、マチが馬鹿にしたようにそう言った。
「正確には『飛行機』と呼ぶらしい。・・・簡単に言うと、ガスで飛ぶんじゃなく、ジェットエンジンで加速して、その揚力で飛ぶみたいだ。V5の飛行制限条約を完全に無視しているけど、1970年くらいに体制が変わったカキン帝国はその辺、曖昧だからね―――。」
苦笑いしながらシャルナークが説明する。
そこは、普通の飛行船の格納庫とは違い、随分と広かった。
何名かの整備員が絶命して、床に倒れている。
唯一生きている整備員は、シャルナークにオート操作され、APU起動状態の飛行機の点検作業を進めていた・・・。
「ゴメン、ちょっと時間かかりそうだね。準備できるまでお茶でも飲んで待機しようか。」
シャルナークはそう言って一旦、格納庫の事務所にその場の連中を連れて移動する。
移動している間に、マチがふと見ると、シャルナーク達の死角となる位置で、クロロとパクノダが真剣に何か話をしているようだった。
それから、シャルナークは事務所の椅子に座ると、設計図や仕様書を広げて、機体性能や、滑走路というものを説明し、更に飛行機が使っている燃料やエンジンについて「陽動班」に説明していく―――。
マチはシャルナークの話を適当に聞き流していると、突然嫌な予感を強く感じて辺りを見回した。
(そういえば、アイツがいないな。さっきは興味津々な感じだったのに、どこいったんだろ?)
マチが心の中で呟きながら、シャルナークを無視して、辺りを探して歩いていく・・・。
相変わらずクロロはパクノダの話を熱心に聞いていた。
今のクロロの顔は、団長の威厳などなく、目を輝かせた子供そのものであった・・・。
(・・・男って、こういうメカ的なもの好きだとは思ってたけど、まさか団長もか・・・。)
マチは溜め息をついて、見なかったことにする。
(ぶっちゃけ、2人の邪魔しちゃ悪いしね。)
マチは少し笑いながら、心の中でパクノダを応援していた。
(あれ?ちょっと待って、男はメカ好き?)
マチは妙な予感を感じ始めた・・・。
―――クロロは何を聞いていたのか。
シャルナークは性能や仕組みの情報を入手している。
だが、クロロはパクノダだけに話を聞いていた。
何を聞いていたのか、答えは決まっている・・・。
マチは思わず声に出す。
「―――操縦法??機械が好きなやつは操縦したがる―――。」
(頭がいい団長は、操縦したければ、念入りに勉強する。でも、バカだったら―――?)
そして今、この瞬間は誰もが「獲物」から目を離している―――。
(ヤバい、めちゃくちゃ嫌な予感がするんだけど―――。)
マチが走って元の場所に行き、飛行機を見た。
既に、飛行機が稼働し始めていた。
ただし素人のマチの目から見ても異常な状態で、機体の動力部からは、熱により煙が発生して、不規則な異音が響いている――。
すると突然、機体のどこからか爆音が鳴った。
大きな異音と異臭に、パクノダが真っ先に気付き、近くに走ってきており、悲鳴を上げる。
同じく駆けてきたクロロが、顔面が蒼白のまま飛行機に向かって駆け出した―――。
飛行機はなおも駆動し続け、熱は容易に金属を融解させ、金属製の飛行船の動力部は、風船のように膨らんだ―――。
既に集まってきていた他のメンバーは異常事態を本能的に察知して、逃げ場を探す・・・。
―――瞬間、機体の操縦席の窓を割り跳躍したクロロが、ガルナを引き連れて団員の元に戻った。
ガルナの顔面は、原型を留めていないほど腫れている・・・。
すぐに全員集まり、顔面ボコボコのガルナが泣きながら叫んだ―――。
「セカンド・ブリットォ!!」
―――――――。
――――ドドーン!!!
団員達がその音を聞いたのは、ツィード広場のガルナの戦闘跡地―――。
「すげえ大爆発だな。」
「おそらく・・・廃熱に必要なタービンを回さずに、メインエンジンをフルスロットルに入れたのが最大の原因ね。油圧系統も無茶苦茶にいじった可能性もあるわね・・・。」
誰もが唖然としている中、ウボォーギンの呟きに、パクノダがいまや用のない知識を引用して、忌々しく答えた・・・。
無言のまま、クロロは大爆発の炎を自身の漆黒の瞳に映していた・・・・。
その大爆発による炎は翌朝まで続くだろう。
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私は、その爆発を確認して、満足気に笑った。
「想定外もあったが、成功したようだ。」
私は依頼主であるその男に伝えた。
「相変わらずいい仕事をする♥ キミのサポートのおかげかな◆」
私は頷いて、立ち上がりながら口を開く・・・。
「どうでもいいが、あいつは何故あそこにいたんだ?」
―――しまった・・・。
私は、つい思ったまま発言してしまったことに、ひどく後悔をした。
聞く人選も大きく間違えたな・・・。
「さあね◆ 彼なりに金稼ぎでもしてるとか♣」
「だとしたら、相変わらずいや、前よりもバカだな。」
私は辟易したように言うと、男が尋ねてきた。
「そういえば、キミはプロにはならないのかい◆
アマチュアでやるより稼げるんじゃないか♥」
男の言葉に表情を変えず、私は答えた。
「・・・私には私の考えがある。入金は早めにしてくれ。」
実を言えば、今年の試験はもう願書を出していた。
今までは必要としなかったが、これから必要となると判断してのことだ。
「そうか◆」
奇術師の服装のその男は僅かな笑みを浮かべてそう言った。
そして大爆発の炎を自身の禍々しい瞳に映して、男が呟く―――。
「蜘蛛の足は潰した◆ これで安心して狩れるね♥」
男はそう言うと、不気味な笑いを続けていた・・・。
クロロさん(ノд<。)゜。。。
次回【10.暗影】お楽しみにヽ(´▽`)/