終末日誌   作:木刀超好き

14 / 15
九月十三日

 交渉は成功したとはいいがたいが、とりあえず僕たちは生還した。まずはそのことを喜ぼう。夕食にピザを焼いてコーラを飲んで、ビールを飲んで、エクスペンダブルズを見た。やけくその開放感を味わっていたようなものだ。

 

 憶えているうちに日記に書き残しておこう。

 相手のグループを仮にAとする。Aのリーダーは山田、副リーダーは小林という。山田は50近いおじさんで、小林は僕と同じか、もっと若いかもしれない。兎に角頭がいいという印象を受けた。

 彼らは僕たちの住むマンションから一キロメートルほど離れたマンションに暮らしている。コミュニティの人数は十人。今まで顔を合せなかったのが不思議なくらいの距離だ。

 今日でゾンビハザードが始まってから約二週間が過ぎた。収奪できる範囲の資源を入手しつくしたと、彼らは語った。

 

 ここで問題。十人の共同体と二人の共同体、資源をより消費するのはどっちだろう。なんて、馬鹿な問いをするまでもない。答えは簡単だ。では十人と二人、戦って勝つのは?これも簡単、人数が多い方だ。彼らが僕たち二人を殺せば二人分の食料が確実に入手出来る。今回の交渉で、僕たちは彼らの仲間になった。仲間というよりも手下、のほうがニュアンスとしては近いかもしれない。力の差からくる不平等条約はよくあることだ。交渉の結果、僕たちがあのコンビニを使うことは出来なくなってしまった。その代わり今まで貯蓄した食料には文句をつけないと来たものだ。

 

 それからもう一つ、二週間後のホームセンター掃討作戦を手伝うことになった。資源をどう分配するか分からないが、しかしある程度公平に分配されるといいのだが。まあ、あまり期待せずにおこう。

 

 なかなか人類平等、危機には手と手を取り合ってとはいきそうもない。原因はなんとなく理解できる気がする。単純に、人が集まれば能力に偏りが出来る。人に好かれる奴とそうでない奴が出てくる。有能な者に誰だって味方するし、それに反対する者はまあ多対一で酷い目にあう。何を書こうと思ったのだろう。頭が悪くてうまく書けない。

 人に好かれる奴、というか味方の多いやつ。これが問題だ。先ほどにも書いた通り味方が多いということは物理的に強い。少数の生殺与奪を握っているといっても過言ではない。

 ダメだよく分からない。

 領地を喩えに出そう。領地Aで好き勝手していたら領地BCDを従えた領地Eの主がやってきて、お前今日から俺らに従ってもらうから。逆らったらどうなるかわかっだろ?な?な?な?てな感じだろうか。うん分からない。

 分からないが悲しい。もう寝よう。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。