スーパーマーケットの方に偵察に出向いた。ゾンビハザードが正午に起きたということもあってか、店内はおろか駐車場に至るまでゾンビがうようよしていて非常に危険だ。また、近くの交差点では車が赤信号で減速したからなのか、車内にゾンビ化してまだ生きている風な者たちもいた。幸いなことにシートベルトを外す知能がないようで、彼らは今も車内に囚われたままになっている。
しばらくの偵察ののち、スーパーマーケットへの侵入は諦めることにした。あまりにもゾンビの数が多すぎる。
すわ現在の物資供給減であるコンビニのゾンビ達はというと、僕を追う彼らが縁石に足を引っかけて、転んだところを鍬で頸椎を切断して仕留めた。ゾンビ七匹に追われるのは怖かったし、今思えばなんで気付かれずにコンビニに入れると思ったのか分からない。ただゾンビは老人並みかそれ以下の運動能力しかなく、転んだら立ち上がることは難しいということだけは判明した。加齢は足にくると言うし、ゾンビ達独特の歩行様式もどこかそのような雰囲気がある。
そうだ、とりあえずゾンビの特徴について記しておこう。
まず彼らは総じて肌が灰色だ。表情は弛緩してだらしなく口を開けている。若干猫背気味で両手を前に突き出し、不規則で太極拳のようにゆったりとした足運びで歩く。ただし獲物を見つけたときは遅めのランニングくらいのスピードで前のめりにこちらに近づいてくる。
こう書くと人類全体という視点で見ればさして脅威でもないように思えてきた。少なくとも自動小銃で武装した軍隊ならば簡単に討伐できるだろう。ただし彼らが全く無力であるかと言えばそうではない。コンビニの店内を最初に偵察したとき、彼らは引きずり倒した死体の手足を引き千切って、それを食べていたからだ。恐らく素手で解体したのだろう。彼らは動きは遅いが力は強いということが分かる。
少なくとも直立したゾンビと戦うのはリスキーだし、最低でも頭部を破壊できる武器を持っておく必要がある。出来ればスレッジハンマーや斧などがいいと思う。金属バットの威力では少し頼りない。
……そういえば彼らは脳震盪を起こす。これはSNSの投稿でも確認されているし僕自身も確認した。以前読んだボクシングの教本によればボクシングなどの打撃系格闘技のノックダウンは、格闘技漫画に言われるような脳が揺れるから、というのは厳密には間違いで脳幹に衝撃が加わり運動中枢が機能停止するからというのが正しいらしい。自信がない
ゾンビがノックダウンするという事実を知ったとしても、金属バットは武器として聊か頼りない。というのも打撃武器というのは威力を出すために須らく加速する必要があるからだ。木刀をもった剣道部員だって、相手の頭に木刀を密着させたまま威力ある打突を繰り出せと言われれば困惑するだろう。兎に角、打撃武器の威力は加速と重さと硬度で決まる。
チョコバーを食べ歯を磨いて寝る。明日は坂の下にあるホームセンターまで歩いてみよう。ああ、それにしても風呂に入りたい。