終末日誌   作:木刀超好き

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九月九日

 今日は穴掘りをした後、殺したゾンビ達の火葬を行った。燃焼の補助に車から抜きだしたガソリンを掛ける。はじめは煙ばかりがなでたが、少し待つと怖いくらいによく燃え始めた。熱で筋肉が収縮し手足が出鱈目に動くさまは、地獄の業火に焼かれ、亡者たちがもがいているかのようだ。今日は風が強い日だったためすぐに臭いはかき消されたが、人の焼ける臭いはおぞましいものだと知った。しばらくコーンビーフなどは食べられないだろう。

 ついでに可燃性のゴミもまだ火のある穴に放り込んだ。この世界では人の死体もゴミも大差ない扱いをするしかない。縄文時代の貝塚から人の骨が見つかったという話がつまりそういう事なんだろう。

 鈴木も僕も火葬の後は大して話すこともなく、仕方ないので鈴木のDVDコレクションからMrビーンなどを鑑賞し、レトルトカレーを卵抜きのチ〇ンラーメンに掛けてカレー麺などと称しこれを食べた。美味いとか不味いとかの感覚はすでに死んでいて、何も考えずに箸を動かすだけだった。

 

 二人ともこんな調子でこの先生き残れるのかはなはだ不安だ。その内にゾンビ狩りなどと戯けたことを言って、どちらかが先に無謀な行動をして死ぬかもしれない。

 娯楽のない世界。潤いのない世界。

 やはり早々にほかのコミュニティーに合流すべきか。というかこの市には今何人程度が生き残っているのか。

 そういう不安を払拭するかのようにSNSを眺めていると、幾つかの統計が見受けられた。

 クラス全員と交友関係のある人間が、ゾンビハザードの起きた日から生存報告のあるクラスメイトのアカウントを数えた結果、本人も含めて三十人の内三人が生存報告をしていたという。この投稿を皮切りに紐付けされたSNSの投稿を見たところ、大方十分の一ほどが生存しており、意外なことに都心に近づくほど生存数は上がり、都心から離れるほどに生存報告は下がった。まだまだ不明なデータも多いし、僕なんかでは見方も分からないのだけれども、まあ不思議な現象だなとは思う。ここで数学とか統計の専門知識がある人間がいれば何かしら数字を割り出せるのだろうけれども、あいにくと数学とは高校時代に絶縁したのだ。鈴木に訊いてみたところ残念ながら彼もわがんね、と東北弁で返すのみだった。なにかしらいい方法がないものか。

 

 まあでも各地のコミュニティーもなかなか抑えが効かないところがあるようだ。それもむべなるかな。中央政府が壊滅した以上、国が復活するという希望がないのだから仕方がない。結局のところ自衛隊が最強、警察がいないと犯罪が増える。鈴木のようにゾンビをレイプするのはまだマシ、と思いたいが肉親の前でゾンビとかした娘を殺して死姦した、とかわけの分からない状況が各地で発生している。

 この世紀末世界をどこまで生き延びられるか。

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