終末日誌   作:木刀超好き

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九月十二日

 鈴木がコンビニに残した書置きの看板に返信があった。明日の午後二時に待ち合わせをして会議をしよう。という話である。相手は性別も年齢も不明だが、一応行ってみるしかない。

 交渉役はどうすべきか決めあぐねていたが、鈴木がニートに交渉は任せられんと実に正しい意見を述べたので鈴木となった。さてそうなると僕の役目はなにか。

 

 狙撃手である。

 時間よりも早く目的の場所に行き、監視役としてクロスボウで狙撃体制に入っておくこと。距離は五十メートルも開ければいいだろうか。

 鈴木を交渉役とした場合、鈴木が盾にされないように位置取らなければならない。そういう場合はあらかじめ、席などの場を設けておいて先に座っていればいいだろう。そうすることで、相手をこちらの望む位置に誘導できる。少なくとも鈴木を望まない位置から遠ざけることが出来る。

 盾とかを持っていくのもいいかもしれない。ゾンビ相手には単なる重荷だけれども、人間相手ならば有効だろう。とかなんとかああでもないこうでもないと鈴木と意見を交換し合った。これも不安の裏返しだろう。

 

 現状を少し整理しよう。SNSはいまだに息がある。ネットも幾つかのブログは機能しているし、動画サイトに投稿も少ないながらある。その上で、流れてくるニュースは悪いものが多い。

 略奪と紛争だ。

 原因を少ない知識で考えるに、分業によって発展してきた近代国家というものが機能しなくなったと理解した人々が、群単位で生き残るために争っている。つまり、都市というのは要するに生活に必要な食料の供給を外部からの流通に頼っているわけで、その流通が破綻したら残った資源を奪い合うしかない。恐らくだが、ここら辺は人口密度の低い田舎だからいいようなものの、これが首都圏に近づくほど争いが起こる可能性が大きくなっていると思われる。

 

 争いを回避するにはどうすればいいか。別の土地に移って手つかずの資源を使う。そこに住む全員がとりあえず生きていけるような自給自足体制を作る。ただし、自給自足体制が確立したコミュニティから、武力によって資源を奪い生活する人間も出てくると考えられる。こう書き出すと歴史がキリスト誕生あたりまで遡ってしまった感があった。

 

 まあ、そこらへんは考えても仕方がないことだ。とりあえず、明日の作戦を書いて寝るとしよう。

 

 まず僕達は二人で時間よりも二時間早く現地を下見する。少なくとも狙撃に使えそうなポイントはチェックしておく。そしたらパイプ椅子と机、菓子と飲み物で会談場所を作ってしまう。紙と筆記用具も必要だ。

 相手とは二人で会う。

 クロスボウはゾンビ対策と言えば通るだろう。相手が普通の人間なら、それが自分に向けられる可能性があることも理解できるので会議は荒れないはずだ。もし、相手が敵に変わるなら、主要人物を僕が撃ってその隙に二人で車を使って逃走する。車は長距離の移動には使えないが、障害物のない道を選択することで、短距離の移動には役に立つ。

 

 話す内容は、

 お互いの人数。

 資源供給地点の分配。

 新資源供給地点発見時の相互連絡の義務付け。

 新資源開拓時の協力体制の提案。

 生存者発見時の相互連絡の義務付け。

 一週間おきの会議の提案。

 

 こんなところか。

 運が良ければなんとかなる。そう思いたい。緊張が腹にきて今夜は眠れそうにない。

 

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